円城塔のレビュー一覧

  • 道化師の蝶

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    非常に面白かったが、難解で、何が面白かったのかを表現するのが難しい。主題が言葉や物語それ自体の性質について深く言及していて、語りの構造自体を巧みに利用したトリックがふんだんに盛り込まれていたのが面白かった。解説もまた良い。

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    2015年06月05日
  • Self-Reference ENGINE

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    このひとの頭の中はどんな構造をしているんでしょうか(^^;)(笑)

    別の作品も読んでみたくなりました!

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    2015年04月09日
  • 道化師の蝶

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    何を言ってるのかよく分からないのに文字を追うのが気持ちいいのは、
    やっぱり言葉の一つ一つを、音の一つ一つを慎重に選び取っているからなのだろう。
    それでいてそういう過程を少しも感じさせず、むしろ
    自らが自動筆記プログラムそのものであるかのように振る舞って見せているあたりが、人間業とは思えない。
    いや、もしかしたら本当に、そういうプログラムなのかも。

    もう、その人が実際に小説を書いているところを見なければ、
    「円城塔」という人間の存在すら僕は信じられない。

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    2015年02月21日
  • 道化師の蝶

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    多層的な(あるいは円環する)物語。「道化師の蝶」も「松ノ枝の記」も一筋縄ではいかない構造をもっているがどちらも最高に刺激的でした。またこの二篇が一冊にまとめられていることもなんだか感ずるところはあります。かんぺきな一冊だと思います。面白かった。

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    2015年02月19日
  • 道化師の蝶

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    祝文庫化!
    久しぶりに美しくて、知的で、楽しい読書の時間を持てたと思った。

    こちらに納められているものは中編が2つ。『道化師の蝶』と『松ノ枝の記』どちらも書くという行為の意味を問いかける内容だ。特に『松ノ枝の記』はある小説を翻訳してみるという行為から始まる物語の冒頭が秀逸である。

    小説を読む為に語学を学んでいる私にはとても面白い展開であったし、物語が段々と入り組んでいく模様が読んでいてわくわくした。物語は物語をかたり、新たな物語を作り上げる。

    まさに彼はこれからの日本文学を背負う人物になるであろうと私は思う。

    蛇足ではあるが、どうも彼が芥川賞を受賞した時は同時受賞の田中氏の貰ってやる宣

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    2015年01月30日
  • SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと

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    科学的な部分はちんぷんかんぷんでしたが、
    わからないままでも無理矢理がんばって読んでみたら
    結構楽しく読めた。いいお話だと思いました。
    装丁がおしゃれ。

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    2014年07月26日
  • SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと

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    『すなわち、原理的には万能タイムマシンを構成するにはこれしか要らない。(i)記録媒体の中で、前方と後方、二方向に動かすことのできる紙切れ。(ii)そいつが、叙述と、過去形の直接的な適用という二つの基本操作を果たせばよい』

    この小説は納め所の難しい小説だ。特に前半と後半の印象ががらりと変わる。ただ解説にあるようなSF か家族小説かというような二者択一を迫られているとは思わない。この小説はあくまでもSF であると思う。ただ、SFとしての印象の落とし処が見えにくいという気がしてならないのだ。

    単純化を恐れず言えば、SFの楽しみは想像力の喚起、ということに尽きるのではないかと思う。しかもそれは一見

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    2014年08月30日
  • SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと

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    これを読み始めたとき、チャールズ・ユウの実在を疑い、円城塔の自作自訳なのではないかとちょっとでも思った人。やあ、兄弟。

    “継時上物語学”とか日本語でうまいこと言うから疑いがより強まる。

    でも、読み進めると結構違う。円城塔よりもっとウェットで、ちょっとだけ温度が高くて、地味な家族の話。

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    2014年06月18日
  • これはペンです(新潮文庫)

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    小説の小説であり、機械と人間の小説でもある。筆者が何度も試みているテーマだけれど、そのたび違う視点で、違う混乱を連れてきて、違う興奮を呼び覚まして、つまりすごく面白い。真面目なのかふざけているのか判らないところと、あとすこしで理解できそうなところで突き放すところが大好きです。SFマガジンで新作連載するそうで大層楽しみです。

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    2016年01月17日
  • オブ・ザ・ベースボール

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    文學界新人賞受賞作。最初に文學界で読んで、なんて私好みのがきた!と思いましたが万人受けはしないかも。
    設定もキチガイで、文章の感じがすごく好きなんですが、人によってはこの文体がかっこうつけた感じでいやかも。最初よんでいけそうならぜひ。
    円城塔の中では比較的読みやすいので、これを読んで他のを見るか決めても。

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    2013年07月15日
  • オブ・ザ・ベースボール

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     文庫で再読。空から人が降ってくる町。レスキューチームの一員として雇われている主人公は、市から支給されたバットで落ちてきた人を打ち返す。
     ただの不条理小説としてでは済まされない、長閑な微笑ましさとヒリヒリした感覚を同時に伴う世界観が素晴らしい。
     もう1編の「つぎの著者につづく」はまさに円城ワールド、大好きな作品であります。

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    2012年07月31日
  • オブ・ザ・ベースボール

