【感想・ネタバレ】日本の戦後を知るための12人 池上彰の<夜間授業>のレビュー

あらすじ

現代日本を形作ったキーパーソン12人を語りつくす!
田中角栄、渡邉恒雄、ホリエモンに池田大作、上皇陛下まで……、毀誉褒貶ありつつも戦後日本を決定づけた人々を池上解説。

2018年から文藝春秋西館で行われた「〈夜間授業〉池上彰“戦後”に挑んだ10人の日本人」をもとに構成・編集。講義で実際に出たQ&Aも収録し、改めて基本から現代史の重要人物たちを知ることができます。
「戦後日本」に対峙し、変革をもたらした型破りな人々の“功罪”で学ぶ現代史講義。

第1回 田中角栄 今、見直される理由
第2回 江副浩正 情報社会の開拓者
第3回 小泉純一郎 断言する“変人”政治家
第4回 中内功 価格破壊の風雲児
第5回 渡邉恒雄 読売帝国の支配者
第6回 堤清二 詩人経営者の血脈
第7回 村上世彰と堀江貴文 金儲け至上主義と国策捜査
第8回 石原慎太郎 暴言と思いつきの長期都政
第9回 池田大作と創価学会 政教分離と自公連立
第10回 上皇陛下と上皇后・美智子さま 象徴天皇としての試行錯誤
(目次より)

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Posted by ブクログ

もう何回見ただろうか。前後の歴史を知るのに、著名人12人のエピソードと一緒に解説が載ってるので何回見ても面白く、勉強になる一冊。

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2025年02月20日

Posted by ブクログ

わかりやすくて、喋り言葉を文章化したのもあって
めちゃくちゃ読みやすかった。
実際の授業があったら行ってみたいなあ。

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2024年12月23日

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ネタバレ

田中角栄、江副浩正、村上世彰、石原慎太郎、、、
それぞれの自伝や経歴をいろんな本で読んだが、池上さんらしく、すごくわかりやすく整理されていて、一気読みだった!

ナベツネや、既に亡くなっている池田大作さんなどのタブーに斬り込む、まさに池上無双!

気持ちよかった!

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2021年12月12日

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戦後史というのを殆ど知らなかったが、日常生活やニュースで目にするような身近な存在の歴史を知るというのは単純に面白かった。

・ダイエーホークスという球団があったが、いつの間にかソフトバンクに代わっていた。ダイエーがスーパーだったということすら知らなかった。
・就職活動をリクルート活動というのは、リクルート社の影響だった。
・小泉さんが総理の頃、親が見ていたニュースで何度となく顔を見ていた。何となく好感を持っていたが、政策の中身などは殆ど理解してなかった。
等々なるほど感多数。

「自分の行為は歴史によって判断されるんだ」というのは歴史の偉人などを見ていても感じること。そしてそれは自分のような一般人にも(ある程度)適応可能で、要は自分の行為が最終的にどのような結果をもたらすかなんて誰にもわからない、ということだと思った。

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2021年08月22日

Posted by ブクログ

池上彰氏による文藝春秋で開かれた10回の夜間講義を本にしたもの。今我々が当たり前のようにみている社会には、様々な人物の活動が影響している。そんな中でも今に大きく影響を持つ、良い面も批判される面も持ち合わせた人物を取り上げている。この本を読むことで今あなたがみている光景が少し変わることだろう。

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2020年09月08日

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日本の戦後に大きな影響を与えた人物について、
毀誉褒貶(褒める事とけなすこと)により、
人物を紹介し、その人が戦後の日本にどのような影響を与えたのかを、とにかく分かりやすく解説してくれている本。

その人物が何を成し遂げたのか、その中での褒めるべき部分、そうでない部分という風にメリハリをつけて説明しているので、とても面白い。

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2020年06月30日

Posted by ブクログ

表現しても大丈夫な事柄を選んで、コンパクトに纏めている。
種々の人物の入門書。
現代の漂白された世界に対するアンチテーゼ。総じて大きくプラスならば良いではないか。

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2020年04月27日

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さすが池上彰!と思わせる内容。

もっと辛口に掘り下げてみてはどうか?と思うところもあるが、これだけの大御所を扱うのであるから、そう簡単にはいかないのだろう。扱われている人物(12人)をとりあえず理解するという目的には最適で、ここから読者の必要・興味に応じて発展してゆけば良いだろう。

