京極夏彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【短評】
多分10年振り位に着手する「巷説百物語シリーズ」の最新刊である。
どうにもならぬ人の世のしがらみを妖怪怪異に仮託することで解消する本シリーズ。
正直、事前知識はさっぱり抜け落ちていたが、思いの外すんなりと世界観に浸ることが出来た。そうそう、こんな感じだった的な安心感。
全6話が収録されているが、基本的には同じ構造。起承転結よろしく「譚」「咄」「噺」「話」という4つの「はなし」で構成される本作の「型」をシリーズの様式美と捉えるか、紋切り型と捉えるかで評価は分かれるかもしれない。私は前者である。ただ、やや胡乱な表現になるが、このシリーズ、もう一歩グッと来る物語集だった記憶が強烈に残っている。全体的に落語的な面白さはあったが、涙が滲むような、心が震えるような、そんなお話に出会えなかったのが少々残念ではあった。
①歯黒べったり ★★★☆☆
巷説百物語ってこういう感じだったな、というのを思い出した。久しぶりの再読ということもだったが、期待していたものに出会えた嬉しさよ。「目鼻がなくなる」部分をかなりの力業で解決していてちょっと笑った。
②磯撫 ★★★☆☆
米取引を巡る一連の騒動。黒幕の目的が読めず、なかなかに引き込まれた。成程”完璧”だけが良質な謎ではないと。しかし凄い大仕掛だな。
③波山 ★★☆☆☆
全体的に無理があるような気がした。
④鬼熊 ★★★☆☆
ハリボテの*で医者の目を掻い潜るのは不可能ではないのか、思った。しがらみからの解放という意味では綺麗な展開だったのでちょっと加点。
⑤恙虫 ★★★★☆
個人的には一番面白かった。仕掛けがシンプルであるのが気に入った。鮮やかなのが好み。疫病の蔓延という割と緊迫した展開が、良い感じの変化になっていたと思う。志津さんと大久保氏が己の状況の異常さに思い至る辺りが好み。
⑥出世螺 ★★★☆☆
やっぱりあの人が出ると物語が締まるなぁというのは、この手のシリーズ特有の感想である。良いものは良い。ようやく主役のご登場といった具合。個人的には最終話はもう少し入り組んだ事情(と、そこからの解放)を期待したが、思ったより小粒の話に落ち着いてしまったかな。悪くは無いが、期待が少々高すぎたかしらといった印象。
次作「了巷説百物語」で完結とのこと。
今作はやや消化不良だったゆえ、嘗て味わった感動を期待して待つとしよう。 -
Posted by ブクログ
近未来の情報統治された世界で起こるSFアクションミステリ第2弾。
14歳の少女達が悩んだり戸惑ったりしながら(しない奴も数名あり)、ダメな大人達のすごく嫌な計画と戦って打ち破り、夢や現実に突き進む。
コミュニケーションって?生きるって?死ぬって?夢って?という現代人もつまずきがちな問題が、発展・進歩した世界では、余計に難しいらしい。動物を殺さずに食糧問題を解決し、武器も争いも(表向きは)なくなり、医療等も飛躍的に高度化してるのに、みんな「楽しく生きている」ようには全然見えない。多分それは、今の人間である私の主観でしかないですが。
こう書くと変な話に思われるかもしれませんが、京極夏彦は絶対裏切らない。
やや前半のテンポが悪いですが、中盤からギアはどんどん上がっていきます。