遠藤周作のレビュー一覧

  • イエスの生涯

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    聖書ではないイエスの生涯を辿る本。聖書のマタイ伝とかも読んだが本書は小説なので読みやすい。
    ユダヤ教の分派から生じた異端児にして革命を期待され果たせずに民衆から見放されるという流れ。大工の息子だし絵画にあるような華奢な人では無かったとは思う。奇跡については怪しいが「皇帝のモノは皇帝に…」とか相手の狙いを見越した上でいなす知力の高さは本書を読んでも頷ける。
    ユダの裏切りが有名だが他の弟子達の真の裏切りについても言及されており自分も本書の説明の方が理に適っている気がした。

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    2024年11月30日
  • 砂の城

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    遠藤周作の本って大体こういうオチだよな、という予想通りのラストだったけど、良かったです。賢い生き方も、かわいそうな人生も、本人が幸せならいい。全て美しいと感じさせてくれます。

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    2024年11月25日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    40年近くも古い本だけど、
    マリーアントワネットの生涯について興味があり、
    何故罪に問われ殺されたのか、
    その時代の王室と市民の乖離した感覚など、面白かった。
    少しは(どの程度か分からないけど)脚色され、物語としている部分があるので、全てが真実ではないけど。
    上巻なので、まだ半分。

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    2024年11月22日
  • 反逆(下)

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    いろいろと評価はあろうが、冷酷で、かつ残忍、自らが神になろうとした織田信長。もはや人ではなかったのかもしれない。
    対して、荒木村重、明智光秀、高山右近らの武将をみると、戦いに関し、人間的な悲しみ、弱さ、悲哀を感じていた人間らしい武将であった。
    こんな視点で書かれた正に名作と言える。

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    2024年11月19日
  • アラベスケ 遠藤周作初期エッセイ

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    遠藤周作さんの本久しぶりに読んだけれど、文章の情景がすぐに広がってとても美しい。こんなだったのかな? 

    とても笑ってしまうほどの面白いミスタードーナツのCMと珈琲のCMまで思い出した。
    立て続けに読んでいた時と全く読んでいない今とを比べるためにも又読んでみよう。

    堀辰雄さんとの関係知らなかった事ばかりだ。

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    2024年11月13日
  • 深い河 新装版

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    アジアの母は
    醜く、それでも懸命に生きた姿を生々しく表現している 
    過酷な環境においても子どもに愛情を注ぐ
    これこそ人間そのものなのではないか 
    それぞれに心の劇がある 悲しみを背負っている
    そのすべてを飲み込み、受け入れ、流れてゆくのがガンジス河 
    人は愛する人を亡くすと心の中に転生させるという表現が私は好きだ

    人生ってなんだろうな
    生きるってなんだろうな

    生活と人生は違う
    生活する上でたくさんの人と関わってきたが、人生で関わったのは母と妻のみという磯辺の言葉
    私が人生で関わった人は、誰なんだろう


    三条のような人間にはなりたくない
    だからと言って大津の生き方はあまりに不器用すぎる 

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    2024年11月12日
  • 海と毒薬

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    人は誰かから罰せられるから罪があるのか、罪が先か罰が先か。
    良心の有無に限らず、誰しも罪を犯す可能性はあると言う事だ。どれだけ良心の呵責に苛まれようとも、結局犯した罪の重さは一緒。
    罪を犯してしまうのは環境のせいではなく、各々の選択の結果である。

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    2024年11月07日
  • アラベスケ 遠藤周作初期エッセイ

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    若い頃に書かれたエッセイ
    堀辰雄に影響を受けたこと
    そして彼の作品を貫く
    宗教と無意識 無意識による罪
    モーリヤックのテレーズ デスケルウ
    彼はフランス留学中にテレーズを
    追って旅をする

    結核で留学を切り上げ
    治療を続けて回復するが
    この病がさらに作品に影響を与えたと
    思わせる
    読む進める毎に遠藤作品の
    奥深さを考えさせられる

    また読み返してみようか
    海と毒薬 沈黙


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    2024年11月06日
  • 王妃マリー・アントワネット(上)

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    今更になって読む遠藤周作。
    マリー・アントワネットと対の立場となる少女を据えたのが面白い。ただ彼女が読者を映すわけではなく、性格はそれほど良くないし恨みがましい。

    知らないエピソードが多く、興味深くてどんどん読み進めることができた。
    歴史の教科書でしか知らない人物に血が通っていくのは何度経験しても良いものだ。

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    2024年11月02日
  • 悲しみの歌(新潮文庫)

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    この小説に描かれているレベルの悲しみを、噛み締めることができるほどの経験が、まだできていない。
    矢野教授のように、自分が偽善的だと反省することもなく、周りに偉そうにして生きている人間もいるし、折戸新聞記者のように、正義を振り回して人を不幸にする人もいて、世の中は正しいとか正しくないとかで決めつけられないのに、自分は同じような振る舞いをしていないか、考える。
    今の時代は、新聞記事だけではなく、SNSで、正義感たっぷりに誹謗中傷している人がたくさんいる。
    人が人を裁くということが、無くなればいいのだけれど、やっぱりそれが完全に無くなると社会が成り立たないのかな。
    人生は悲しみに満ちているけど、最後