上皇・上皇后を取り上げた事に驚くが、戦後の日本国憲法下の天皇として国民と寄り添う態度を崩さなかった上皇・上皇后に対する感謝と敬意の念を抱く。

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2019年12月17日

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創価学会、投資関連、過去の政治の流れ、上皇にまつわる歴史、、、など、
「日頃ニュースで見るけどよく知らないな…」という内容の背景を知ることができた。

題材として取り上げられている人物の周りが、政治一家だったり結構なお金持ちだったりで、一般市民の自分には直接関係のあるようなことは正直なかったように思うんだけど、
世の中の流れってこういうひと握りのトップ層の人たちが作っていて、一般市民の自分たちはそれに翻弄されてるんだなあって改めて気づいた。
そこに気づくことで世の中の見方は変わるし、上手い立ち回り方をしようっていうスタート地点に立つこともできるから、知識として入れておくべき内容だと思う。

池上さん自身の相手への評価には結構高低差があったかな。

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2025年02月27日

Posted by ブクログ

池上彰さんが実際に講義した内容を編集したもの。中田敦彦さんのYouTubeで取り上げられてたので、読んでみました。テレビで話す『功』だけじゃなくて『罪』も、結構ディスることも多くて面白かったです。

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2025年01月24日

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毀誉褒貶という言葉は普段使いませんが、この本に出ている人物の説明を受け納得しました。登場する人物はどの方も魅力的で、清濁併せ持ちながらも、時代を動かすパワーに満ちていると感じました。

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2023年01月03日

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12人の著名人の半生がとてもわかりやすく書かれていた。数十年前のことだが、とんでもなく時代が移り変わっているのを感じた。

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2022年12月08日

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12人も取り上げているだけあって一人ひとりに対する情報量は少なめだが、取り上げられている人物がどれも功罪併せ持つ魅力的な人たちばかりなので、その人物に関心を持つきっかけとしては良いのでは。

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2022年10月27日

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面白かった。
当然だけど一人一人に癖がありキャラがあり波瀾万丈でその辺の小説なんかより数倍面白かった。
是非こんどは同構成で世界の12人も扱って欲しい。

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2022年06月20日

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さすが池上さん、わかりやすく面白かった。
本当に自分は何も知らなかったのだとわかった。
ドラマになっていたような事は本当にあったことで、それ以上の事がおこってたのだ。

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2021年06月05日

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偉人の話は面白い。時代によって評価や切り取り方が変わるのも面白い。その人らしさや、コンプレックス等が複雑に絡み合い、後から考えればどうしてそんな事を?という行動が歴史の転換点になるから面白い。

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2021年04月26日

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池上さんの考え方や生き方を体験するためにはもってこいの一冊。何度か繰り返して読みたい。この12人は、随時参照したい。毀誉褒貶という言葉の意味と読み方を覚えた。笑

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2021年02月14日

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p.100 ダイエー vs イオン
ダイエーは駅前を中心に店舗を作った。これに対してイオンは郊外に作った。電車が主の交通機関であった時代は駅前こそ最高の立地だったが、次の理由によりダイエーは減衰していく。
・自動車産業が発達し主婦も軽自動車にのるようになった
・冷蔵庫ができて長期保存できる
・安売りよりも買い物に楽しさを求める

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2021年02月02日

Posted by ブクログ

池上彰が、毀誉褒貶ある戦後に活躍した12人を紹介するというイベントを本にしたもの。
どっかで参考文献に出てきて興味持ったんだが、なかなか面白かった。
ラインナップは、田中角栄、江副浩正、小泉純一郎、中内功、渡辺恒雄、堤清二、村上世彰、堀江貴文、石原慎太郎、池田大作、現上皇陛下・上皇后陛下。
クイックに戦後史のキーパーソンを振り返るのにもよい。
1点気になったのが、これだけの内容を語るには色々な文献にもあたってると思うのだが、参考文献記載がないところ。そういうとこだぞ文藝春秋。

