京極夏彦のレビュー一覧

  • 遠巷説百物語

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    江戸末期、盛岡藩で“御譚調掛”の宇夫方祥五郎は巷の噂話を集めていた。

    どんなものでも作る仲蔵が中心となり仕掛けるので、毎回物語が派手で楽しい。宇夫方とのやりとりもマル。武士視点なので、後巷説百物語の空気感があって良き。シリーズ6作目。

    今作はシリーズ内でもかなりキレイにフォーマット化された連作短編集という印象。
    1話あたりの構成が全て同じ。読んでいて安心感が半端ない。好きすぎる……。
    仲蔵がまたいいんよなぁ。柳次も好き。
    今回は最終話も美しい。シリーズ作品の6冊目なんだけど、これ一冊としても完成されていて良き。

    次で最終巻!!
    京極御大はシリーズ作品でもそれぞれ独立しているから、だからこ

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    2025年12月14日
  • 西巷説百物語

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    御行の又市の悪友である靄船の林蔵を主軸に大阪での物語を7編収録。シリーズ5作目。

    言葉でまやかしを見せつつ靄の中に絡めとるスタイル。
    物語の流れが美しい。派手さはないが小気味良い感じがありつつ、締めの「野狐」にやられた感。やっぱり好き

    このシリーズは毎回1話目で騙されて、2話目からは流れがわかるからスイスイ読んで、ラストで「ウワァァァァ」ってなる(笑)もう、私の中ではお約束。これが楽しくて読んでる。騙されたい(笑)

    今作は江戸時代の関西弁なんで、より読みやすかったのもある。セリフがみんな脳内で西方の→

    イントネーションで再生されて、とても良き。関西人で良かった(笑)

    そういえば、林蔵

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    2025年12月11日
  • ひどい民話を語る会

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    絵本になっている話は洗練されたトップエリートで、裾野?水面下?にはこんなに豊穣があったとは。もうがひらかれました。

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    2025年12月10日
  • 百鬼夜行 陰(全)【電子百鬼夜行】

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    憑き物が落ちる前。
    百鬼夜行シリーズの補完に当たる作品だけど、私はこちらの最後まで靄がかかった世界観の方が好き。
    本編→短編よりも、短編→本編の方がこの小説の世界観にどっぷり浸れる。

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    2025年11月30日
  • 続巷説百物語

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    それぞれの事件が独立してそして最後に一つになって""御行""となる、読んできた全てが破片となって事実の形を示す見事さ。流石の一言。
    間を挟まず一度に読んだからこその充実感と達成感。流石に面白すぎるのである。

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    2025年11月29日
  • 姑獲鳥の夏(1)【電子百鬼夜行】

    購入済み

    すき

    おすすめされて購入してみました!私は20代前半なので全然知らなかったのですが、50代の方に絶対好みだから読んで見て欲しいと言われて読んでみたらとても好みの好きな作品でした♡妖怪好き、アングラ好き、ガロ好きの私に刺さった作品です!同じ方はぜひ

    #怖い

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    2025年11月18日
  • ひどい民話を語る会

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    妖怪に詳しい方々が、
    トークイベント「ひどい民話を語る会」を開催した後、書籍化したもの。
    民話ってその土地に伝わってるお話ですよね。
    それは、作家の話じゃなくて、世間話に尾ひれをつけて、
    夜な夜な囲炉裏ばたで子どもにせがまれて爺婆が面白く話して聞かせたエンタメだったんだ、と。
    だから、いい加減な終わり方したり、他にも似てる話と混ざってしまったり、聞かせる相手が喜ぶからシモネタになっちゃったり、と素人っぽい雑さもあってひどい話になっちゃう。

    イベントのそのまま書籍化されたらしく、対談形式でツッコミが入ったり、楽しい雰囲気が伝わってきます。
    さくさくっと読めますが、いっぱい笑っちゃうので1人の時

