池上彰のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
池上彰氏は今やテレビで誰にでもわかりやすくニュースを伝える代表格として不動の地位にある。氏の著書も大変わかりやすく、特に以前は宗教関連の入門書的な位置付けで読みまくっていた。なぜこんなにわかりやすく説明できるのだろうか。いつからこうした説明ができる様になったのか、そんな疑問を抱きつつ本書を手に取った。
ご存知の通り池上氏はNHKの記者として歩みを始め、ニュースキャスターだけでなく裏方の仕事も含めてあらゆる「伝える」側の仕事を経験されてきた。特に記憶に新しい「週刊子供ニュース」は確かに大人の私がみても「実はそうだったのか!」と知らずに流して聞いていた用語一つ一つを丁寧に説明していた。何気にわかった気になっていただけで、中身はよくわかっていなかった、という事を改めて気づかせてくれる内容だ。
誰しも人に説明したり判ってもらいたいことが沢山ある。中々語彙力に問題があったり、プレゼンや人前の挨拶では緊張して、上手く表現できない。私もかつて英語で自己紹介しなければならないシーンで頭の中で何度も英語で呟きながら復唱していたにも関わらず、私がそのことばかりに気を取られ、いざ自分に向かってくる相手の顔も見れてなかった事から、目の前を素通りされてしまった事がある。実は外資系企業の社長や役員、自分の上司含めてかなり高齢な方々に囲まれた、会食だったので、2まわりぐらい若い私はホテルのスタッフと間違われた様だが。
例えばこの時も相手に英語で挨拶していても恐らくは、表面的なやり取りのみで相手の記憶の端にも残らなかっただろう。私の言葉はインターネットで調べた自己紹介を単に自分の名前に置き換えただけだったし、何より直前まで練習するくらいだから、自分の言葉にもなっていない。
本書はそうした人に伝える技術を池上氏が記者をやっていた時代からキャスターになるまでに考えて修得してきた事について、これまた分かり易い文章にして教えてくれる。「何をしてください」ではなく「何をするべきだったか」中心に、氏と一緒に考えていく読み物になっている。きっと読者の皆さんも同じ様なシーンに何度もぶつかり、その都度悩んできた事だろう。
私も会社の資料作りやプレゼンなどの機会が多く、限られた時間、資料枚数の中で、端的にわかりやすく伝えるにはどうしたら良いか常に悩んでいる。相手の知識レベルもマチマチ、更には忙しい人、興味が全くなさそうな役員などにどの言葉で伝えるか難しい。最終的には決裁権限を持つ人に狙いを定めてしまうが、承認ワークフローが多岐に渡り複雑だとややこしい。最終的には誰もが納得できる分かり易い喋り方というのは難しく中々に修得しきれないのである。ただ本書が伝えたいのは、そうした相手の気持ちになって考えるだけでなく、自分自身の言葉にすることに重点を置く。自分が理解していない納得していない原稿を他人に聞かせても、気持ち・心の入ってない言葉は所詮流れてくるだけの音になってしまう。感動的な音楽に触れた時に鳥肌が立つ様に、響いてくる体や心が反応するには、作者や話者が自分の言葉・モノにしていないとダメなのだ、このことを強く感じる。
プレゼンで失敗すると、上司に熱意が足りないと笑ながら指摘されるが、資料の体裁や見た目ばかりにとらわれて肝心の説得する話し方ができてないケースは多い。本書を参考に自分の言葉とは何かを改めて考える良い機会となれば良い。 -
Posted by ブクログ
今年も4〜5月ごろになると「あ、もうすぐ池上さんの知ら恥新刊出るな、あのニュースを池上さんならどう書くんだろう」とワクワクしているくらいには毎年愛読している知ら恥シリーズ。
やっぱり話題はロシアやアメリカ、中国がほとんどを掻っ攫っている中で、気になったのはトルコなどの中東とインドの動向でした。