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    2024年10月29日
  • 海と毒薬

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    ネタバレ

    尊敬する人が遠藤周作さんの本がお好きとのことで読んでみました。
    戦争時の生体解剖に関わった人の話。
    実際に起こった事件から、少し内容等変えて書かれているそうですが(解説で知りました)
    本当に起こっているかのような表現に、ドキドキハラハラしながら読みました。
    途中良心が痛みすぎてしんどくてなかなか読み進められないところがありましたが、勝呂さん、戸田さんそれぞれの心境がよく書かれていて、私は勝呂さんの方にとても感情移入しましたが、戸田さんのような人も中にはいるのだなぁと思いました。
    勝呂さんもこのようなご経験があったから、冒頭のような生活をしていたのか…などと後でつながりました。
    戦争時の心理状態

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    2024年10月17日
  • 死海のほとり

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    宗教というものを信じていない分、共感出来ない部分は多かったがそれを抜きにしても面白かった。

    誰もが持つ弱さや狡さとしっかりと向きあい
    咀嚼していく。

    そんな生き方をしていきたいものです。

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    2024年10月15日
  • P+D BOOKS おバカさん

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    フランスからやってきたナポレオンの子孫ガストン.そのバカと見まごう無私の行動が引き起こす顛末.彼は何をしに日本に来たのか謎を残しつつその姿を消した.キリスト教信者らしい遠藤周作のイエスの一つのありかたのようだ.

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    2024年10月04日
  • 夫婦の一日

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    ネタバレ

    【夫婦の一日】
    夫婦揃ってキリスト教徒だが、妻が夫の身を案じるあまり占いに頼って言われたことを実行しようとする。

    【授賞式の夜】
    キリストの教えを守る模範的教徒(?)が実は教えを破り滅茶苦茶にしたいという願望を密かに持ち続け、よく暗示的な夢を見る程追い詰められている話。

    【ある通夜】
    敬虔なキリスト教徒が、見た目は自分と瓜二つだがダークな従兄弟に、心の底に眠る欲望を刺激されて葛藤する話。

    【六十歳の男】
    肉体の衰えと死に怯える男が、女子高生の生命力を目の前にして欲望を感じる。

    【日本の聖女】
    「沈黙」に通ずる、中世日本のキリスト教観の話。日本人は十字架を下ろすために解脱する。キリストは

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    2024年10月03日
  • 海と毒薬

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    序盤から最後まで全体が乾いてる印象を受けた、
    けれど手術の場面では水、汗、血、が滴る感覚と
    同時に緊張感を感じて名作と呼ばれる所以を感じた

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    2024年09月29日
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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    表現に関して一読してみるとよい本として紹介されていた作品。私にとっては少し昔の作家さんの印象があって、読みにくい文章なのかなぁと構えていたものの、挑戦的なタイトルに興味を惹かれて読んでみた。そしたらびっくり。中の文というか語り表現が、内容以前に単純に楽しかった。まっすぐさっぱりアイロニックで、こんなに吹き出すように読む本だとは思わなかった。
    男女の捉え方や、取り上げられているものが手紙、というのが時代を感じさせるものの、伝えたいことを伝える、という観点は現代も変わらない。大切なことは「読み手(相手)の身になって」ということ。
    食わず嫌いせずに読んでよかった。

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    2024年09月28日
  • ぐうたら人間学 狐狸庵閑話

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    面白いけど昔の爺さん特有の一部の人間への偏見が満ちてる。
    あと所々話盛ってるだろってのもチラホラ。
    フィクションとしては楽しい。

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    2024年09月11日
  • 深い河 新装版

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    終節「危篤だそうです。」のあっけなさ。死に臨じた遠藤が描いた人間の終わり方と残され方。映像や情報が発展した現在より鮮明に貧困や格差が描かれる1997年の情勢。
    印度に関心があり本書を手に取ったが、この国に貧困や格差を学ぶ時代は終わったと世界中を見て考えている。救いが人々に差し出されていない時、何かを信じたり今世に無い何かに想いを託すしかないとただ現実を突きつけられただけだった。

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    2024年09月03日
  • 自分をどう愛するか<生活編>幸せの求め方 ~新装版~

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    初版が1982年のため、現代の感覚ではどうかと思う部分もあるが、基本的に、日々の暮らしで凹んだり、自分に自信をなくしたりしたときに、こういう考え方もある、と力をくれそうな本。
    時々読み返したい。

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    2024年08月19日
  • 砂の城

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    『万葉と沙羅』という作品に登場した本作。
    気になって手に取りました。
    文章が柔らかく綺麗で読みやすかったです。

    高校から短大へ、
    青春時代を過ごす泰子を主人公に、
    周囲の変化や人間関係を描いています。

    個人的に印象に残っているのは、
    冒頭の泰子が16最になった際に届いた亡き母からの手紙です。
    戦争を経験し、自分の愛しい我が子に思いを伝える文面がとても。

    そこから泰子はブレずに成長していくのも個人的には読んでいて安心しました。
    恋をしたり思想をもったり、それぞれが変わっていく中、泰子の自分を見失わない姿が協調され、泰子を羨ましく思いました。
    (私自身はブレブレの人生のため。苦笑)

    そして

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    2024年08月16日