【感想・ネタバレ】鬼談のレビュー

あらすじ

愛、絆、情、欲。

執着の虜となった者たちを描く、京極小説の神髄!


藩の剣術指南役を仰せつかる桐生家に生まれた作之進には、右腕がない。
物心付いた時には、もうなかったのだ。二の腕の途中から、すっぱりとない。
これが普通だこういうものなのだと、ずっとそう思っていた。
元服の夜、作之進は父に呼び出された。
そして父は――厳かに言った。
「お前の腕を斬ったのは儂だ」


一方、柔らかで幸福な家庭で暮らす「私」は、何故か、弟を見ていると自分の中に真っ黒な何かが涌くのを感じていた。
ある日、私は見てしまう。
幼い弟の右腕を掴み、表情の無い顔で見下ろす父を。そして父は、
「これだよなあ」
と、暗い声で言ったのだった――。

過去と現在が奇妙に交錯する「鬼縁」ほか、<人と鬼>の狭間を漂う者たちを描いた全9篇。

<解説/東雅夫>

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Posted by ブクログ

とんでもないものを読んだ。
上手いとか優秀とかそんな次元じゃない作家さんだと改めて思った。

なんだろうそれぞれの短編の最後部の言葉は。
表現するならゾクッてする感じ。
気持ちよさもあるし興奮するしこんな感覚はまずそう感じることはない。

凄い。
どの話も堪らなく気にいってしまった。

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2018年06月28日

Posted by ブクログ

たまたま行った書店をぶらついていたら平積みされていた本書が目に留まり購入した。
私とって久しぶりの京極夏彦。
さすがである。文が上手い、世界観に心惹かれる。
最近本はほぼネットでしか購入しなかったけれどやはり本屋さんはいいなと実感した。
あの時これを手に取らなければ読む事は無かっただろう。
この何とも言い難い世界に漂う快感は味わえなかっただろう。

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2024年05月14日

Posted by ブクログ

 矢っ張り文章が良い。斯様に文章だけでぐいぐい読ませる作家を他に知らない。兎に角読者を牽引する力が強い。

 泉鏡花が好きなんだろうな〜、っていうのは、京極作品をずっと読んでいると分かるけれど、氏の文章は鏡花のそれともまた違う。
 何か色々混じり合い、渾然一体となって別の何かに成り果てたような。そういう意味では正に妖怪的といえるのかも知れない。


 白眉は上田秋成の「吉備津の釜」を原作とする一篇。いま自分が読んでいるのが怪異譚であるという事を、途中まで本気で失念してしまった。まるで落語の人情噺のよう。
 描き方一つで斯くも物語は表情を変えるものなのか。極上の怪談フルコースである。


 リーダビリティに優れた他の人気作家の、誰にとっても"口に合う""食べやすい"小説で満足出来なくなったなら、京極作品を読んでみれば良い。
 これを珍味と評するか、将又下手物として味わうかは個人の感性次第だが、何れ我々を飽きさせる事は無い。

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2023年04月19日

Posted by ブクログ

再読。現代怪談シリーズ短編集。現代怪談シリーズの中ではこの「鬼談」が一番面白く読めた。久しぶりに読んだわりには大体覚えていたのもそのせいだろう。人と鬼をメインテーマに、その狭間をゆらゆらと漂う者たちの悲喜交々がぞっとしたりもするが、どこか共感できるところもある。一番面白いのはやはり「鬼縁」だろうが、一番好きなのは「鬼慕」かな。

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2022年04月27日

Posted by ブクログ

鬼、さまざま。
最後の最後で「ううっ」となる怖さ。
よく考えると怖いけど、よく考えなくても怖い。

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2019年08月12日

Posted by ブクログ

妬心、欲、執着…。
誰もが持っているものなのに、それが肥大すると鬼になってしまうのでしょうか。
誰の心の中にも巣食う鬼…鬼に心を喰われない様に生きなければ。
それとも誰もが既に鬼…?怖い。

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2018年05月21日

Posted by ブクログ

鬼情:鬼慕にも通じますが、執着、これがなければヒトではないですよね。
鬼棲:コトバを大事になさっていることが伝わります。本作で一番好きなお話です。

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2018年04月02日

Posted by ブクログ

既読なのは、
「鬼交」 (津原泰水・編「エロティシズム12幻想」所収)、
「鬼情」 (東雅夫・編「鬼 文豪怪談ライバルズ!」」所収)、
「鬼棲」 (朝宮運河・編「家が呼ぶ 物件ホラー傑作選」所収)。

うお!! と驚嘆したのは、
「鬼縁」 の父親の台詞「これだよなあ」。
「鬼棲」 の伯母の存在。つか磁器人形への言及。
「鬼気」 の絵面の怖さと、母の台詞。

[目次]
鬼交
鬼想
鬼縁
鬼情
鬼慕
鬼景
鬼棲
鬼気
鬼神

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2025年04月21日

Posted by ブクログ

おもろいです。雨月とかの元ネタを知らないで読んだけど、大丈夫でした。怖いです。寝る前に読むとドキドキします。
最初(鬼交)がかなり抽象的でやべーこれが京極夏彦か、、、!無理かもてなったけど他のはストーリーがはっきりしてて読みやすい。
怖いけど全く理解ができない、のではなくちゃんと読み手に推測させる、そしてその手助けがある話ばかりで読んでて、わかる、かも、、、という実感を得られたので楽しかった。
初めて京極夏彦さんの読んだけどかなり好きだと感じたので他のも読もうかな。

鬼景が一番怖くて好き。鬼気がマジ無理リアルさが混じってて単にホラーというか嫌味な感じ。この話はもう読めない。

鬼はすぐそこにいる。私たちの中に、、、とか思っちゃったなっ

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2021年03月13日

Posted by ブクログ

談シリーズの三作目

いままでより更に怪談要素が強い
しかも人の怖さではなく、目には見えない何かよくわからないものの怖さ
過去二作には不思議な話、またはありえなくはない話で終わるものもあったけど、今回は全て終わりのところで恐怖を感じるような作りになっている
将に現代の怪談

でもまぁ、今どきこの手のジャンルは流行らないんじゃないかなぁ・・・

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2018年08月21日

Posted by ブクログ

九篇の鬼気迫る物語を収めた、京極小説の神髄!

日本には昔から「鬼」にまつわるお話が沢山ある。
子どもの頃に読んだ童話にだっていろんな「鬼」が登場してくるし、地方のお祭りなどにも「鬼」の存在は色濃く残っている。それに「鬼」がつく言葉も沢山ある。

ではいったい「鬼」とは何なのだろうか?
赤色や青色の肌をしている?
角が生えていて牙が映えていて、棍棒を持っている?
それとも太鼓を持っている?
鬼は人を襲うの?

どれが本当でどれが作り物なのか。それともすべて作り物なのか。または本当なのか?

暴れ回る京極夏彦氏目線の「鬼」たち。
人の心に巣喰う「鬼」たちを見せつけられて、己の心を見つめなおす良い機会かもしれない。

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2018年04月30日

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