遠藤周作のレビュー一覧
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「革命」という言葉の持つ高揚感や疼きを、じゃあ実際どうなのって史実ベースで語ると常軌を逸している。身体の奥底から湧き上がる、滾ってくる激情が、正義だの平等だの権利だのお題目を無視て破壊衝動のみを連れてくる。理性的な生き物がただの獣に戻る。「民衆」という、数のみが頼みの存在は、しかし一度でもその武器を振るうと、制御が効かなくなり暴徒と化す。
エネルギー。それはしかしもしかすると、今の時代に求められている力なのかもしれない。
マリー・アントワネットが悲しいだとかというよりも、フランス革命がいかにありえないことだったのかが伝わってきた。
「ありえない」なんて事はありえない -
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遠藤周作が語る、宗教とは、神とは、信仰とは、の話し。
いちおう対談形式になってはいるが、質問者の質問はほとんど意味をなしておらず、雑で安易な質問ばかりしている印象でした。(架空の対談かもしれないが)
おそらく初心者や無神論者に対する配慮として、簡単で専門的ではない質問にしているのだと思いますが、もう少し質の高い質問や議論があっても良かったかなと思いました。
ただ、序盤は世俗的で浅めの思想で始まりますが、中盤から終盤にかけて少しずつ深くなっていく思考の流れが良かったです。
本人も言っているとおり、2世信者として、意味もあまりわからずに幼少期に受洗しているので、西洋人に近い、生活に根付いた信 -
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この本を読んで安心した。
「超然」。キリスト教に限らず、宗教やスピリチュアル的なものに感じること。理解を阻むもの、受け入れがたい何かがある。理解を超えてしまっている。理解しようと努めるというよりも、そういうものであるというふうに落とし込む方がいいのかもしれない。この本を読む前まではそう思っていた。
遠藤周作の描くイエスを読む。そうしたイメージからは程遠い悩む一人の人間がそこにはいた。人々から期待され、担がれても、自分という存在以上になれないと悩む一人の人間であった。
弟子たちだってそうだ。一枚岩では決してない。今自分が信じているこのイエスを信じなくなることで、自分を自分たらしめている拠り -
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遠藤周作の最晩年の作品らしい。ブックオクで目に留まり購入。情報無しになにげに読み始めたら止まらなかった。こちらは一気読み。
インド観光ツアーに参加する人々の過去や事情から、生きる意味、神を信じるとは?転生などの深いテーマが描かれる。
後半には混沌としたインドの空気が文字から溢れ、目の前に紅茶色の荘厳なガンジス河の風景が広がってくるから圧巻である。
聖なる大河に安らぎを求めて集まるヒンズー教徒達。心と身体を洗い清める者、死して流されるために河を目指して歩み続ける老人。遺体や遺灰を流す横で同時に沐浴が行われる。生と死に境目は無く、祈りが存在するのみ。
キリスト教もヒンズー教も仏教も境目は無い。全 -
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人は死を前にしたとき何を思い、どう行動するか。本書は常に死の雰囲気をまといながら生きる人たちを描いている。彼らが行き着いたのはインドのガンジス川。生と死、聖なるものと汚れたもの、貧富、全てが混ざり合って存在するガンジス川。今まさに死に絶えようとしている人が目指す川。その光景をみた人たちは生きる意味を見つける。
ガンジス川の情景を読み、人は無力だなと感じた。死に絶えようとしている人にできることは寄り添うことだけ。飢えをしのごうと必死で手を伸ばしてくる子供達にしてあげられることはない。その無力感を思うと、人の神なるものへの信仰心が生まれるのかもしれない。
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ネタバレ「イエスの生涯」の続編のような本で、イエスの死から原始キリスト教団の成り立ちを使徒言行録を元にしつつ想像し書いている。原始キリスト教団についてはあまり本も読んでいないのではっきりとは言えないが、「イエスの生涯」よりはかなり現実的・学術的なラインに近づいている気がする。しかしここでもパウロやペトロ、ヤコブが神の沈黙のもとにみじめに死んだ、という想像に基づいた仮定が原始キリスト教団の試練として肝の部分になっており、またもやこのみじめさ、無力さという遠藤周作特有のテーマが大きく張り出してきている。
サウロは啓示を受ける前から律法に対し疑念があったはずで、だからこそステファノを激しく憎んだのではないか -
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遠藤周作の「こわい話」を集めた短編集。怖いと言ってもどストレートに幽霊が出てくるものはほとんどなく、好井まさおさん言うところの「ナニソレ」話が多いのだけど、サブタイトルにもなっている「恐怖の窓」をはじめ、めちゃくちゃ怖いと言うわけでもないけど記憶の隅に残ってしまうようなじっとりした話が多くて良かった。
あと、「戦中派」という人たちがいたことが衝撃だった。簡単に言えば「戦時中の方がよかった」という人たちだと思うんだけど、まあ確かにそういう人もいたかもな…と思わされた。「平和(仮)」の世の中では自分を保てなくなってた人、結構いるのでは。
私が子供の頃は、祖父をはじめ戦争に行った人たちが5-60代だ -
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ホラー小説と思って読むと少し物足りないかも。
遠藤周作の作品と思って読むべし。
じんわりと漂う陰鬱な雰囲気、よくないことが起こりそうな気配を描かせたら右に出るものなし。
細々とした情景描写ではなく、場面を伝える必要最低限の描写を淡々と入れてくる。
心理もつらつら描いてるわけでもないのに、なんとも言えない「やな気持ち」が心に滲んでくるのはなぜだろう。こう言うところが遠藤周作は本当に上手いと思う。
あと病院の使い方、描き方が本当に上手い。遠藤周作の病院は怖い。
「初年兵」、「鉛色の朝」はそう言った遠藤周作の良さがよく出ている。
「初年兵」の語り手の「ちょっと狡くて、でも悪いとまではいかない」