池井戸潤のレビュー一覧
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マネー・ローンダリング(マネロン、資金洗浄)とは、犯罪で得た資金の出所を隠し、あたかも正当な手段で得た資金のように見せかける行為です。これには、架空口座や他人名義の口座を経由した資金の移動、株や債券の購入、偽装取引など様々な手口があり、国際的な犯罪組織やテロ活動の資金源となるため、各国が国際的な連携のもと対策を強化しています。
女子高生・麻紀の父が経営する会社が破綻した――。かつて商社マンだった社会科教師の辛島は、その真相を確かめるべく麻紀とともに動き出した。やがて、2人がたどり着いたのは、「円」以上に力を持った闇のカネによって、人や企業、銀行までもが支配された街だった。 江戸川乱歩賞受賞 -
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『誰にでも抱かれる感情が引き起こした最悪の事態に立ち向かった“強くないヒーロー”の物語』
「イラついたことへの腹いせ」という理由で起こる事件は数多とある。
それは、警察沙汰になるような事件から、身内だけで解決されてしまうようなものまで、大きさは様々だ。
さらに、これら事件の中には「被害者が私をイラつかせた」という犯人の自己中心的な理由で起こされたものまである。
本作は、そんな事件が最悪の形で起こされる。
本作は、真面目に働き、他人に意見することなど滅多にないサラリーマン・倉田太一が、帰宅ラッシュで混雑する電車に割り込み乗車をした男性へ注意したことが引き金に事件が起こる。
「自分に危害を加 -
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ネタバレさてさて、続きです。入院中に読破してしまった「空飛ぶタイヤ」文庫下巻。
なんだよー!解決の糸口は週刊誌のスクープかと思ったら違って、警察のやる気でした。それなら最初からちゃんと捜査してくれればいいやん!と思いました。
日本の警察は、本当に圧力に屈したりはしないのかな、そこ、マジで心配。
あと、赤松社長と三菱…いや、失礼、ホープ自動車との闘いの物語と思ってずっと読んでいたのに、銀行の融資の話がかなり大きなウェイトを占めていた!
ちょうど最近、「奇跡の経済教室」という本を読んで、銀行が融資をすることで将来的な価値を生み出している、ということを理解し、非常に興味深いと思っていたところだったので、それ -
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池井戸潤デビュー作
「最後に一つだけ、教えてもらえませんか。信越マテリアルから技術者を引き抜いてるというのはなんという会社ですか」
「社名は──株式会社テンナイン。代表取締役仁科佐和子」
109──あれはテンナインと読むのではないのか。
「つまり、99・9999999999パーセントのことをテンナインっていうの。半導体でいうと、シリコンウェハーの材料になる単結晶シリコンは高純度でなければならないわけ。そのメルクマールがテンナインなの。
東京シリコンが割引に持ち込んだ手形はすべて信越マテリアルが振り出した実体のない手形だった。しかし、その代金は信越マテリアルではなく、仁科佐和子という女性 -
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埼玉県行田市にある「こはぜ屋」は、百年の歴史を有する老舗足袋業者だ。といっても、その実態は従業員二十名の零細企業で、業績はジリ貧。社長の宮沢は、銀行から融資を引き出すのにも苦労する日々を送っていた。そんなある日、宮沢はふとしたことから新たな事業計画を思いつく。長年培ってきた足袋業者のノウハウを生かしたランニングシューズを開発してはどうか。
社内にプロジェクトチームを立ち上げ、開発に着手する宮沢。しかし、その前には様々な障壁が立ちはだかる。資金難、素材探し、困難を極めるソール(靴底)開発、大手シューズメーカーの妨害「下町ロケット」を思い出した。
チームワーク、ものづくりへの情熱、そして仲間との熱 -
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池井戸潤のハヤブサ消防団を読みました。
作家の三馬太郎は亡くなった父親の実家がある中部地方の田舎のハヤブサ地区に移住することにしました。
景色がきれいな場所であるハヤブサ地区に魅了されたためでした。
ところが、ここハヤブサ地区では立て続けに放火による火災が発生しています。
太郎はここで知り合った人たちと放火犯人を推理していきます。
池井戸潤の小説といえば銀行や工場などを舞台とした経済小説のイメージがありますが、この物語は隠された犯人と知恵比べをするミステリーでした。
犯人が最後までわからない、そして犯人側の事情や人間性も細かく描かれていて面白く読みました。