森博嗣のレビュー一覧
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韜晦した探偵兼ライターが主役で、
森氏らしい乾いた文体が全体を貫く。
が、文体は乾いていても、主人公の心の奥底には、
今もドロドロした思いが蠢いている。
そのドロドロが表に出ないように、薄いかさぶた一枚で
覆いをして、そのかさぶたをいつもドライに保つために
飄々とした風を吹きかけている...という印象。
前作があったようだが、私は未読なので
細かい過去のストーリーは分からない。
が、大きな後悔を抱えて生きている、
ということが分かれば主人公に感情移入できる。
みな、多かれ少なかれこんな「部分」は内包している。
一応はミステリで、連続殺人事件が起こり、犯人は捕まる。
が、ストーリーのメイ -
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聖地。チベット・ナクチュ特区にある神殿の地下、長い眠りについていた試料の収められた遺跡は、まさに人類の聖地だった。ハギリはヴォッシュらと、調査のためその峻厳な地を再訪する。ウォーカロン・メーカHIXの研究員に招かれた帰り、トラブルに足止めされたハギリは、聖地以外の遺跡の存在を知らされる。小さな気づきがもたらす未来。知性が掬い上げる奇跡の物語。
「裏表紙に記載」
読み進めるうちにドキドキが止まらなくなる.哲学的.何処へ行くのだろう.そしてあの人へとつながっている証拠がポロポロと出てきて、さらにドキドキが加速する.
途中、ハギリ博士がタナカさんに「彼女(ウグイ)は人間です」と言った言葉に、ハギリ -
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小説の書き方ではなく、小説家という職業について、著者の体験や考え方を中心に書かれた一冊です。悲観的な意見もたびたび見受けられますが、なるほどなと思える話も多く、個人的には実りの多い内容でした。
冷めた性格というより、はっきりと割り切った考え方をするんだなという印象です。だからこそ小説の執筆をビジネスだと意識し、プロとしての仕事を貫いているのでしょう。
読み進めていくうちに突き放されているような応援してくれているような、不思議な感覚になりました。何度か繰り返し読んでいますが、回を重ねるごとに自身の体験や知識と呼応する箇所が多くなり、より理解が深まるように思えています。 -
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Xシリーズの文庫は、帯が太めで、紙がざらりとした質感で好きです。本編を読む前に、表紙の絵と、帯の質感を楽しんで、それから中に入っている栞の詩を読むのが好きです。SMシリーズからずっとそうしてきているので、森先生の講談社文庫の小説を読むときの、一種の儀式のようにも思ったりします。
Xシリーズの1巻目を読んだときは、えらくあっさりしているな、いやSMシリーズもVシリーズもあっさりしていたけれど、と思ったものでしたが、だんだんと色が変わってきました。タマムシ色というか、ある角度から見ると驚くほど透明で、またある角度から見ると濁っているように思うほど濃厚で、毎回それを体験しては、ううむさすが!と唸っ -
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森博嗣Xシリーズ第5弾、面白かった。
今回は椙田の出番があまりなかったが、会社の社長として社員に対し的確な指示を出しているのはさすがだと思った。ところでいつも不在の椙田社長だが、困った時は結構すぐに連絡が取れるというのも偶然なのかね。
真鍋くんの活躍が光る。なかなか推理も冴えているし、アルバイトどころか社員だったとしても有能なのではないか。永田さんとの距離が前作より縮まった感じもあり、これからのお二人の関係も見所になるのか。
小川助手の過去が気になる。あの回想場面は今後の伏線なのか。鷹地が今後どう絡んでくるのかも気になる。
解説の香山リカさんが述べているように、人間の心理なんてものは本 -
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ネタバレ情報は好きか嫌いかで選択するものではなく、自分との関係で評価すべきもの。(好ましくない情報に注意を向けなければならない時もある)
人間の社会は元々の自然に比べれば、だいぶ良くなってきている。考えることで人工的に平和を作り、擬似的に仲良く争わずにみんなで暮らそうという方向に進んでいる。
自分が質素に生きられるだけのものをもらい、それ以上は受け取らない、という僧侶のような生き方もある。しかし、熱心に仕事に励んで、たくさんの人のためになる生き方もある。後者は必要以上の金をもうけるけれど、僧侶よりは大勢の具体的な役に立っていると見ることもできる。どう行動するかは、本人の自由。
できる限り色々な人