京極夏彦のレビュー一覧
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ネタバレ〈巷説百物語〉シリーズ第4作。
上方から逃れ、江戸に流れ着いた頃の若き日の又市を主人公にした前日譚。
多くの犠牲を出して今巻の事件が決着することは、もともと既刊の作品でも語られていたけれど、魅力的な登場人物が多かったからやはり読後感は寂しい。
しかしまだ自身を包み隠さない頃の又市の姿は、青臭くも爽やかで、読んでいて快かった。
「それにな──と言って又市は棠庵を確と見た。
『猫が鼠より強ェな解る。だけどもよ、猫が鼠より偉ェってこたあねェぞ』
その通りですよと棠庵は言って、縁台を叩いた。
『猫は強いが偉くはない。それこそ真理です。お前さんは──そこに気が付けるひとなんだ』」
と、棠庵が又市を評 -
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生涯もっとも面白い小説かもしれん。このたび文庫化を機に再読。初読の際、シリーズ既作品の物語・登場人物を忘れていていまいちピンとこない部分があったため、今回はシリーズこれまでの六冊および江戸怪談シリーズ三冊を読んでから本作に臨んだ。すると面白い面白い。登場人物の会話中の細部のあちこちに前作までの物語への言及がありたまらない。ある意味、これまでの九作品すべてが伏線であり、本作で回収されるという趣で、まさしく集大成。京極夏彦の構想力構築力に驚嘆感動する。物語は『続』で暗示されていた支配者中枢との闘い(ではないかもしれんが)が描かれる。しかも、新たな登場人物、支配者から小悪党達の探索を依頼された、噓を
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京極作品にしてはやたら薄い本だな?と思い手に取ると十代の若者向け講座を文字起こししたものだったらしく、全編話し言葉で書かれていてあっという間に読んでしまいました。
講座のタイトルが「たたかわないために〜語彙と思考」だったようで、つまりこの世を地獄と見立てた上で言葉と思考でこの地獄を乗り切るにはどうすればいいか、という内容でした。
第一部では人間が言葉を会得して世界の認識をどのように変えたか、言葉の利点と欠点、言葉によって生じる思い込み、思い込みで感情や思考、行動を操作する、操作されうる危険性、そういった前提を語り、後半の第二部では実際の地獄では言葉を使ってどうやってたたかわずに済ますかを教 -
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ネタバレホラーではない。これは「恐怖」「怖い」についての物語。ストーリーは単純。視点人物である女性が、同棲しているパートナーを置いて、最近亡くなった(会ったこともない)曾祖母の住んでいた限界集落(と思しき)岡山の山村へ、相続関係の手続きの一環として赴くというだけ。章立てもなく(時間が飛ぶところはあるが)、視点人物の見聞きした物事、思考、他の登場人物との会話が延々と続き、特別事件や怪異は起こらないまま300頁以上進む。件の集落、別段因習もオカルトめいた秘密といった横溝正史的要素は何もなく、集落へ至る途中の心霊スポットとされる隧道も怪異とは全く関係ない。かといって退屈かというとそういうわけではなく、会話や
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現代怪談シリーズ。
幽霊ってそもそも何?という概念を考えさせられるストーリーばかりだった。
些細な常識が覆されるとゲシュタルト崩壊のようなキリがない恐怖に変換される。
実態を持たない、人の形とは限らない誰かの残留思念というか。でも人の形をしていることもあるし。
"ほん怖"というより"世にも奇妙な物語"のイメージが近い感じだった。『下の人』『知らないこと』が特に軽快に話が進んでいたようて飛び抜けて奇妙。え、そうなる?って。
雰囲気がなんだか読んだことあるような?と思い返したら教義『地獄の楽しみ方』でも言葉の解釈ひとつで見え方が変わるお話があったなあと。 -
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再読「巷説百物語シリーズ」通し読み第四弾。御行の又市が山岡百助と知り合う前の江戸を舞台とした物語集。大坂で下手を打ち林蔵と共に江戸へ流れてきた若き又市は、ゑんま屋から裏の仕事を請け負うようになる。人の命を取ることを極端に嫌う又市が智恵をふりしぼり、元締めの描いた図面をなんとか引き直し落とし所を探す。ここでは又市はまだ若い双六売り。ひとつひとつの仕事に関わりながら、本当にこの図面で良かったのか、もっといい絵図は描けなかったものかと自問自答する青臭さがよい。やがて恐るべき敵と対峙する中で、読者にはすでにお馴染みの面々と出会う。その出会いの描き方がファンにはたまらん。また本作で馴染みになった仲間との
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「このままではあんた、ニッポンはおかしくなりますよ」
実名小説、あまりみないので面白かった。スターシステムなども大好きなのでとても良い。
エンターテイメント小説として、実名がスパイスとなって、リアルとフィクションの狭間が出来上がっているのが良い。内容にもフィットしていて巧妙だと思う。
たまたま印刷博物館のイベントで京極氏の本を持っていくと名刺がもらえるイベントがあり(結局行けなかった)、持ち運びしやすい本を探していた所出会ったシリーズだが、丁度ゲゲゲの映画のブームが起こっていて、タイミングよく出会えた本だった。
水木御大のユニークな雰囲気も大変良かった。エンタメとして。京極堂シリーズのエノ