円城塔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
じつに円城塔さんらしい作品。めちゃくちゃ回りくどいし読みづらいのに、何故か読み進めたくなる文章。吸い寄せられる構成。本当に不思議な本です。
たぶんストーリーとしては、円城塔さん自身が小説を書くという行為をどこまでシステム化できるのか、あるいは逸脱できるのかを実験しており、それを円城塔さんの内面を分割したかのような登場人物たちが小説のていで物語展開している、というようなもの。
「小説のソフトウェア化」が究極の理想系というが、果たしてそれは本当なのか?実現できるのか?悩み試行錯誤する様子を、場所も時間も空間も入り乱れたストーリーで見せられるのは、脳が焼き切れるかと思いましたが楽しく読めたと思います。理解できたかは別として。
総じて、手放しで面白いとは言えない気がするんですが、のめり込んで一気に読み切ったので、多分面白かったんだと思います。脳が追いついていなくて自信ないですが笑 -
Posted by ブクログ
ネタバレ道化師の蝶
・ずっと頭を回転させて読んだ 滅茶苦茶疲れた
・面白い面白くないとかじゃない、なんかもぞもぞしていて気持ち悪い(褒めても貶してもないです)。理解したいので続きを読みたくはなる。
・読んでも読んでも、理解できるようで理解できない、そこに確実にあるんだけど、手を伸ばしてもさわれない。
は〜〜ん??なるほどね???もう少し読んでいったら理解できるかな???→できない の繰り返し。それが重なって重なって大渋滞よ。
・読んでいると何となく、VRでみているものに触ろうとすると手をすり抜ける感覚を思い出す。わかる気がするのにわからない。もどかしい。同じ一文を何回読み直しても、前後と文章ごと読み返しても、文字は読めるのに理解ができない。
・作者の確固たる持論とかセオリーがあって、それを小説を通して伝えようとしていることだけは何となく分かる。でもなにをいっているかわからん。具体例に落とし込んでほしい。パンピーの私にはこのまま理解するのは難しい。
・時間とか次元を行き来しているのか…!?!?頭の中で全然整理できない。くやしい。
・作者は物理学の研究者だったそうで、それを聞いたらなんとなくああ〜となる。
・また、作者が影響を受けた作家が安部公房で、安部公房が影響を受けた人がカフカとからしく、それもなんかわかる
・ただ、カフカ同様前衛的と言われているそうだが、カフカみたいにザ・荒唐無稽かと言われるとそうでもない気がする。さっき書いたみたいに作者の中では一本の芯(確固たる持論)があって、それに沿ってはいるのかなという気はする。
カフカはまじで「夢」って感じのめちゃくちゃ具合だが、道化師の蝶はめちゃくちゃお酒飲んでから書いたのかな?って感じ。酔うと持論かましてくるタイプの人いるよね。酔いと熱量で何言ってるかは全然わかんないんだけど。そんな感じ。 -
Posted by ブクログ
"P, but I don’t believe that P.(p.3)"
昨年の年末に読んだ『文字渦』に続いて、2冊目の円城塔。予想に違わず、トンデモなくぶっ飛んでいる!
この本のあらすじ(そんなものが仮にあれば、の話だが…)をまとめるのは、僕には少しばかり荷が重いので、裏表紙の紹介を引く。
"彼女のこめかみには弾丸が埋まっていて、我が家に伝わる箱は、どこかの方向に毎年一度だけ倒される。老教授の最終講義は鯰文書の謎を解き明かし、床下からは大量のフロイトが出現する。そして小さく白い可憐な靴下は異形の巨大石像へと挑みかかり、僕らは反乱を起こした時間のなか、あてのない冒険へと歩みを進める―"
一読して理解できる人がいたら、ぜひお目にかかりたい(笑) 何を食べて育ったら思いつくねんとつっこみたくなる荒唐無稽なアイデアが、これでもかと炸裂している。この途轍もない「法螺話」を面白がれるかどうかで、大喜びする人と同じくらい、肌に合わない人が居そうな類の本だ。
本書は、「自己言及のパラドックス」と「因果律の崩壊」という2つのモチーフによって緩やかに結びついた、ほとんど独立した22のパートからなる。モチーフのうち前者について少し説明すると、これは論理学におけるパラドックスの一つであり、例えば「この文は偽である」といった文のことを指す。仮にこの文が真であるとすると、まさにこの文が主張していることからこの文は偽であることになり、偽であればこの文の否定が正しいはずだからこの文は真であることになり、そして真であれば…と無限に続く(最初にこの文が偽であると仮定した場合も同じ)。これが、本書をSelf-Reference "ENGINE"と題する所以だろう。つまり、自己言及文を宣言することにより、自分の尻尾に齧り付こうとしてグルグルと回るような、永久の運動が駆動し始める。
本書の舞台は、"イベント"以降、時間がお行儀よく揃って進むのを止め、複線化してしまった未来の世界である。時間も空間もすべてバラバラに弾け飛び、因果は巨大知性体によっていとも簡単に書き換えられていく。あったことがなかったことになり、なかったことがあったことになる。
"彼女と一緒にいた短い時間、僕たちはより本当に近いことを話そうと努力した。この頃には沢山のことが、なにがなんだかわからなくなっていて、本当のことなんてそう簡単には見当たらなかった。そこにあった石ころは目をはなすと蛙になっていたし、目をはなすと虻になっていた。昔蛙だった虻は昔蛙だった自分を思い出して、虻を食べようと舌を伸ばそうと考えて、それとも自分は石だったのかと思い出して、それをやめにして墜落していた。(p.11)"
雑に言ってしまえば、全くもってナンセンスなSFである。それぞれのパートから惹起されるイメージは面白い。一方で、それら相互の関連性はごく薄く、設定も放りっぱなしの感があって、全体が「拡散」しているような印象を受けた。少なくとも、読者が意味を理解できるようには書かれていない。そもそも、果たしてこの本に「内容」があるのか? あたかも、無機質な何かが、不明な規則に従って出力を吐き出し続けているような。あるいは、気紛れに流れる電気信号を種に、微睡みのなか生成される映像のような。それがまさに作者の狙いかもしれないと確かに思わなくもないが、好みでは『文字渦』に軍配が上がる。率直な感想を述べると、本作はinterestingではあったが、残念ながらあまりexcitingではなかった。
ただ、少なくとも、こうして円城塔を2冊読み終えて一つ言えるのは、この作者、そしてこの本でしか見ることのできない唯一無二の景色が間違いなくある、ということである。
以下、メモ。
プロローグ Writing
冒頭。全称∀と存在∃の違いについてか?