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2021年01月20日

Posted by ブクログ

<結論>
堤清二面白い
<要約>
・自民党は新自由主義、社会民主主義双方のイデオロギーが混在しており、この幅の広さが自民党長期政権の秘密である
・リクルート創業者 江副浩正
→情報をまとめて有料で売るビジネスを構築
・ダイエー創業者 中内功
→安売り事業を日本で広める。イオンが公害店舗出店をしていたのに対し、徹底した駅前出店が仇となる
トップに物申すことができない会社は滅ぶ。カリスマ経営者・独裁者は家族しか信じられず、赤字経営立て直しなどで負債事業売却等勝手にされるのはたまらないと考える。
・読売新聞主筆 渡辺恒雄
・セゾングループ 堤清二
→西武百貨店、セゾン、西友、パルコ、無印、ロフトを作り出す。作家としての一面もある
・村上ファンド 村上世彰
→小学3年生の時に父親から100万もらい、サッポロ株を購入したことから投資家人生が始まる。日本企業の内部留保の多さを危惧。時価総額に比べて金融資産が多いことから株主に対する背信行為と批判
堀江貴文とともに、フジテレビ親会社のニッポン放送買収に向け動くが失敗。
→SBI(ソフトバンクインベストメント)の北尾吉孝(元野村證券、孫正義にヘッドハンティングされた)がホワイトナイトとなり買収は無くなった。
・池田大作 創価学会名誉会長
日蓮正宗(日興、大石寺)
国立戒壇建立を目標としていた
自公連立
・日本がなんちゃって仏教な訳
→江戸時代の檀家制度が要因と考えられている。住民管理として使い、法事のたびにお布施が入るので寺は布教活動しなくてもお金が入ってくる。創価学会などの新興宗教は布教しないと信者増えないので、そこが大きな違いとなる
イタリアで創価学会伸びている(現世利益)
<感想>
今身の回りにある店や企業の成り立ちについても知る事が出来、自分の無知さを理解した。特に堤清二は経営者としての一面・作家としての一面が大変興味深く、個人的にもう少し勉強したいと感じた。

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2021年01月11日

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毀誉褒貶(賛否のある)をキーワードに戦後の日本を形作った人々の功績を、その生い立ちやターニングポイント、記者時代の筆者のエピソードを交えて、わかりやすく解説した良書。

近くて、授業ではあまり習わず遠い存在の昭和。その時代を彩った人々についての無知に改めて気づかされました。この本を読んで昭和にもっと興味を持ちたいと思いました。

内容は分かりやすく、ストーリー性もあったので良質の歴史小説のようにサクサク読めました。さらっと戦後史を学びたい人は是非一読を。

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2020年12月10日

Posted by ブクログ

戦後を土建屋列島にした田中角栄だが、首相在任は2年余にすぎずロッキード事件で復活の目を断たれた/②風雲児、江副浩正。リクルート本体の株を譲渡された森喜朗は不問で、藤波孝生と公明・池田克也だけが有罪③小泉純一郎は現在「原発があんなに危険と知らなかった」⑤渡邉恒雄は正力松太郎の夢を。「新聞言論は自由だがテレビには放送法がある」両者を兼ねるのが問題⑥堤清二の父康次郎は西武鉄道の外、旧皇族の資産を買い取ってプリンスホテル⑧石原慎太郎は実は息子にベタ甘教育。作家としては優秀だろうが、政治家として思いつき言動はどうか

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2020年11月15日

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恥ずかしい事ですが取り上げられた一部の方の名前を聞いてもわからない方がいました。読み終えて面白い面白くないは別として最低限知っておかないといけない方々だと思った。個人的には上皇陛下、上皇后様の話が読んで良かったと思い、それまで星3つと思ってたが4つに上がった。

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2020年11月06日

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中高での歴史の授業では近代の日本の偉人について学ぶ機会がなく、本書で紹介されている人物もほとんど知らなかった。

この本では、そういった近代(戦後)の偉人の業績や失敗について述べられていた。今の我々の生活はこのような人達のおかげで成り立っている部分もあると感じ、新鮮な内容が多かった。

経済面での偉人が多く、経済用語や政治用語も多く出てきてよく分からなかったので、次はそういった分野の本も読みたい。

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2020年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ


約半年ぶりに再開した読書
感想文の書き方をすっかり忘れて
延ばし延ばしにしてたら
記憶も薄れる…


何人かの常連さんに、催促されたんで書きます


久しぶりの池上先生


本書は
『中田敦彦のYouTube大学』
『バブル崩壊とリクルート事件』回で、参考文献として使用されていたので
コレは読まねばと



タイトルにもあるように
本書は、文藝春秋で実際に開催された10回の講義
「戦後に挑んだ10人の日本人」を元に
実際に出たQ &Aも収録した構成になっている


池上先生が選んだ人は…

⚫︎田中角栄
⚫︎江副浩正
⚫︎小泉純一郎
⚫︎中内功
⚫︎渡邉恒雄
⚫︎堤清二
⚫︎村上世彰と堀江貴文
⚫︎石原慎太郎
⚫︎池田大作
⚫︎上皇陛下と上皇后美智子さま


と、なかなかシビれるラインナップである


一体、何を基準にこのチョイスなのか?


