あらすじ
〈憑き物落とし〉中禪寺洲齋。
〈化け物遣い〉御行の又市。
〈洞観屋〉稲荷藤兵衛。
彼らが対峙し絡み合う、過去最大の大仕掛けの結末は――?
文学賞3冠を果たした〈巷説百物語〉シリーズ堂々完結!
下総国に暮らす狐狩りの名人・稲荷藤兵衛には、裏の渡世がある。
凡ての嘘を見破り旧悪醜聞を暴き出すことから〈洞観屋〉と呼ばれていた。
ある日、藤兵衛に依頼が持ち込まれる。老中首座・水野忠邦による大改革を妨害する者ども炙り出してくれというのだ。
敵は、妖物を操り衆生を惑わし、人心を恣にする者たち――。
依頼を引き受け江戸に出た藤兵衛は、化け物遣い一味と遭遇する。
やがて武蔵晴明神社の陰陽師・中禪寺洲齋と出会い、とある商家の憑き物落としに立ち会うこととなるが――。
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Posted by ブクログ
天保11年。老中首座・水野忠邦の改革が進む中、改革支持派の依頼を受けた洞観屋の藤兵衛は、又市たち〈化け物遣い〉のことを調べていた。
武家社会の存命を図る水野。そこに絡む新たな闇の勢力。生活苦が増す民草。人死にを出さない世のため、小股潜りの又市は一世一代の仕掛けに打って出るが……。
「巷説百物語」シリーズ完結編。
◇
下総国酒々井宿に、とうか藤兵衛という男がいた。
稲荷と書いて「とうか」と読む。
その「とうか」とは稲荷神社の御使いたるお狐様のことだが、「とうか」を名乗るのは藤兵衛が特に信心深いからではない。お狐様からすれば藤兵衛は、むしろ罰当たりと言っても差し支えない。藤兵衛は狐専門の猟師だからだ。
おまけに、祟りをなす化け狐退治も請け負ったりする。そこから付いた異名が稲荷藤兵衛なのだった。
そんな藤兵衛には、もうひとつ請け負い稼業がある。それは、相手が嘘をついているかどうかを見抜く洞観屋としての仕事だ。
人間が嘘を付くときは、どれほど取り繕おうとどこかに不自然さが出る。相手の顔色や目の動き、仕草や口調などを具さに観察し、さらにできれば、その人物についての聴き込みを重ねた上で話の真偽を判断するのが、洞観仕事である。
藤兵衛の洞観は確度が高いと評判で、依頼はちょくちょくあったため、藤兵衛が生活に困ることはなかった。
ある日、洞観屋としての藤兵衛に仕事の依頼が来た。持ち込んで来たのは酒々井宿がある佐倉藩で郡方手代を務める山崎由良治という侍である。
山崎の依頼は、「化け物遣い」と呼ばれる一味について調べてほしいというもので……。
( 第1章「戌亥乃章 於菊蟲」) ※全6章。
* * * * *
最終巻となる7作目。なかなか読み応えがありました。
なんと言っても話のスケールが大きい。幕府や佐倉藩のみならず、朝廷まで巻き込んでの大騒動です。
そしてそのスケールを支えるべく、「化け物遣い」一味がフルキャストで登場します。
( 又市たちの元締である一文字屋仁蔵まで出てきます )
さらに新キャラがとても魅力的です。
まずは中心人物から。
本作の視点人物が、稲荷藤兵衛という洞観屋です。
観察力と洞察力に優れ、常に物事を冷静に判断することができる藤兵衛が、探偵役その1を務めます。
探偵役その2が、中禪寺洲齋という武蔵晴明神社の陰陽師です。
洲齋は邪を祓うほか、言の葉を巧みに操り人の心を捉えます。弁が立つという点では、又市に匹敵します。 ( 実はこの洲齋、『百鬼夜行』シリーズでお馴染み、中禅寺秋彦の先祖だそうです )
そして、今回の悪役がすごい。
ラスボスが商家の女将・冨久という中年の女です。
冨久は、己の野望を遂げるためなら大量殺戮も厭わないというサイコパスです。
その冨久の配下にあって荒事を受け持つのが7人の刺客たち。七福神のコスチュームを身につけているところから、「七福連」と呼ばれています。(『風の市兵衛』に出てきそうな連中です )
また、藤兵衛を輔ける2人もいい。
ひとり目は猿猴の源助です。
源助は黒部山中を自在に駆ける木樵で、猿なみの敏捷さと熊を殴り殺せる膂力を誇り、狼に匹敵する聴力と嗅覚、遠くまで見渡せる鷹のような視力を持っています。
ふたり目は猫絵のお玉です。
お玉は、ネズミ除けのための猫の絵を描いて売り歩く猫絵売りで、江戸市中なら裏道や抜け道も含めすべての経路を熟知しているという、人間ナビです。
その他にも、遊び人の金次こと遠山左衛門尉景元や妖怪と呼ばれた鳥居甲斐守忠輝などの実在する人物も重要な役割を担っていて、時代小説ファンにはたまらない設定です。 ( 水野忠邦は、名ばかりで動きはありませんが…… )
