あらすじ
単行本未収録の幻のエッセイの中から、表題作他、恋愛論を中心に貴重な美しい作品の数々を収録。真の愛の姿を追求した、若き日の鮮やかな筆致が蘇る!
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Posted by ブクログ
遠藤周作先生の初期のエッセイ。
冒頭はこの本が書かれた当時の
プレイ・ボーイとはどういう者か、
それとドン・ファンそしてカサノバの違いについて。
どれも、女性を誘惑する者であるが、
遠藤先生はどれも情熱はあるかもしれないが
愛を知らなかったと。
私も結婚して10年以上たつので
多くの人と同様に倦怠である。
既に情熱はない。
しかし、遠藤先生の言葉を借りるなら
《二人が忍耐して、倦怠期や病気や失業や子供の入学、子供の卒業、その他もろもろの日常と人生の悲しみと悦びとを一緒にしながら(どこの他人が君とこれほど君の人生を共にしてくれるかね)二人の連帯を努力して続けていこうとするのが「愛」というのだ。》
ならば、わが夫婦生活も愛をはぐくんでいる
最中に他ならない。どんなドン・ファンにも
負けぬ愛の世界を知ったものとして
夫婦生活を貫くべきなのだろう、
私の人生はやはり素晴らしいのである、というために。
後半の”病床交友記”では、先日読んだ庄野潤三氏
が見舞いに訪れた際のことが書かれていた。
作風と変わらず、穏やかな人物を思わせた。
さすがの遠藤先生、お見舞いに来られる
作家先生方が豪華で驚いた。