北方謙三のレビュー一覧
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世代交代の時期なのだろう。
梁山泊が壊滅的な負けを蒙ってから10年。
公孫勝は自らが築き上げた致死軍を後進に譲り(上手い!)、戴宗も、もはや昔ほどには走ることのできない自分に気付く。
もちろん宋軍にも同じだけの時間は流れ、方臘との戦いを終えた童貫もまた、自らの老いに気付かざるを得ない。
しかし、再び楊令と対戦するという強い意志が童貫を支えているといえる。
翻って楊令は、閉じこもっていた硬い殻から少しずつ本来の姿を見せ始めたような気がする。
それがこの先の楊令にとって、いいことなのか悪いことなのかはまだわからないが。
心配なのは扈三娘。
この巻では扈三娘の真情は語られていないが、それは作者 -
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【174/10000】
ようやく2018の初読みです。
あと3巻で完結とあって、様々なことが大きく早く動いてきた巻でした。先が気になるところです。
さて、今年の五つの抱負と照らし合わせてみると…
①殺人が起きない:NO
戦で兵が死んだことはカウントしないつもりでしたが、捉えた敵の首を斬る(処刑)シーンは殺人かなということで…
(達成率:0%)
②女性作家の作品:NO
(達成率:0%)
③名作5冊以上:NO
このシリーズは名作と呼び得ると考えていますが、この抱負で想定していた意味での名作とはちがうので。
(達成率:0%)
④5冊を超える長編シリーズ読破:NO
完結した最終巻まで読んでな -
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北京大名府に自由市場を開きますます交易が盛んになっていく梁山泊。「天下を!」という内部から意見が出るのは当然の流れかもしれない。理想と野望、国作りの難しさを読みながらいろいろと考えてしまう。
この巻はなんといっても岳飛だろう。
かつて苦杯を飲んだ蕭挂材との激闘、そして一騎打ちによる決着。護国の剣が折れるシーンのかっこよさ!
そして楊令との束の間の邂逅。
苦悩を内に秘めながら前に進む楊令、打ちのめされてもなお立ち上がる岳飛。楊令の過酷な運命を本当の意味で理解できるのはもしかしたら岳飛だけかもしれない。出会う場所が違ったならば最高の友になれたはず。
残り二巻。志を持つがゆえに闘う宿命にある二人の英 -
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「水滸伝」からのベテラン勢が何人も散っていく第十二巻。
命の限り駆け続けた王定六、自裁することで問題にけりをつける杜興、死してなお闘い続け敵の心までも揺さぶった鮑旭。
世代交代が進みスマートな印象になった梁山泊だが、やはり修羅場をくぐり抜けてきた男たちの凄味や底力は泥臭いが胸にくるものがある。
個人的には燕青VS周炳の立ち会いがハイライト。
燕青の華麗な体術が「楊令伝」に入ってからあまり見られなかったので「やっと来たか!」という感じ。
金軍の梁山泊商隊への襲撃、李英の暴走、金の傀儡国家・斉の建国。微妙な均衡の上に成り立っていたパワーバランスが崩れかかり、順調に拡大を続ける交易にも歪みが生じ始め -
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楊令自ら護衛をする西域への商隊の旅。
梁山泊を離れ異国の空の下の楊令は頭領の重責や幻王の名から解き放たれどこか普通の若者に見える。彼の背負う「運命」がいかに重いか感じずにはいられない。
第11巻の主役はやはり岳飛だろう。童貫の元にいた頃から好きなキャラだったが一人立ちして男っぷりに磨きがかかってきている。
妻・崔如との何気ないが優しいやり取りや岳家軍の面々の未完成な感じもなかなかいい。
統治のための殺戮に心を傷め、蕭挂材・梁山泊軍に叩きのめされながらも再び立ち上がる。その身に刻んだ「尽忠報国」をどのように体現するのか、またどんな好漢になって再び梁山泊と対峙するのか、非常に楽しみ。
そして、楊令 -
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青蓮寺の目を逃れ雌伏していた梁山泊軍が、徐々にその姿を現わし始める。
しかし、それよりも大きく姿を変えたのが、江南一帯を手中にしつつある宗教団体の方臘たち。
ちょっと力をつけた叛乱予備軍だと思い、彼らの中に潜伏した呉用は、己の見る目が誤っていたことを知る。
ここで、ちょっと思ったのが、なぜ呉用自ら潜伏しなければならなかったの?ってこと。
戴宗のほうが適任では?
そしてこんな早い時期に、岳飛まで出てきちゃうのね。
魯智信が、切り落とした腕を焼いて自分で食べた水滸伝に対応するかのような、武松の、切り落としたこぶしを焼いて食べる一件。
水滸伝では、脱獄して逃げる途中に盲腸の開腹手術をして命を取 -
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梁山泊の生き残りたちがどう再帰していくのか、楽しみでぐいぐい読んでいたのだけど、楊令が…。
なんでこんなになってしまったの?
