有栖川有栖のレビュー一覧
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『謎を解くのは先生で、あんたが物語を完成させるんかな。それがコンビを組んでる理由や』
作中の容疑者が、火村・アリスコンビを評した言葉ですが、なるほどなあ、と思いました。何とも奇っ怪な事件に対し、今回も火村とアリスコンビはそれぞれの視点から、事件と物語にケリをつけます。
前世の記憶を共有するという人たちが集まり、開かれた占いの集い。その集いに参加していた二人が殺害され、さらに被害者の一人が予言された死の日付と、死亡推定時刻も近いことが分かる。事件の管轄である兵庫県警は、火村とアリスのコンビにも協力を要請する。
話の構成はやっぱり巧い。占いに隠された思惑と、被害者の生前の不審な動き。そこから過 -
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このミス2018年版6位。フーダニットの本格ミステリー。犯罪学者・火村英生がフィールド・ワークと称して殺人現場に赴いて探偵するやつ。25年間続いている人気シリーズらしい。過去にこのシリーズ読んだような気もするけどあんま印象ないです。最近なんだか本格ものが楽しめないのですよね。もともとこの人の本は好みじゃないのか評価点が低く内容も全然覚えてないんだけど、映像媒体やコミックが主流の中でわざわざ苦労して小説読んでも殺人の仕掛けとかが映像に比べて分かりにくくて小説のメリットが感じられないのですよね。やっぱ小説の存在意義は美しい文章表現と物語を兼ね備えた文学にあるのではなんて思ったりした。叙述系ミステリ
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Posted by ブクログ
心霊とミステリーが融合した短編集。
個人的には、第2作目を読んでから、この作品を読破。
心霊現象というと、普通は「これは〇〇で起こせる」や「〇〇を使えば再現できる」など否定する作品が多いですが、この作品は、心霊を肯定し、それをうまく使ってミステリーと相まっているので、新しい切り口で攻めてきている印象で、斬新でした。全7作から構成されていて、それぞれ程よい量なので、気軽に読めるかと思います。
あらゆる心霊現象から解決するまでのロジックがしっかりとしているので、なるほどと思うことが多くありました。ただ、衝撃的や驚きの展開というわけではありませんが、スーッと納得したという感覚がありました。
色々事 -
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有栖川さんのミステリの魅力は、アリス・火村コンビの掛け合いやロジックはもとより、時折不意に顔を見せる、有栖川さんの知的な面であったり、文学的な雰囲気もあるような気がします。この『海のある奈良に死す』は、そんな有栖川さんの側面が発揮された作品のようにも思います。
「行ってくる。海のある奈良へ」そう言い残し取材旅行に出かけた、アリスと同業の作家、赤星。彼が死体で見つかったのは、福井県の小浜。アリスは火村と共に調査を開始するも……
今回は旅情ミステリの側面も強かったかなあ。赤星が次作に取りかかる予定だった『人魚の牙』と「海のある奈良」という言葉の謎を追って、アリスたちは小浜に行くのですが、この辺