あらすじ
「あなたの世界」は言葉ひとつで変わってしまいます。
SNS炎上、対人トラブル――あらゆる争いは言葉の行き違いから起きています。
言葉の罠にはまらないため、語彙を増やして使いこなすわざを身につけましょう。
小説家・京極夏彦が指南する、地獄のようなこの世を楽しく生きていくための「言葉」徹底講座。
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人生が変わる本に出会えた
言葉の扱う危うさ、世の中の荒波をどう受け流していくかを『魍魎の匣』や『姑獲鳥の夏』の著者の京極夏彦先生が講演録を文章に書き起こした作品。
話し言葉を文にしてるので、とても読みやすいし、ページ数もP.141とすぐに読めるのでオススメです。
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無謀なことをしたくなった。
たとえば、りくろーおじさんを食べるためだけに大阪へ行くような、そんなこと。
「行動を起こさずに変えられるものなんて、世の中には一つもないんです」
──この一文に、頭をガツンと叩かれた気分でした。
ぬるま湯に浸かって、あーだこーだと理想や夢を語っても何も変わらない。
言葉って、怖い。言葉を使って人と接する仕事柄、それは毎日感じている。
それでも、結局は言葉に救われている。
人間って、本当に難儀だなと思う。
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「語彙の数だけ世界が増える」
マイナスに捉えていたことも、それをプラスに捉える言葉を知っていれば、落ち込まずに済む。言葉は記号に過ぎないけれど、選ぶ言葉次第で見える世界を変えられる。うつ病を経験してから、よりそう思うようになった考えでもある。このことは常に意識していたいな。
「本の数だけ人生がある」
この思想は、私が本を好きな理由そのもの。本を通していろんな人生を体験して、現実逃避したり、自分の行動のヒントにしたり。
「『面白がらせてくれる』と思っちゃダメですね。読書は受動じゃなく、能動です。『面白がってやる』が正しいでしょう。」
自分が全く持ち合わせていなかった考え方だった。読書を例に出しているけど、これは全てに言えること。この考えに出会えたことがこの本を読む価値だと思った。
これは、「言葉」を切り口に、いかにこの世を楽しむか、という人生指南の本だと思う。もっと早くに出会いたかったと思いつつ、今がこの本を読むタイミングだったのかなと思った。
Posted by ブクログ
おもしろい!!!
言葉って難しいけど奥が深い。
もっと語彙を増やしたい。それを使いこなしたい。自分を伝えたい。
そのために色々な本を読む。
この本を読んで考え方が変わった。出会わせてくれた蔦屋さんありがとう。
Posted by ブクログ
言葉に囚われていた長年の心のもやもやがスッキリしました。この地獄を楽しむために、沢山色んな本を読むぞ!!と熱い気持ちにもなりました。この先、また言葉に囚われることがあると思うが、その時は迷わずこの本を読み返す。
Posted by ブクログ
面白かった。
言葉の限界について書かれていて、納得感があった。
「地球にやさしく」を「親のすねを長くかじり続けるために、親には優しくしよう」
に言い換えているのは秀逸だなと思った笑
もう一回読みたい
面白かった
面白かった。
特に断捨離に対する反論は
胸がすく思いがした。
どちらが正しいということではないのどけれど。
言葉にしないと伝わらない。
かといって言葉にすると情報が
切り捨てられたしまう。
困ってしまうね。
Posted by ブクログ
言葉徹底講座とあるが、これは凄い。 言葉とは何か?言葉の限界とは? 徹頭徹尾真理を突き続けている。 頷かざるを得ない。 特に前半の拈華微笑のところは必ず賛否(否の意見のが多いでしょう)あれども、言葉と意の限界に関して、言葉のプロがズバッと切り込むので小難しい単語の並ぶ仏教の入門書(特に禅系)より遥かに分かりやすいと思う。 百の言葉よりたった一つの目の前の現物。 言葉の限界を突き付けられます。 どうあれ、概念、言葉、思い、よりも目の前のもの、五感の領域のものの方が圧倒的に重いし、それこそがリアルですよね。
Posted by ブクログ
こうして書いている「言葉」に気を遣い、全ては伝えられないことを認識すること。
元々が若者向けの講演をまとめた本なので、若い人たちにはオススメしたいし、歳をとった人たちも読んで、「言葉」について考えてみると良いと思った。
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この世の中は地獄。
その地獄を楽しむための京極先生の指南書。
丸々一冊言葉についての話で、「地獄の沙汰も言葉しだい」というような感じ。
言葉を商売道具としている小説家の著者だからこそ語ることの出来る言葉についてのエピソード。
言葉の持っている危うさや楽しみ方がユーモラスに描かれていて、なるほどと納得させられる
ものばかり。
特に印象に残ったのは「あらゆる文章は誤読されるもの」言葉は欠けていて相手が勝手に埋めてしまうもの。
言葉のプロの小説家でさえそんな風に感じるのかと、いや毎日言葉に携わっているからこその実体験から来る感想なのかなと感じた。
なるほど、それで京極先生の本は分厚いのが多いのかな?
