京極夏彦のレビュー一覧
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特集タイトルに惹かれた過去号の怪と幽、勢いで2冊お迎えしたものの、前号の「あやしい家」ほどはまらなかった。。
今号の特集は「呪術入門」だから、うわぁ呪術だね〜(ぼんやりし過ぎた表現しかできない 泣)ていう術とか、呪物とか、不穏な感じの内容ばかりかと想像してたんだけど、節目に玄関先に飾るやつ(お節分の柊とイワシの頭とか。うちにはそういう習慣はないから飾ったことはないけど)とか、ちょっとしたおまじない的な内容も紹介されていて、それが興味深かったです。あの飾りたちも呪物と呼ばれていることに驚いたのと、どれも初めて見るお品ばかりで、日本って狭いようで広いな〜って改めて感じました(私の実家の玄関先に掛けてあるチマキ、もしかしたらあれも全国的じゃないのかもしれん…と思ったり)。
読み切りの小説と怪談実話が今回も面白かった。
特に貴志祐介さんの「こっくりさん」、子どもの話で終わるのかと思ってたらその後も続いていて、「こっくりさん」自体も今風に言うと「ガチこっくりさん」で、それが印象に残りました。
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京極氏の京極堂ではない短編8篇。
タイトルに堂々と幽談とされれば、そんな言葉があったかと思ってしまう。
解説では、“幽けき”(かそけき)記憶に棲むモノとされています。
怖さ的には、 怪談 〉 奇談 〉 幽談
こんな感じでしょうか
「手首を拾う 」
手首に拾われる感じ、幽けき存在感
「ともだち 」
幽けき友達
「下の人 」
家の中で下の方に潜む存在
「成人 」
実話風で奇妙。奇談寄り。
「逃げよう 」
怖さが直接的。怪談寄り。
「十万年 」
幻覚・幽玄の境界。幽談の極致。
「知らないこと 」
知らないことはない我が家
「こわいもの 」
京極さんには、結局怖いものがなのでは?
京極的幽けき短編集でした。
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見定めるには識らねばなりませぬ故(p.174)
〔内容〕彼岸花、名前の数だけ、業があり報いがある。復讐するは亡霊か、恐怖を流し、応報それとも偶然か、いくつもの死がもたらされる。狐面が白く浮かび、解きほぐすのは一人の宮守。
〔感想〕もともと歌舞伎にするために書いたものだそうです。これをどう舞台に移すのか、観てみたいものです。
■狐花についての簡単な単語集
【近江屋源兵衛】江戸一番の材木問屋。
【儀助】辰巳屋の番頭。
【上月監物/こうづきけんもつ】作事奉行。
【竹/たけ】辰巳屋の女中。
【辰巳屋棠蔵/たつみやとうぞう】口入屋。
【中禅寺洲齋/ちゅうぜんじじゅうさい】囲町(かこいまち)武蔵晴明神社宮守。名前からして京極堂のご先祖なのでしょう。曾祖父あたり?
【遠山】南町奉行。いわゆる金さんでしょう。
【登紀/とき】近江屋の一人娘。冷静で弁が立つ。
【二十五年前】上月監物と的場、近江屋、辰巳屋で何か悪事を行ったようだ。
【萩之介】超美形でモテモテの魔性の男。
【彼岸花】萩之介が着物の柄にしていたようだ。各章のタイトルはたぶん彼岸花の別名。
【松】雪乃の乳母。
【的場佐平次】上月家の用人。
【実祢/みね】辰巳屋の娘。夜遊びが激しく朝帰りも日常茶飯事。
【雪乃】上月監物の娘。
【葉/よう】雪乃のお側付き女中。 -
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ネタバレ【2025年131冊目】
遠野には人も、物も、噺も集まる――、御譚調掛として市井の動向を探る宇夫方は、奇怪な事件に遭遇する。事件の裏に潜むのは、化け物か、それとも人か。仕掛けを仕込んで事を収めるのは裏の者共。巷説百物語シリーズ第6作目の舞台は東北へ。
今回は宇夫方さんが、百岡さん的なポジションでしたね。越えてはならない一線を超えずに、現世と裏を行き来する役目ですが、まさか危ない目に合うとは思ってなかったので意外でした。死んじゃうかと思った、良かった生きてて…
柳次のことをずっと又市だと思ってたので、「いや別人なんかい」となったりしましたが、相変わらずかっこいい裏の皆様…。
最後の締め方も良かったです。そうかこれ、章の冒頭の語りは全部乙蔵だったのかという発見。こういう仕掛けいいですね、「絡新婦の理」を思い出しました。ほら!こうやってまた百鬼夜行シリーズに戻りたくなっちゃうんだ! -
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【2025年126冊目】
これで終いの金比羅さんや――靄船の林蔵を中心に西で繰り広げられる勧善懲悪の後始末。人の心に燻る闇を炙り出し、始末をつけるは裏の者たち。巷説百物語シリーズ、始まり以前の物語。
短編集とも連作短編集とも言える一作。それぞれのお話の視点となっているのが、依頼人ではなく実は依頼対象とされた人たち、というのは一話目を読めばすぐにわかるので、「こいつには一体どんな闇が」と思いながら読み進めるのも面白い一作だったりします。
表題作以外は全部、闇を抱えていて「いや、お前!」って感じだったので、表題作がある意味ハピエンでちょっと救われました。
仕事として依頼人の要望を受けて動く裏の者たちですが、人間なので感情が複雑な要素として絡み合ってくるところにも、この物語の面白さがある気がしています。機械だとこの機微は無理でしょうからね、だから人間同士の争いがなくならないとも言えますが。
終始静かなリズムで物語は進みますが、感情が顕になるところだけは激しく燃え上がるようなのもいいですね。
分厚いですが、物語ごとに区切って読めるのでおすすめです。
初読:2012年11月1日以前