円城塔のレビュー一覧

  • 屍者の帝国

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    おい。読み終わるのに2ヶ月以上かかったぞ。
    最初に読み始めたのから考えれば二年以上かかったことになるぞ。
    めっちゃめちゃに難しかったわ!何回も同じ箇所読み直したりしながらゆっっっくり読み進めてようやく結末を見届ける事ができました。映画を先に見てたから、「フライデーーーーー!!!!」ってなるシーンをずっっと楽しみにしてたけど最後まで無くて「フライデーーーー!?!?!?」ってなりました。
    霊素マジック

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    2021年09月05日
  • シャッフル航法

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     死体を観測する人がいて、死体の運行を克明に跡づけられたら、それは死文学になるのか。いやさ、死文学では死人が書いた小説になってしまうのか。人文学はだから人体観測を基礎に行うもので、純文学は純体観測を旨とする。
     では純体は右向きか左向きかと問うてしまうと、それはオリオン座が右向いたか左向いたか話しているこの短編の僕とリオみたいになってしまうだろう。つまり、ということはつまらなくはないということだが、つまり、この短編というのは「内在天文学」というのであって、「内在死文学」ではないのだ。内在死に関する文学ではなく、認知的ニッチに関する文学らしいが、宇宙の果てのレストランでは、ほれ、あのアダムズではないか。ワープ鴨の宇宙クラゲ包み火星樹の葉添え異星人ソースを前にして「イグノラムス・イグノラビムス」はもう次の短編だ。
     でもワープ鴨が素晴らしく美味いのは話の導入に過ぎず、主人公である宇宙食材の調達業者である「私」がセンチマーニと呼ぶ、ヘプタポッドのような異星人の話は離して、「シャッフル航法」についての予見を述べたい。
     そんな航法では頭とお尻の順番が滅茶苦茶になって到着してしまうだろう。確かに、なにが、まったくわからないではないかと、困った、とうやって、きっと、自分自身の体が、それでは、どこに、到着するのか、できなくなるからだ、どうなってしまうのか、そんな心配を覚えることも。バリバリバリバリ、ガンガンガンガン、やめときな、そんな航法。はーい、「φ」。
     段落が世界で
     その世界が
     縮んでく
     それで
     みな
     φ
     「つじつま」では息子が産まれない。産まれないまま成長する。成長して色々する。
     「犀が歩く」、喫茶店の店員と客と星図といない犀の漫然とした日常。
     僕と彼女と千年後と論理階層をかじる海狸、「Beaver Weaver」。
     「俺だったら、台詞ではじまるような話は書かない」という台詞ではじまる話、「(Atlas)3」。
     テキスト・ベースのシミュレーションと人生がほぼ一緒、「栗鼠を実装する」。
     この円城塔という小説家は勝手に円城塔を名乗って、円城塔のふりをして、円城等名義の小説を書き、それを勝手に円城塔作品として売ってしまっているということが、いまわかった。「Printable」。

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    2021年05月27日
  • 文字渦(新潮文庫)

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    文字SFというジャンルがあるかは知らないが、これはジャンル最高峰の一冊だと思う。
    中国史や日本史に詳しくなりたいと思うようになった。

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    2021年04月11日
  • 道化師の蝶

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    読みやすい円城塔だった。「美文を連ねれば文学」だと『バナナ剥きには最適の日々』を読んだとき感じたが、本書もその類。「道化師の蝶」:美しい話。網に捕われた蝶のように因果の循環に囚われている。「松ノ枝の記」:人類大移動のテーマを読むといつも胸がどきどきするのだが、「あなたたちは、何故、旅をやめてしまったのです」という台詞を見た時、DNAに刻まれた何かが揺さぶられたように感じた。このテーマに強く惹かれるのは何故なんだろうと思う。

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    2020年11月15日
  • エピローグ

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    かなり面白かった。軽快なテンポ、破茶滅茶な設定がなんとなくガイナックスを連想させた。あとカットは独特だろうからシャフト。でも「描写不可能」を描写してみせるのは、文筆じゃないとできない業で、円城塔はそれを軽やかに描いてみせるからすごい。すごいSFだと思うのだけど、だからこそ万人は読み通すのは無理で、そのすごさはすごいからこそ広くは受け入れられない類のものだと。

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    2020年11月10日
  • バナナ剥きには最適の日々

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    2019.05.10~07.01

    他の作品よりも読みやすく感じたのは、慣れたから?それでも、難しかったけど。内容を掴むのはやはり大変だったし、たぶん作者の思いの25%も読み取れていない。だけど、やっぱり、面白い。私の中の何が共感してるんだろう。

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    2020年09月13日
  • これはペンです(新潮文庫)

