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アシカガ・ショーグネイト崩壊後、AIは長足の進歩を遂げる。軍事AIが合戦を司り、文事AIが詩歌、楽曲の生成に勤しむ世界で、つわものたちは何を思惟するのか? 歴史小説のはずが、ミステリあり、スペースロマンあり、アイドル活劇あり、異世界転生まであり! 何でもあり! 円城ワールド全開の戦乱ラプソディー!
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Posted by ブクログ
『攻殻機動隊』の新作テレビアニメのシリーズ構成・脚本を務めることも発表された稀代のSF作家の新刊。最高!もうあまりにも面白すぎて涙が出たwタイトルから想起される通り織田信長がモチーフなわけだが、そもそも「本能寺といえば織田信長」という日本人に深く根差した一般常識すらも逆手にとった構造になっている。時...続きを読む代を超越して科学的知見がありそうな雰囲気のトンデモ理論をぶちかます珠玉の短編たちは円城塔の面目躍如。古事記をデータセット呼ばわりする『宣長の仮想都市』や決定論を追究する『冥王の宴』が個人的には好きだった。そして『偶像』で爆笑した先に表題作でいよいよ信長を主人公に据えて〆る構成に痺れる。まさか信長・光秀・秀吉をああいう風な関係性で描くとは。天晴れ。
無条件にオモシロい、楽しめる作品。 歴史とSFが混在する11の短篇集。標題作ではもちろん織田信長を扱う。歴史ってのは事実の積み重ねによって語られるものだから、新事実が発見されると人物像にも影響を与えるけど、それに自覚的な信長だったらどうなるんだろうね。 信長というだけで、固定化されたイメージがあるけ...続きを読むど実際のところは分からない。だから創作の出番があるわけだけど。 そうそう、いろんな語句(桶狭間の戦いや信長公記)にルビがふってあるけど、これも笑える。
綺麗な装丁と、「著者直筆サイン本」が売ってあったので、思わず手に取った。 歴史×SFの、11編の短編集。 著者の作品は、複数積んではあるものの、何故か手が出なかった。それは著者が明晰なSF作家であり、どこか読むのに心構えみたいなものが必要だと感じていたからかもしれない。 短編の中の、「タムラマ...続きを読むロ・ザ・ブラック」では、坂上田村麻呂、黒人伝説が復活し、「三人道山」では後の世の発見が時代を遡り、「宣長の仮想都市」でも、実際に若かりし頃に宣長が書いたと思われる架空の都市を浮かび上がらせる。 「偶像」に至っては、まさに浄土真宗を、仏教をコミカルに描いている。他にも某著名な探偵と助手らしき人物が旧石器時代に現れるパロディなど。 そして信長は、転生され続ける。 歴史には明るくないが、時間感覚が逆行する体験は面白かったものの、少々取っ付きにくい短編もあった。 ただサイン入りなので、⭐︎1はプラス(笑)
鬼才(?)円城塔による歴史短編集。だと思うのだが……各編、日本列島上に嘗て存在した人物を主人公に据え、何者か(語り手は一体何者?)がその事跡を思考を語る。しかしそこに当時ではありえないような知識・技術・情報が盛り込まれる(たとえば細川幽斎の正体が軍事AIかつ文事AIだとか、坂上田村麻呂の正体がカエサ...続きを読むルだとかetc)せいで異形の歴史小説となり、最終表題作に収斂される。知識レベル語りのレベルが高度ですべては理解出来なかった。円城塔の博覧強記ぶりに今回も驚かされる。これまで語られてきた斎藤道三の生涯が実は父子二人のものだったらしいとか、本居宣長が少年時代に構想した理想都市だとか、ウィキペディアで調べて分かったものの、ウィキがなかったらちんぷんかんぷんだったろう。ついていけない部分もあったけれど、とにかく楽しめた。読んでよかった!
