【感想・ネタバレ】遠野物語remixのレビュー

あらすじ

山で高笑いする女、赤い顔の河童、天井にぴたりと張り付く人……岩手県遠野の郷にいにしえより伝えられし怪異の数々。柳田國男の『遠野物語』を京極夏彦が深く読み解き、新たに結ぶ。新釈“遠野物語”。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

遠野は小さなエリアなのに、こんなにも豊かな伝説が残っている。日本ホラーの原点かも
内容を知りたい場合はやっぱり現代語訳がいい。
宮本常一好きだけどきちんと柳田國男は初

0
2025年08月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

長いこと読みたいと思って、ようやく読めました。
思った以上に素朴。
例えば『今昔物語』や『宇治拾遺物語』の方が、体裁を整えようという意図が見えるほど。

ここまで、語り手の話す通りを記録するというのは、逆に難しいのかもしれない。
そこに自分の視点を加えないという、強い意志がないと無理だろう。

その分読み手としては、話が前後していたり、伝わりにくかったりするところも多かったらしく、京極夏彦がそれを整理して読みやすく書き直したのが本書。

怪異には河童とかヤマハハと名がついたものもあれば、ただ「不思議な話」として残されているものもある。
その怪異のおかげで家が栄えた人もいれば、没落した人もいれば、何の変化もなかった人もいるというのが却ってリアル。
その不思議な話も、2~3年前の出来事から、せいぜい曾祖父あたりの昔の話なので、実感が伴っているものが多い反面、不思議な出来事に対する諦念もあり、というのが正直なところなのだろう。

赤い顔の大きな河童というのは、日本に漂流して山奥に追いやられた外国人なのかなあと思った。
目が不思議な色をしているなどと書かれているし、言葉は通じないみたいだし。

遠野は山奥にあるけれども、実は城下町で、交通の要衝でもあり、栄えていたというのは知らなかった。
旧家がいくつもあり、それらは「大同」と呼ばれている。
先祖が大同元年に甲斐の国から移ってきたからなのだそうだ。
大同というのは、坂上田村麻呂の時代。
甲斐の国というのは、領主である南部家の本国。
この二つの系統の伝説がまじりあったのかもしれないと、柳田國男は考えた。
興味深い。

遠野には蓮台野(でんでらの)という変わった地名がある。
どうしても「デンデラリュウ」を思い出してしまうけど、あれは九州のわらべ歌だし、関係があるのか、関係がないのか、気になるところ。
蓮台(でんでら)野とは、60を超えた老人が追われていくところ。
「出ん出ら」の響きとは無関係とは思えないけど。

蓮台野の南側に星谷という地名があり、そこには「蝦夷(えぞ)屋敷」と呼ばれる遺構があったり、「蝦夷銭」と呼ばれる土で作った銭のようなものが出土されたりしている。
土地柄、蝦夷(えみし)と呼びそうなものなのに、蝦夷(えぞ)と呼ぶのも、いわくありげで興味深い。

0
2025年04月26日

Posted by ブクログ

もともと民俗学に興味があったので、面白く感じた。
読んでいると、自分も遠野の地に行ってみたくなった。一つ一つの話が短く読みやすかった。

0
2021年07月08日

Posted by ブクログ

現代語訳されて再編された、柳田國男の遠野物語。
東北の薄暗くも寒々しい原風景に息づく、怪異の姿がありありと思い浮かぶ。

0
2021年02月25日

Posted by ブクログ

遠野に伝わる数々の伝説の情景が脳裏に色濃く浮かび上がってくる。
原風景への憧憬もさることながら、このような話を伝える語り部たちがどれほど残っているのだろうと、少し寂しくなる。

0
2019年09月09日

Posted by ブクログ

独特な文体に目が行く。
簡潔な短い文が重ねられている。ここは読点なのでは?と思うところで句点だったり。
京極夏彦の文章を読むのは実は初めてで、これが京極調なのかどうか、わからない。多分、柳田の文章に合わせて工夫したものなのだろうとは思う。

経立(ふったち、長生きした獣)や、座敷童、山神、山人といった不思議なものたちには、心がひきつけられる。
そして、それらが土地の地形や地名と深く結びついていると感じた。
きっと遠野だけではなく、全国各地にこういった話はあったはずなのに、どうして残らなかったのだろう。
ほら、この岩にはその時の熊の爪の跡がのこっているだろう―といった形で、自分の生まれ育った土地の話として読んでみたい気がする。

0
2016年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わりました!

ちょっと読みにくかったなぁ・・・
だけど、ずっと気になっていた本が
やっと読めたので良かったです(〃^^〃)


最初。。色んな妖怪さんのお話がぎゅっと詰め込まれた本なのかなと思っていたら、
予想と違っていてビックリしました!





