野中郁次郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
経営の中で『思い』を大切にしようという考え。
・仕事に思いを持つと人生が変わる。
・MBOは目標管理の素晴らしいシステムだが、そこには思いが必要。
・仕事は本来、ワクワク感ややりがいや喜びがあるもの。
・自分なりのビジョンを持つ事。そのビジョンを組織にぶつける。
・どんなに素晴らしい技術で正しい認識であっても人類全体の善に貢献しないのであれば知ではありえない。
・思いの質を高める事。
・創造的対話の場を持つ事。
・自分なりの価値観、スタイル、信念を仕事に持ち込む。
・自分の思いをストーリー化させて膨らませる。
・問題意識のリストを作成し、日常の中で発見する。 -
Posted by ブクログ
本書は歴史の専門家と組織論、社会学の専門家6名がそれぞれの英知を結集し、組織論の側面から数々の無謀とも思える勝算の低い作戦がどのようにして策定、意思決定され、そして実施されていったかを検証したものである。ケーススタディとして、ノモンハン事件、ミッドウェー海戦、ガダルカナル、インパール、沖縄戦 の6つの事例を抽出し、それぞれから導き出される共通性と、その背後にある組織としての普遍的な行動原理をあぶりだし、一般化を試みている。日本国民のみならず周辺各国にあれだけの多大な犠牲を強いた戦争からなにかを学び生かしていくことは、後世に生き、平和を教授しているる我々にとって責務であろう。情緒的な人間関係が入り込んだ組織であったことにより軍事的合理性を最優先しない作戦立案、意思決定、人事評価、組織的学習の欠如などは、本書によって度々指摘されているものであるが、現代の実社会において日本企業の中でも未だに垣間見ることができる。環境が変化するに応じて、自身を自立的に変革し適応させていくことが組織には最も求められているものである。本書が最初に発行されたのは1984年でありバブル経済崩壊の前であるが、既に書中において戦後の成長期を経て移行期にある経済環境とそれに適合できていない企業経営について指摘がなされている。20年以上経って今尚、本書が指摘し問題提起した点が繰り返されている。経済は低迷しグローバル化という大きな変革の波に適応できていない企業が大多数存在し、地方自治は中央の補助金頼みであり、年金問題をはじめとした中央官僚が無策である状況を考えると、日本はあれだけの過酷な敗戦体験を生かしていないのではないかとすら思える。すべての日本人は先人の過ちから学び、それを生かしていく責任を有している。そうしなければ、最前線でその意味も知ることもなく命を捧げていった戦死者が報われない。事例として登場した、参謀本部、大本営、指揮官などの上層部の無能さに怒りが収まらないと同時に、これを反面教師とできない現代の指導者にもその矛先が向かわざるを得ない。
-
Posted by ブクログ
■本書の目的
戦史研究に社会科学的方法論を導入したいという動機から出発する。
今日の平和と繁栄を維持していくうえで、大東亜戦争の経験はあまりにも多くの教訓に満ちている。戦争遂行の過程に露呈された日本軍の失敗を問い直すことは、その教訓のかなり重要な一部を構成するであろう。失敗の実態を明らかにしてその教訓を十分かつ的確に学び取ることこそ、平和と反映を享受するわれわれに課された責務の1つであり、将来も平和と反映を保持していくための糧ともなるだろう。
戦争の反省と言えば「なぜ勝てない戦争を始めたのか」という側面が語られがちだが、本書では開戦した後の日本の「戦い方」「敗け方」を研究対象とする。
より明確に言えば、大東亜戦争における諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗と捉え直し、これを現代の組織にとっての教訓、あるいは反面教師として活用することが、本書の最も大きなねらいである。それは、組織としての日本軍の遺産を批判的に継承もしくは拒絶すること、と言ってもよい。
日本軍の失敗が、どうして現代の組織にとって関連性を持ちうるのか、また教訓となりうるのか。
合理的組織であるはずの日本軍は、しばしば合理性と効率性とに相反する行動を示した。つまり、日本軍には本来の合理的組織となじまない特性があり、それが組織的欠陥となって、大東亜戦争での失敗を導いたと見ることができる。
このような組織的特性や欠陥は、戦後において、あまり真剣に取り上げられなかった。むしろ、日本軍の組織的特性は、その欠陥も含めて、戦後の日本の組織一般のなかにおおむね無批判のまま継承された、ということができるかもしれない。たとえばそれは、企業のリーダーが自己の軍隊経験を経営組織のなかに生かそうとしたり、経営のハウツーものが日本軍の組織原理や特性を半ば肯定的に援用しようとする傾向などに、見ることができよう。