「歴史×SF」はSF的なものへのフックのかけ方として重要である。と思っていたところタイトルを見かけて、円城塔ということもあり買ってみた本。 読んでみたら面白かった。作劇や構成というより、やはり文体のひとつひとつが沁みるようにおもしろくてずるい。その上で、SF的なエッセンスをうまく時代と融合させている...続きを読む。 地の文の語り口は現代視点で、現代用語や現代からの視座があり、しかし作中の時間設定はあくまでもその時代。なのでミスマッチが起きておもしろい。 例えば冒頭作などは、AIの原理を滔々と(もちろん面白くだが)述べているのだが、それが細川藤孝と関ヶ原、というシチュエーションで描かれるがゆえに、読者の興味も担保する。むしろ細川藤孝の話はマクガフィンのようにも思われるが、両者の組み合わせがおもしろく、また、AIの説明としてアナロジーの妙となっている。 ただ、『冥王の宴』と『丹色の星火』しかり、自分が書いているものとの方向性の重複があり気持ち悪いというか、先にすべてやられてしまった感があり、悔しさはある。 また、組み合わせのパターン(時代×SF的飛躍×現代視点かつ司馬遼太郎的語り)は一定なので、後半は失速というか、ちょっと飽きてきたりはした。連作短編全体としてのヒネリというか、横断してのカタルシスは欲を言えば欲しかった。 初出を見るとそれぞれ2ヶ月おきに発表されており、それぞれ参考文献もしっかりあって、2か月ごとにこれら短編を作るのはやはりプロだと思った。
宇宙から俯瞰する。遥か遠い過去から未来へ。どこにでも落ちている石。世の中の全てが伏線なんだと感じました。
日本史とAIの融合した短編集。 転生を繰り返す信長が、秀吉に、「お前が遊んでいるのは『信長の野望』世界版にすぎん」とぼやく「去年、本能寺で」や親鸞の息子善鸞は東国ツアーを描く「偶像」などは面白かった。 短編集なのでアイデア先行の部分もあり、同様のAIと歴史が融合する「コード・ブッダ」のほうが完成度は...続きを読む高いと感じた。 以下の11編。 幽斎闕疑抄 タムラマロ・ザ・ブラック 三人道三 存在しなかった旧人類の記録 実朝の首 冥王の宴 宣長の仮想都市 天使とゼス王 八幡のくじ 偶像 去年、本能寺で
AI足利将軍、アフリカ人の田村麻呂、原始人探偵にアイドル僧侶などなどが織りなす幻想歴史SF短篇集。 まさか円城さんがこんな澁澤龍彦2.0みたいなアナクロ幻想歴史小説を書いてくれる日が来るなんて思ってなかったなぁ。「タムラマロ・ザ・ブラック」が好き。『読書で離婚を考えた』で熊害の話をしていたとき以...続きを読む来、円城さんって本当に北海道育ちの"人間"なんだ、と感じた。 もちろん表面的にはSFでラッピングされた歴史小説だから澁澤とは旨みが違うんだけども、それでも個人的には読み心地が『唐草物語』に近くて、澁澤が説話に20世紀のイマジネーションを代入したところ、円城さんは研究史に21世紀のAIを突っ込んだという感じだと思う。信長幻想の例として真っ先に宇月原晴明の『信長 あるいは戴冠せるアンドロギュノス』がでてくるのも嬉しいね。アルトーの歴史語りに対する目配せでもあるのかしら。 登場人物にAIとついているのは最初の章だけだけど、全体を通して日本史を学習したAIにそれぞれ役を割り振って、歴史を繰り返させるシミュレーション実験みたいな構成なのではないかと思った。『情報の歴史』的な語り方というか。それでいて、「我々の因果は一体どこから始まるのか」を問うていると捉えれば、たちまち仮想現実というガワに反して古風なテーマの小説でもある。 武将を軸に起点と終点がぴたりと重なり合う因果と応報の無限ループ構造は、やはり『コード・ブッダ』と共通するメッセージを放っている。『コード・ブッダ』ではブッダに囁きかけるマーラのポジションを担った「教授」は軍事AIだった。人間界の因果と応報はAIに引き継がれていくのか。フィジカルという"事実"のない世界でAIが紡いでいく"歴史"とはどんなものになるのか。さっぱりした読み心地に近々の未来への問いが詰まっていて面白かったが、あえて言えばさっぱりしすぎてちょっと物足りない。澁澤を飛び越えて、花田清輝の向こうを張る幻想SFほら吹き歴史小説をいつか書いてください。
歴史×SF×メタという仕掛けが面白い11編。個人的には、 「冥王の宴」 「宣長の仮想都市」 「偶像」 「去年、本能寺で」 あたりが好きだった。 歴史の出来事そのものより“語り方”や“記録の形式”が主役になっている感じは新鮮だった。 宇宙規模から江戸の学問、アイドル活劇、そして最後は信長の、、視点が...続きを読む目まぐるしく飛ぶのに、不思議と統一感がある。 独特のルビや、注釈が勝手に話しかけてきたりして笑った。
11の短編。平安時代から戦国時代まで、信長はじめ歴史上のメジャーどころが、時間も次元も乗り越えて、大活躍はしないけど、淡々と思考を働かせている。なんのこっちゃか伝わらないだろうけど、伝えられない。なんでもありを淡々と楽しむが吉。信長が太古の地球に模される「冥王の宴」が特に良かった(なのんこっちゃ)。
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