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    2025年11月03日
  • 文庫版 鵼の碑

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    ネタバレ

    京極堂シリーズ、何と十七年ぶりの第十弾。

    昭和二十九年二月。日光。父殺しの記憶を持つ娘に惑わされる劇作家。消えた三つの他殺体を追う刑事。燃える碑の妖光に翻弄される学僧。失踪者を追い求める探偵。死んだ大叔父の声を聞きに訪れた女。発掘された古文書の鑑定に駆り出された古書肆は、縺れ合いキメラの如き様相を示す「化け物の幽霊」を祓えるか。

    京極堂、関口、木場、榎木津らシリーズ主要キャストが揃い踏みというだけで鳥肌モノ。そして、頭は猿、手足は虎、尾は蛇という鵼の如き異様な絡まりがもたらす眩惑は、このシリーズならでは。

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    2025年11月02日
  • 文庫版 地獄の楽しみ方

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    人生が変わる本に出会えた

    言葉の扱う危うさ、世の中の荒波をどう受け流していくかを『魍魎の匣』や『姑獲鳥の夏』の著者の京極夏彦先生が講演録を文章に書き起こした作品。

    話し言葉を文にしてるので、とても読みやすいし、ページ数もP.141とすぐに読めるのでオススメです。

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    2025年10月31日
  • 了巷説百物語

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     天保11年。老中首座・水野忠邦の改革が進む中、改革支持派の依頼を受けた洞観屋の藤兵衛は、又市たち〈化け物遣い〉のことを調べていた。

     武家社会の存命を図る水野。そこに絡む新たな闇の勢力。生活苦が増す民草。人死にを出さない世のため、小股潜りの又市は一世一代の仕掛けに打って出るが……。

     「巷説百物語」シリーズ完結編。
              ◇
     下総国酒々井宿に、とうか藤兵衛という男がいた。

     稲荷と書いて「とうか」と読む。
     その「とうか」とは稲荷神社の御使いたるお狐様のことだが、「とうか」を名乗るのは藤兵衛が特に信心深いからではない。お狐様からすれば藤兵衛は、むしろ罰当たりと言っても

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    2025年10月16日
  • 中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。(12)

    io

    ネタバレ 購入済み

    昭和レトロな風情に浸る

    千鶴子さんが素敵すぎます!栞奈ちゃんが『女神様』というのも納得。中禅寺先生との馴初めが知りたいですねぇ。
    時代の風情を感じるのはモールス信号をアレンジした懐中電灯通信で連絡を取り合っていたお二人のエピソード。
    何でもスマホで済ませられる現代は確かに便利ではありますが、現代にこの風情を求めるのは難しそうです。

    #エモい #カッコいい #胸キュン

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    2025年10月11日
  • 文庫版 地獄の楽しみ方

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    無謀なことをしたくなった。
    たとえば、りくろーおじさんを食べるためだけに大阪へ行くような、そんなこと。

    「行動を起こさずに変えられるものなんて、世の中には一つもないんです」
    ──この一文に、頭をガツンと叩かれた気分でした。

    ぬるま湯に浸かって、あーだこーだと理想や夢を語っても何も変わらない。
    言葉って、怖い。言葉を使って人と接する仕事柄、それは毎日感じている。
    それでも、結局は言葉に救われている。
    人間って、本当に難儀だなと思う。

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    2025年10月08日
  • 嗤う伊右衛門

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    「兎に角、我慢して読め」と言われ、疑心暗鬼で前半の重く暗い展開を読み進めると、あら不思議、いつのまにかのめり込んでしまいました。面白い。

    京極さんの豪筆が魅せる、新たな四谷怪談物語。
    「四谷怪談」と聞くと、正直私は幽霊が井戸から出てきて、皿の枚数数えてる。ぐらいの認識しかございませんでしたっ!全く違う美しさと武士道の清廉垣間見える良作です。

    伊右衛門とお岩の純愛、しかしながら直接的な表現はされず、周りの欲望を際立たせる事で、相対的に2人の愛の深さを思い知ります。

    全く知らない人でものめり込めます。

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    2025年10月04日
  • 文庫版 ルー=ガルー 忌避すべき狼

