京極夏彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレタイトルからしてインパクト抜群。
関係者がアサミについて話すことが、理屈と言い訳じみていて、最初怒りが沸いてきた。それぞれの抱える事情、言い分がどこかしら自分にもあてはまるような気もして、渡来の存在がだんだん怖くなってくる。
死ねばいいのに、なんて言葉を聞いたらぎょっとするけど、渡来健也というキャラがこのノリで言う言葉だからこそ、すっと胸に入りこんでしまってそこから重みのある毒としてじわじわと刺さってしまうんだろうなと思った。
結局一番自分に正直な人は殺されたアサミなんだろうなと思う。
いくら境遇が不幸に見えても幸せだったのかもしれないし、幸せだったと言っても、本当のところは本人にしかわからない。
最後の最後までどういう動機なのか全く読めないミステリーだった。
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Posted by ブクログ
ネタバレなるほど、鵺の各パーツに各々が背負う物語を嵌め込んで収斂させていく構造になっているのか…と感心しつつ読んでいったわけだが、巻末の解説で小川哲氏がそのあたりを至極的確に詳述されており、私などの出る幕はないのでそれはひとまず置いといて。
前作の時にも感じたが、今作においても、令和の現代になってようやく声高に議論されるようになってきた種々のトピックスがふんだんに盛り込まれている。
例えばジェンダー平等であったり、ハラスメントであったり、陰謀論やフェイクニュースであったり、無戸籍国民の問題であったり。
中でも原子力を巡る諸々については作品全体の中核を成す柱の一つといって過言ではない要素になっているし、はたまた今の日本政府や自公政権を揶揄しているとも取れる描写もある。
著者が現代社会における”分断”を強く憂いていることは共感を以て良く理解でき、その帰結としてインクルーシヴを説いているのだろうと思う。
ただ、昭和20年代後半と思しき当時に木場が「女医」という単語に引っ掛かって気にする…というくだりは明らかにやり過ぎだろう(笑)。
論点はずれるが、かつて無毒とされていたヤマカガシが毒蛇であると公式に認められたのは1970年代のはず、それなのに門外漢の京極堂が”ヤマカガシには毒があるらしい(しかも2種類の毒!)”という主旨の発言をするのも、あまりに後出しじゃんけん感が強く、違和感が残る。
京極堂といえば、例に漏れず今作でも長広舌を打つシーンが何度もあり、言葉を選ばず評すれば、屁理屈めいた衒学が冗長過ぎて肝心のプロットがぼやけてくることも…というのももはや近作ではお馴染み? であるが、日本人の宗教観について語られている内容には首肯した。
そのプロットについて言えば、さすがに微に入り細を穿ち、水も漏らさぬ完成度に仕上げられている。
これだけ複層的で枝葉が四方八方に伸びた巨大な楼閣を破綻なく組み上げる手腕には、心の底から恐れ入る。
そしてこれも解説で小川氏が触れられているが、「巷説百物語」シリーズとの繋がりが明白に示されたという点において、古くからの読者にとっては嬉しいばかり。
私も読んでいる最中、なんとなく引っ掛かりというか、記憶の引き出しの奥をつんつんとつつかれているような感覚を随所で得ていたように思うが、最後の最後で笹村市雄が姿をくらます際の所作を見るにつけ、はっきりと自覚された次第。
なるほど、市の字か…。
「信仰は人が生きるための、生き易くするための方便です。(後略)」
「(前略)でも宗派も何もなくたって、信仰心と云うのはあるのじゃないかな。結局はそれが常に下地としてあると云うか――」
「畏れ、崇め、敬うべき対象だよ。この土地では山――なのかもしれない」 -
Posted by ブクログ
この世界は実は面白い、この世の中は地獄 その地獄を楽しむために、非常にリスキーな大発明、言葉を利用してみましょうというお話らしい
どんな言葉も受け取る側によっていかようにも変わってしまう、あらゆる争いは言葉の行き違いから起きるとか
どんな文章もどんな言葉も受け取る側によっていかようにも変わってしまう
多様な解釈があるということ。
改めて言われてしまうとそうだなと感じるわ。
地獄の楽しみ方?この世の中は地獄なんですね?気づいた人から楽しむ方向へシフトしていけたらいいけど
楽しもうと色々考えてしまって結局楽しめないんですけど。
「本の中にはもう一つの人生があります。十冊楽しめた人は十、百冊楽しめた人は百、違う人生を歩めるんです、このつらい現実以外に。すてきなことだと僕は思います。」
うんうん これは納得。