遠藤周作のレビュー一覧

  • 侍

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    ☆☆☆2020年3月☆☆☆


    江戸時代初期、まだ大坂の陣は終わっていない頃。
    徳川氏の天下が確定しつつあった頃の物語。
    東北から、宣教師とともにメキシコへ、ヨーロッパへと旅した「侍」と、宣教師を中心とした物語。


    「侍」=長谷倉のモデルは、明らかに支倉常長だろう。
    異国との通商を求めるという親書を携え、メキシコへ、スペインへ、イタリアへ、苦難の旅。
    「宣教師」=ベラスコはポーロ会という宗派の宣教師で、日本にキリスト教を広めたいという強い思い、そして自分が出世したいという秘めた野望を持っている。


    長谷倉らは、使命を果たすため、やむなくキリスト教に改宗。これが帰国後彼らにとって悲惨な結果と

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    2020年03月15日
  • 死について考える

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    ネタバレ

    20年も前に書かれた本ではあるが、その姿勢は現代のターミナルケアに通ずる部分も多い。以下、自分の印象に残ったこと、気づき。

    ・最期に自分を支えるのは、やはり精神だ。先立たれた大切な人に会える、だとか苦しんでいることを理解してあげることが一番いい。
    ・延命処置の是非。尊厳死はどうなのか?天寿を全うしているなら、尊厳死でもいいのか?
    ・ACPは、死に直面したときに初めてスタートする。在宅医の先生の訪問診療について行った時の経験を思い出した。
    ・安楽死は可哀想だから死なせてあげるという家族のエゴが入っている。尊厳死はその人が死に方を選べる。しかし自殺はダメ。天寿を全うしてないから。
    ・痛みも生きて

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    2020年03月15日
  • 愛情セミナー

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    遠藤周作先生による恋愛というか男女のあれやこれやに関するエッセイ

    前半はまぁ大体納得できる
    「情熱」と「愛」の違いとは?
    「信じる」とはどういうことか?
    「嫉妬」とはなにか?

    愛とは信じる事
    「裏切られた」「女は信用できない」という言葉は、まず「信じる」ありきということ


    心に残った部分

    ---------------
    現代において女とたくさん寝ることは易しい。
    青春の論理としてむつかしい行為を選ばねばならぬ。むつかしい行為とはなにか。それはこの地上でたった一人の女を選び、その女を愛するように努力 することである。ひとりの女を選んだならば、それを生涯、棄てぬことである。これはやさしいこ

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    2020年02月27日
  • 死海のほとり

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    遠藤周作、高校生以来久々に読んで、あれ、こんな読みやすい人だったのか。と思う。
    なんとなく親しみにくいイメージだったけど、まず、文体が読みやすい。

    今回は、イスラエル旅行に合わせて、イスラエルを舞台にした小説ということで読み始めた。
    なんせ、宗教をしっかり勉強したことなく、キリスト教とは、ユダヤ教とは、というか宗教だけじゃなくて、イスラエルの建国ってどういうこと?から、よく分かっていなかった私にとって、なんとなくキリスト教と、イスラエルの理解が進む、良本でした。

    特にキリスト教について、遠藤周作なりの、私なりの、理解ができて、なんとなくキリスト教に納得がいった。
    奇跡を起こさないキリスト、

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    2020年01月11日
  • キリストの誕生

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    --概要--
    ・「イエスが死後どのようにキリスト(救世主)として認められていったか」というテーマ。『イエスの生涯』に続く著書とのこと(私はこちらは未読)。
    ・巻末の高橋たか子氏の解説にあるように、「イエスという人が実際にいた、そして十字架上で死んだ、ということがあった、それを素材として創作された話が新約聖書なのだという見方」で書かれている。ペトロ、ヤコブ等の弟子や宣教師ポーロなどの視点で、彼らがどのような体験・思いから書簡(=今日の新約聖書)を書いたのかが様々な資料の研究の上に述べられている。
    ・イエスの死、迫害、分派、弟子や伝道師の殉教、ユダヤ戦争での多くの信徒の死といった苦境の中で、「神が

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    2019年12月29日
  • 侍

    ネタバレ 購入済み

    歴史に翻弄され

    海外からの文化が入ってきたばかりの時代で
    太平洋、アメリカ大陸、大西洋を渡って旅をするなんて
    とんでもない冒険であった事だろう。

    帰国後の国内情勢の変化も不遇であったが、信仰心に救いはあったのだろうか。

    #泣ける #ダーク #タメになる

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    2021年04月22日
  • 私にとって神とは