もうひとつグサッと刺さったのは、「本を読んで面白くないと思ったら、その本が悪いのではなく、その本を面白がることの出来ない自分が悪いと思いましょう。」楽しもうと思う姿勢が大事!耳が痛いお言葉だ。
確かに本のせいにしているところあるよなぁ。
本書を読んで言葉の奥深さ、不思議さを改めて感じた。
言葉の罠にはまらないように語彙力を身に付ければ今よりももう少し地獄を楽しめるかな?
「この世には不思議なことなど何もないのだよ」と中善寺さんに言われそうだ。
京極先生の師匠、あの有名な漫画家の水木しげる先生だとはじめて知った、ビックリだ!
Posted by ブクログ
京極氏の楽観?達観した思考回路が垣間見えるような本。講座でお話しした内容を口語体のまま本にしているのでうっっすい。京極氏の本だと思って探すと書店で探す時逆に苦労するくらい薄い。さらっと読めるし、至極当たり前な事を言っているのだけど、改めて言葉にされると自分の生き方や発言を改めて意識してみようと思った。
Posted by ブクログ
京極夏彦さんの作品(本書は”小説”ではないとはいえ)を読んだ記憶は、10年以上前まで遡ることになります。
デビュー作である『姑獲鳥の夏』に衝撃を受けてから、『魍魎の匣』、『狂骨の夢』と順調?に読み進めていたのですが、”抜群に面白いけど、読むのにパワーが必要”
と感じて、ちょっと間を空けようと思っていたら、10年以上もご無沙汰することになりました。
さて、「本書は、2019年7月27日に一般公募の15~19歳の聴講生50名を対象に行われた特別授業を元に構成された。」と2ページ目に書かれていますが、それもあってか、非常に分かりやすい文章で書かれています。
しかし、その内容自体は社会経験を積んできた大人の方がより理解出来るし、より共感も得ることが出来るな、とも感じました。
数多くの示唆に富む提言があったのですが、とりわけ、私のような読書愛好家には”全くその通りですね”と思わざるを得ない文章から抜粋すると、
人間は言葉から影響を受けます。
・・
ところが、言葉を聞いた人間は、捨てられた部分、欠けている部分を、勝手に埋めちゃうんです。
小説は、書いてあることより書いてないことのほうが大事なんです。
皆さん、小説を読まれる方も、読まれない方もいると思いますけれども、読んで面白いなあと思うこともあるでしょう。すげえ楽しいとか、わくわくするとか、いろんな感情をかき立てられるでしょう。その感情は、その小説がもたらしたものではないんですよ。その小説を読んだ読者である皆さんが作り出したものなんです。
前者の提言(”言葉”を”文章”に置き換えると)を読んだときに直ぐに頭に浮かんだのは、1月に読んだばかりの『弁護側の証人:小泉喜美子』ですね。確かに、私が勝手に思い込んだので(勿論、そうなるように小泉さんが文章を書いたのですが)、見事に騙される結果になりました。
こういう事で楽しめるのも、読書の良い点ですね。
最後に、本書は文庫で142ページと薄いのですが、先に書いたように内容は濃く、非常に有意義なひとときを過ごせました。
今回を契機として、京極さんの小説を読むのを再開(『鉄鼠の檻』かな)しようと思います。
*Youtubeの「ほんタメ」チャンネルでダイジェスト版?(本書の2割程度の内容です)がアップされていますので、そちらも併せて観ると、更に楽しめると思います。
Posted by ブクログ
京極夏彦氏の作品としてはありえない薄さの本。
内容は講義を文字起こししたものなため薄くても仕方は無いのだが、その講義の中に出てくる本のお締め方に1ミリも無駄にしないという考えがあり、まるでそのために薄い本を作ったのかと錯覚してしまう。
京極夏彦氏による、世間を生きるにあたっての言葉の使い方や考え方などをゆるーく書いた本。
口語調(文字起こし)なため読みやすく、薄さも相まってご飯の待ち時間などには読み終わってしまうが、読後の満足感はしっかりと京極夏彦「感」を残してくれる良い本だと思う。