宋江の遺志について、どう思っているの?
疑問がMAXのところで次巻に続く。
少年ジャンプかっ!
初代梁山泊のメンバーに比べて、ジュニア世代がみんな戦闘力高い。
花栄の息子、花飛麟の正確に問題があったけど、王進のところに行ったからにはまあ大丈夫でしょう。
しかし彼も扈三娘が気になるのですか。そうですか。
そして呉用。
相変わらずみんなに嫌われまくっている。
宋江がいたら「お前も損な役回りだな」ってきっとわかってくれると思うのだけど、もはや宋江はいない。
こんなにみ -
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北方さんらしい、というか、らしすぎる作品ですね。
まずは登場人物の格好良さ。
主人公の楊業もそうですが、その息子達、特に長者の趣のある長男、ニヒルだけど奥に熱いものを持つ四男、人情厚くしかも知的な六男、天真爛漫な七男など、魅力的な人物が次々出てきます。ライバルとなる白き狼・耶律休哥も良いですし、更には遼の文官・王欽招吉でさえ格好良い。オンパレードですね。
続いては戦いのシーン。
なんだか全編戦闘シーンと言う感じさえするほど多いですね。それが何時ものようにダイナミックで迫力がある。戦術レベルの記述中心で、個々の戦いが少ない分、残虐性は余り感じない。
とは言えね、ちょっと”らしさ”が出過 -
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ネタバレ大水滸伝シリーズ第二章のスタート。
梁山泊陥落から三年。敗北の痛手と虚脱感を抱えながらも再起の準備を進めていく面々。燕青、武松は候真を伴い楊令の行方を追い金国へ。
三年間の辛苦を経てそれぞれ心境の変化が見られ中々すぐに再スタートとはいかない雰囲気。
ギラギラしていた歴戦の強者たちもどこか丸くなった印象。(みんな呉用と馬が合わないのは相変わらずだが)
そんな中でも花飛麟、候真など次世代の若者の成長も見られる。
そして焦らしに焦らしてラストでようやく楊令が登場。
闊達な若者がなぜ苛烈な戦いを続ける「幻王」になったのか。
いつ帰還するのか。梁山泊に何をもたらすのか。
次巻以降も楽しみだ。 -
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ネタバレ人物事典が面白かったです。
原典を解体して、一から作り上げた水滸伝。
ストーリーの面白さに、つい先を急いで読んでしまったが、作者はひとりひとりの人物を深く理解して作り上げていったことがよくわかる
びっくりしたのが、蘆俊義の身長・体重。198cm・130kg。
燕青、170cm・60kg。
燕青、よく蘆俊義を背負って1週間も走りとおすことができたな。
そりゃあ死域も越えるってもんだよ。
作者が「そっちに行くなよ」と思いはじめると、みんなそっち(死)へ行ってしまう。
作者にも止めることのできない漢(おとこ)達の生きざま、死にざま。
“書き終えた時は、過剰になったかもしれないと思った。読み返す -
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●1回目 2008.6.20
水滸伝・楊令伝シリーズ登場するたくさんの人物の中でも、この方臘という人物はひときわ魅力的だ。おなじ反乱軍の頭領といっても、梁山泊の宋江とは比較にならない存在感を放っている。濃厚で怪物的。
蒼天航路の董卓にオウム真理教の麻原彰晃が加えた感じといえば、その怪異さが伝わるだろうか。梁山泊一の理論派である呉用がその魅力に飲み込まれていくというのも面白い。
作者の北方謙三は、よくもまあこんな人物を創造したものだ。
その方臘が率いる宗教軍団と宋の最精鋭軍を率いる童貫将軍との殺戮戦を描いた巻。
●2回目 2015.1.31
童貫 対 方臘・呉用の戦いについに決着。
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●1回目 2007.12.22
やはりこういう長編小説は、完結してから読みたいものだ。登場人物が多岐にわたるので、こうやって時たま読んでも、頭に入らないや。さまざまな人物が活躍しても、以前のことを忘れてしまっているので、いまいちピンとこないというのは実にもったいない。かといって、出ているのに読まないわけにはいかないしなあ。
「小説すばる」に連載中の分も読んでいるので、北方謙三のこのシリーズ、もう読むものがない。
水滸伝を最初から読むしかないかなあ…
●2回目 2015.1.30
呉用が潜む方臘軍による宗教反乱、楊令と金軍の遼への侵攻、聞煥章による燕雲十六州独立の策謀。
混沌とした情勢