円城塔のレビュー一覧

  • バナナ剥きには最適の日々

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    表題作を含む短編集。著者の頭の中の構造が常人と違いすぎて、難解なものが多い。南の島のプールサイドでパラパラめくるにはちょうどよかった。

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    2020年01月01日
  • Boy’s Surface

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    それぞれが数学的図形や定理に基づいてその哲学的原理の想像を飛躍させた先に恋愛小説として描かれている。一読した時は意味不明な定理の羅列に見え、また各章間の論理的つながりも全く不明に思えた。それに耐えて、最後まで読み切り、また解説も加えればある程度理解できた気がする。(といっても解説も一癖ある。)数学、情報科学、科学史、文学の引用が多いので、それらの基礎知識を有した上に、SF耐性が付いてる人であればすぐにこの面白さを完全に理解できるのだろう。

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    2019年12月07日
  • エピローグ

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    あーしんどかった。
    普段僕がめったに本の感想には使わない言葉で感想を述べるなら。きっと作者もその言葉を望んでいる気がするし、称賛と降伏を含意させて言うのであれば『意味がわからなかったよ』。

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    2019年10月09日
  • プロローグ

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    見るからに前衛的だけど、ある意味で分かりやすく宇宙を飛行しそうなロケットを指差して
    「これは花火です」
    という。
    こちらは「そうかこれは花火か」と思いつつ、宇宙空間を飛んでいくこの不思議な物体を想像する。
    発射直後くらいから飛行物体はその結合を失っていく。見方によっては更なる加速のための意図的な分離にも映るし、見方によっては設計者の意図しない分解にも思える。
    時に蛇行し、時に回転し、時には一瞬姿を消してみせ、すぐその先に現れる。そんな花火ともロケットともつかない不可思議な動きをみせる。何人かはこの辺りで背を向け帰っていくが、なぜか目を離せない。
    だんだんと分離は加速していき、分離したパーツは華やかに爆発する。その爆発によって残った本体は宇宙に向けて加速しているようにも見える。それともその華やかな爆発そのものに意図があるのだろうか。
    ひとつ、またひとつと分離と爆発を繰り返し、宇宙空間と地上のその狭間、最後の空間でもっとも大きなパーツがこれまでにないほど派手に炸裂し、天上は明るく彩られる。
    そして最後に作者は「これは花火です」という。
    そんな話だった。見方によってはSFと文学の可能性に挑んだ意欲作だし、ロケットのようにその限界を超えることを期待してしまうけど、結局のところ地球空間で破裂して地上の人間を満足させることを本懐とした私小説。
    騙されたと言えるような気もするし、気概が足りないような気もするし、でも最初からこんなもんだと言ってるし。そんな苦い笑いをも作者は指差して笑ってるような気もする。

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    2019年08月23日
  • シャッフル航法

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    ネタバレ

    「内在天文学」★★★
    「イグノラムス・イグノラビムス」★★★★
    「シャッフル航法」★★
    「Φ」★★★★
    「つじつま」★★★
    「犀が通る」★★
    「Beaver Weaver.」★★★
    「(Atlas)^3」★★★
    「リスを実装する」★★★
    「Printable」★★★

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    2021年10月07日
  • シャッフル航法

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    ネタバレ

    思えば初期「Self-Reference ENGINE」「Boy's Surface」「オブ・ザ・ベースボール」から約10年なのだ。
    作風は拡がったり膨らんだりしているとも言えるし、堂々巡りしているとも言える。
    文体の実験、メタ意識、抒情。
    すべて筒井康隆を連想してしまい、円城塔自身は筒井康隆を敢えて避けていると言うが、短編ではどうしても共通するものがある。
    しかし筒井のドタバタハチャメチャコミカルとは違うリリカルコミカルな味付けなのだ。
    もっとはっきりいえばエモい。
    また、所々に差し挟まれるハリウッド映画的な身振り手振りの小気味良さは、人物を記号的に扱う思い切りの良さがあるからこそなせる持ち味なのだろう。
    また作中人物が自分は作中人物であると意識する頻度は、筒井よりも高い。
    筒井ほど作風の幅は広くないが、ある領域の作風の中では豊かな味を出している。
    以上、何も言っていないに等しい駄文だが。
    初期のボーイ・ミーツ・ガール感から、いったん遊離して思考実験やスペースオペラに逸れていたが、再度ボーイ・ミーツ・ガール感覚に戻ってきたらなんと今度は彼女は妻になり子も生れたり、さらには子がとんでもないものであったり妻子とは別れていたり。
    極めて無理やり私小説的味わいを引き出すことも、できなくはない、か。
    執筆時期からして「プロローグ」「エピローグ」は表裏一体ではなく、「シャッフル航法」を足して三位一体と見方を改めなければなるまい。

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    2019年05月22日
  • シャッフル航法

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     ひと月ほど昔の読書内容が、当該の書籍のページを繰りな押しても全く浮かばないのは、私がぼけたからだろうか。

