野中郁次郎のレビュー一覧
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前著「知識創造企業」の続きで、前著で紹介したSECIモデルを発展させたSECIスパイラルについて、その軸となる共通善と実践を抽象化したフロネシスを中心に解説し、SECI行き詰まり症候群を打破するための6つのリーダーシップ実践について提案している。
事例が豊富でかつ25年前に出版された前著と比べて新しくなっているのでより腹落ちしやすいのではないかと思う(JALの再建や東日本大地震のときの企業の実践などが事例として挙げられている)。
メインテーマでもあるワイズリーダーの理想が高すぎる気がするが、9章で述べられている自律分散型リーダーシップをもって相互補完するというのであれば納得できる。
一つ残念な -
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SECIモデルとしても有名な知識変換モデルを中心に個人の知識創造をどのようにして組織として増幅し、組織的知識創造を行なっていくのかという理論の提示と実践方法の提案を行っている。
この本を読むと「どのような知識変換に基づく知識創造が行われているのか?」という目線でさまざまなものを見れるので面白い。
一方でいくつか出てくる事例が90年代の日本企業であるため2023年現在から見ると隔世の感がある。ただ、それについても現在世界のトップを走る企業ではどのような知識が創造されているのかという視点で見ればそのような事例はものの見方の具体例ととらえられると思う。
全体のうち4割程度は理論の裏付けのための事例や -
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「失敗の本質」の本を読んだことがあり、その後に久しぶりに野中先生の本が読みたいと思い読んでみた。非常に興味深い内容で、今まで通り日本軍の戦争を研究材料としつつ、戦場でのリーダーシップについて大量の論文とデータを元に分析されて納得感のある内容であった。
個人的には第8章の辻政信の内容に思うところがあった。幼い頃から文武両道で部下の信頼も厚く飲み会や風俗などが大嫌いで教科書に載るお手本のような軍人であるのにも関わらず、組織として何故上手く立ち回ることができなかったのか?日本人が目指すべき人物に限りなく近いはずなのに何故同世代のエリートには嫌われていたのか?そもそも日本の学問における優秀な人材は何 -
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組織論の第一人者である野中郁次郎氏の労作
第1部 「米海兵隊の知的機動力」の解説
第2部 海兵隊のドクトリン「Warfighting」の全訳 である。
野中氏は、伝統的に機動作戦を遂行してきた海兵隊の本質とは何かを、暗黙知と形式知の「SECI」モデルに比べて解説されています。
独自で陸海空での複合作戦を遂行できる海兵隊は、陸軍・海軍・空軍と並んで、独立の軍種である。すべての海兵隊員は、過酷なブートキャンプを勝ち抜いてきた、ライフルマンであり、アメリカン・サムライを自認している。武士道に比する精神がライフルマンシップなのである。
武士の魂が刀なら、海兵隊員の魂は、ライフルである。ライフルで銃 -
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名著だというので読んでみましたが、めちゃくちゃよかったです。
まず大東亜戦争の失敗エピソードが興味深く、日本軍の組織構造がそのまま現代の企業や政治組織のまんまだということに、ゾクゾクとした恐怖や危機感を味わいながら読みました。今もし仮に戦争になったら、また多くの犠牲者が出るような失敗をまさに今現代の組織でも行われていると思うと。。。
アメリカ軍の合理的行動と対比させていたのもとてもわかりやすかったです。
失敗エピソードを自身の組織に当てはめて考えてみるのがおすすめです。現場と本部での作戦の目的が共有されていないなど、あるあるですね。
また、私自身も日本独特の「プロセス重視」「人情論」「 -
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文句なしの★5つの本です。 というのも野中先生の『知識創造企業』は本当に僕の中でのビジネス人生において一番大事にしている本だというところもあります。
知識創造企業への想いについては、当時の読書レビュに詳細は委ねますが、その中の「ラグビーアプローチ」にものすごく感動しました。 そして、この本は、20年以上前にはじめて社会人としてビジネスパーソンになる際に、内定者への課題図書として会社から提供された本でした。 当時まだ学生だった私としては、会社っていうところはすごい本を読ませるところなんだな、と、青二才ながら大変感動していたことをよく覚えています。
そういう、僕のビジネス人生の基礎を築い -