森博嗣のレビュー一覧
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著者の仕事の仕方が書かれていてとても為になった。
・地道に毎日コツコツやること
・やる気がなくともとりあえず、取りかかってみること
・めんどくさい道がもっとも失敗が少ない
・無駄な時間をなくすこと。本来やるべきことが取り掛かりやすくなるかも。
・ダイエットは確実に痩せる方法はあるのに(食べない、運動する)楽して痩せる方法を探してしまう。仕事も同じように楽して稼ぐことはできない。
・考えることとは、発想すること。発想してアウトプットすれば仕事に繋がり楽しくもなってくる。
・努力がしんどいのは、その努力に不信感があるから。試行錯誤、トライアンドエラーの繰り返しこそが人生。
・スポーツ選手の「楽しんでプレイできた」発言を信じてはいけない。好きでもないけれど、将来に置ける損得から生じる行動もある。
・一所懸命じゃなくて良い。一日少しずつ着実にするだけでも良い。
全然関係ないけれど、著者の小説はまず映像があってそこから文章を起こしているのだそう。 -
Posted by ブクログ
「ミステリ」に分類したが、この本の主眼は
ミステリ成分にはない、と思う。
割と早い段階で犯人分かるし(^ ^;
それよりも、ハードボイルドで洒脱な
登場人物達の会話を楽しむのが心地よい。
古き良き「探偵小説」という感じ(^ ^
ピート・ハミル的な?(^ ^
森氏の文章は、リズム感がものすごく強調されている。
平常部分はわりとゆったりとしたテンポで、
珍しくウキウキするシーンではアップテンポになり、
最後の空港に向かうシーンの激しさがあって、
最後の虚脱した「無音」のシーンがとても生きる。
もちろん、登場人物の魅力や校正の緻密さなど、
森氏らしいきっちりとした作風は健在。
その上で、「すべてがFになる」で見せつけられた
「天才の脳内の回路のつながる速さ」に通ずる
リズム・テンポの自由自在さが心地よい。
「読んでて気持ちいい」一冊でした(^ ^
文庫版巻末の杏さんの解説もグッド(^ ^ -
Posted by ブクログ
いつも、ハッとさせられた言葉が載っているページは読んでいる最中に折って、読み終わったら別のノートに書き写すようにしているのですが、今回もたくさんのページを折りました。
特に心に残っているのは、「平和は複雑だ」という箇所。単純さを求め、単純であることを是とする風潮があるけれど、あれは一種の懐古主義なのかもしれません。不安定であること、複雑であることにこそ成熟を感じるという彼の意見に大いに頷きました。
誰かに面白いですよ!と無理やり渡すのではなくて、個々のタイミングで出会ってほしいなと思う本です。誰かとシェアしたくなるというよりは、自分と対話したくなる本。 -
Posted by ブクログ
例えば、思春期に読んでいたけれど自然と離れていった作家さんはいるし、思春期に読んでいて、しばらく離れていたけれど読むのを再開した作家さんはいる。けれど、思春期の頃から継続して読んでいるのは、森博嗣ただ一人かもしれないなあと最近気づきました。
なので、レビューを書くといっても毎度同じことしか言えないのですが。とにかく、彼の思考が好きです。彼のものの見方や言葉選びが好きです。そして彼のそういった思考の片鱗に触れられることが嬉しくて仕方がありません。彼と同じ時代に生きていられて、彼が存命中に彼の本が読めることが、これ以上ない幸せです。
今回、冒頭の第一声(といっても良いのか?)がタイトルだったことに、すでにニヤニヤしてしまいました。
前作で起動されたコンピュータが本格的に動き始め、ハギリに話しかけるところでは鳥肌が立ちました。なんのために生きるのか、生きるとはどういう状態なのか、死ぬとはいったいなんなのか。答えが出ない(もしくは出にくい)命題について頭を使うこと、そのことに意義があるのかもしれないなあと読んでいて何度か、自分の思考の中にダイブしていました。
お話は面白くて、すごく入り込んでいるんですが、森先生の本はそれ以上に、「君は?君はどう思う?」と尋ねられているような気になります。それがとても怖いし、心地良い。森先生の作品を読んで、次の森先生の作品を読むまでの間、どうやって過ごしてきたのかと思いを馳せたくなります。ちゃんと生きてこられたのかな、とか。
人間VSウォーカロンといった陳腐なお話ではありませんが、そうだと認識してしまっている人間(もしくはウォーカロン?)たちが、これからなんらかの行動に出てもおかしくはないのかなと思うと、ハギリたちのなんてことない会話がすごく愛おしいです。 -
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韜晦した探偵兼ライターが主役で、
森氏らしい乾いた文体が全体を貫く。
が、文体は乾いていても、主人公の心の奥底には、
今もドロドロした思いが蠢いている。
そのドロドロが表に出ないように、薄いかさぶた一枚で
覆いをして、そのかさぶたをいつもドライに保つために
飄々とした風を吹きかけている...という印象。
前作があったようだが、私は未読なので
細かい過去のストーリーは分からない。
が、大きな後悔を抱えて生きている、
ということが分かれば主人公に感情移入できる。
みな、多かれ少なかれこんな「部分」は内包している。
一応はミステリで、連続殺人事件が起こり、犯人は捕まる。