     「イグノラムス・イグのラビムス」の章に「言葉そのものの問題ではない。まさに『君』が、その発言をするという所が問題なんだ。人間が『自分はキリンだ』といったとしても別に問題は起こらない。キリンが『自分はキリンだ』と言い出したとしてもまあいいだろう。しかし、カバが『自分はキリンだ』といいだしたなら、事態は戦慄的なものとなり、森の仲間も大宴会だ」

     この部分で、大いに笑い納得したはずなのだが、なにも浮かばない。この浮遊感はなんだろう。これが円城君なのだろうか。とわけわからんことをつぶやいてしまいます。

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    2019年02月03日
  • Self-Reference ENGINE

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    祝芥川賞受賞。

    時間とは何か、言語とは何か、有限と無限、自己同一性などなど、テーマは思い切り直球勝負。けれど直球勝負のテーマの数々をてんこ盛りに盛りすぎているのと、奇をてらった構成や語り口や小道具のせいで、ふざけているようにも見える。ストーリーをこわすギャグが多すぎてストーリーの体をなさなくなった芝居みたいなものでしょうか。

    韜晦が過ぎて物語の持ち味を殺しているような気もする。しかし、こんなお話をまじめな顔でされても困ってしまうかも。粋みたいなものを感じつつ読むのが良いか。

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    2018年11月05日
  • プロローグ

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    ネタバレ

    2018年2月10日第一刷。
    「文學界」連載も楽しみに読んでいた。
    私小説とは概ね徒然なる日常を書くもの。随想からの跳躍ありき。
    本作もまさに徒然なる日常と、その都度考えたことを徒然に書いているらしい。
    が、そこは円城塔。凡人の思考ではない。

    私小説では語り手は単純に「わたしは云々」と書き始めるが、この小説の「わたし」は「小説そのもの」のことだから、不用意に「わたしは云々」と書き出せない。
    そのうちに著者の要素がいろいろなキャラクターに分散、分身、仮託、委託、されていく(?)
    さらには堂々たる「わたし対わたし問答」も生起し、それが詰まらないトートロジーに堕さない。

    私小説を刷新するのか~、たいそうなこってすな~、アホな読者にはわかりませんわ~、とやっかみ半分で読んでいたところもあったが、
    「これが私小説と言うと私小説とは云々と言いがかりをつけられそうだが、まあ無視してよろしい。だってこういうことばかりしている生活なのだ」
    と言われてしまえば、もうシャッポを脱ぐしかない。

    神秘主義などの衒学趣味とITが融合したら、とか。
    あるいはITがごく当然な世界における衒学趣味は、というか。

    「エピローグ」との関連については……榎室春乃やイザナミ・プロジェクトなど出てくるが……わからず。
    まっこと、アホな読者である。

    ところでドリフトグラスが登場するので連想したのが「グラン・ヴァカンス」だが、あながち遠くはない、と思いたい。
    というのもPC内に残された物語が、切り離されたままどう熟成するか、という視点は、通じるものがある。

    お子さんご誕生おめでとう。
    ……と、書くのは決して文芸界ゴシップをひけらかすためではない。
    中盤で唐突に登場した『赤ちゃんプログラム』が、終盤に向かうに従って大事な小道具になる。
    そして濃淡あれど子育てに関わり何がしか考えたことのある人間には、感じ入らざるを得ないリリカルなニュアンスが終結にある。
    要は生まれてきてくれてありがとう、と。
    その感慨は創作上のキャラクターに対しても、現実に直面し続けざるを得ない実人物に対しても、言いたい言葉になるのだ。

    ところで先日柴崎友香「春の庭」を読んだから連想するんだけど。
    柴崎友香「春の庭」芥川賞選評で、【建物は上から見ると”「”の形をしていた】と読んで、読む気をなくした、と村上龍。
    円城塔はわざと似た表現を340pに置いて、老害村上龍へのあてつけをしている。

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    2018年05月22日
  • プロローグ

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    『プロローグ』(文春文庫)と『エピローグ』(ハヤカワ文庫JA)の同時刊行という異業(笑)に、つい、手を伸ばしてしまった……。

    あらすじとしては、こうある。

    「小説の書き手である「わたし」は物語を始めるにあたり、日本語の表記の範囲を定め、登場人物となる13氏族を制定し、世界を作り出す。」

    そうして始まるや否や、『千字文』が渦巻く21ページ目にして、笑いが生まれる。
    これは、凄まじい。
    けれど、同時に日本語とは一体どこまでを見通せる可能性を持った言語なのか、と考える。
    私はその、何パーセントを語彙として所持していて、残りは存在さえ知らないのか。

    ストーリーとしては正直、分かりやすくない。
    なのにハードカバー版のレビューを読んでいたら、皆ちゃんと「読んで」いて、感心する。
    私みたいなふざけたレビューもまあ、役に立つこともあるかもしれないから、いいか。

    筒井康隆の『残像に口紅を』を彷彿とさせる。
    文字が減ってゆく世界(セカイの規定はどうあれ)に対して、文字が取得されてゆく世界。
    語りが物語として創造されてゆく工程。
    「私小説」として、自らが構築したこの世界を、またパーツに分けては分析する。
    語彙の構成、使い方、長さ、数……。
    データ化された、それらを紐解くことで、自分を知ることになるという試み。面白い。