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    ネタバレ

    【オブ・ザ・ベースボール】
    なんだかこの話は終盤物哀しい。
    人が降ってくる町では、バットでそれを打ち返すという勤めを果たした人は未だいなかった。
    それを成し遂げた初めての人である主人公に、なぜか役場も酒場の友人も温かみがない。
    主人公は退職させられ、町を出ていく。落下した老人の所有していた手帳と写真を持って。

    その写真は主人公に似ている。主人公が人生の先、老人となる途中のようなの顔。
    そして手帳についてはこう述べられている。
    「ノートに何が書かれているかなんてことは確認するまでもなく、書き上げてもいないのに勝手に描き上げられた俺のノートに決まっている。手間が省けたと喜ぶべきなのか今の俺には判

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    2012年05月08日
  • オブ・ザ・ベースボール

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    文庫化されたので再読。デビュー作にして入門編。文章も内容も平易でとても読みやすい。

    価値観の多様性、信じるものの有無、あらゆる前提がまんべんなく粉砕されているこのご時世。

    すでに崩壊のカタルシスすら無効という世界において、円城塔さんの作品には純粋な「フィクションの愉しみ」がある。

    でかい一発を知るがゆえ、人はさらに同等かそれ以上の一発を期待しすぎ、体力勝負で自分に負ける。歪んだ愛情を留保して、野次馬に身をやつし、レビューで★を減らす。知識による自家中毒でどこまでも人は堕ちて行き……、話が脱線してしまった。

    空から人が降ってくる町、ファウルズ。主人公の仕事はバットとユニフォームを身につけ

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    2012年05月03日
  • Boy’s Surface

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    今回の芥川賞にはもうがっかりするのもあれなほどがっかりだったのですが、自分は高学歴フェチなので(笑)好きです、円城さん。やっぱり池澤さんが選評で言っていたみたいに、こういう作品を書く作家がいわゆる純文学系の賞にノミネートされたことが意義があるのだなぁーと思いながら読みました。

    もう村上春樹みたいに賞には関係なく書きたいものをずんずんいってほしい作家です。うまく言えないが私はこいう作品はだいすきなのだー。文学ゲィムだとしてもね(笑)。

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    2011年09月07日
  • Boy’s Surface

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    日本語で書かれた小説を読んで、何が書かれているかわからないなんてことがあるのか⁉ほとんど何が書かれているか全く理解出来ない。だけど読んでしまうのはこの小説が〈理解出来ない=つまんない〉ではないから。表題作「Boy's Surface」は恋愛(他者との関係)における〈認識と真理〉について書かれていると思って読んだが、この小説はそんな一言二言で要約できるようなものでもない。書いてあることそれ以下でも以上でもない。こういうことだ!と言えないから小説にしているのだ。様々な誤読を取り込んで「はははぁ〜、そうかもねぇ〜」と走り去って行く、そんな小説だ。
    私にとっては片想い。たぶん一生理解出来ない

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    2011年06月23日
  • Self-Reference ENGINE

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    とりあえず巨大知性体萌え!(「自然」萌えか?) メタとメタとメタの隙間にナンセンスをゴリ押しで突っ込んだような文体は筒井康隆の偏執的な長編を思い出させるけど、あそこまで読んでて虚しくはならないw 全く関係無いように見えて、すこしだけ関係のある短編集にワクワクしてしまう人におすすめ。メタな話にあんまり慣れてないと読むのは辛いのかもしれないけど、正直理解できなくても(僕のように)十分楽しめると思う。解説が丁寧なのも良!

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    2016年01月17日
  • Twitter小説集 140字の物語

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    twitterの可能性・新たな文章作品の形態を見させてもらった気がします。特に恋愛系のお話がすきー。たった140文字の文章を読み終わったあとに頭の中でぶわーっと物語世界が広がる感じがぞくぞくします。

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    2010年01月21日
  • 雨月物語

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    江戸時代の怪異短編集。怖いというよりは切ない話が多い。歴史上の実在の人物が出てきたり、今も現存する寺社が舞台だったりするのも面白い。訳も読みやすくて良かった。

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    2025年12月11日
  • 去年、本能寺で

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    綺麗な装丁と、「著者直筆サイン本」が売ってあったので、思わず手に取った。

    歴史×SFの、11編の短編集。

    著者の作品は、複数積んではあるものの、何故か手が出なかった。それは著者が明晰なSF作家であり、どこか読むのに心構えみたいなものが必要だと感じていたからかもしれない。

    短編の中の、「タムラマロ・ザ・ブラック」では、坂上田村麻呂、黒人伝説が復活し、「三人道山」では後の世の発見が時代を遡り、「宣長の仮想都市」でも、実際に若かりし頃に宣長が書いたと思われる架空の都市を浮かび上がらせる。
    「偶像」に至っては、まさに浄土真宗を、仏教をコミカルに描いている。他にも某著名な探偵と助手らしき人物が旧石

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    2025年11月25日
  • Self-Reference ENGINE

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    全体を通した作品の理解度としては、私は低い方だと思うし、分かりにくい小説だったなとも感じる。
    でも短編単位で読んでも面白いし、短編を1つずつの章に見立てて長編作品として捉えてもまた楽しかった。長編作品として読むときには点と点が線で繋がったような感覚が楽しかった。
    個人的には「理解度は低いけど満足度は高い作品」って感じ。

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    2025年11月23日