遠野では昔話の終わり「コレデドンドハレ」なんですね!
最後のお話『百十七』は、
ドンドハレじゃないでしょ!?と突っ込んでみたりしてました(^_^;)笑


狐とか河童とか知っている妖怪が出てきたのは嬉しかったです♪♪



妖しに化けて人間の前に出てくるエピソードが
夏目友人帳に似ていたのも嬉しかった////

知っている人が妖怪さんになって現れる…
折角現れたのに怖がるところは、
ちょっと切なかったなぁ(;ω;)


九十七のラストは。。おそろしを思い出しました…


どのお話も不思議な話でした!
冬に怖い本を読むのもいいですね〃^^〃

0
2014年12月13日

Posted by ブクログ

ついつい一気読みしてしまった。
「遠野物語」は簡潔で読みやすく、既に作品として完成されていると思うのだが、京極夏彦氏の手によって、更に読みやすくなっているとは……。

怪異にあったからといって、その後変わったことは何もなかったというオチもいくつかあった。
やはり、遠野では頻繁に起こっていたことなのかな……。

0
2014年11月03日

Posted by ブクログ

・京極夏彦・柳田国男「遠野物語remix」(角川文庫)は 紛れもなく京極の作物である。だてにremixと付したわけではない。それなりの理由と京極の意志がここにはあつたのである。冒頭に「remix序」といふ序文がある。これは所謂旧漢字、歴史的仮名遣ひの文語文である。「遠野物語」のごく簡単な説明と、それを現代語訳するについての決意を述べたものと言へよう。そこにかうある、「柳田先生は文学者にはあらざれども名文家として識られる碩学の人なり。自分もまたその端正なる美文に因り喚起せらるる感動を損なはぬやう、一字一句をも加減せず、時に補い時に意訳し、順序を違へて、拙き筆なれど感じたるままを伝へらるるやう努め書きたり。」(13頁、原文の正字体 は新字体に直した。)この引用の口語文くさいところは気にせずとも、しかしやはり気になるところがある。それは「遠野物語」序文の次の一節を直ちに想起させるからである。「鏡石君は話上手にはあらざれども誠実なる人なり。自分もまた一字一句をも加減せず感じたるままを書きたり。」(青空文庫本、ただしルビ 削除。)基本は同じ、京極が少し足しただけである。柳田は佐々木鏡石の話し言葉を書き言葉とし、京極はその文語文を現代語(口語)訳した。つまりは同じやうなことをしたわけである。この一文が使はれるのは当然と言へる。しかも、京極の序はかう終はる、「願はくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。」(13 頁)この有名な柳田の一文を己が序の末文とする。この序の最後には京極夏彦とある。これは京極なのである。この序の先の引用以降が、つまりは大半が、実は柳田の書き換へであつたとしても、やはりこれは京極の作物なのである。たぶん京極のここでのremixとはかういふことである。
・remixとはある楽曲に手を加へて別の楽曲に仕上げることであらう。京極には柳田を極端に改変する気は全くないが、しかし、ただ訳せば良いとはしなかつた。それが、例へばこの序であつた。これ以下の本文の構成には大幅に手が入つてゐる。柳田は内容は気にせずにバラバラに置いた。京極はそれをほぼ分類別にした。分かり易い。同種の話が並ぶのだから比較もし易くなる。柳田の注は本文に組み込んだりした。簡潔さを欠くことになりかねぬものを、そこは京極、さすが手練れである。うまくさばいて、うまく本文に組み込んである。その時も、当然のことながら、いつもの改行の多い文体を使ふ。個人的にはこれは好きではないが、整理された文章にするといふ点では案外役だつてゐるのかもしれない。柳田の序文も、「これから語る話は、すべて遠野の人である佐々木 鏡石君より聞いたものである。(原文改行)去年ーー。(原文改行)明治四十二年の二月頃から、折々に聞いた。」といふやうに、見事に京極の文体である。しかも、ここには先の「一字一句をも加減せず」あたりもきちんと現代語訳されてある。当然のことではあるが、こんな二度手間も厭はないのである。使へる材料 は何回も使ふなどといふのはむしろ合理的な判断であらうが、普通の現代語訳ではたぶん行はれない。正確に訳したことにならないからである。そこが remixのremixたる所以、京極はそれをためらはない。のみならず、柳田の序文は分断された。さうして最後に、といふより鹿踊りの詞章の前に、「序 (二)」が置かれる。これが先の「願わくはこれを語りて。(原文改行)平地人を戦慄せしめよ。」(238頁)で終はる。ここは分かち書きである。いかにも京極らしい処理と言ふべきであらう。そんなわけで、私はこの序の処理だけでremixを堪能したのであつた。