内容的に見て、あらすじについては触れない方がいいと思うので控えますが、敢えておことわりしておくことが2つあります。
1つ目は、「小股潜りの又市」が登場しないということです。
陰では大いに動いているらしいのですが、その活躍の描写がありません。又市の登場は今か今かと、最後までじりじりさせられて大きなストレスになったので、注意事項として挙げておきます。
2つ目は、チーム又市のメンバーが命を落とすことになるということです。
これも実に悲しいしショックだったので、私のように気の小さい方は心積もりしてお読みください。 ( 私がいちばん好きだったのが第4巻『前巷説百物語』に登場する「鳥見の旦那」こと山崎で、その山崎が死んだとき、呆然としてしばらく続きを読めなかったことを思い出しました )
それでも今回は、もうひとりのお気に入りの人物である「燈の小右衛門」が見せ場を作ってくれているのが救いでした。「山猫回しのおぎん」が大活躍するのもよかったです。
全1149ページ。上下巻に分けたほうがいいと思うぐらい分厚くて ( おまけに重い!)、読むのにひと月ほどかかりました。でも読み終えてしみじみと感慨に耽ることができる作品です。
Posted by ブクログ
2025年7冊目。
ううん、見事な幕引き。まさに[了]の名にふさわしい大作で、おかげさまで満足感ともの寂しさがとんでもないわ。ナンバリングの一作目から、古典の三部作、そして時間軸があとだから触れられんべと勝手に思っていた遠野まで網羅して…すべてを絡めとった上に百鬼夜行につなげる流れはもう、舌を巻くしかなかった。
個人的に又市が大好きなもんで、まさかの最終巻にぜんっぜん登場しないのにはびびったけど、だからこそたった見開き1ページのあの終わりが…くそぅ、痺れる。そんで又市と、遠野に行っちゃってた仲蔵を抜けば、びっくりするくらいのオールキャストっぷり。お馴染みのキャラ…特に治平が退場するのを見せられるのはつらかったけど、予告されてたことだったしやむなしよな……。かっこよかったなぁ。かっこよかったのでよりつらいが。
しかし間違いなく江戸時代を舞台にしていながら、つい現代とオーバーラップしてしまうこの描き方はほんと、どういうことなんだろね。終盤の富久と中禪寺のやり取りなんかほんと、「今の日本のはなししてる???」ってなった。刺さるなぁ。
読み始めて数十ページで、「あっこれは「嗤う伊右衛門」「数えずの井戸」「覗き小平次」見てた方がいいわ」となってそこから始めたため、読み終わるまでに尋常じゃない時間がかかった本作。ようやく済んで、まさにひと仕事終わった気分。たのしかった。いつかまた、一作目から順に読み返したいけど、生きてる間に二週目達成出来るかしらん?わくわくするね。
Posted by ブクログ
ついに大好きなシリーズが終わってしまう。
25年もかけて御行の又市シリーズ完結です、寂しい〜
今作のメインは稲荷藤兵衛(とおかとおべえ)という狐猟師。裏渡世は洞観屋(どうかんや)といって嘘を見破る仕事。
初めは世の中にいろいろある事件の裏側を探って欲しいっていう、改革を推し進める幕府側に近いところからの依頼で江戸に出てきた藤兵衛。
助っ人のお玉と源助とともにあれこれ調べるうちに、山岡百介と小股潜りの又市の名が聞こえてくる。
少しずつ、事件の真相に近づいて
裏渡世の化け物遣いが大勢絡んで、裏の裏の黒幕を暴く。
大立ち回りもめちゃくちゃ派手でドキドキする流れ。
又市がなかなか登場しないので寂しいけれど、中禅寺っていう拝み屋が、京極堂シリーズの祖先だよね、などと推測もできて満足です。
めっちゃ楽しめる裏渡世化け物遣いアベンジャーズでした。
Posted by ブクログ
〈憑き物落とし〉中禪寺洲齋。
〈化け物遣い〉御行の又市。
〈洞観屋〉稲荷藤兵衛。
嘘を見抜く洞観屋藤兵衛の側から見た又市や洲齋の物語をからめながら、老中首座・水野忠邦による改革とその黒幕となっている金貸しによる改革の真の目的が語られます。
複数の事件が相互にからまりながら、クライマックスへと突き進む1100頁を超えるオールスター総出演の物語を一気に読ませてもらいました。
このシリーズには『巷説』『前』『続』『後』『西』『遠』『了』があって、又市側の視点から描かれたそれぞれの事件が本作ではどのように藤兵衛の目に映るのかという読み方もとても興味深いです。
