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Posted by ブクログ 2017年05月12日
【あらすじ】
パリで連続殺人事件が起こった。その発端となった女優殺害事件の現場で、両手を縛られて拘束されていたのは、重要参考人のリオン。彼は「神が殺した」とだけ証言するが、結局真犯人の手がかりは掴めないままだった。やがて起こった次の事件でも、ピアニストが絞殺された現場にはリオンがいた。たったひとつの...続きを読むヒントは、彼の異様なまでの美しさだけ。舞台はフランクフルトから東京へ移り、インターポールによる捜査が始まる。
【感想】
Posted by ブクログ 2016年05月18日
私にとって、久々の森作品。
シリーズものでないミステリだし、
外国が舞台で主人公が外国人の小説を読むのも、
そう言えば久しぶりだ。
内容は...かなり複雑な、こった作りになってる。
登場人物も多いし、当たり前だが外人名前だし、
気合いを入れてないと誰が誰か見失う(^ ^;
様々な国にまたがり、殺...続きを読む人事件がいくつか起こる。
その全ての現場に、主人公の学生時代のルームメイトで、
ものっっそい美少年だった男がいた、という展開。
しかし、その美少年は犯人ではなく、
意外にも「主人公がやった」と証言して、
否応もなく事件に巻き込まれる主人公。
何とも不思議な空気が流れる文体で、
緊迫したシーンでは改行を多用する森氏らしい面も。
地の文がわりとゆったりしたテンポなので、
いざという時のドキドキ感はハンパない(^ ^
ミステリ好きは皆そうだと思いますが、
途中で「もしや、こいつが犯人では」とか
「あ、これはこういう『意外な展開』かな」とか
予言者となりつつ読み進めるようになる。
当然、その予想は当たったり外れたりして、
外れると「見事などんでん返し」などと言って
喜ぶのがミステリ読みだったりするのですが...
この作品は、途中で「もしや」と思った予想が
「全部当たっている」というウルトラC(^ ^;
矛盾しているものも含めて、全部(^ ^;
しかもなお、たたみかけるように襲ってくる、
私の予想の斜め上を轟音で飛び去るような展開(^ ^;
かなり「反則」に近い叙述トリックではありますが、
あ、そう言えばあの違和感の正体はこれだったか、
と後から気づくように伏線はきちんと張られている。
文庫版は、萩尾望都氏の解説が秀逸。
ネタバレしてるので、必ず読後に見ること。
「あ、そういう意味もあったのか」と気づき、
すぐ再読したくなること請け合いです(^ ^
Posted by ブクログ 2016年04月24日
※ネタバレ含みます!!
久々に森博嗣さんを読んで面白いなと思えた作品。ふおおおなるほどそうくるかなるほど愛ゆえなのね!!!ってなります。正直ミシェルのことが謎すぎて読後にふおおおお!ってなるんだけど
所詮人間他人のことなんて理解仕切れないんだし、これくらいふわふわさせたほうがよかったのかもしれな...続きを読むい。神が殺してくれる。まさにそんな感じ。
Posted by ブクログ 2022年04月03日
Wシリーズの小休止のつもりで手に取ったが、読み始めたら最後ページを繰る手を止められなかった。
主人公の手記のような体裁で始まったこの本、登場人物ひとりひとりにそこはかとない濁りを感じて「黒幕はこの人?いや、この人?」と推理しながら読んでいく。
懺悔パートに入ってやっぱりこの人か…と落胆しそうになっ...続きを読むたのも束の間、奥にある真実を知って「えぇ!?」と声に出してしまった。いやー、気づかなかった…!真実を知ってから思い返すと、確かに言葉の端々に違和感あったな…とは感じるものの、いや、まさか、そんな斜め上を…。
同性愛、血縁者との愛、血の繋がらない家族間の愛、それに対する倫理観と時代錯誤性、宗教観。
DNAのサンプルの根源について考え出したら、それこそ性別があべこべ、さまざまな関係がひっくり返って混乱する。性別の先入観に囚われてるのかと頭を抱えつつも、いや、生物学的に考えたら…とぐるぐるしてしまう。
海外の人はすぐ神の名を出すけど、日常的に神を持たない日本人には感覚が難しい。
結局は誰が誰を、どういう意味で愛していたのか、掴むことができなかった。
ーー真実というよりも、真実の上部の本当に綺麗な上澄みだけを掬い取ったものだと思う。
手記に書かれた最後の言葉、これを見て掴むことは諦めた。
主人公が隠したのなら、書けなかったのならもう分からない。
越えてはいけないラインがあって、たまたまそれを越えなかっただけ。そうであると、たまたま育てられただけ。
読書後よく思う。人はいつもギリギリで均衡を保ってるだけで、それはいつでも簡単に崩れる。
自分は、運が良かっただけなのかもって。
なんかでも、結局主人公が一番世の中の目を、性別を、気にしてるんだよね
ーー皆さんは、ゴーストを待っているのですか?