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    ネタバレ

    作家の目線で、聖書を史実か伝承か、効果的な創作としての一面などを説明してくれていて、私には非常に分かりやすい。聖書の別の一面を見ているようだった。
    ハッとすることが多い内容だった。特に、清浄であるということ、つぐなうということ。日本の文化として当たり前に受け入れてきたことがキリスト教の考え方との違いを生んでいるなんて、考えたことがなかった。
    著者の小説をより深く楽しむ手助けになる、興味深い一冊だった。

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    2019年10月30日
  • さらば、夏の光よ

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    イケメン南条、デブサ野呂、美人な戸田京子の三角関係のお話
    遠藤周作が本人の役で出てきて、若者から請われてトンデモな恋愛指南(唐辛子作戦とかヤキモチ作戦とか)をしてたりする

    こんな設定は現代のラノベに通じるものもあるし、前半は男女の機微を知らない若者をからかい半分にいじる周作先生のキャラがユーモラスに感じる
    でも、中盤から描かれてあるのは運命に翻弄される若者たちの姿
    何というか、もっとどうにかならなかったのかなぁと思わざるを得ない

    南条はまぁ一般的な感覚を持っているのであろう
    時として軽率だけども、若者ゆえのこらえ性のなさと見ればまぁ許せなくもない
    ただ、その行為が後にどんな結末をもたらすか

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    2019年10月26日
  • 生き上手 死に上手

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    死について深く語る序盤、身近な人も含め死を意識してしまう。その後は生上手な面が台頭する展開に。遠藤氏は大きな病と戦っている経験から常に死を意識しながら生き急ぐあまりなんにでも興味を持って取り組まれた方だったのだろうと解釈する。冒頭、読者に引かれるような言葉をわざと持ってきて実は興味深いことをお教えくださる文体も好み。
    作者の積極性ある深い生き方を見習いたい。

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    2019年07月12日
  • 妖女のごとく

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    サスペンスっぽい作品。遠藤周作氏って、こんな作品もあるんですね(もともと、読んだことのない作家さんなので当たり前なのですが)。ひょんなことから、ある女性の身辺調査を始めたところ、その怪しい魅力に引き込まれていき引き返しせないことに。

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    2019年05月12日
  • 侍

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    ネタバレ

    「沈黙」のテーマ「神の存在の有無」に対し「侍」は「宗教とは何か」という問いかけの小説だと思います。

    キリスト教のお話でありながら、日本の宗教観についても描かれていて、「なぜキリスト教は日本に向かないのか」をヴァレンテ神父が語る場面は、深く頷きながら読みました。ヴァレンテ神父の語った日本の宗教観や社会構造は現代日本に脈々と受け継がれているものがあるのを感じました。

    また、江戸時代の日本社会の陰湿な部分を、政府上層部や役人の描き方や、暗く冷たい建物の描写で表してるところがすごく印象に残りました。

    でも正直読みながらずっと思ってたのは「ベラスコのせいでこんな事に…!!」ということです。こいつさ

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    2019年04月30日
  • 侍

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    沈黙とは異なるキリスト教歴史小説。
    政治の闇に弄ばれたと書くには足りない、男の生きざま。
    日本人の不気味さと誇りとを外国人の目を通し語らせているのが秀逸で、著者の目線の低さを感じる。

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    2019年04月12日
  • 彼の生きかた

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    生来の吃音から人を避け動物に興味を持つようになった主人公が、職業もニホンザル研究を選択する。人間たちに翻弄されるサルを自分と同化し、幼なじみの朋子の影響で徐々に強い気持ちを持つように成長していく。2019.1.1

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    2019年01月01日
  • 侍

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    「侍」は、実在した仙台藩の支倉六衛門常長をモデルとした史実に基づく小説であり、遠藤夫人が夫遠藤作周作の著作中で最も好きな作品として挙げている。

    キリスト教に帰依したことを理由に処刑されることとなった「侍」に従者が伝える「ここからは……あの方が、お仕えなされます」という台詞について、遠藤は「この一行のためにこの小説を書いた」と後に語っている。

