鬼談

鬼談

616円 (税込)

3pt

3.8

愛、絆、情、欲。

執着の虜となった者たちを描く、京極小説の神髄!


藩の剣術指南役を仰せつかる桐生家に生まれた作之進には、右腕がない。
物心付いた時には、もうなかったのだ。二の腕の途中から、すっぱりとない。
これが普通だこういうものなのだと、ずっとそう思っていた。
元服の夜、作之進は父に呼び出された。
そして父は――厳かに言った。
「お前の腕を斬ったのは儂だ」


一方、柔らかで幸福な家庭で暮らす「私」は、何故か、弟を見ていると自分の中に真っ黒な何かが涌くのを感じていた。
ある日、私は見てしまう。
幼い弟の右腕を掴み、表情の無い顔で見下ろす父を。そして父は、
「これだよなあ」
と、暗い声で言ったのだった――。

過去と現在が奇妙に交錯する「鬼縁」ほか、<人と鬼>の狭間を漂う者たちを描いた全9篇。

<解説/東雅夫>

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鬼談 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2018年06月28日

    とんでもないものを読んだ。
    上手いとか優秀とかそんな次元じゃない作家さんだと改めて思った。

    なんだろうそれぞれの短編の最後部の言葉は。
    表現するならゾクッてする感じ。
    気持ちよさもあるし興奮するしこんな感覚はまずそう感じることはない。

    凄い。
    どの話も堪らなく気にいってしまった。

    0

    Posted by ブクログ 2023年04月19日

     矢っ張り文章が良い。斯様に文章だけでぐいぐい読ませる作家を他に知らない。兎に角読者を牽引する力が強い。

     泉鏡花が好きなんだろうな〜、っていうのは、京極作品をずっと読んでいると分かるけれど、氏の文章は鏡花のそれともまた違う。
     何か色々混じり合い、渾然一体となって別の何かに成り果てたような。そう...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2022年04月27日

    再読。現代怪談シリーズ短編集。現代怪談シリーズの中ではこの「鬼談」が一番面白く読めた。久しぶりに読んだわりには大体覚えていたのもそのせいだろう。人と鬼をメインテーマに、その狭間をゆらゆらと漂う者たちの悲喜交々がぞっとしたりもするが、どこか共感できるところもある。一番面白いのはやはり「鬼縁」だろうが、...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年08月12日

    鬼、さまざま。
    最後の最後で「ううっ」となる怖さ。
    よく考えると怖いけど、よく考えなくても怖い。

    0

    Posted by ブクログ 2018年05月21日

    妬心、欲、執着…。
    誰もが持っているものなのに、それが肥大すると鬼になってしまうのでしょうか。
    誰の心の中にも巣食う鬼…鬼に心を喰われない様に生きなければ。
    それとも誰もが既に鬼…?怖い。

    0

    Posted by ブクログ 2018年04月02日

    鬼情:鬼慕にも通じますが、執着、これがなければヒトではないですよね。
    鬼棲:コトバを大事になさっていることが伝わります。本作で一番好きなお話です。

    0

    Posted by ブクログ 2021年03月13日

    おもろいです。雨月とかの元ネタを知らないで読んだけど、大丈夫でした。怖いです。寝る前に読むとドキドキします。
    最初(鬼交)がかなり抽象的でやべーこれが京極夏彦か、、、!無理かもてなったけど他のはストーリーがはっきりしてて読みやすい。
    怖いけど全く理解ができない、のではなくちゃんと読み手に推測させる、...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2018年08月21日

    談シリーズの三作目

    いままでより更に怪談要素が強い
    しかも人の怖さではなく、目には見えない何かよくわからないものの怖さ
    過去二作には不思議な話、またはありえなくはない話で終わるものもあったけど、今回は全て終わりのところで恐怖を感じるような作りになっている
    将に現代の怪談

    でもまぁ、今どきこの手の...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2018年04月30日

    九篇の鬼気迫る物語を収めた、京極小説の神髄!

    日本には昔から「鬼」にまつわるお話が沢山ある。
    子どもの頃に読んだ童話にだっていろんな「鬼」が登場してくるし、地方のお祭りなどにも「鬼」の存在は色濃く残っている。それに「鬼」がつく言葉も沢山ある。

    ではいったい「鬼」とは何なのだろうか?
    赤色や青色の...続きを読む

    0

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