    『古事記』のテキストくらい、データとしてすぐに手の届くところに置いておいてくれ、とか。
    PDFは書式を潰すからデータ保持には良くないとか。
    あ。私も、ATOK良いよって言われて使ってみたら、変換しにくくて非常に難儀したことあるの、思い出したよ。
    電子機器を使って読み書きするという形態はメジャーになりつつあるけど、真摯に向き合わんとする人を見るのは初めてだった。

    日本はなんだかんだ言って、まだまだ紙を神聖視しているとは思う。
    ああ。『エピローグ』に迷い込んでしまいそう。

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    2018年02月12日
  • これはペンです(新潮文庫)

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    読むのにメタフィクションに対する意識とサイエンスやテクノロジーに関する素養が必要になる。混沌としているようで整然としていてある意味で面白いという感じかな。受賞作よりもペン、ペンよりも良い夜が個人的には面白かったかな。テーマの設定は面白い人だなと思うので相性のいい作品を読むことができれば好きそうというのが読んだ印象。面白いテーマ設定をする、できる人が少ないので貴重かなと思う。

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    2017年12月18日
  • 攻殻機動隊小説アンソロジー

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    ネタバレ

    5人の作家による公安9課のオリジナルエピソード集。

    うっすらと素子が絡みながら公安9課の面々や関係者、世界観にまつわる話が綴られる。

    1話素子本人が登場する話はあるが基本メインでなく関わっていく所がエピソード集らしくていい。

    勘違いかもしれないがGHOST IN THE SHELLとSTAND ALONE COMPLEXの話が混じり合ってる気がしてちょっと気になる。

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    2017年10月17日
  • バナナ剥きには最適の日々

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    ハイパーな感じで頭の中をわやにしたいとき、円城塔はキく。魔術師の蝶よりもやや宇宙っぽい感じで、もう少し深く考えればもう少し深く読み込めるんだろうがそれを放っておいても読めるし良い。

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    2017年09月09日
  • Self-Reference ENGINE

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    うーん、面白いんだけど、詰め込み過ぎ。意味の分からない単語を読むことだけでもパワーがいる。やっぱり本って、一冊読んだ時の達成感があるじゃない。これは結構苦痛。ランダムに一編取り出して再読するときっともっと楽しめると思う

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    2017年08月29日
  • これで駄目なら

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    狂った社会に暮らす正気な人は、狂って見える。ということは、正気な社会に暮らす狂気な人は正気に見えるってことか

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    2017年03月30日
  • これで駄目なら

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    スピーチをする側はもちろん、聞く側にも教養が求められる。スピーチ文化というのは話し手と聞き手の正のスパイラルで高め合っているのだなと分かる実例。

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    2017年01月21日
  • これで駄目なら

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    コミュニティに属するかぁ。。。そういうのを鬱陶しいと思ってしまうが、確かに家族だけで閉じてしまうとガス抜きができなくてうまくいかない、という事もあるのかもしれないな、とは思った。

    通り一辺倒ではない、ヴォネガットが本当に感じている事を若者にスピーチしているのが分かり、真心の人だな、と。

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    2016年12月27日
  • オブ・ザ・ベースボール

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    といいつつ、早速辛い評価をしてしまっている訳ですが(苦笑)。「屍者の帝国」は、あくまで伊藤ケイカクの作り上げた世界観があったからこそ、傑作に仕上がったんですね、きっと。もちろん円上塔に、突拍子もない発想を十全に広げる力があるからこそなんでしょうが、少なくとも本作は、そんな期待を満足させてくれる内容とは言い難かったです。正直、難しくて理解出来ていないだけって言われればそれまでなんですが、いかんせん物語が… 読み進めるのがちょっとしんどかったです。ちなみに表題作で力尽きてしまい、もう一方の作品は読めませんでした。当然、ここのコメントも表題作に対してのものです。

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    2016年09月21日
  • これはペンです(新潮文庫)

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     頭のいい理系の人が書いた小説だということはすぐわかる。アイディアが斬新で、こんな小説があるのかとびっくりしたのは、私が理系頭ではないせいか。ものを書くとはどういうことなのかと、改めて考えさせられた。
     切り貼りの件では、某大学で、自分で独自に執筆した文章を一字一句たりとも交えてはいけないというレポートが課されたという記事をいつだったか読んだのを思い出し、くすっと笑ってしまった。
     が、私の好みはストーリーテラーなので、星3つでごめんなさい。

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    2016年09月19日
  • 好色一代男/雨月物語/通言総籬/春色梅児誉美

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    それぞれ初めて読みました。
    井原西鶴 好色一代男
    上田秋成 雨月物語
    山東京伝 通信総籬
    為永春水 春色梅児誉美

    それぞれ、江戸文化の良さや面白さについていまいち
    理解できないというか、合わない感じがしました。

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    2016年08月12日