森博嗣のレビュー一覧
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「これから、きっと、どこかで女と会うんでしょう?」
「女って、誰のこと?」
「とぼけてる」
「まあ、人間のうち半分は女性だからね。もしかしたら、会うかもしれない」
『その言葉の嫌らしさは、僕が抱いている気持ちには微塵も存在しないものなのに、そのままは伝わらないだろう。それでも、その言葉しかないというのが、つまり、言葉が生まれながらにして汚れていることの証拠だ。』
「そうだね。不謹慎な話をしているね、僕たち」
「だって…」
「まあ、ビジネスっていうのは、ほとんど不謹慎なものだけれど」
「そうよ。そのとおり」
「何をしに、こちらへ?」
「なにも… ー 父のお供で。でも、パーティがあるわけでも -
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「つぶやきのクリーム」で、相変わらず良いタイトルで出してくるなあもう!とにまにまし、「つぼやきのテリーヌ」でげらげらと笑い、今回、「つぼねのカトリーヌ」で、そうきたかーと目を丸くしながらにまにました。
読書感想サイトの話が何度か出てきたけれど、たしかに、意見というよりも感情の垂れ流しになっているレビューもあるので、ユーザーだけれども納得してしまうところも。小学生の夏休み絵日記みたいな内容なら、寝かしておいた方がよほど有益かもしれませんね。と書きながら、自問自答。
そう、彼のこのシリーズで優れているところは、ユーモアのあふれた文章で、愛と理性を惜しみなくあげながら、ふと「あれ、じゃあ私は?」と思 -
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Chapter 3に出てくる理系のスエマツさんのレポートに、吹き出しました。森博嗣の本を読んでいて、くすっと笑ったり、ほほうと唸らされたり、ああと悶えたりすることは多々あっても、げらげら笑うことは少ないので、貴重な体験をさせていただきました。ああ、面白かった。なんなら、今でも思い出してにやけてしまいます。
楽しそうにこれまでの既存をばきばきと破壊、再構築していく森博嗣の本のあとに、筒井康隆の解説が入ってくるのがにくい。筒井康隆があまりふざけていないのも、これまたにくい。
粋な本です。
奇をてらった(などというと、また誤解を生みそうですが)森の中に、きらきらと輝く木が数本あって、それを意図的に見 -
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先日単行本版を読んだばっかりだけども、文庫版が出ていたので、再読。
解説が加えられているのと、文庫の大きさになっているという違い。
やはり、この静かで暗い感じはいいな。
最終的にどうなるのかを知っているので、また違う読み方ができた。
最終的にあそこに収束していく家族の形。
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【内容(「BOOK」データベースより)】
普通の家庭だったけれど、ちょっと変わった両親。最後に息子がしたことは破壊だったか、それとも供養だったのか?さよならだけが現実だ。血は争われない。森博嗣の家族小説。
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【著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)】
森/博嗣
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「つぼねのカトリーヌ」というタイトルだけども、同じく表記されている「The cream of the notes 3」がわかりやすいか・・・。
森 博嗣が、思いついた短いフレーズを集めて、それに解説をつけたエッセィ。「The cream of the notes」は訳すと「つぶよりなつぶやき」だとか・・・。
「つぶやきのクリーム」「つぼやきのテリーヌ」と続いた第3作が本作になる。
森 博嗣の素直な思考なのか、全くのウソなのか、どこまでもわからないエッセイだけども、読んでて楽しいのでついつい触れたくなってしまう。
「そうか、なるほど?」と思えることもあれば、「え?そうなの?」となることもあ -
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初めて森博嗣の本を読んだのは10代のとき。
彼は、今まで考えたこともない世界の見方をしているひとで、夢中になった。崇拝に近い感情だったと思う。彼に会えたらどうしよう、何て答えれば、彼に「近い」と思ってもらえるんだろうと考えていた。同調したかった。というよりも、森博嗣という存在に完全に捕食されてしまいたかった。
20代になると、森博嗣に認められたいと思うようになった。「近い」ではなく、「このこ、やるな」と思われたくて、色々考えた。と同時に、「どこにでもいる平凡なつまらないこ」と思われたらどうしようと戦々恐々の思いだった。
30代になった今、もっとニュートラルに森博嗣と(あくまで私の中での、だが) -
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森博嗣の『100の講義』シリーズ3作目『素直に生きる100の講義』
書きたくて書いているのか、書かされているのか分からないけども、森博嗣の思考に触れることができるのはファンとして嬉しい。
森博嗣って、真っ直ぐにひねくれている感じがする。
タイトルは「素直に生きる」なんだけども、甘ったるい素直さではない(ことはファンは重々覚悟していると思う)。
もはや、いたぶられたくて読んでいるような・・・、Mっ気というか・・・、そんなのを期待して読んでしまう。
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【内容(「BOOK」データベースより)】
人気作家が語る「ひねくれた世界」の正しい生き方。思い通りでなくて -
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『嘘で固めることは、真実で固めるよりも、ずっと才能が要求される。一番簡単なのは、嘘と真実をよく掻き混ぜて硬化させる手法である。』
「よくわかんないけど、まあ、でも、将来性はないみたい」
「将来性なんて、たいていのものにはないよ」
「研究の?」
「いや、研究以外でも」
「踊るロボット目当てで並んでいるみたいだけれど、どうして? ー だって、どう見たって人間が踊った方が凄いでしょう? 人間よりも劣っているロボットじゃあ、話になんないわよね」
「超観覧車、乗りたぁい」
「超は副詞だから、観覧車超乗りたい、と言わないと駄目だよ。超観覧車っていう、もの凄い観覧車があるのかって誤解されるよ」
「その -
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単行本が出版された時に、手に取って迷った末に買わなかったこの本『実験的経験 Experimental experience』が、文庫版で出たので購入。
本のジャンルを設定することに意味を感じなくなる本で、読めば読むほどタイトルの意味が身にしみる。
人に勧めるかと言ったら・・・勧めないけども、読んで楽しめたのは間違いない。
逆説的に提示される文章の構造や小説の形態の定義みたいなものを確認できた。
こんだけ縛られた条件で小説を読んでいたんだと痛感。
あとね、回収されない駄洒落があるんだけども、もしかしたら回収可能かもと思うと面白い。
ちりばめられた駄洒落の解釈が今後もネットで話題になるかもし