なんとなくの京極夏彦雰囲気を味わいたいが、どれもこれも鈍器サイズで躊躇している方にはおすすめかもしれない。
タイトルからして宗教的な地獄について語っているのかとおもえば、そのような話はあまりなく、どちらかと言えば「言葉」「言霊」と言ったものをメインに語っている。
ネットでの言い争いや、マウントが激しい昨今にむけての内容なだけに、言葉の使い方という面で気が楽になり、クスッと笑えるような考え方が詰まっていた。
読んでいながら、楽しそうに話している京極夏彦氏が想像でき、またそうありたいと思わせるのは流石だなと思う。
薄いため長らく眠らせていたが、これを読んでから改めて京極夏彦作品を読み返すのもいいかもしれない。
また、京極夏彦氏に比べればまだまだ蔵書量が足りないので、増やしていきたい。
Posted by ブクログ
リアル京極堂じゃないか。
聴講生の方が羨ましい。
そして何と言ってもタイトルが良い。
結局は自分次第ってことだな。
言葉の捉え方や抽象概念、人生訓など多岐にわたる講義内容が本当に面白い。
全141頁なんて、あっという間。
この薄さで人の心を動かすところが凄いな。
ちょっと泣きそうになったわ。
Posted by ブクログ
言葉の罠にはまらないために
地獄を楽しむために
京極さんとの言葉をめぐる一問一答
同じ言葉を使っているはずの職場でさえ、伝わらないときがあり理解できない時がある。
自分にさえ自分がわからないのに他人にわかるわけがないと思っている。
その本面白い?と聞かれて 面白いよと答えることがあっても他人に面白かったよと言って薦めることはしない。
言葉という不思議なもの、不完全で完全なもの、言葉って面白い。
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2019年におこなわれた10代の若者向け特別授業をもとに構成したものなのだそうです。冒頭いきなり京極さん本にはありえない「頁またぎ」の箇所が出てきたので、これホントに京極さんなのかしらと疑いの目を向けてしまいましたが、読めば確かに京極さんの講演。
数々の覚えておきたい言葉にメモを取りかけたけれど、メモを取らずとも思い出すものだと京極さんに言われてやめる(笑)。勝ち負けって何だよという話はちょっと目からウロコでした。「役に立たない」とか「面白くない」とかいうのはもうやめよう。物事を楽しめるかどうかは自分次第。
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ここまで言葉について考えたことが無かった。
言葉というのは不安定であるが故に、良くも悪くも受け取り方は無数にあるのだ。
間違った使い方をしないように訓練していきたい。
Posted by ブクログ
いわゆる「地獄」の楽しみ方は学べなかったけど、SNSはなぜ炎上するのか?本はどう楽しむのか、言葉の使い方とは。別の人生を生きる、ではないけど、やっぱりこういう本があると思うと読書は有意義。だけど、それを活かせるか、なんだよなぁ。
Posted by ブクログ
この世界は実は面白い、この世の中は地獄 その地獄を楽しむために、非常にリスキーな大発明、言葉を利用してみましょうというお話らしい
どんな言葉も受け取る側によっていかようにも変わってしまう、あらゆる争いは言葉の行き違いから起きるとか
どんな文章もどんな言葉も受け取る側によっていかようにも変わってしまう
多様な解釈があるということ。
改めて言われてしまうとそうだなと感じるわ。
地獄の楽しみ方?この世の中は地獄なんですね?気づいた人から楽しむ方向へシフトしていけたらいいけど
楽しもうと色々考えてしまって結局楽しめないんですけど。
「本の中にはもう一つの人生があります。十冊楽しめた人は十、百冊楽しめた人は百、違う人生を歩めるんです、このつらい現実以外に。すてきなことだと僕は思います。」
うんうん これは納得。
