北方謙三のレビュー一覧
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ネタバレえ?このタイミングでこの展開?って思いました。
ドラマチックに書こうと思えばどこまでもドラマチックになるシーンを、簡潔な記載であっさりと終了。
『水滸伝』は国を倒す物語であったけれど、『楊令伝』は国を造る物語だったのだ。
新しい国の形。
楊令が考えに考えたそれを、どう実現させていくのか。
物語は大きく進路を変え、それに伴って青蓮寺は姿を変え、宋という国に終焉の足音が近づく。
戦いがひと段落した時、梁山泊第一世代が老いたなーと思う。
第二世代にも戦死者が出てくるようになったし、時間はずいぶんと流れているのだなあ。
それにしても郝瑾(かくきん)の最期は、あっさりだった。
第二世代では一番苦労し -
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全くもってハードボイルドな生き様をしていないサラリーマンが読むのも何だか恥ずかしいのですが、いつまでも「ソープに行け!」の人、的な認知をしているのも申し訳ないので、意を決して読んでみました。。
ストーリーとしては、やくざ者がのし上がっていく過程を連作短編で描いたもので、日常とはかけ離れた世界だけど、その中の日常と言うべき姿が淡々と描かれています。
まさにハードボイルド小説、二部構成の前半パートは特に荒涼たる記述で、解説にも「一切の心理描写を排した第三者の視点」で書かれているとの記載があります。短編の1つ「砂時計」は舞台で見ても面白そうなミニマムな構成で、「鳩」の公園のシーン等も含めて、場面毎 -
Posted by ブクログ
ネタバレついに決戦の火蓋が…と言っても、童貫は動かない。
周辺の小競り合いが本気の度を増して、ようやく楊令や童貫を動かそうかというところ。
しかし、本気で戦えばこそ、次々と死者も出る。
張清好きだったんだよなあ。
梁山泊のメンバーとしては珍しく好きな女とちゃんと結婚し、子どもも持ったし、なおかつ優秀な将校であったところ。
普通に格好いいと思う。
扈三娘は罪な女だよねえ。
彼女自身も幸せだったかというと、ちょっとよくわからないけれど。
花飛麟と関係を持てたということで、聞煥章に汚された自分をリセットして、晁蓋の元に行けたってことなのかなあ。
花飛麟はショックだよね。救われない。
今回郭盛はまだ死な -
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ネタバレとうとう宋禁軍と梁山泊軍の決戦が始まった。
これまでの局地戦とは違い総力戦となるこの戦いに際しての、童貫の準備には執念すら感じられる。
宦官であることから、人一倍武人であることにこだわり続けた童貫は、逆に武人として戦いきったという実感を持てないままここまで来てしまったのだろう。
休戦の勅令など出されないように南部の叛乱を平定し、北方の国が介入してこないように備えの軍を置き…ああ、まどろっこしい。
これが老いということなのだろうか。
あまりにも用意周到すぎて、戦の勢いが感じられない。
まだ童貫自身の戦闘シーンがないからかもしれないが、宋禁軍、梁山泊軍共に小さくない犠牲を出したのに、まだ局地戦