    「あまりにも多くのものを見すぎたために、見なかったのと同じなのだろうか」

    「日本人たちはこの海を日本を守る水の要塞にして、自分たちは土の人間として生きてきたのだ。日本人たちはこの世のはかなさを楽しみ享受する能力もあわせ持っている」

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    2018年12月22日
  • イエスに邂った女たち

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     先日「遠藤周作で読むイエスと十二人の弟子」を読んだ。そちらは生前のエッセイや著書からの引用でまかなっていたが、本書は全編を通じて遠藤節が味わえる。
     『赤毛のアン』シリーズの中に「求婚する前に、彼女の父親の支持政党と母親の教派を調べておけ」という処世術が出てくる。男性と女性で信仰のありようが違うのは、今も昔も変らない。

     思うに、多神教のはびこる未開のヨーロッパへ布教するには、十二使徒や聖母・マグダラ両マリアのタレント性が不可欠であろう。

     第9章「かくれ切支丹のマリア」は興味深い。切支丹の教義の中で、イエスの贖罪の対象は人類に非ず、まさかの……。

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    2018年12月20日
  • 彼の生きかた

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    2つのテイスト違いの物語が絶妙に絡み合う良作。ひとつめは、一平と猿、そしてとそれを取り巻く人たちの純情物語。勝手にココリコ田中を想像しながら読んでました。そしてもう一つが、朋子の大人の恋愛事情。絵に描いたような小者の夫・藤沢と、切れ者専務・加納(ここまでくれば調教師と呼んでも良いかも)の両方ともいいキャラしてる。結局良いも悪いもなく、最後は個々の納得感が大事、とまとめてもよいくらい、教訓めいたものもなくさらりとした読後感。

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    2018年11月25日
  • 侍

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    主命でメキシコ・スペインへ渡った「侍」は、役目を果たすため、キリスト教へ帰依をする。しかし、旅の途中で日本の政情が鎖国へと変わり、当初の役目を果たせなかったばかりか、偽りとはいえ受洗したことが咎となり、帰国後も潜むように生きることを強いられる

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    2018年11月04日
  • 夫婦の一日

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    この短篇集含めて、僕が遠藤周作を好きなのは、高潔に生きたいという理想と情欲に溺れたいという堕落性、その双方が一人の人間の中に存在している矛盾について、認めて、許して、悩んでいるからです。
    良い悪いの二元論で物事を切るのは明快かつ論理的で、一見逞しいけれども、空疎で断定的で、どこか脆い。
    誰かと戦っているわけでもないし、自分に正直に存分に苦しめば良いのではないか、そう伝えてくれているように思えるのです。

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    2018年09月20日
  • 死海のほとり

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    聖地エルサレムを訪れる「私」の現代の物語と聖書の挿話を小説として描く過去の物語が相互に進行する。「私」の物語は実話かと思いきや創作であるが遠藤周作氏の実体験に基づくものと考えても差し付けないだろう。

    特に印象的なのは小説的手法を用いて等身大のイエスを描いたことだ。「人として」のイエスを描くことで同列の人間たち、現代の物語の冷めながらも何処かで神を捨てきれない戸田や卑屈に神に縋り続けたねずみ、過去の物語での様々な登場人物の目線や感情を通して、筆者自身も見出せてない信仰心の「在り方」を問うことに成功している。信仰と奇蹟を結び付ける人々と寄り添うことに神の愛の本質を説く信仰、その差が落胆や失望を生

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    2018年07月23日
  • 侍

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    果たして基督教の信仰とは何なのか、苦難に対峙してもなお沈黙する神とは何なのか。時代と政に翻弄される「侍」長谷倉と烈しい信仰を持ってベラスコの眼と体験を通して日本人の宗教観が立体的に描かれる。万の神を認めて藩主を絶対的統治者とした当時の侍たちに対し、当初は使命感と意志をもって基督教布教を謀るベラスコの姿は滑稽で狡猾ともみえるが、後半になるに従って長谷倉は藩への疑義に反して信仰を問い、ベラスコは教会への不信に反して信仰を深める姿が印象的だ。

    『沈黙』と比べると直接的表現も多く、理解しやすい反面文学性はやや劣るが、『侍』のほうが会社の命令に右往左往する悲哀溢れるサラリーマンに通じるものがあり感情移

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    2018年07月17日