SFと青春ものの親和性は高い。そのことを改めて思い知らされました。
3秒だけ未来に跳ぶ幼なじみ。時空間跳躍少女開発プロジェクト。本に囲まれた自分たちの居場所。放火事件。最後の夏休み。
頭のいい高校生たちがタイムトラベルについて、ああだこうだと理屈に理屈を重ねる。そんな様子を眺めている幼なじみの姿。
...続きを読む意味のないものに熱中し、完成しないものに取り組む。
何もかもが青春という名の箱に収められているよう。それはこの物語が主人公の回顧録だからかも知れません。
現在の話として語られながら、不意に過去を振り返る記述を織り交ぜることにより、現在が過去になりそこにノスタルジィが生まれる。
SFは未来を語りながら過去を語っているのかも知れない。だから青春と隣り合わせになるのだろうか。
はじめから別れは示されています。別れがある前提で物語は進みます。
しかしその別れは未来へと繋がる別れ。未来なんてろくなもんじゃない。そのはずだった。でもその未来は幼なじみの彼女に繋がっている。ならば少しでも綺麗にしておこう。
その思いが、過去と今と未来を繋ぐ物語の幕を閉じるのです。