円城塔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
表題作と「つぎの著者につづく」の2編を収録したもの。
1年に1度空から人が降ってくる町の話である「オブ・ザ・ベースボール」は円城塔としては意外にも読みやすい。
なんで人が降って来るのかとか、なんでその救助隊がバットで降ってくる人を打ち返すのかとか、それはそれとして、町のこと、人が降って来ること、主人公を含めた救助隊の活動のことなど面白く読める。
解説にもある通り円城塔入門と言える作品で、これはこれで難解だとは思うのだが、がっつり難解さを求めているならちょっと物足りなく感じるかも。
ただそれも大丈夫で、「つぎの著者につづく」が、「オブ・ザ・ベースボール」がなんだったのかと思うくらい難解な -
Posted by ブクログ
ネタバレ数理恋愛小説がテーマの5編から成る短編集。
概念や理論を擬人化させ、恋愛を数理的に解釈するというイメージ。
前作はそれなりに読みやすいと思っていたが、これに手を出して改めて円城塔の難解さを目の当たりにする。
数学的構造物レフラー球を発見した数学者、レフラーとフランシーヌの恋を描いた表題作「Boy’s Surface」は前回の流れで読み進められたが、それ以降は確かに難しかった。
作品の雰囲気や流れるような文章で、面白く読めたことは確かなのだが、厳密に理解できたかと問われれば否。
が他の皆さんも語られている通り、「わからない」は文脈と作者の意図の話で、目の前に展開する異様な光景は、ただそ -
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Posted by ブクログ
なかなか難しい短編SF。時代背景、及びその周辺を理解していないと面白みがわからない。
そういう意味では「三人道三」「実朝の首」「去年、本能寺で」辺りは面白かった。
「三人道三」の中で昭和48年が強調されるが、これはNHKで「国盗り物語」が放映された年だ。コレが判る識者はなかなかいないのでは?斎藤道三は実に興味深い人物だ。2人掛かりで斎藤道三に成り上がったとの説もあるし3人掛かり説もあったかな?源実朝も鎌倉幕府成立時のややこしい話だ。数限りなく信長が存在している設定は正にその通りだからクスリと笑える。トンデモ設定を理解するのに難儀する短編もあるが総じて面白かった。たまにはこーゆーのもいいかな。 -
Posted by ブクログ
一体、何を読まされたのか。
それこそこちらの頭蓋骨をガシッと開かれ、ニューラリンクの電極でも埋め込まれながら、画面に流れるスクリプトを延々流された気分だ。相変わらず、円城塔は分かりにくい。
これを「芸術だ!」なんて本音では言いたくなくて、悪文も悪文、私だけは裸の王様がヌードであることを大声で叫ぶ人間でありたいのだが、喉の奥に躊躇いがあって身体が震える。イライラとモヤモヤと、よく分からない達成感と。
明快なストーリーはない。登場人物も、起承転結も、感情的なカタルシスもない。仏教とコード。悟りとアルゴリズム。概念の並走。
読者は“理解”することを拒まれる。
その代わりに、“考える”ことを強い