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Posted by ブクログ
京極作品にしてはやたら薄い本だな?と思い手に取ると十代の若者向け講座を文字起こししたものだったらしく、全編話し言葉で書かれていてあっという間に読んでしまいました。
講座のタイトルが「たたかわないために〜語彙と思考」だったようで、つまりこの世を地獄と見立てた上で言葉と思考でこの地獄を乗り切るにはどうすればいいか、という内容でした。
第一部では人間が言葉を会得して世界の認識をどのように変えたか、言葉の利点と欠点、言葉によって生じる思い込み、思い込みで感情や思考、行動を操作する、操作されうる危険性、そういった前提を語り、後半の第二部では実際の地獄では言葉を使ってどうやってたたかわずに済ますかを教えます。
口調が京極堂だったのでまるで自分が関口になった感じで基本ニヤニヤしながら読んでいたのですが、ところどころ真顔になるところもあり、やはり京極さんは信頼できる書き手だなぁと思いました。それは何回りも歳下の若者に対する京極さんの愛、ではなく真心から出るものなのでしょう。
SNSや政治に関するところは自分の思っている事と同じ危機感を語っていたので、講座のあった当時より悪くなっている現状を思うと、この本を若者だけでなく一家に一冊国は配った方が良いんじゃないかと思ったのですが、いや国としては国民に小利口になってもらうと困るだろうからやらないな、とも思い、ならば自衛のためにみなさんぜひ読んで!と強くお勧めする次第です。
Posted by ブクログ
・どんなつまらない、くだらない話でも、役に立てようと思えば役に立つものです。
・どんなに教え方が悪くても、学び方が上手なら何とかなるものです
これは「はじめに」に書かれた京極先生のお言葉です。
・言葉は通じないんです。まずそれを承知で使いましょう。
・あなたの書いた文章は、あなたの思う通りに受け取られることは、まずありません。
・言霊は心以外には効きませんが⋯心にだけは効くんですよ
時折こういうドキッとする一文が。なるほどなるほど、さすがいいこと言っとるな⋯と思ってメモする訳だけど、先生の言葉を借りれば、私も京極先生の意図を本当に汲めてるかどうかはわかりっこないってことですよね?
なんという堂々巡り。それもまた良し。
とても深く頷いたのは、第二章。
これは何度読んでも、京極先生の言語化、伝える力に感服する。ああ、そんなふうに考えたことなかった。愛だの゙夢だの絆だのという言葉たちに感じていた違和感が割とすっきり片付きます。
そして反省。
・この世に面白くない本なんてないんですよ。面白くないと思ったら、その本を面白がれない自分が悪い。
・その本が出るまでに何人もが読み、少なくともその人たちが面白いと思わないと本は世に出ない。面白くないと思うなら自分が、その人たちにはある感性を持っていないということ。
色々読みたいから、面白くなかった本を読み返したことはない私。読書は娯楽ですし無理する必要はないと思うけど、少なくとも1作で「この作家はつまらん」って決めつけるのはナシにします。
そして、この本の面白さは巻末の一問一答に凝縮されてます。言葉を扱うことを職業にされながら、美しいだけの言葉は許さない京極先生には本当に尊敬の念を禁じ得ない。
「京極夏彦のうっすい文庫ってだけでおもろいやんけ」程度の興味で手に取った本でしたが、思わぬ拾いものでした。
最後に。
・人は、自分が知っている言葉でしか物事を考えられない。
語彙を増やしましょう。
ヤバいとカワイイだけじゃだめなんですよ。
Posted by ブクログ
「語彙の数だけ世界が増える」
マイナスに捉えていたことも、それをプラスに捉える言葉を知っていれば、落ち込まずに済む。言葉は記号に過ぎないけれど、選ぶ言葉次第で見える世界を変えられる。うつ病を経験してから、よりそう思うようになった考えでもある。このことは常に意識していたいな。
「本の数だけ人生がある」
この思想は、私が本を好きな理由そのもの。本を通していろんな人生を体験して、現実逃避したり、自分の行動のヒントにしたり。
「『面白がらせてくれる』と思っちゃダメですね。読書は受動じゃなく、能動です。『面白がってやる』が正しいでしょう。」
自分が全く持ち合わせていなかった考え方だった。読書を例に出しているけど、これは全てに言えること。この考えに出会えたことがこの本を読む価値だと思った。
これは、「言葉」を切り口に、いかにこの世を楽しむか、という人生指南の本だと思う。もっと早くに出会いたかったと思いつつ、今がこの本を読むタイミングだったのかなと思った。
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