円城塔のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
うーん、これは何と言ったらいいのか、タイムトラベルもののSF小説であり、同時に、家族(特に父子)小説でもある。前者としては非常に面白く読んだのだけど、私はどういうわけか後者はきわめて苦手で、サーッと気持ちが引いちゃうんだよね。クールなSF部分に比して、家族部分はかなりベタに語られるのがつらい。そこがいいという人も多いだろうけど。
出だしはまるきり円城塔。チャールズ・ユウって、円城氏の英語でのペンネームでは?という疑惑が頭をかすめるほど。シャープで、でもどこかとぼけていて、好きなタッチだ。いったいこれってどこまでが原文の味わいなんだろう。合わせ鏡の中にいるような自己言及の連続や、物語のメタ構造 -
Posted by ブクログ
まぁ円城塔である。二回読んだけどわかったとはよう言わん。わからんのと、わかった気くらいになるのと。いや、別にわかりたくて読んでるわけでもないので、わかった気になっておもしろかったりわからんけどおもしろかったりでいいのだ。
ということで、わかった気になっておもしろかったのがまず表題作。うん、頭使わずにぼんやり読んでもおもしろい。
「祖母の記憶」ノリ的にちょっとバリー・ユアグローっぽい。悪趣味さと乾いた感触。ユアグローに比べると長いだけおもしろいのとダレるのと。アイディア一発ではないのだな。
「捧ぐ緑」何だよゾウリムシ。といいながらこういうなんちゃって生物学みたいなの好き。石黒達昌とか。 -
Posted by ブクログ
“おめでとう、おめでとう。
何世代か前に、超光速航法を編み出した祖先たちが入植した土地に、僕はようやく辿り着いたというわけだ。骨董品の長い旅を労おうと、僕を迎えるためのびっくりパーティーを用意しておいてくれたのだ。まあその前に電波の様子で僕の方にも知れるだろうが。
あなたは別に何かをみつけたわけでもないですし、我々の知識に何かをつけ加えたわけでもないですが、とにかくこうして裸一貫、大海原を越えてやってきてくれたことが偉大です。おめでとう。おめでとう。とか言われるのだ。”[P.32_バナナ剝きには最適の日々]
「パラダイス行」
「バナナ剝きには最適の日々」
「祖母の記録」
「AUTOMATIC -
Posted by ブクログ
円城塔の短篇集。
「ゾウリムシは信仰を持つか調べています」と、バナナ星人の対立のくだりは最高に面白いw
個人的には上記の『捧ぐ緑』、『バナナ剥きには最適な日々』と、『パラダイス行き』、『コルタサル・パス』あたりが好きです。
円城塔のナンセンスとまでは行かないけど、よくわからない絶妙な感じが好きですね。
言葉選びのセンスと設定の作り方が上手い。
まともな文章も書けることは『屍者の帝国』でも証明済みなので、たまにはこれらの巧みな設定を活かした普通の文章の普通の作品を書いて欲しいと切実に願っています。
でもそうすると円城塔の味が薄れて、没個性・大量消費型の作品になってしまうんでしょうね・・・。
そ -
Posted by ブクログ
“新たに出現しようとしている家は、その家なりの固有の論理をもってここに出現しようとしているはずなのだが、生えてこようとする先から僕らが打ちこわし続けているために、ちょっとばかり調子を崩している。進行中のプログラムのコードを途中で壊されたりしたら、それはまあ、色々問題が起こることは間違いない。でも僕たちはこの家を守ろうと決めているし、この村を守ろうと決めている。
廊下に生える椅子やらハンガーやら机やらを片っ端から滅多打ちに破壊して、僕はキッチンへの道を切り開く。母が本格的に活動を開始して、愛想のチェーンソーを振りかざしまくる一日が終わり、夜がまたやってくる頃には家はようやくひとつの家の姿を取り戻 -
Posted by ブクログ
小説でこんなに難しいと感じた本は
今まで読んだことがない
伊藤計劃好きなら気になる円城塔の短編集
「難しいだろうな」と思っていた予想をはるかに上回る難解さでした
全編通して「本」や「言葉」や「文章」について・・・
なのかなとオモウ
短編集なんだけど、全編に通じる何かがある・・・
とオモウ
数学と言語の絡み合いとでもいうのか
とにかく算数の時代から苦手な自分には
創作なのか本当にあるものなのかわからないことがたくさんあって
休憩がてらググッてみたりして
初めて「あ・・・創作なのか・・・」と気づいたり
感想として述べたいことは山のようにあるけど
「違うのも読んでみよう」と思えたし
発想力とか視