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    百鬼夜行シリーズに比べてどうなのだろうかという期待感と不安を抱きながら読み始めたが、これはやはり京極夏彦。
    如何なる時代設定だとしても、根底は変わらない。
    やはり神のような存在。

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    2025年09月28日
  • 筑前化物絵巻

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    ネタバレ

     単なる妖怪本と思い読んでいたが、絵巻もの作者の死や生、嘘に関する哲学的な部分もありなかなか読み応えがあるものだった。今後の研究にも期待したい。

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    2025年09月24日
  • 続巷説百物語

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    ネタバレ

    巷説シリーズ第2弾。
    このシリーズの主題は、一作目『巷説百物語 』の感想で語ってしまったけど、まぁ本作も概ね同じ形かな。

    妖怪の本質は「現象(コト)」ではなく「存在(モノ/キャラクター)」であり、存在が語られる以上それは物語を伴う。例えばヌリカベなんかは行く手を塞ぐキャラクターである一方、行く手を塞いだエピソード(物語)が求められるわけだ。順番が逆なんだけどね。
    ある「現象」を「存在」に変えるプロセスを「物語」と云う。つまり又市の仕掛けはまさしくこのプロセスを利用しているのだ

    しかし百介の出番はここで終わりなのだろうか…。
    なんだか淋しくなるような。後巷説百物語が楽しみですねぇ。

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    2025年09月24日
  • 巷説百物語

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    直木賞を受賞した2作目を読みたくて、こちらを拝読。百鬼夜行シリーズを読んでいるところで、そちらとの共通点として、表紙が美しい。
    陰摩羅鬼を挟んでから、この2作目に行こうかなと。

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    2025年09月13日
  • 今昔百鬼拾遺 河童

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    呉美由紀が友人達と河童について色々語り合う冒頭から一転、中禅寺敦子は薔薇十字探偵社の益田に相談を持ちかけられて……。宝石泥棒と水死体の事件が複雑に絡み合っていくスピンオフ作品2作目。

    多々良さん登場。単品だとだいぶん変わった人なんだな→

    塗仏の時は京極堂と一緒にいたから薄まっていたのか、私の記憶違いか……とにかく濃い!だいぶん変人。おもしろい。
    事件的には、「鬼」と同じく戦後すぐの混乱期をうまく絡めた感じで興味深く読んだ。なかなかヘヴィ。悲しい。でも、戦後ってこういうことはよくあったんだろうな。戦争は嫌だね

    「鬼」「河童」と読んで気づいたんだが、このシリーズ、様式が決まっているんよね。

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    2025年09月11日
  • 死ねばいいのに

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    殺された女性について、教えてほしい
    そう関係者の元へ尋ねる無礼な男

    礼儀や言葉遣いを知らないその男との会話が進むにつれ、女性との関係や自身の姿があらわになっていく。

    そして、タイトルの言葉が、、、

    この本の怖いところは
    「死ねばいいのに」がもつ本当の意味

    読み手自身にも向けられていること。
    読み終えた時、この作品は凄いと感じた。

    不幸なことがあると人生はマイナスか?
    それすら改めさせられる何度も心に刻みたい一冊。

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    2025年09月06日
  • 姑獲鳥の夏(2)【電子百鬼夜行】

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    斬新極まりないミステリ

    下巻は概ね謎解きだ。謎は精緻玄妙に解きほぐされていき、大いに興をそそられ、早く全容を掴みたくなって、時を忘れ食い入るように読み進める。👻さて、ミステリの仕掛けの核心部分だが、これにはやや肩透かしを喰らった気分になり、乾いた笑いがこぼれてしまう。とはいえ、事件の全容を詳らかにする怒涛のロジカル尽くしに、アタマがクラクラするほど圧倒された。まるで眩暈坂を歩いているときのように。👻デビュー作らしく、斬新極まりないミステリであった。👻

    #ダーク

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    2025年09月03日