Posted by ブクログ
京極夏彦の特別授業を書籍化した『文庫版 地獄の楽しみ方』を読みました。
京極夏彦の作品は3年前に読んだ『百器徒然袋 雨』以来ですね。
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「あなたの世界」は言葉ひとつで変わってしまいます。
SNS炎上、対人トラブル――あらゆる争いは言葉の行き違いから起きています。
言葉の罠にはまらないため、語彙を増やして使いこなすわざを身につけましょう。
小説家・京極夏彦が指南する、地獄のようなこの世を楽しく生きていくための「言葉」徹底講座。
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2019年(令和元年)に「学校では教えてくれない本物の知恵を伝える白熱授業」と題して京極夏彦が聴講生50名を対象に特別授業を行った内容をもとに、同年に刊行された作品です。
■第1部 言葉の罠にはまらないために
・言葉は人類最大の発明である
・「過去」と「未来」は言葉で作られた
・言葉はデジタル、だから不完全
・人は言葉の欠けを勝手に埋める
・SNSが炎上するわけ
・日本語のすぐれたところ
・すべての読書は誤読である
・あらゆる争いは言葉の行き違いから起きる
・「勝った」「負けた」も言葉の魔術
・人間は自分がなりたいものになる
・スポーツも勉強も勝ち負けではない
・世の中にいいことなんてないでも面白がろうと思えば面白い
■第2部 地獄を楽しむために
・「ら抜き言葉」は間違いか
・「正義」の対義語は「悪」?
・「神」という言葉があらわすものは
・「愛」という便利で危険な言葉
・語彙の数だけ世界がつくれる
・人生でいちばん大切なのは「整理整頓」
・本の数だけ人生がある
・嫌いなことをしないために頭を使おう
■京極さんとの言葉をめぐる一問一答
・カオスとは、言葉で切り取らなくてはならないものですか?―切り取るのは、認識するための手段にすぎません。
・「言霊」とはどういうものですか?―「呪う」ことも「祝う」こともできるものです。
・「言葉は不幸である」と思われますか?―言葉は不幸でもあり、幸福でもあります。
・理不尽な勝負を挑まれたら、どうすればいいですか? ―勝負を無効化しちゃいましょう。
・本の収納の仕方を教えてください。―本の収納だけは「愛」と執念
・なぜ嫌いな小説を書いているのですか。 ―生活のためですね。
「今の十代の皆さんは、私が十代だった頃に比べても、はるかに優秀です。
しかし、大人になった皆さんを待ち受けているのは地獄のような現実です。それはいつの時代も変わりありません。
地獄を楽しむためのヒントを、もう地獄に堕ちている先輩が、少しだけお教えします」(京極夏彦)
「あなたの世界」は、言葉ひとつで変わってしまいます……SNS炎上、対人トラブル――すべては「言葉」の行き違い、、、
語彙を増やして使いこなすわざを身につければ、楽しい人生を送ることができます……地獄のようなこの世を生き抜くための「言葉」徹底講座。
大人前夜のきみたちへ。学校では教えてくれない本物の知恵を伝える白熱授業……「17歳の特別教室」シリーズ第5弾。
京極夏彦の特別授業……若い方からミドル、そしてリタイア後の生き方を考えている方まで、なるほどと思う含蓄が詰まった一冊でしたね、、、
そんな中でも印象に残ったのは、
●言葉は非常に不完全なもので、伝えたい事柄を正確に言い表すことは不可能に近い
●受け取る方は常に過剰な意味合いを付加してしまう
●自分の気持ちでさえ言葉にはできない……言葉は通じないので、それを承知で使う
というメッセージことですね……仕事のことで議論する中で、なかなか相手と噛み合わないことがあるんですよねー このメッセージを理解しながら言葉を選ぶことで、少しは改善できたらいいな と思います。
言葉について、色々と考えさせられる……そんな一冊でした。