円城塔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「パラダイス行」
わっかになった裏山の通路。
「バナナ剝きには最適の日々」
星間探査球の一部である僕が、旗を置いていく。
チャッキーとバナナ星人。
「祖母の記録」★
失踪する祖父をコマ撮影する僕と弟、と、彼女とその祖母。
ジョンとは……
「AUTOMATICA」
二重括弧、文章自動生成。
「equal」
「捧ぐ緑」
ゾウリムシの研究。
「Jail Over」★
赤いソーセージと白いソーセージ。
「墓石に、と彼女は言う」
「エデン逆行」★★
時計の街、わたし=祖母。母=娘。
「コルタサル・パス」★
コムの向こう側のクィ。
詩的論理の力でもって「わたし」を解体してくれる。 -
Posted by ブクログ
文庫で再読。
単行本も持ってるけどボーナストラック入ってるし表紙も素敵だし(後に100%ORANGEと判明)、何より帯のコメントに心を鷲掴みにされてしまった。
「研ぎすまされた適当」とは、言い得て妙すぎる。
そんな感じの惹句を自分でも妄想してみたのだけれど、
「思わせぶりな無意味」とか「回りくどい明快」とか「難解な明解」とか、そんなのしか思い浮かばなかった。
円城作品を読むときにいつも悩まされるのは、そこに現れる(もしくは表れる、または著される)「わたし」とは一体だれなのか、ということだ。そこが幾重にも重ねられた比喩で覆い隠されている(ような気がする)から、読む「わたし」が読まれる「わたし」 -
Posted by ブクログ
中編程度の作品が2本の薄い本だが、読み終わるまでにかなりの時間がかかった。瀬名英明の『デカルトの密室』を思い出したが、円城の方が余計なストーリーが織り込まれていない分、密度が濃い。
人の心理や慕情や老いへの哀しみやコミュニケーションを扱った文学とは見えない。いや、コミュニケーションの理論を扱ってはいるのだが、それは工学の分野の「情報理論」の定理、法則、仮説などなどを思考実験で小説の体をとって射影したようなものだ。機械学習の分野が急激な発展を遂げている昨今では、情報空間をどのように描写するかが文学のテーマにもなりうるということを円城は示したかったのか。 -
Posted by ブクログ
「Boy's Surface」
盲目の数学者レフラーの恋の物語。しかし、レフラー球なる物体によって変換が何重にも施されているため、何が本当のことなのか分からない。
「Goldberg Invariant」
数学的SFとでもいうような物々しい作品。しかし、これを恋愛小説だと理解するのは相当難しい。
「Your Heads Only」
「僕」と「彼女」が数年に一回再開する話。本文中にもある通り、「恋愛小説の書き換え」なのだろう。
「Gernsback Intersection」
最もSF色が強い作品。しかし、これは誰の恋の物語なのか分からなかった。
「What is the Na