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    ネタバレ

    『これはペンです』
    文字に飲み込まれるように読んだが面白かった。言いたいことや内容はなんとなく理解することもできた。しかし誰かに説明しろと言われたら説明することはできないだろう。でも面白かったことは確かなのだ。きっと読んだ人ならこの感想が通じるはず。
    小説内で感情を示す表現は少ないが、主人公にとって叔父は大事な人だということがひしひしと伝わってきた。主人公とのやり取りが、叔父にとっての愛情表現なのかもしれない。

    『良い夜を待ってる』
    これはペンですの続編ともとれる作品。こちらもこれはペンです同様に難しく、脳を使うのでお腹が空く作品だった。
    理系の人が愛を言語化するとこんな感じになるのかなと思い、少し笑ってしまった。

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    2025年02月25日
  • オブ・ザ・ベースボール

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    『オブ・ザ・ベースボール』でクリストファーラングトンに言及があったかと思えば、『つぎの著者へつづく』では果てしない文章の連関のメタファーにカオスの発展を用いている。やはり円城さんの作品は思考実験のような形をしていて、その仕掛けが見えてくるとまたもう一度読み返したくなってくる。円城さんの作品は本当にどれも読んでいてワクワクした気持ちになる。

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    2019年12月04日
  • SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと

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    円城塔の翻訳が綴るタイムトラベルもののSF純文学。メタフィクショナルで概念的な世界観は難解に映るものの、文体の軽妙さのおかげかまるで苦痛に感じない。特に翻訳者との親和性は抜群の一言。ウィットに富んだ比喩表現やプログラムとの掛け合い、自己語りなどは『ライ麦畑でつかまえて』のように軽妙洒脱で、非常にスマートで美しい文章だった。帯にある自分殺しのパラドックスが起こるのは中盤からで、やや遅めに感じるかもしれないが、序盤部分でじっくりと語られた主人公の生活や家族との思い出こそが本筋であり、パラドックスのアクシデントそのものは物語の一要素に過ぎない。難解な用語と世界観の把握が困難を極めるものの、一冊の本のような人生と家族の物語ということから逆算すれば、それらのメタな装飾もすんなりと理解できる。結末はやや安直で手垢のついた言葉のように映るものの、力強さのある言葉だった。ヒーローでも何でもない、ぼっちで、家族に取り残された主人公の放つ言葉だからこそ人間的な説得力に満ち溢れているのかもしれない。

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    2019年05月27日
  • これはペンです(新潮文庫)

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    「良い夜を待っている」は再読
    かんねんてきなSFの中でも登場人物が語り手という手段である面が多く
    随筆ふうな小説
    そのことがらをさまざまな言いようで言い表すことを繰り返して表現するということが
    小説や評論とか随筆などを含む文章表現というものなのだ
    といった感じを包むような世界

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    2018年10月25日
  • シャッフル航法

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    単行本以来で読み返してみると、これ以後の『プロローグ』、『エピローグ』、『文字渦』と直結する内容だったんだなあ。それぞれのエッセンスを単品で味わえる。手法に重きを置いたように見える短編かなと思っていると、かえってそちらの方がエモーショナルで不意を突かれる。

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    2018年09月24日
  • Self-Reference ENGINE

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    短編かと思いきや読み進めるうちに長編小説だと気づく。ナンセンスなのか、全てに意味があるのか私には理解しきれなかったけど面白いことには変わりないです。
    床下から大量にフロイトが出てくる話、Boxを一年に一回転がす話など、現実離れしたシュール・カオスな世界も楽しめて大好き。SFだけどSFじゃない感じ。2周目読んでいます。

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    2018年07月05日
  • プロローグ

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    いわゆる私小説であり、わたしの小説でもあるというのはどうかな。わたしの小説、わたしを(書く)小説、わたしが小説。かなりSelf-Reference ENGINEですね。単行本既読なので2回目ですが明らかにより面白くなったしより理解できたと思います。

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    2018年03月02日
  • Self-Reference ENGINE

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    初、円城塔作品を読んだ(後からそういえば屍者の帝国は読んでたと気づいた)。読んだけれど、読んでいないかもしれない。なにを言っているのか自分でも怪しい。 時間という概念が崩壊し、ありとあらゆる可能性があり得るし、あり得ない世界。未来方向、或いは過去に銃弾が飛ぶ、と聞いても実際に読まないとわからない。 意味がわからないようでわかるけれど、やっぱりわけがわからない。読んでいて常にそんな感じだった。 面白かったのかどうかもやはりわからないけれど、(関連はあるものの)短編の集まりで、読みやすくはあった。

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    2022年01月16日
  • SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと

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    自分で未来の自分を殺す最悪のパラドックス。
    抜け出すには、過去を受け入れること。そんなありきたりの答えは、だからこそ、破壊力がある。
    途中かなりメタフィクション的な実験があちこちにあったけど、終わってみればとても美しい家族小説。
    この本が、『SF的な宇宙で安全に暮らすということ』とは、なんと皮肉なタイトルだろう。
    安全な宇宙から出て身近な人を愛することが出来るのかという問いは、最近読んだディックのヴァリス三部作にも通じるような気がした。

