円城塔のレビュー一覧

  • 紙魚の手帖Vol.12

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    ネタバレ

    書籍のSFアンソロジー「Genesis」が雑誌になったようです。今後は書籍のアンソロジーは出ないのは少し寂しくもあるが、代わりに雑誌を購入するいいきっかけになるのかもしれない。収録作品はどれも面白かった。話が止まっていそうで進んでいる「ローラのオリジナル」(円城塔)、なんとも切ないSFラブストーリー「扉人」(小田雅久仁)と「英語をください」(アイ・ジアン)、リアルさに慄く「冬にあらがう」(宮西建礼)といったところが、印象に残った作品。創元SF短編賞を受賞した「竜と沈黙する銀河」を読めるのもよい。

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    2023年09月29日
  • オブ・ザ・ベースボール

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    理解は不要、「読んで、文字を追うこと」を楽しめる本。ファンタジーな夢を文章に起こすとこんな感じなんだろうな、と。

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    2023年09月09日
  • ゴジラ S.P<シンギュラポイント>

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    たまげた。凝すぎだよってくらい凝ってる。アニメのノベライズではなく補完的な話で、それぞれまた別のお話として独立をしている。
    少々読みづらさを感じる部分や違和感を感じる部分もあるのだが、それの理由についても納得感がある。全ては計算づくといった趣で、アニメ含めた作中の不思議な出来事も引っかかりも、結構な種明かしがされる。種明かしがされるから、全てが解明されるわけではなく、むしろ謎は増えるといった向きはある。
    再度アニメとこの本を頭から再度楽しみたくなってしまうのであった。

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    2023年02月13日
  • バナナ剥きには最適の日々

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    こういう文学の形があるんだなと関心した本。
    表紙がなかなか好きだったので買って読んだ。けれども読んでみて「ちょっとわかるけど全然わからないな」と思って掴みだけでも知りたくなってあらゆるレビューを見た。どれも「わからないがそれが良い」というもので何かしらをわかってるらしい人はひとりもいなかった。
    この作品の上手いところは「完全にわからないわけでもないな」と思わせるところで、それが癖になって読み返す。やっぱりわかんねぇなと思う。本って別に必ずしもわかんなくていいらしい。
    作品を読む上でわからないといけないという焦りがあったけど、こういう誰もがわからない作品を読むと安心する。
    高尚な読書家に劣等感を

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    2023年01月29日
  • 屍者の帝国

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    アニメ映画が公開されたとき、友人に誘われて観に行ったのが『屍者の帝国』との出会いだった。出演声優のファンであった友人も、もちろん私も、作者も作品も詳しく知らないまま鑑賞。にもかかわらず、舞台設定とそのストーリー運びに一気に夢中になった。
    これは原作にあたらねばならぬーーと原作を入手。2時間でまとめられた映画とはやはり違う部分があるが、この世界観はやはりゾクゾクする。改めて読んでもその印象は変わらない。
    屍者技術の発展と19世紀末の歴史的な出来事がさも当然のように織りこまれ、「屍者がすぐそこにいる」リアリティに現実と虚構の境目が曖昧にさせられる。視点者としてのワトソンというキャラクターも滋味深い

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    2022年11月06日
  • エピローグ

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    何だこれは、と最初は思いながら理解が進まないまま読んでた。
    後半にかけて理解が追いついてくると世界がどう描かれているのか見え、何と何が対立をしているのかなんとなくわかってきた。スマートマテリアルとは、OTCと呼ばれるものは何か。登場人物たちは全部つながってた。文字だから表現出来て、言葉だから作られる物語。

    それでも、全部が分かりきったとは言えないので、多分、芸術ってこんなものだろうという印象。

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    2022年07月26日
  • エピローグ

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    わけのわからないまま中程まで読んで、帯を見たらこのお話の読み方がわかって読みやすくなりました。
    もう一度最初から読みたくなる本でした。

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    2022年07月22日
  • 好色一代男/雨月物語/通言総籬/春色梅児誉美

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    原文の一部が載ってるくらいので読みたいと思ったけれど、完全現代語訳。だけど、それぞれ訳された作家さんたちのセンスがキラリと光り、江戸文学のエッセンスがギュッと詰め込まれた、お値打ち品の一冊。

    好色一代男
    原作: 井原西鶴/ 現代語訳 島田雅彦
     七才の時、夜中に子守に連れられてトイレに行った時、足元が危なくないように蝋燭を持って付いていてくれた子守のお姉さんに「その火を消して、そばに来て」。「足元が危ないから、こうしているのに、明かりを消してどうするんです。」と子守。「恋は闇ということを知らないの?」。
    この頃から、クレヨンしんちゃん顔負けの天才好色男児、世之介!
    八歳の時に、伯母さんの家に

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    2022年07月16日
  • Boy’s Surface

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    安定して円城塔さんの作品は理解が難しいけど、個人的にはその難しさが好き。
    知ったかぶりの落とし所というのか、なんとなく腑に落ちるところを探せるまで繰り返し読んでしまう。

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    2022年07月10日
  • これはペンです(新潮文庫)