「毀誉褒貶のある人」というのが、選ばれた基準だそうです


一応、全員
名前と何をした人かは、ザックリ分かるけど
個人的には、あまり良いイメージが無い人が多い



と、言うのも
大きな事件の中心人物だったり
時代の潮目に、派手なコトして実刑受けたりと

当時の報道を、リアルに観てたからかもしれない


中でも、田中角栄のロッキード事件は
まだ子供だった私にも
かなりのインパクトがあったなぁー

昨年、田中角栄生誕100年というコトで
扱った書籍が多く出版されて
改めて、関連書籍を読んでみて

まさに、毀誉褒貶っぷりを実感したので
正直、本書では新鮮さは無かった


企業系でいうと
ダイエーの中内功と
西武百貨店の堤清二


ワンマン創業社長と、二代目インテリ社長
二人とも、バブル時代に絶頂期を迎え
バブル崩壊と共に、衰退していくという
絵に描いたような結末


堤清二に関しては
父親の堤康次郎と、次男の堤義明と記憶が混同してたんで
整理できて良かった

ありがとう池上先生 笑



最後の回で、上皇陛下と上皇后が取り上げられているのは
ご本人が毀誉褒貶という訳ではなく

当時、初の民間からのお妃と言うコトで
様々なバッシングを受けてきたという側面からの講義となってる


各章の最後に収録されているQ &A
「平成天皇は…」と質問してる受講者に対して

平成天皇というのは諡号(贈り名)で亡くなった人に対する称号になるので
存命中は「平成の天皇」と呼びます


と、細かいところまで勉強になるなぁー





時代によって、評価が変わるのは
いつの時代も変わりなく
今後、20年、50年、100年と経過して行った時
又、違う評価がされるのだろうと思うと
なかなか感慨深い





#日本の戦後を知るための12人
#夜間授業
#池上彰
#読書
#なかなかのラインナップ
#毀誉褒貶

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2020年08月22日

Posted by ブクログ

戦後のキーパーソン12人。
政治、経済、メディア、宗教など様々な領域から。
功績だけではなく、問題点や批判される点も交えて説明。

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2025年10月23日

Posted by ブクログ

自分が無知なこともあり知っていた人物もいれば本書を読むまで知らなかった人物。
特に75ページから紹介されていた中内功さん。
ダイエーの創業者であり、安売りにこだわり抜いた。時代の追い風もあり流通業界を牽引した。
しかし、ワンマン経営、時代の変化を捉えず経営破綻に陥った点は、私たちも今後学ぶべき。

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

池上さん自身も会っていた人の話もあるので、完全な第三者目線ではなかったが、それゆえの裏話もあって面白かった。
特に上皇陛下・上皇后美智子さまは戦後の日本の在り方を模索されていたと思うし、私が若い頃とは違う印象を持っていたので、とてもよく理解できた。

強いて言えば、だいたい30ページ程度ずつで書かれているため、消化不良なところもあった。いくら客観的にとは言っても主観は入るものなので、「この説明がなかったら違ったように解釈されてしまうのでは...」という箇所もあった。編集の問題もあるのかもしれないが。
ただ、普段なかなか取り合わされない12人であったので、様々な切り口での説明は、その方々それぞれで面白かった。30ページずつというのも、導入としてはちょうどいい量であることが利点だった。興味が湧いた人については、また自分で追求していこうと思う。

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2022年07月26日

Posted by ブクログ

何かを成した人は、良くも悪くも癖が、強い。また、その癖が、人によっては、魅力に感じる。
個人的には、石原慎太郎のベトナムでの砲撃に関する記載には、

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2021年05月19日

Posted by ブクログ

こんばんは! 今日のイチオシの本は、
『日本の戦後を知るための12人』:著 池上彰

 本書は、池上彰さんチョイスの、現代日本を形作った重要人物12人を語る本となっています。今回はその12人から【田中角栄】さんのご紹介をさせていただきます!調べてみると、田中角栄さんの人柄や人生はすごく面白いです。田中さんの成り上がりはまるで、農民から太閤まで上り詰めた豊臣秀吉、分かる人には分かるものですが『キングダム』の呂布韋のようです。
 このレビューを見れば、田中角栄という人物や当時の政治の流れを、【最速で大体知ることが出来る】ようになっています!政治や歴史のことになんとなく興味があるけどあんまり知らないよって方は勿論、興味なんかねえよ!って方にも面白い内容となっていますので、ぜひご覧ください!

