円城塔のレビュー一覧
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こういう文学の形があるんだなと関心した本。
表紙がなかなか好きだったので買って読んだ。けれども読んでみて「ちょっとわかるけど全然わからないな」と思って掴みだけでも知りたくなってあらゆるレビューを見た。どれも「わからないがそれが良い」というもので何かしらをわかってるらしい人はひとりもいなかった。
この作品の上手いところは「完全にわからないわけでもないな」と思わせるところで、それが癖になって読み返す。やっぱりわかんねぇなと思う。本って別に必ずしもわかんなくていいらしい。
作品を読む上でわからないといけないという焦りがあったけど、こういう誰もがわからない作品を読むと安心する。
高尚な読書家に劣等感を -
Posted by ブクログ
アニメ映画が公開されたとき、友人に誘われて観に行ったのが『屍者の帝国』との出会いだった。出演声優のファンであった友人も、もちろん私も、作者も作品も詳しく知らないまま鑑賞。にもかかわらず、舞台設定とそのストーリー運びに一気に夢中になった。
これは原作にあたらねばならぬーーと原作を入手。2時間でまとめられた映画とはやはり違う部分があるが、この世界観はやはりゾクゾクする。改めて読んでもその印象は変わらない。
屍者技術の発展と19世紀末の歴史的な出来事がさも当然のように織りこまれ、「屍者がすぐそこにいる」リアリティに現実と虚構の境目が曖昧にさせられる。視点者としてのワトソンというキャラクターも滋味深い -
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原文の一部が載ってるくらいので読みたいと思ったけれど、完全現代語訳。だけど、それぞれ訳された作家さんたちのセンスがキラリと光り、江戸文学のエッセンスがギュッと詰め込まれた、お値打ち品の一冊。
好色一代男
原作: 井原西鶴/ 現代語訳 島田雅彦
七才の時、夜中に子守に連れられてトイレに行った時、足元が危なくないように蝋燭を持って付いていてくれた子守のお姉さんに「その火を消して、そばに来て」。「足元が危ないから、こうしているのに、明かりを消してどうするんです。」と子守。「恋は闇ということを知らないの?」。
この頃から、クレヨンしんちゃん顔負けの天才好色男児、世之介!
八歳の時に、伯母さんの家に -
ネタバレ 購入済み
脳、特に創造性はスタンドアロンだからこそその意義がある、ということだと思う。タイトルは、頭が連結しているイメージからとったものか。
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死体を観測する人がいて、死体の運行を克明に跡づけられたら、それは死文学になるのか。いやさ、死文学では死人が書いた小説になってしまうのか。人文学はだから人体観測を基礎に行うもので、純文学は純体観測を旨とする。
では純体は右向きか左向きかと問うてしまうと、それはオリオン座が右向いたか左向いたか話しているこの短編の僕とリオみたいになってしまうだろう。つまり、ということはつまらなくはないということだが、つまり、この短編というのは「内在天文学」というのであって、「内在死文学」ではないのだ。内在死に関する文学ではなく、認知的ニッチに関する文学らしいが、宇宙の果てのレストランでは、ほれ、あのアダムズでは -
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ネタバレ『これはペンです』
文字に飲み込まれるように読んだが面白かった。言いたいことや内容はなんとなく理解することもできた。しかし誰かに説明しろと言われたら説明することはできないだろう。でも面白かったことは確かなのだ。きっと読んだ人ならこの感想が通じるはず。
小説内で感情を示す表現は少ないが、主人公にとって叔父は大事な人だということがひしひしと伝わってきた。主人公とのやり取りが、叔父にとっての愛情表現なのかもしれない。
『良い夜を待ってる』
これはペンですの続編ともとれる作品。こちらもこれはペンです同様に難しく、脳を使うのでお腹が空く作品だった。
理系の人が愛を言語化するとこんな感じになるのかなと思