■本書の構成
本書ではまず初めに、日本軍が大東亜戦争の中で実行した下記6つの作戦を取り上げ、どのような失敗があったのかを明らかにする。
・ノモンハン事件
・ミッドウェー海戦
・ガダルカナル島の戦い
・レイテ海戦
・インパール作戦
・沖縄戦
そして、後半でそれらの失敗に共通する要素を分析しつつ、教訓を導き出すという構成になっている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一言要約:「日本企業や日本人が本来持っていた“人間らしい力強さ”や“現場感”、そして“対立や矛盾を統合し新しい価値を生み出す二項動態”」、これは必殺技でも飛び道具でもなく、地道で泥臭い知的コンバットによって築き上げるものだ
序章
日本企業で働く我々は、JTCの三種の神器「終身雇用」「年功序列」「企業内労働組合」の本質要素への回帰が必要である。終身雇用の原文「lifetime commitment」に納得。また、日本の強みはむしろ「つくる力」より「読む力」にあったと考える。VUCAな時代でも、市場変化に応じて最適化し投入する「読み」が日本のものづくりの本質的強さだった。二項動態は一発逆転の技ではなく、地道な合わせ技であり、外部ツールや横文字に頼り失敗した日本企業への警鐘でもある。
1章
経営と哲学の動態は暗黙知と形式知の動態であり、SECIモデルはイノベーション活動そのもの。起点が重要で、現場感が不可欠である。SECIモデルの起点となる「共感」はデジタル時代にこそ人が大切にすべき領域。二項動態は西洋哲学の二元論よりも東洋思想の陰陽的側面が強い。三現主義や現象学的な「いま・ここ」への注目、対立を否定せず解消へ向かう姿勢が重要であり、経営というより「生き方」としての態度が求められる。
2章
二項動態は対立を統合し新しい知を創造することであり、コンフォートゾーンを抜け、エコーチェンバーやフィルターバブルに気づく必要がある。競合との協働や対立の言語化、非言語的現場感覚と定量的数字の行き来、対話が鍵となる。属性やステレオタイプに頼らず、自らの価値を最大限に活かすことが重要。論理的な三段論法では新しい創造は生まれず、矛盾や相反を合一させる活動こそが二項動態である。
3章
人的資本経営では、測定可能なものに偏り「やり過ごし」が多い。ダイバーシティも数字化され、本質的な多様性が失われている。数字化や定量化は「心地悪さの排除」や「リスク低減」のためであり、これが行き過ぎると企業は活力を失う。測れないものに取り組まないことや、数字・管理重視から脱却し、真善美や信頼、価値創造の組織形成が人間本来の活動である。
終章
人間本来の力強さや生き残る力が行動の原動力となる。これを指針にし、行動を促し組織化し、制度化する順番が重要。制度先行では中身が伴わず意味がない。日本人や日本文化のアイデンティティに向き合うことが不可欠である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ骨太な一冊。
リーダーの主観や信念に基づき(パーパス的な話)つつ、社会に認められるには共通善を目指すべきという主張は納得性がある。一方で現実的な課題に向き合う必要があるということで、数々の実践すべきアドバイスがまとめられている。
多方面にアドバイスされており、読み手や状況によって響くところが違うと思うので少し間をおいて読むとよいかもしれない。
今の自分は自問自答を繰り返せ(フィードバックループ回す)、木と森を見よ(大局観)、基本に忠実にしつつ変化への適用(両利きの経営)といったところが印象的だった。
最後の一節(さぁ、本を閉じて行動を起こそう)が内容を総括しているとともに、長く分厚い本だからこそ、なおさら響く。 -
Posted by ブクログ
リーダーシップの本質は、フロネシス(賢慮)ないし実践知と定義している。
"フロネシスの中身を一言で言えば、個別具体の物事や背後にある複雑な関係性を見極めながら、社会の共通善の実現のために、適切な判断を素早く下しつつ、自らも的確な行動を取れる「実践知」のことを言う。そうした知を備えたリーダーがフロネスティック・リーダー"
フロネスティック・リーダーの能力
①善い目的を作る能力
②場をタイムリーにつくる能力
③ありのまま現実を直観する能力
④直観の本質を概念化する能力
⑤概念を実現する政治力
⑥実践知を組織化する能力
典型はチャーチル、目的が共有できなければミッドウェイのように陥る
本書は、それを備えるリーダーについての書。
現場とコンセプトをたえず行き来するフィードバック・ループを機能させるには、現場を身体的に理解しているリーダーの存在は不可欠。
それにはサイロの破壊と、タスクフォースの創設を通じた機動的な知の総動員がカギ。