膨大な物語を破綻なくまとめる。やはり、京極氏は天才でした。
竹蔵
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この一冊がこれまでの巷説シリーズを大河ロマンにしました。それは、ロシアの大文豪も真っ青になるくらいの、あるいは顔を赤らめるくらいの、大河小説です。
これまでの主人公の活躍を描かずに、彼の動きを伝えてくる。ずっと読者の思いを募らせる。たいしたテクニックです。この騙りに乗せられながら読む楽しさが読んでいる間、ずっと続きます。
今回は活劇が多い印象です。しかも、映像が浮かんでくる。むしろ、自分がカメラマンになって映像を撮っているような気分。京極夏彦さん、映画監督にチャレンジするのだろうか、と思うほどの活劇描写。黒澤明監督の映像の美しさを彷彿とさせるものでした。
陰陽師が「世の中には」とか「この世には」とか話し始めると、この一言が誘う世界に引き込まれていく、抜け出せなくなる。
おぎんさんはいつでも妖艶な美しさ。そして、強い。おぎんさんの出番にはいつも惚れ惚れします。
そして、登場する大河ロマンの仕掛け役。その人が着る鮫小紋。白っぽい鮫小紋。この場面で鮫小紋を着せるセンスの良さにうっとりしました。
そして、いつまでも動き続ける八咫烏、又一。妙に落ち着いた大団円とせず、物語は生き続けるのですね。これまでのシリーズが、一冊で完結しているように見せて、大河ロマンの一部であったように、すべての物語は、一部始終でありながら、一部分でもあるのだと感じ入りました。
Posted by ブクログ
1152頁とまさに鈍器本! 中禪寺洲齋が出てきてからは残りの3分の2を1日で読んじゃうくらい面白かった。歌舞伎座で狐花見てからだと中禪寺洲齋が松本幸四郎のイメージになっちゃってちょっと面白い。既刊も読み直したい、けど分厚い!笑
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収録されている作品は以下の通り
於菊蟲
柳婆
累
葛乃葉
手洗鬼
野宿火
百物語
又市かっこいい。最後まで姿は出てこないけど。
しかし人死が出過ぎ。度々泣いた。毎度人が死ぬたびに後悔していると顔を顰めすぎな中禅寺氏。もっとヒーローであってくれと思わなくもなく。
しかし分厚い。分厚いのにあっという間に読めてしまったのはさすがである。
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了わった。
藤兵衛を通して、外側からじわじわと渦中へ。点と点が線になっていく、知っている顔が浮き上がってくる。。。やぁ、ため息、圧巻。
しかし、じじさま達の死でボロボロ泣くなんて思ってなかったよ。
さて、シリーズを読み返しますか。
Posted by ブクログ
最初は1149頁というボリュームの本の分厚さに圧倒され、寝転がって読むこともできずに正面に抱えて読み進めた。
章立てになっているとおりのまさに長編かつ、これまでの巷説百物語や数えずの井戸などの 登場人物とストーリーを踏まえながら、虚実を見抜く洞観屋藤兵衛と憑き物落としの拝み屋 中禪寺洲齋を交えることで百物語の宴に了を着けるスペクタクルを楽しんだ。又市の暗躍ぶりが気にかかる。
とはいえ、これまでのお話が自分の中で既にぼんやりとしているのが残念なところ。
最終章の「空亡」が十干と十二支を組み合わせたときに出来る余りの二支のことと知り、戌亥・申酉・午未・辰巳・寅卯・子丑という それまでの各章の名前と順番に得心した。
24-35
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終わってしまった。
藤兵衛、お玉、源次というNewキャラ目線ではじまり、治平、お龍、柳次、玉泉坊、林蔵、文作、徳次郎、おぎん、縫らとつながっていく。京極堂(あの京極堂の先祖らしい)も登場。又市は最後の最後で姿を見せるがそれまでは存在感のみ。山岡百介は直接話に絡まないが彼の動きがきっかけになって思わぬ方向にいってしまう。仁蔵までが死んでしまうとは。富久の野望は阻止されたけど、百姓の方が何倍も多いのに侍を倒さないのはおかしいという考えには賛同する。京極堂が説くこの世に不要な人は存在しない、弱い者も生きていける世の中を目指すべきだという考えは、京極さんの今の世に対する考えなんだろうな。
