森博嗣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
わかっているけどできない、ということはつまり、本当には理解していないということだ。
という箇所が、ここ数年、早く寝ようと努力しているはずなのに、ついつい夜更かしをしてしまう自分に向けて書かれているようで、ぐさりときました。なるほど、私はまだ早寝の効果や早寝するべき理由を本当には理解していなかったのか…と粛々とした気持ちになりました。
100個のエッセイで、どれも前作に比べると辛辣さが減ったというか、まろやかな優しさに変化したような。それよりも、多様性についての表記が増えたように思いました。
引退する、と知ったときは世界が崩壊するんじゃないかというくらいの衝撃を覚えたのに、いつのまにか引退するとおっしゃっていた時期を過ぎても本が刊行されていて、いつのまにか新しいシリーズもスタートし、もしかして引退を取りやめたのだろうか、だとしたらこんなに嬉しいことはない、引退をとりやめてくれてありがとう!と思い続けた数年であったというのに、なんと森先生はすでに引退されていたのでした。引退しても仕事をそのまま続ける人もいるでしょ?の一文に、久々にまんまとしてやられた感を味わい、取り越し苦労だったとがっくりくるやら、これこれ、こういう気分にさせてくれるから好きなんだ、と思うやら。
100個のエッセイ、いつもこちらの感情をぶんぶんと振り回してくれて、とても楽しいです。 -
Posted by ブクログ
トランスファがさらに人間らしくなってきて、人工知能とトランスファの違いがさらに無くなってきて、ちょっと話が分かりにくくなってきたのできちっとその辺を意識しないとついていけなくなる。
今回は、日本のウォーカロン・メーカーのイシカワの工場が謎の人工知能に占拠されてしまったという話で、当然ウグイやハギリ博士がそこに関係していくことになる。
前巻からそうだが、もうハギリ先生はどんな危険な場所へもウグイに連れられていくというのが基本となってしまったようだ(笑)。
でも今回活躍したのは、キガタ・サリノ。危険な宇宙空間での任務をサリノが達成し、サリノがウグイに抱きしめられるというシーンはウグイ・ベストシーンのトップ3には入ると思う。
ちなみにWシリーズを実写化したらウグイ・マーガリィ役はベタだけど綾瀬はるかさんが似合うと思う。綾瀬はるかさんが、シックなスーツ姿で、指先を顳顬にあてて通信する仕草とか、常に無表情なんだけど、戦闘シーンではきりっとしたりりしさで敵をやっつける姿なんて・・・もう簡単に想像できる(笑)
次巻の最終巻でウグイ、ハギリ博士、サリノ、アネバネがどのような結末をたどるのか・・・。気になって眠れない。 -
Posted by ブクログ
人工知能やトランスファや人間と変わらないウォーカロンなどの登場で、機械と人間の差がどんどん無くなってきている状況。人工知能もシンギュラリティーを超えれば、自然と人間や他の生物のように、病気になったり、悩んだりするのかもしれない。
そう言えばこのWシリーズには『シンギュラリティー』って言葉は出てこないが、今から200~300年後の未来っていう設定だからとっくにシンギュラリティーを迎えているはずだけど・・・。これはこれで未来のあり方としておもしろい。
本当に個人的な感想なのだが、この巻のウグイはちょっと積極的(笑)。今までウグイはハギリ先生をできるだけ危険な場所に連れて行ったり、危険な目に遭わせないようにしていたと感じているが、今回のウグイはあえて、「私が危険な場所に行くのですから、ハギリ先生もついて来てください」的な雰囲気を感じる。ハギリ先生あってのウグイみたいな。
これに似た雰囲気が名作柔道漫画の『YAWARA!』で主人公の猪熊柔が彼女の記事をずっと書き続けてきた日刊エヴリースポーツの松田記者がいなかった試合で大スランプに陥るって場面があったけど・・・似てないか?・・・似てないですね。
もしウグイにそんなことを指摘したら、「事実に反することはすぐに訂正してください。」ってクールに返されそう。いずれにしても次巻が楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人工知能とクローン人間にスポットを当てたテーマだったが、今回はそんなことどうでもよくて、ハギリ先生とウグイの関係でしょ!
ハギリ先生の護衛担当がウグイからサリノに代わったけど、ハギリ先生が無意識になにかとサリノをウグイと比べているところが微笑ましい。
そして、なんといってもハギリ先生とウグイが居酒屋で食事をする場面。もう、ニヤニヤが止まらない。この巻までのウグイ名場面集のトップ3には間違いなく入るシーンだったね。
なんか、こういう視点でWシリーズを読むのは間違っている気もするけど・・・笑。
もう、この二人いい歳して、中高生の恋愛か!って突っ込み入れたくなるけど、まあ、恋愛とか愛情とかあまり重視されない未来の時代はこういう感じなのかもしれないね。
二人の関係も含め、このシリーズどうなるのか、楽しみで仕方ない。
だれか、wシリーズを映像化してくれないかな。アニメでもドラマでも実写映画でもいいから~ -
Posted by ブクログ
ミチルとロイディにまた会えるぞ!と意気揚々と読みだしたら、鮭川とか知らない名前がたくさん出てきて、なんだか時代もそこまで未来ではないようだし…あれ?間違えたのかな?としばし途方に暮れながら読み進めました。
そして、まあ、これはこれで面白いかも…とストーリーに入り込んだあたりで、だんだんと「自分」が混在する内容になり、今度は違う意味で途方に暮れました。
この「私」は一体、今は誰のことを言っているんだろう。そもそも、これだけの人数は存在しているんだろうか?脳内での会話とかじゃなくて??
小説って、連鎖的というか、ビビっときたシーンを取り出すことはできても、そこだけではその衝撃は伝えられなくて、そこまでに至るすべての言葉に意味があるような。そういう意味では、まるで音楽のようだと思います。
理由は説明できないけれど、とにかく背筋がぞくっとする、なぜかは自分でもわからないけれど、ふいに涙が出てくる。本を閉じたくなる。目を閉じて、今自分が感じている、名前をつけられない、手にすることもできない、目で見ることもかなわないなにかを、大事にしたい。一瞬で消えてしまうとわかっていても、その残り香を覚えていられるようにしたい。そういう気持ちになることが、もしかしたら「感動」というのかもしれません。
ネタバレになるようなことすら書けないくらい初読では難解な内容で、それっぽく理解したり解釈したりすることがもったいなく思えるほど。何度か読んで、ゆっくりと咀嚼して、じっくりと向き合いたくなる本です。
読んでいる間、何度も、そういえば数年前まで引退するって言ってたっけ。引退することをやめてくれて、私はなんて幸運なのだろう、と思っていました。たとえ理解できなくても、森博嗣という才能と同時期に生きていられて、とても幸福だと感じます。