円城塔のレビュー一覧
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“わたしが計算機室で見出すのは、ループに落ち込み、くるくると虚しく回っている判定プログラム。複数の分岐したルーチンたちが活発に互いを牽制しつつ、分岐の先のどの結論を議決するのか、盛んな言い争いを続けている。計算はそうして続いているが停止をする様子は見えず、結論が導き出される気配はない。健忘症に襲われた登場人物たちが自分たちでは気がつかないまま、堂々巡りの議論を続ける。
抽出された叔父の特徴たちは互いに互いを論駁しながら、どこかの結論へと落ち込むことを拒否し続ける。
ドアを蹴破るようにして登場したわたしが突きつけたプリントアウトを乱雑な机の上に放り出し、教授は降参するように両手を挙げる。
「二十 -
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大好きな時間SFですが、これはちょっと?
時間ループに陥った主人公ユウがある本を頼りにループから脱出しようとする。その本が「SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと 」。主人公が書いた(らしい)本が鍵となり、脱出出来る(らしい)、と何とも曖昧な話。パラドックスを捏ね繰り回してる感があり、SF的高揚感より文学的な趣きが濃厚。
それよりも物語の設定の方が面白い。
スターウォーズが実際に行われた数年後の世界、Lスカイウォーカの息子がタイムマシンを故障させたり、主人公の親戚がデススターの経理部に勤めてたりする。
経理部!確かにあれだけデカいと人事部も総務部もシステム部(忙しそう!)も土木課も水道局も有り -
Posted by ブクログ
僕(チャールズ・ユウ)は電話ボックス大のタイムマシンTM-31で、OSの少女タミー、非実在犬のエドと、タイムマシンの修理工として暮らしている。
タイムマシンを開発した父は失踪、母は一番幸せな1時間をタイムループし続ける生活を送っていた。
ある日、僕は未来からやって来た自分と遭遇し、光線銃で撃ってしまう。
TM-31でその場から逃げ出した僕は、未来の僕から託された本「SF的宇宙で
安全に暮らすっていうこと」を手にタイムパラドックスから逃れる方法を探っていく。
久々に本格SFを読んだ。
module αは面白いけど読みづらくて、どうなるかと思ったけど、それ以降はスイスイ読めた。
予想外な話の展開 -
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うーん、これは何と言ったらいいのか、タイムトラベルもののSF小説であり、同時に、家族(特に父子)小説でもある。前者としては非常に面白く読んだのだけど、私はどういうわけか後者はきわめて苦手で、サーッと気持ちが引いちゃうんだよね。クールなSF部分に比して、家族部分はかなりベタに語られるのがつらい。そこがいいという人も多いだろうけど。
出だしはまるきり円城塔。チャールズ・ユウって、円城氏の英語でのペンネームでは?という疑惑が頭をかすめるほど。シャープで、でもどこかとぼけていて、好きなタッチだ。いったいこれってどこまでが原文の味わいなんだろう。合わせ鏡の中にいるような自己言及の連続や、物語のメタ構造 -
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まぁ円城塔である。二回読んだけどわかったとはよう言わん。わからんのと、わかった気くらいになるのと。いや、別にわかりたくて読んでるわけでもないので、わかった気になっておもしろかったりわからんけどおもしろかったりでいいのだ。
ということで、わかった気になっておもしろかったのがまず表題作。うん、頭使わずにぼんやり読んでもおもしろい。
「祖母の記憶」ノリ的にちょっとバリー・ユアグローっぽい。悪趣味さと乾いた感触。ユアグローに比べると長いだけおもしろいのとダレるのと。アイディア一発ではないのだな。
「捧ぐ緑」何だよゾウリムシ。といいながらこういうなんちゃって生物学みたいなの好き。石黒達昌とか。 -
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“おめでとう、おめでとう。
何世代か前に、超光速航法を編み出した祖先たちが入植した土地に、僕はようやく辿り着いたというわけだ。骨董品の長い旅を労おうと、僕を迎えるためのびっくりパーティーを用意しておいてくれたのだ。まあその前に電波の様子で僕の方にも知れるだろうが。
あなたは別に何かをみつけたわけでもないですし、我々の知識に何かをつけ加えたわけでもないですが、とにかくこうして裸一貫、大海原を越えてやってきてくれたことが偉大です。おめでとう。おめでとう。とか言われるのだ。”[P.32_バナナ剝きには最適の日々]
「パラダイス行」
「バナナ剝きには最適の日々」
「祖母の記録」
「AUTOMATIC -
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円城塔の短篇集。
「ゾウリムシは信仰を持つか調べています」と、バナナ星人の対立のくだりは最高に面白いw
個人的には上記の『捧ぐ緑』、『バナナ剥きには最適な日々』と、『パラダイス行き』、『コルタサル・パス』あたりが好きです。
円城塔のナンセンスとまでは行かないけど、よくわからない絶妙な感じが好きですね。
言葉選びのセンスと設定の作り方が上手い。
まともな文章も書けることは『屍者の帝国』でも証明済みなので、たまにはこれらの巧みな設定を活かした普通の文章の普通の作品を書いて欲しいと切実に願っています。
でもそうすると円城塔の味が薄れて、没個性・大量消費型の作品になってしまうんでしょうね・・・。
そ