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    「これはペンです」 5


    叔父は文字だ。文字通り。


    たとえそれが、あなたの目には文字なのだとしか映らなくても。





    「良い夜を持っている」 4


    目覚めると、今日もわたしだ。


    いつから握っていたのだろうか、丸く赤いビー玉が夜の中へ走り出る。

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    2022年04月18日
  • やつがしら

    ネタバレ 購入済み

    脳、特に創造性はスタンドアロンだからこそその意義がある、ということだと思う。タイトルは、頭が連結しているイメージからとったものか。

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    2021年11月08日
  • 屍者の帝国

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    おい。読み終わるのに2ヶ月以上かかったぞ。
    最初に読み始めたのから考えれば二年以上かかったことになるぞ。
    めっちゃめちゃに難しかったわ!何回も同じ箇所読み直したりしながらゆっっっくり読み進めてようやく結末を見届ける事ができました。映画を先に見てたから、「フライデーーーーー!!!!」ってなるシーンをずっっと楽しみにしてたけど最後まで無くて「フライデーーーー!?!?!?」ってなりました。
    霊素マジック

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    2021年09月05日
  • シャッフル航法

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     死体を観測する人がいて、死体の運行を克明に跡づけられたら、それは死文学になるのか。いやさ、死文学では死人が書いた小説になってしまうのか。人文学はだから人体観測を基礎に行うもので、純文学は純体観測を旨とする。
     では純体は右向きか左向きかと問うてしまうと、それはオリオン座が右向いたか左向いたか話しているこの短編の僕とリオみたいになってしまうだろう。つまり、ということはつまらなくはないということだが、つまり、この短編というのは「内在天文学」というのであって、「内在死文学」ではないのだ。内在死に関する文学ではなく、認知的ニッチに関する文学らしいが、宇宙の果てのレストランでは、ほれ、あのアダムズでは

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    2021年05月27日
  • 文字渦(新潮文庫)

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    文字SFというジャンルがあるかは知らないが、これはジャンル最高峰の一冊だと思う。
    中国史や日本史に詳しくなりたいと思うようになった。

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    2021年04月11日
  • 屍者の帝国

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    どうせ円城塔風味になってるんだろうと思って読んでみると、意外にも伊藤計劃に作風を寄せていると感じた。少なくともSelf-Reference ENGINEよりはわかりやすい。とはいえやはり円城塔の作品ではある。そもそも円城塔の長編というのが初めてだったので、こんな小説も書けるのかと驚いた。内容は文句なしの面白さ。伊藤計劃版が読んでみたかったが、こちらも傑作といえると思う。

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    2021年04月11日
  • 道化師の蝶

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    読みやすい円城塔だった。「美文を連ねれば文学」だと『バナナ剥きには最適の日々』を読んだとき感じたが、本書もその類。「道化師の蝶」:美しい話。網に捕われた蝶のように因果の循環に囚われている。「松ノ枝の記」:人類大移動のテーマを読むといつも胸がどきどきするのだが、「あなたたちは、何故、旅をやめてしまったのです」という台詞を見た時、DNAに刻まれた何かが揺さぶられたように感じた。このテーマに強く惹かれるのは何故なんだろうと思う。

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    2020年11月15日
  • エピローグ

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    かなり面白かった。軽快なテンポ、破茶滅茶な設定がなんとなくガイナックスを連想させた。あとカットは独特だろうからシャフト。でも「描写不可能」を描写してみせるのは、文筆じゃないとできない業で、円城塔はそれを軽やかに描いてみせるからすごい。すごいSFだと思うのだけど、だからこそ万人は読み通すのは無理で、そのすごさはすごいからこそ広くは受け入れられない類のものだと。

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    2020年11月10日
  • バナナ剥きには最適の日々

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    2019.05.10~07.01

    他の作品よりも読みやすく感じたのは、慣れたから?それでも、難しかったけど。内容を掴むのはやはり大変だったし、たぶん作者の思いの25%も読み取れていない。だけど、やっぱり、面白い。私の中の何が共感してるんだろう。

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    2020年09月13日
  • これはペンです(新潮文庫)

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    ネタバレ

    『これはペンです』
    文字に飲み込まれるように読んだが面白かった。言いたいことや内容はなんとなく理解することもできた。しかし誰かに説明しろと言われたら説明することはできないだろう。でも面白かったことは確かなのだ。きっと読んだ人ならこの感想が通じるはず。
    小説内で感情を示す表現は少ないが、主人公にとって叔父は大事な人だということがひしひしと伝わってきた。主人公とのやり取りが、叔父にとっての愛情表現なのかもしれない。

    『良い夜を待ってる』
    これはペンですの続編ともとれる作品。こちらもこれはペンです同様に難しく、脳を使うのでお腹が空く作品だった。
    理系の人が愛を言語化するとこんな感じになるのかなと思

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    2020年09月02日
  • オブ・ザ・ベースボール

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    『オブ・ザ・ベースボール』でクリストファーラングトンに言及があったかと思えば、『つぎの著者へつづく』では果てしない文章の連関のメタファーにカオスの発展を用いている。やはり円城さんの作品は思考実験のような形をしていて、その仕掛けが見えてくるとまたもう一度読み返したくなってくる。円城さんの作品は本当にどれも読んでいてワクワクした気持ちになる。

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    2019年12月04日