Posted by ブクログ 2021年06月18日
シリーズものではないため読み逃していた作品。この結末はアンフェアだと感じる人がいるかもしれない。自分の場合は、この人物が犯人というパターンもあるかも?と可能性の一つとして思った瞬間もあったが、それとはまったく別のレベルの真相に翻弄されるのを楽しんだ。実は、文章を追っていくだけで既に読書体験のかなりの...続きを読む部分で満足したと感じるほど、森博嗣の文体・表現が好きなので、ストーリーも面白いとなれば得した気分。どの作品も両面でクオリティが高いけれど。
Posted by ブクログ 2017年06月19日
なんだか不思議な感じのする本。
主人公はフランス人なんだけど、無国籍な雰囲気が漂う。それが大きなスパイスになっているような気がします。殺人事件なのに穏やかな雰囲気で進んでいく物語も最後のどんでん返しには、驚かされ引き込まれました。
Posted by ブクログ 2016年10月15日
ノン・シリーズ、初長編森作品。まず装丁に目を奪われ、文体も流れるようで大変読みやすい。主人公・レナルドとそのパートナー・ミシェルの性別も文章の通りだと思い、解説を読んで『あっ!?』と・・(^^; 愛と美についての物語でした!
Posted by ブクログ 2016年09月24日
インターポールで働く主人公のレナルド・アンペールのもとにフランスの刑事がやってくる。
殺人現場で両手を縛られた状態で発見された重要参考人リオンが「神様が殺した」、「神様の名前はレナルド・アンペールだ」と証言したと聞かされる。
リオンは男性ながら女性以上に完璧で美しい容姿をしている。
レナルドとリオン...続きを読むは大学時代に半年間だけ寮が一緒だっただけで特別親しい訳では無い。
リオンの妄言だろうか。
手がかりの無いままミラノで絞殺事件が発生。またしても現場にはリオンが拘束された状態で発見された。
異常に美しいリオンを中心に起こる殺人の犯人は誰なのか。
そんなお話。
*
簡単にいうと、女性にしては美しすぎる男性のリオンに心を奪われた人達の愛憎劇なんだけど、読み終わるとそれ以上の示唆を含む考えさせられる内容でした。
(ネタバレしないために深くは言うまい。)
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途中まで単なる推理もので退屈だったけど、まさかの叙述トリックでした。
毎度毎度、予想外のトリックで楽しませてくれる森先生。
叙述トリックも出来るとは…
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読んでてゾクゾクしました。
これだから読書は辞められない。
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ちなみに、幻冬舎文庫のカバー外した表紙が無条件で好き。
Posted by ブクログ 2016年08月12日
誰がなにを思い、どんなトリックが隠されているのか、どんな結末を迎えるのか、最後まで引き込まれて、あれ、あれれ、やられた。。。って感じ。
そんな森氏が好きなんだな。
Posted by ブクログ 2016年07月02日
タイトルの奇抜さと、表紙の美しさに魅かれて衝動買い!
