今邑彩のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
アンソロジーは、初読みの作家さんを手に取るきっかけにもなるのだけど、今回は、お馴染みの作家さんに大軍配な感じ。
「ウシュクダラのエンジェル」
他の国の宗教や慣習を安易に批判・否定するわけではないのだけど、なんとも切ない展開だった。そういうお話に、京介の語り口がやけに似つかわしい。
「禁じられた遊び」
ずっと綸太郎パパの入院話で、どんな事件に関わるのかと思ったら。
あの映画を一ひねり二ひねりした展開はさすが。
でも、名探偵の本領発揮はなかったような(笑)
「詩人の死」
なんていう毒を含んだ作品なんだろう。
いかにも葉村晶、いかにも若竹七海。
「バルーン・タウンの裏窓」
懐かしのバルーン・タ -
Posted by ブクログ
ネタバレ刺殺された作家「砂村悦子」が,自らの遺作となる作品に見立てるような形で,殺害される。砂村悦子の遺作には,、自分が5歳のときに従妹である「アイ」を殺害したこと,「アイ」が鏡の中から自分の悦子の命を狙っていることなどが書かれている。
「悦子」の殺害現場は,鏡に向かって歩いていく血の跡が残っていた…。本当に,「アイ」が悦子を殺害したのか?…という設定だが,トリックは殺害現場が悦子のマンションではなく,悦子の実家であったというもの。悦子の母である里見充子が真犯人で,殺害時間に悦子の実家にいたというアリバイを,絨毯ごと移動させて,殺害現場を悦子のマンションに見せかけた。
これはなんというか…バカミ -
Posted by ブクログ
ネタバレいわゆる「館モノ」。館の名前の読み方のむつかしさは,全「館モノ」の中でもトップクラスだろう。「えにしだ」と読む。
完璧に封印された館で,グリム童話の「狼と七匹の子やぎ」に見立て,6人を殺害するという事件が起こる。金雀枝荘では,70年近い前に使用人の無理心中事件も起こっており,完璧に封印された館での殺害は,その呪いのようにも思われた。
金雀枝荘は,実業家の「田宮弥三郎」が建てた館である。ドイツからエリザベートという娘を妻に迎えたが,わずか二年しか一緒には住まなかった。
大量殺人事件が起こってから1年後のクリスマスに,生き残った田宮乙彦,松田杏那,松田類,鈴木冬摩の四人の田宮弥三郎のひ孫と -
Posted by ブクログ
ラジオ番組の人気DJの元に養父から性的虐待を受けており、このままではいつか養父を殺してしまうかもしれない、という主旨の手紙が届く。
匿名の手紙であったが、F女子学院という学校名と養母は亡くなっている、という手紙の内容から手紙を受け取った女性DJは差出人の少女Aを特定しようとする。しかし、その矢先に少女Aの候補の一人である女子高生の父親が殺されてしまう。
少女Aはこの女生徒なのか、手紙にあったように養父を殺してしまったのか、そしてF女子学院の教師でもあった父親は女生徒を虐待していたのか?
途中、少しややこしい感もありましたが、最終的にはスンナリ腑に落ちる感じに落ち着きました。
ただ、一学年に三 -
Posted by ブクログ
短編集でありながら、前の話に脇役で出てきた人が次の話の主人公に…という感じでつながっている構造の短編集。
で、最初ざーっと読んだ時に3話目の主人公が前の話のどこで出てきた人なのかが分からず
分からないまま、ミステリ好きの友人にこの本を貸したら
人物繋がり一覧を作って、返してくれたので
その一覧を片手に、もう一度頭の中で人間関係を整理しながら再読。
人間関係を忘れないうちに再再読して、やっと
それぞれの登場人物の人物像にまで気が回るようになって
やっと、楽しめたー!という感じ。
構成が凝っているだけに、この人はこういう性格なのね
とか、こんな感じのひとなのかなーとか
物語を味わえるまでにだいぶ -
Posted by ブクログ
ネタバレトケイ館の殺人と言えば、真っ先に思い浮かぶのが綾辻先生の時計館の方なのですが。今邑先生の時鐘館の方も、なかなか捻くれてて良いですね~(笑)。
謎の提起を「作家から読者への出題」という体裁にしておいて、「掲載する為には字数制限を守らなければならない」という問題をクリアする為に作家が取った解決策が面白い。プロローグすらも伏線なのですね~(^^)これは面白い!
他の作品もホラーなオチがついていたり、巧妙な叙述トリックがめぐらされていたり。全体を通して「意外なラスト」が楽しめる短編集です。
◎生ける屍の殺人…有名作家の別荘で男女の死体が発見された。現場の状況から、女が男を殺害したように考えられたが、