0
2014年09月14日

Posted by ブクログ

巻末の解説が中身なさ過ぎて草。
話自体はどこかで聞いたこともある民話を集めたものだけど読む人を引き込む力がある。

0
2014年06月29日

Posted by ブクログ

京極夏彦さんが編集していると知って読んでみた。色んな妖怪が出てきて興味深い。その逸話が色んなの目線から聞けるのも貴重。
それを形作っているのは人の恐怖心や、悲哀・怒りで、そこから信仰が生まれたり慣習として残っていくんだろうね。

0
2025年02月02日

Posted by ブクログ

面白い。
原文と対比して読めばさらなる面白さ。クセはあるものの、京極夏彦のセンスはさすが。解説も読み応えあり。
現実と非現実、時間の狭間の朧な光景。暖かな羊水に包まれて微睡んでいた、遠い日に繋がる血の記憶のような…

0
2021年06月05日

Posted by ブクログ

怖いとも怪しいとも言いきれない、なんとも不思議なエピソードの数々。明治期の日本には、非日常が日常のすぐそばまで迫っていたのかと。

0
2020年05月03日

Posted by ブクログ

2013年刊の単行本の文庫化

柳田邦男没後50年で、著作権の切れた「遠野物語」を京極夏彦が3つの部分に分け、並べ替えて編集したもの。

元々柳田邦男が聞き取り編集したものだから、その再編集版だという解説者の論はその通りだ。

京極夏彦版にもっとおどろおどろしいイメージをもっていたが、素朴な言い伝えのままだった。

0
2019年10月03日

Posted by ブクログ

岩の上の肌が抜けるように白い女、川岸に足跡を残す赤い顔の河童―。岩手県遠野の古くから伝わる、不可思議な説話を集めた『遠野物語』。日本民俗学の黎明を告げた柳田國男の記念すべき名著を、京極夏彦がリミックス。

0
2019年09月01日

Posted by ブクログ

民俗学に造詣の深いミステリ作家の京極夏彦が、柳田國男の『遠野物語』を再構成した作品です。

現代の文章で書きなおされた本書を通して原作の魅力に触れることができるという意味では、評価されてよいのではないかと思います。

解説を担当しているのは民俗学者の赤坂憲雄で、民俗学と文学の境界を侵犯する『遠野物語』のテクストに秘められた現代的な可能性が本書によって解放されることになったと述べられています。もちろん民俗学的な想像力をミステリに引き入れるという仕事は、著者や三津田信三、佐藤友哉らによっておこなわれており、さらに山岸凉子の少女マンガなども同様の試みとみなすこともできると思いますが、そうした方向から柳田民俗学に関心をもった読者にとっても、本書は手にとりやすいのではないでしょうか。

0
2019年06月27日

Posted by ブクログ

三度目の正直で読み終わることができた。
単に怖いだけの話ではない。日本においての怖いとは、同時に切ないというものが付いてくるのかもしれない。そう思った。
遠野に行きたい。

0
2018年07月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

遠野郷で見聞きされる風土、風習、怪奇を物語る柳田國男の有名著書を現代語で。
原書も読みたい読みたいと思いつつ、なかなか手がでなかったのでとっつきやすい企画とてもありがたいです。
原書よりも読みやすいと思われるので入門には良かったかと。
文化的かつ幻想的でとても素敵な読み物ではありますが、いかんせん淡々とした記録語りのため結構眠くなります。電車でちょっとずつ、には向いてるかも。ということで原書はさらに先延ばしになりそうな予感・・・

0
2014年12月06日

Posted by ブクログ

現代の大御所が、自らが影響を受けた過去のカルトバンドのインディーズの1stをほぼ完コピしたカバーアルバム(但し曲順入れ替えてます)、という印象。狙いもリスペクト度合いもよく分かります。読みやすいし、遠野物語の特異性がよく分かり、意義も大きいでしょう。但し京極夏彦ファンとしては、いいから京極堂シリーズの新作早く出せや!!!という気持ちの方が大きい。毎回同じこと言ってますが。

0
2014年10月05日

Posted by ブクログ

「遠野物語」を現代語訳して分類、並べなおしたものなので分かりやすかった。巻頭に明治時代当時の地図も載ってて興味深かったけど、地名がけっこう難読で^^; 「遠野物語」というくらいだからもっとこう、ちゃんとしたストーリーかと思ってたんですがまったく違うんですね…原典読んだことないので驚きでした。そして、Remixということで京極らしい、もっとおどろおどろしたものかとも思ったのに…そういう意味でちょっと期待外れだったかなぁ。

0
2015年07月06日

Posted by ブクログ

遠い昔の話ではなく明治時代の話を、こうやって並べられると、静かにそろりそろりと身に迫って怖くなってくる。

最後の「××ほめ」という遊び?は、怪異譚との対比もあり、遠野の人々の暮らしぶりやその心の余裕が見えて面白い。

0
2015年08月09日

「小説」ランキング