野中郁次郎のレビュー一覧
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すっかり経済の低成長が定着し新商品の上市のペースも鈍ったこと、あるいはリストラやアウト・ソーシングによって現場の実務知識が流出してしまったことなどを背景に、最近は日本でもソリューション・ビジネスやナレッジ・マネイジメントという言葉だけはかなり浸透した感がありますが、本書は、そのナレッジ・マネイジメント、そして知識経営がどのような思想のもとで、どのように推進されるべき概念のものか、実際にどのように活用されているか、などを概述しています。
前半は、観念哲学の概念論張りの説明で難しく感じるかもしれませんが、言語哲学のロゴス/パトスのような循環関係を持つSECIモデル、形式知/暗黙知をキータームを使っ -
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最近出たばかりの本で事例も新しい話題も多く、内容的にも大変有意義な本ではないかと感じました。
「アメリカ型」はもはや古い、情緒的、非効率、ガラパゴスなどなど「だから世界では戦えない」と指弾された日本企業ですが、むしろ今となれば、それが強みであり、「共同体の善」「現場の暗黙知」といった日本の「当たり前」が注目されているとしています。効率化して巨大化してスケールメリットを追うだけでは世界で1~2社しか残らないのは自明です。ならば、むしろ独自性を強調するにはどういう社風にしていくのか、またそのためにはどんなリーダーなりミドル層が必要かは重要な要素でしょう。
本文内に
「創造とは一回性の中に普遍を見 -
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日本軍がなぜ負けたかを組織論から、明解に解説した名著。
ノモンハン、ミッドウェー、ガダルカナル、インパール、レイテ、沖縄戦の戦闘を分析して、①戦略上の要因分析 と ②組織上の要因分析 から分析をしている。
①戦略上の要因分析では、戦略がなくなんとなくいきあたりばったりの戦略性のなさから、失敗につながったと分析している。
②組織上の要因分析では、空気が支配しているように、ロジックではなく、その場の雰囲気で組織が進んでいったことが明らかにされている。
日本文化の以心伝心の文化では、言葉に出してロジックで表現することがないために、いろいろな意味で今の日本社会の病理をも的確に言い表していると思 -
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この本は、僕が考えている価値創造フレームワークとその仮説検証のアプローチに非常に近い内容で、読んでいて好感を覚えました。
この本と同じような優良企業・長寿企業についての本はそれなりにありますが、この本は知的資本に拠り所を求めつつも、ありがちな自説に偏ることなく、フェアな枠組みに纏め上げ、それを共分散構造分析等、因果関係を可視化可能な方法で検証しているのが素晴らしい。最近の日本での知的資本に関する様々な議論を最も上手く定性・定量分析してみせた本だと思います。
特に、下記の「持続的成長企業を貫く三対の価値基準」という纏め方は圧巻。社会の矛盾中でのバランス感覚を見事に言い当てていると思います。
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発売当初購入した本だったが、当時はさっぱりわからず。
今になってようやっと7割わかった。笑
SECIモデルという知識創造モデルの構成を、キーワードでメモしておく。
・共同化,暗黙知→暗黙知,経験の知,創発場,西田幾多郎的
・表出化,暗黙知→形式知,対話の知,対話場,プラトン的
・連結化,形式知→形式知,分析の知,体系場,デカルト的
・内面化,経験知→暗黙知,行動の知,実践場,デューイ的
共同→表出 (経験)のときに経験から仮説がぼんやりできて
表出→連結 (概念)のときに仮説がメタファーで表現されて
連結→内面 (模型)のときに★因果関係がモデル化されて
内面→共同 (実践)の -
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自分が大切にしたいこと、理想の組織に向かうためのヒントが多かった。[meno]
企業の役割を「知を創造する組織」としてみる知識創造理論においては、社員は単なる作業工数の単位ではなく、知を創造する主体である。知とは「正当化された真なる信念」と定義され、個人の思いをベースに、絶えずより普遍的な真理へ向かうプロセスに支えられている。個人の思い、主観が、知識の出発点なのである。「こうではないか」「こうしたい」「こうありたい」「これが真実ではないか」という個人の思い、ビジョン、問題意識、仮説、あるいは夢が、知の創造のスタートラインなのである。それゆえ、大切になるのが知識の根幹をなす「主観」である -
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経営の中で『思い』を大切にしようという考え。
・仕事に思いを持つと人生が変わる。
・MBOは目標管理の素晴らしいシステムだが、そこには思いが必要。
・仕事は本来、ワクワク感ややりがいや喜びがあるもの。
・自分なりのビジョンを持つ事。そのビジョンを組織にぶつける。
・どんなに素晴らしい技術で正しい認識であっても人類全体の善に貢献しないのであれば知ではありえない。
・思いの質を高める事。
・創造的対話の場を持つ事。
・自分なりの価値観、スタイル、信念を仕事に持ち込む。
・自分の思いをストーリー化させて膨らませる。
・問題意識のリストを作成し、日常の中で発見する。 -
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本書は歴史の専門家と組織論、社会学の専門家6名がそれぞれの英知を結集し、組織論の側面から数々の無謀とも思える勝算の低い作戦がどのようにして策定、意思決定され、そして実施されていったかを検証したものである。ケーススタディとして、ノモンハン事件、ミッドウェー海戦、ガダルカナル、インパール、沖縄戦 の6つの事例を抽出し、それぞれから導き出される共通性と、その背後にある組織としての普遍的な行動原理をあぶりだし、一般化を試みている。日本国民のみならず周辺各国にあれだけの多大な犠牲を強いた戦争からなにかを学び生かしていくことは、後世に生き、平和を教授しているる我々にとって責務であろう。情緒的な人間関係が入
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ネタバレ骨太な一冊。
リーダーの主観や信念に基づき(パーパス的な話)つつ、社会に認められるには共通善を目指すべきという主張は納得性がある。一方で現実的な課題に向き合う必要があるということで、数々の実践すべきアドバイスがまとめられている。
多方面にアドバイスされており、読み手や状況によって響くところが違うと思うので少し間をおいて読むとよいかもしれない。
今の自分は自問自答を繰り返せ(フィードバックループ回す)、木と森を見よ(大局観)、基本に忠実にしつつ変化への適用(両利きの経営)といったところが印象的だった。
最後の一節(さぁ、本を閉じて行動を起こそう)が内容を総括しているとともに、長く分厚い本だから