森博嗣さんの本は、「すべたがFになる」シリーズを途中まで読んでますが、このシリーズ以外は初めてでした。
海外が舞台なので登場人物の名前がカタカナ。しかも様々な国を渡り歩くので舞台も混乱し、必死で読みました(笑)・・・そういえば暫く日本のものば...続きを読むかり読んでたな私。
主人公の語りでつづられていくので、主人公目線のため、彼が知らないことは、わからない。描かれない。
これは、もやもやしたりイライラしたりするんだけど、そこが面白い。主人公になったつもりで謎ときをすることになるので、感情移入もしてしまう。
ユニセックスで美しすぎるリオンの周りで起こる連続殺人事件に、学生時代たった半年ルームメイトとして過ごした主人公が巻きこまれ関わっていくことになる。
多少の矛盾や無理くり感も無きにしも非ずだけれど、いいと思う。ミステリーとして十分楽しめたから。
ラストは少し切ない。
でも、このどんでん返しと裏切りは、なかなか面白かった。
ただし、好き嫌いは分かれるかもしれない。
私は好き。。。
Posted by ブクログ 2016年06月24日
衝撃的な容姿の美しさをもつ男性が、主人公の後輩として登場する。フランスーイタリアードイツー日本と4か国でおこる殺人事件に、美しい後輩がからんでいることを知った主人公は、ほっとけずに謎を究明していく話。
異常に美しい男の子とか、インターポールに勤めている主人公とか、現場の手掛かりが全くないとか、現実離...続きを読むれした要素が多くてこのままふわふわした感じのまま終わるんじゃないかと思ったが、結末で納得できたかなという感じ。
このタイプの森ワールドも好きで楽しめるが、マジメおもしろい言葉の会話がもっととびだしてほしかったかも。
Posted by ブクログ 2016年05月14日
『女性にしては美しすぎる』
テーマはaime。主な舞台が日本でも米国でもなく、フランスなのが珍しいなと思ったけど、そういう理由だったとは。該理由により舞台にはなり得なかったドイツや日本の警察官とのやり取りが醸し出す空気もまた趣深い。「美しさ」と「狂気」というのは、どうしてこうもシンクロナイズするの...続きを読むだろう。しかも、その「狂気」が冷静で、かつ無自覚であればあるほどに、その「美しさ」を際立たせる。まさに、小説にしては美しすぎる。
Posted by ブクログ 2016年05月08日
気付いたら引き込まれてしまっていた、とても現実らしいのにどこか幻想の中のような物語。男と女と、男と、どちらでもない人。
萩尾望都の解説がとても分かりやすくて良かった。自分で読んでいただけなら、ただの幻想的な推理小説で終わってしまっただろう。
「神様はリオンを愛する」。神様はだれ?
Posted by ブクログ 2024年03月12日
文章は相変わらずとても綺麗。
森博嗣さんの作品としては、いつもと雰囲気違うなーという印象。
叙述トリック系は基本好きなんですが、この感じはあまり好みではなかったです。
手記形式なので、真相がほぼ読み手の想像になってしまうので、楽しいところもあるけどモヤモヤも結構残ったままです、、、
Posted by ブクログ 2023年01月14日
岡山の旅先で見つけて、森博嗣、こんな海外小説風なミステリィもかくのか!ってなりました。
なかなか特殊な設定でしたよね(おぼえてない
トリック的には、ああこのパターンかとなってしまったが、そもそもの設定が面白いので読む手が止まらなかったですね。
Posted by ブクログ 2018年09月24日
仏、伊、独、日の四ヶ国を股に掛ける連続殺人事件にその存在を残す美貌の青年・リオンを元ルームメイトの主人公が追いかけるミステリー。紀行小説さながらに舞台を移しては、忙しなく展開する構成に反し、描写もストーリーも淡々と進むのに、演劇的な印象を強く受けるのが何とも不思議。怪しいと睨んでいた人物が正に犯人だ...続きを読むったが、そのトリックには思わず(一瞬)頭がフリーズ。このミスリード誘導の為にしては随分複雑な人物相関図だった様な気もする。解説を書く漫画家・萩尾望都さんの解釈が示す様に、往年の少女漫画をイメージする作品だった。
Posted by ブクログ 2018年04月29日
シリーズの登場人物達もないし、未来や架空の世界にぐいぐい引き込んでいく訳でもなく、淡々としている印象。森博嗣の独特な濃密さはあまり感じられなかった。とはいえ、無駄のない精緻な文章だと思う。
終幕の急展開には息を飲んだが、正直、何が犯罪の原因だったのか、消化不足に終わった。
「レナルド・アンペールが...続きを読む殺した」というリオンの供述に対し、そのレナルドなら犯人の可能性に思い至って良いんじゃないだろうか。その点、ちょっと不満が残った。犯人の犯行時の行動も特に主人公レナルドから記されてないので、その点も物足りない。
まあ、ミステリーを書こうとした訳じゃないんだろうな。
解説の萩尾望都からこの作品の倒錯的な裏側を知らされ、頭がクラクラした。
この作品を味わうには、当方の想像力が不足していたということなんだろう。
Posted by ブクログ 2016年06月23日
トリック自体はあまり好きなものじゃなかったけど、この小説は、それ以外の部分に魅力があったように思う。
人と人との不思議なやりとりが不気味かつ綺麗だった。