が、ストーリーのメインはそこではなく、
主人公を取り巻く人間模様が丁寧に描かれる。
最後の「どんでん返し」も、事件ではない部分で発生(^ ^;
あ、そう来たか、と不意打ちを喰らう(^ ^;
本作を「表層的に」読むと、出てくる感想は
「まったく男って奴は」って感じだろうか。
でも、きっと前作を読むと、シリーズに通底する
もっと深いテーマみたいなものが見えてきそうな。
ぜひ前作を読んでみたいと思います(^ ^ -
Posted by ブクログ
『デボラがその可能性を挙げなかった理由は、きっと僕を不安にさせないためだったのだろう。それが優しさというものかもしれない。そう解釈するのは、僕の彼女への優しさでもある。』
「ああ、それは、この地方の古い言語らしい。聖書にも使われていた文字だそうだ。意味は、血か、死か、無か、だよ」
「血か、死か…?」
「無だ。ヌルだ」
「血、死、無 ー 意味は、そのまま」
「どれかを選べということかな? ー 何故、その三つなんだね?」
「イマンが言ったことですか?」
「君に与えられるのは、三つのどれかな?」
「死」
「イマンが欲しがったものは?」
「血」
「人工知能が人間を裏切るという可能性なんだけれど、彼らにしてみれば、人間が武器を持って争うような状況が、エネルギィの無駄にしか見えないだろう、ということ。だから、平和という状況は、とりあえずでも、望ましい。うーん、当たり前のことを言ってるみたいだね。ちょっと、違うんだ。平和が望ましいのではなく、エネルギィを消費しないことが望ましい。破壊工作は、彼らには割りが合わない愚行にしか見えない」
「衝動というものは、私たちにはありません。演算に加味されるとしたら、未知の選択に仮にかける期待値でしかありません」
「境遇に対する評価は行いません。目的が設定されて初めて、それを実現するための環境を評価することができます」
『そこに書かれていたのは、英語だった。〈blood / death / null〉と読めた。』
「私たちは、過去を伝えない。何も書き残しません。そうすることで、今という時を、確かな強さをもって生きることができます」 -
Posted by ブクログ
小説の書き方ではなく、小説家という職業について、著者の体験や考え方を中心に書かれた一冊です。悲観的な意見もたびたび見受けられますが、なるほどなと思える話も多く、個人的には実りの多い内容でした。
冷めた性格というより、はっきりと割り切った考え方をするんだなという印象です。だからこそ小説の執筆をビジネスだと意識し、プロとしての仕事を貫いているのでしょう。
読み進めていくうちに突き放されているような応援してくれているような、不思議な感覚になりました。何度か繰り返し読んでいますが、回を重ねるごとに自身の体験や知識と呼応する箇所が多くなり、より理解が深まるように思えています。 -
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Xシリーズの文庫は、帯が太めで、紙がざらりとした質感で好きです。本編を読む前に、表紙の絵と、帯の質感を楽しんで、それから中に入っている栞の詩を読むのが好きです。SMシリーズからずっとそうしてきているので、森先生の講談社文庫の小説を読むときの、一種の儀式のようにも思ったりします。
Xシリーズの1巻目を読んだときは、えらくあっさりしているな、いやSMシリーズもVシリーズもあっさりしていたけれど、と思ったものでしたが、だんだんと色が変わってきました。タマムシ色というか、ある角度から見ると驚くほど透明で、またある角度から見ると濁っているように思うほど濃厚で、毎回それを体験しては、ううむさすが!と唸っています。
猫目トーチカさんが解説の部分でもおっしゃっていますが、これまで森先生が培ってきた読者との「信頼関係」をあますところなく使っていて、特にエピローグの会話は鳥肌ものです。たぶんXシリーズから入るひとにも理解できるような造りにはなっていると思うのですが、SM・Vシリーズを体験してきていると、まるで走馬灯のように、つまり自分自身が経験してきたように、あああのときの事件の、あのときの彼の行動はつまり…と、ふいに過去の体験が現実に繋がって意味をなす瞬間を感じます。
どかんと突き飛ばされるような衝撃ではなくて、どちらかといえば、あと数時間遅れてこの場所に来ていたら、私も事故に巻き込まれていたのかも…とうすら寒くなるような、そんな衝撃がじわじわと心を侵食するのが、恐ろしくもあり楽しくもあり。 -
Posted by ブクログ
森博嗣Xシリーズ第5弾、面白かった。
今回は椙田の出番があまりなかったが、会社の社長として社員に対し的確な指示を出しているのはさすがだと思った。ところでいつも不在の椙田社長だが、困った時は結構すぐに連絡が取れるというのも偶然なのかね。
真鍋くんの活躍が光る。なかなか推理も冴えているし、アルバイトどころか社員だったとしても有能なのではないか。永田さんとの距離が前作より縮まった感じもあり、これからのお二人の関係も見所になるのか。
小川助手の過去が気になる。あの回想場面は今後の伏線なのか。鷹地が今後どう絡んでくるのかも気になる。
解説の香山リカさんが述べているように、人間の心理なんてものは本当のところ、よくわからないのだろう。事件の動機は何かとかわかった気になっているだけで、スッキリするのは小説の類の上だけかもしれない。