まどろっこしい可能性の網羅・列挙は、論理学・数学、もっと言えば自己言及のパラドックスの前提となる排中律を意識して?
1 Bullet
2 Box
“こんな箱が波打ち際に落ちていたら”→Echo?
再帰性、少ないパーツからほとんど無限大を生み出すという点が「自己言及」と関連
“解体不可能な爆弾が存在しないように(p.48)“→量子力学のエンタングルメントを連想した
3 A to Z Theory
この名前といえばあの物理学者/数学者ね、と分かる名前がチラホラ
4 Ground 256
トメさん
"壊される速度よりも速く複製してしまえばよいではないか。"←Box
5 Event
計算としての自然現象→量子シミュレーション
"無数の宇宙を新造するのに、無限の情報量は必要ではなかった。"
「小説家」の比喩
6 Tome
自己増殖オートマトンと自己消失オートマトン
7 Bobby-Socks
自己増殖する(ように見える)靴下の山(というユーモア)
8 Traveling
9 Freud
"祖母の家を解体してみたところ、床下から大量のフロイトが出てきた。"
一番わけが分からない話。あまりの気の抜け具合に頭が痛くなる。フロイト→夢?
10 Daemon
11 Contact
12 Bomb
"I believe that P, then P is true."
13 Japanese
『文字渦』っぽいテーマ。「日本文字」なる架空の言語。
14 Coming Soon
「予告篇(トレーラー)」。本書全体の構造にとって大事なパートのように思えるが、その実、ただ思わせぶりなシーンの連続でしかないかもしれない。
15 Yedo
喜劇計算。独立な話としても面白く読める。
16 Sacra
自己消滅オートマトンと自己免疫疾患。
17 Infinity
リタ再登場(本当に同一人物?←「私」が複数いることの示唆)
Writingの、無数の本の中から所望の一冊を探す話の反復。
いわゆる区間縮小法がモデルだろう。そもそも体を構成する分子のconfigurationが同じ人間が2人いたとして、彼らは似通っていると言えるのか、という問題。
18 Disappear
巨大知性体たちの「あらかじめの滅亡」
"人間が彼らの絶滅の理由を知ることができないとされる理由は単純だ。ありえそうな滅亡の理由を人間が思いつく先から、その理由で滅びたわけではないと過去を改変するような時空構造として、彼らは絶滅したのだと考えられている。証拠がどんどん後出しされる推理小説には終わりようがない。はじめから終わってしまっていない限り。"
19 Echo
リリカルな挿話。結末が近づいている予感。
20 Return
エピローグ Self-Reference ENGINE -
Posted by ブクログ
互いの小説を、内容の成否を問わずに好き勝手に翻訳しあうという素っ頓狂な展開からはじまる「松ノ枝の記」。正直、最初は面食らってあまり入り込めなかったんですが、中盤から描かれる、ザゼツキー症候群という切り口から謎を紐解いていく展開に圧倒され、一気に引き込まれました。円城塔さんすごい!めちゃくちゃ面白い!
なぜ翻訳する必要があったのか、なぜ見たことも経験したこともないものの知識があるのかなど、序盤は理解不能だった謎が明かされる過程が気持ちいいですね。2人(3人?)の関係性も素敵でした。物語の展開が全て理解できたとはとても言い切れないんですが、読み返すたびに新たな発見がありそうなので、時間を置いて再読したいと思います。
上記の通り「松ノ枝の記」はどハマりしたんですが、表題作の「道化師の蝶」が本当に理解できなくて、その点が心残りです。中盤までは面白いかもと思えてたんですが、老人が出てきたあたりから何が何やらさっぱりで…。ループしてる?エイブラムス氏は男性と女性がいるけど何が現実?全くわからない…。誰かが解説してくれていると思うので、それを見て理解した気になろうと思います。 -
Posted by ブクログ
カートヴォネガットのタイタンの妖女が好きで、彼が学生にどんな言葉を語ったのか知りたくて読みました。彼らしい、皮肉のこもった例えやジョーク。でも、愛と親しみと知性が彼にはある。
いくつかの演説で繰り返し投げかけるのは、自分の世界を広げて、未来の可能性を感じ、生きる指針を与えてくれた先生はいるか(個人的意訳です)?ということ。手を上げさせて、その先生の名前と、何を教わったかを伝えるように話す。それがいかに貴重な体験なのかを教えてくれる。
それから叔父さんの話で、何でもない日に木陰でレモネードを飲みながら、これでダメならどうしろと?と言う。それは、何気ない幸せを感じ取ることの大切さを表している。普通の日々に感謝する。ガンジーの映画を見た後だから、余計にこの言葉が刺さる。そう、特別なことがなくたって、普通の毎日があることが幸せなんだ。