この本が出版された後すぐに、スウェーデンのNATO加盟にトルコが合意したことも、この本を読んでいたから尚更目を引くニュースだったし、インドの地理的、政治的立場に立って世界の現状を見ていくと、なるほどインドが「全方位外交」をしている理由や理屈が明確になった気がします。
特に今回印象に残ったのは、「加害の歴史は忘れてしまいがちだけれど、被害の歴史は忘れないものだ」という言葉。まさにその言葉通り、国と国が過去の歴史から軋轢が生まれ今も歩み寄れず複雑化している中で、現スリランカや台湾は、日本の過去の加害を許し受け入れ、親日でいてくれているという事実。「憎しみは憎しみによって消え去るものではない、慈悲によって消え去るものである」…どれだけ寛大で勇敢な心なんだろう。。
この言葉に甘んじず、被害の歴史だけでなく加害の歴史をしっかり見つめ受け止めていかなければならないと痛感した。まずは史実をちゃんと知ることから始めたい。
昨今ただただ外国にやたらお金を撒き散らしてるなぁと思うだけで、過去のその国との繋がりや歴史、背景などを見ようともしなかった自己を反省しました。笑
ちゃんと事実を知るって難しい。 -
Posted by ブクログ
私にとって池上さんは、実の父親と同世代であり、小学生の頃に「週刊こどもニュース」を見ていた身としては、とても親しみ深い。こうやって毎年本を執筆くださり、世界のニュースを手軽にかつ満遍なくアップデートできるので本当にありがたい。
安倍首相の銃撃事件、統一教会の問題、ウクライナ戦争の背景にある宗教の問題、日本を取り巻く地政学的な課題、米国社会の分断などなど。普段目にするニュースではサラリと読み飛ばしている内容だが、今一つ理解できていなかった。この本では、それぞれしっかり体系づけて解説くださり、おまけに面白おかしいイラストまで付いているので、とても分かりやすい。毎日なんとなく新聞を斜め読みするよりも、2時間程度集中して読むだけで、スッキリと理解できる。
今後も「ニュースのお父さん」にお世話になりたいと思う。 -
Posted by ブクログ
ユーラシアグループの10大リスクをもとに、世界の問題を解説
引き続きのロシアによるウクライナ侵攻
中国による台湾侵攻の可能性
中東でのイランやサウジアラビアの接近
中国の人口を抜くインドの躍進
北朝鮮のミサイル問題
などなど
ロシア、中国の様にますます権力者に権力が集まり他国に脅威を与える。アメリカのプレゼンスの低下による民主主義の危機と言われるけど、ヒトラーの様な過去の歴史から見ても必ずしも民主主義が最善の統治形態とも限らないと感じます。
民主主義の様に自分たちで政治を変えられると言っても、判断能力、知識があることが前提だと思いますし、情報もバイアスがかかったものであれば、結局は一部の権力者のいいようにされると感じたり。どんな仕組みであっても、生きていく上で、知識や教養は必要なのだと改めて実感。
日本のリスクに対しても、少子化問題への対策や防衛費の増額への対応、原発の再稼働など問題山積みですね、 -
Posted by ブクログ
1970年代からの労働運動の盛り上がりと衰退、それと連動した社会党の盛り上がりと衰退、が主なテーマ。
お子様(リアルな意味で)だったので総評潰しとしての国鉄民営化という認識はなかったが、総括としては納得できる。
その後の郵政民営化や国立大学法人化と同様に、悪玉として取り扱う世論が作られていたのは覚えている。
労働運動の衰退(明記されていないが連合は御用組合っていう位置づけ)によって左翼は絶滅に近い状態になっているが、揺り戻しはあるというのが2人のスタンスなんだろう。
そのためには「大きな物語が必要」というのは、まあそうなのかもしれないが、いまいちリアリティが感じにくい。
なお、佐藤氏はヴィーガニズム、アニマルライツなどの議論が先鋭化するだろうと予測しており、かなり印象的。
「この思想が引き起こす社会との軋轢が、かつての新左翼に近いものになる可能性も十分あると思っているんです。これは環境問題でもそうですよね。」
ということで対話の重要性を唱える。対話を受け付けないことの末路が新左翼ということですね。