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    2017年02月07日
  • これはペンです(新潮文庫)

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    いつも通りの変態的なメタ小説。タイトルから察しはつくが「書くこと」について書いた小説で、OjiがMoji。ユーモアが冴える。セルフリファレンスエンジンの時はむちゃくちゃ笑えたが、しかし今作はそれだけではなく叙情的でもあり、世界とか空気とか、そういうものが味わえる小説になっていた。表題作「これはペンです」は白眉。もうひとつの「良い夜を待っている」もかなり良くてラストはむちゃくちゃ好きだが、ちょっと雑な感は否めない。難解な議論や問題を引用するのがいいが、いちいち「ややこしい部分は専門家に任せるが、」みたいな注をつけられるとさすがに鬱陶しい。

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    2016年08月20日
  • Self-Reference ENGINE

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    伊藤計劃から派生して読む。ぜんぜん違う。

    無数の入れ子構造と時間の改変、というふたつの柱による、奇想天外な論理物語。
    何でもあり小説。常識は一切通用しない。

    個々のエピソードはそれなりに理解できるのだが、全体を通して何が貫かれているのかを統合するのが難しい。
    まわりくどい文章(語り手云々ではなく著者の声)で煙に巻かれて。
    そもそも大掛かりなジョークでもある。

    はっきりいえばわかっていない箇所のほうが多いのだが、情感あふれる文体や場面に引き付けられる。
    ぐっと胸の詰まる場面も。
    (アンチロマンであるのは間違いないが。)
    つまりは、かっこいいなぁ、と溜め息。
    そして、あたふたする巨大知性体萌え。

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    2016年07月14日
  • これで駄目なら

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    カート・ヴォネガットの、卒業式での祝辞等の講演集。
    円城塔の翻訳が意外にはまっている+思った以上にあたたかみのある祝辞が多くて驚く。
    「これで駄目なら」はいつか言いたいセリフだ。

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    2016年06月18日
  • 道化師の蝶

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     旅の間にしか読めない本があるとよい。などという本をすわって読む。飛行機の中では考えがどんどん後ろに取り残されて読めないからである。いやそんなことはない。頭の中の考えも、頭の持ち主と一緒に飛行機で移動しているのだから、考えにも慣性がある。いや考えには質量がないから慣性はないのか。
     飛行機の中で捕虫網でアイディアを捕まえようとするA・A・エイブラムス氏の話を聞く私。
     さてこそ以上、しからばすなわち、A・A・エイブラムス氏の話は各地を旅してはその土地の言葉で作品を書いた友幸友幸の作品らしい。翻訳。コリアンダーとシラントロとパクチーとシャンツァイは同じ。ウコンとウンコも色が同じ。マンガ的には。
     「道化師の蝶」と「松ノ枝の記」の2作品を収録したもの。前者は芥川賞受賞作。
     ことほどさようにどちらも翻訳が主題と思われる。さてもこそは翻訳とはトランスレーション。レートは語源が「運ぶ」であって、横断運搬がトランスレーション。何かを横切って運搬するたびに運搬したものは少しずつ変わってしまう。かくてしからばその変容そこが本書の主題。
     旅の間にしか読めない本があるといいという本書を椅子にかけて読み始め、列車の中で読み終わる。さすればすなわち私が読んだ奇想は私の部屋からこぼれ落ち、JRの線路の間に転々と痕跡を残す。そしてそれは蝶となりエイブラムス氏の捕虫網で捕らえるほかない。しかしてあにはからんや蝶の蛹は高確率でハバチの幼虫などに寄生されており、蝶がでてくるかハバチがでてくるかそれはわからない。まさしくかかるは翻訳の技。
     さてこそ本書は蛹。

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    2016年06月30日
  • Self-Reference ENGINE

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    いくつもの時間と物語の断片から相互に参照し合いながらそのつど生成される機関。という形の小説。入り組みすぎてて笑ってしまうほどだが、完全に理解できなくても判る面白さが絶大にあって、脳が踊る。こんな形の小説は読んだことがないし実際あまりないのだろうけれど、それなのに「これこそが小説としての楽しみだ!」と言えるようなところがあるのは、読むそのつど世界が拡散・収束して私のなかに生成されるからだろうか。小説と物語と書くことと書かれることについて考えた。
    なお佐々木敦の解説がわりあいにわかり易く纏まっていてさすが。読後の整理には役立つが、しかし厳格に整理する必要はあまり感じない。
    円城は本当に小説の構造、というところに関しては他の作家間の間でも卓抜していると思う。文章にやや引っかかる癖を感じたけど、デビュー作ということで、ご愛嬌。

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    2016年05月02日