※この記事は特定の政治団体や信条を支持するものではないです。あくまで、「面白いこと、ものをたくさんの人に知ってもらいたい」という本レビューの目的から書いており、本書と事実に基づいた内容となっていますので、ご安心ください。

●田中角栄...自民党の政治家であり、1972年の日本の内閣総理大臣。日中国交正常化などの大きな成果を挙げたが、「金脈問題」を契機に僅か2年で退陣。

①農民出身の内閣総理大臣
 日本の歴代総理大臣の中でも有名な田中角栄。さぞ有名大学出身のエリートなのだろうと思うところでしょうが、なんと彼は貧しい農民出身。しかも最終学歴は高等小学校卒。今で言うところの中学校卒程度の学歴しかありません。
 彼は高等小学校卒業後単身上京し、工場で働きながら夜間学校で勉強しました。その後、建築会社を設立して経験を積んだり、人脈を作ったりしていき、最終的には政治家になったという、努力で成り上がった人間なのです。これは、当時の「有名大学卒中心の政治」ではもちろん、今の「世襲政治」でもなかなか見られない異色の存在と言えるでしょう。
※「世襲政治」...現首相の安倍晋三は元総理である岸信介の孫、副総理の麻生太郎は元首相の吉田茂です。

②コンピュータ付きブルドーザー
 では田中角栄はどうやって成り上がったのでしょうか。暗記力、実行力等、要素はたくさんあります。しかし、彼を語る上で欠かせないもの、それは「金」です。彼は、工場で働いたり建築会社を経営したりした中で「金」の知識、使い方を培いました。政治家となってから、彼は金を上手く使うことで人の心をつかみ、成り上がっていきました。 
 彼の「金の使い方」を表す面白いエピソードがあります。これは総理になった後の話ですが、当時敵対していた議員が入院したとき、田中自身お見舞いに行きました。議員からしたらこれだけでも恐縮するのですが、帰り際に田中は封筒を置いていきました。その議員は、「田中さんは気前がいいからお見舞い金は50万円くらいかな。」と思い封筒を見てみたら、なんと500万円だったのです。しかも、それが4日間も続きました。合計で2000万円。
 こうやって田中は自分の見方を増やしていったのです。【金を豪快に巧みに操る、力と知をあわせ持った人物】ということで、彼は「コンピュータ付きブルドーザー」という異名を持つようになったのです。

③田中内閣の政策
 田中は総理になってから、外交では日中国交正常化、内政では列島改造計画と、大きく動き出していきました。
 当時、世界は資本主義と社会主義の対立という構造で、共産党が支配する社会主義国である中国と国交を結ぶのはとても難しい情勢でした(日本はアメリカとの関係もあり、資本主義陣営側)。そんな中、田中内閣はなんと発足してから【僅か3ヶ月後に】成し遂げます。
 列島改造計画に関して。田中は総理になる1ヶ月前に新聞記者や官僚を集め、これからの日本列島の土地をどのように開発していきたいかを大々的に発表します。(これはすぐに『列島改造論』という本になり、ベストセラーとなりました。)これに、大手ゼネコンや建設会社は飛びつきました。それは、【これから総理になる人がどの土地に鉄道や道路を作りたいかを知ることで、前もって土地の買い占めをし、利権を得ることが出来る】からです。これが理由で、1970年代前半に土地の買い占めブームが起こりました。
 
④幕引き
 しかし、田中内閣は長くは続きませんでした。1973年に第4次中東戦争が勃発し、石油が市場に回らなくなることで価格が高騰し、日本はオイルショックとなってしまいます。あらゆるものの値段が高騰し、土地の買い占めブームと悪い形で重なってしまったために、日本は混乱に陥りました。これが政権批判に繋がり、田中内閣は危機に陥ります。
 そして、文藝春秋社が田中がどのような金の使い方をして政治活動をしていたかという記事を世に出したことが決定だとなり、田中角栄は1974年、辞任という形で幕引きとなりました。しかし田中派閥の議員が首相になるなど、引退後も、その圧倒的な影響力は日本政治に残り続けたのです。

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2020年04月26日

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