右近って他に出てきたかな?風見が異様に強かったけど、彼もどこかで登場してたかなあ?と思っても簡単に読み返しができない長編ばかりだからね。
和製アベンジャーズって感じ。
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巷説百物語のシリーズもついに完結ですか。さみしいですね。まあ「続」から「後」でお話としてはきれいに完結していたのでその後はどうしても前日譚だったりスピンオフ的なものだったりと、面白いには面白いんですがいまいちお話に緊迫感がなかったので今回も心配ではありました。
いやでも面白かったです。たしかに「続」で語られた千代田の城のネズミの話がやっぱり来たわけですが、これまでのシリーズの話の裏側だったり登場人物が総動員されて最終作にふさわしいスケールの大きなものになっていました。稲荷藤兵衛も今回で終わりにはもったいないような魅力的なキャラクターでしたし。
でもこれまでのどうしようもない袋小路な出来事を「化け物遣い」でもって華麗に解決!みたいな感じではなくエンタメっぽさが強かったかな。七福神に扮した悪役集団との対決!とか。
あと中禪寺さんがなんというか押し出しというか見せ場というか推しというかが強くありませんかね?最後の最後まで姿をみせない又市さんも印象強くはあるんですが、これで最後ならもっとあの飄々とした小股潜りっぷりを見たかった。まあそれも野暮かもしれませんけどね。
Posted by ブクログ
シリーズを読み直してから挑んで良かった。これまでのキャラクターたちが勢揃いし最大規模で繰り広げられる圧巻の最終決戦。まさか稲荷坂のあいつまで冨久の仕掛けだったとは驚きました。最後の又市のセリフ"輩も物語になってるでしょうよ"でとうとうこのシリーズも終わったんだなと実感が湧きました
Posted by ブクログ
京極作品の中で一番好きなシリーズ
完結編だけあってオールスターキャストの読み応え抜群だった
百介は登場しませんでしたが
今回は狐猟師にして嘘を見破る道灌屋
藤兵衛が主役
クライマックスの戦いは壮絶だった
又一たちの戦いはこんなに厳しいものだったのかと絶句した
故に百介を巻き込みたくないという気持ちもよくわかった
シリーズが終わるのは寂しいが
見事な最終話
話は違うが京極作品はいつも長いので
合間に2~3冊違う本を気分転換に読んだりする
今回は4冊読んだ
長かったわ
Posted by ブクログ
『巷説百物語シリーズ』七作目にして完結編。
下総国に暮らす狐狩りの名人・稲荷藤兵衛は、凡ての嘘を見破る〈洞観屋〉としても知る人には知られる存在です。
ある日、藤兵衛に老中首座・水野忠邦による大改革を妨害する者達を炙り出してほしいとの依頼が持ち込まれますが・・。
やっっっと読み終わりました~・・というか、ついに読み終わってしまいました(寂)。
・・にしても、マジで分厚すぎるでしょ!
京極さんの長編モノはほぼ読破してきて、そのヴォリュームに関しては慣れている私ですが、それでも本書の物理的な迫力には圧倒されちゃいましたね。
漬物石レベルの重さ(物理)と格闘しつつも、まさにシリーズの集大成ともいえる圧巻の読み応えで、結果本の重さなぞどうでもよくなってくる面白さでございました。
(ただ、気が付いたら腕がこわばっているという・・笑)
さて、物語は藤兵衛視点で語られていきます。
依頼を引き受け江戸に出てきた藤兵衛は、助っ人の“猫絵のお玉”、“猿猴の源助”らと共に探っていくうちに〈化け物遣い〉達と出会っていく流れで、『巷説』ファンにはお馴染みのメンバーが次々と登場してくるたびにワクワクしちゃいました。
おぎん姐さん、治平さん、徳次郎さん、林蔵はん、小右衛門さん等々・・これまで登場した主要キャラが勢揃いの豪華さでございます。
そんな中、『巷説』メインの双璧、又市と百介が名前は出てくるのにずっと姿を現さないのがまた気になるんですよね。
とはいえ、姿を見せなくても、裏で動き回って大仕掛けを巡らせている又市の存在感はやはり凄い・・できれば表立っての又さんの活躍を観たかったのですが、彼に代わっての狂言回しとして〈憑き物落とし〉中禪寺洲齋が登場!
もう“中禪寺”ってだけで、京極ファンはテンション上がっちゃいます。
終盤での、中禪寺洲齋VSラスボス“女傑”のやり取りは、手に汗握るものがありましたし、『巷説』の過去作すべてが繋がってくるのが明かされる〈憑き物落とし〉っぷりは流石でございました。
それにしても、今回は 仕掛けが大掛かりだったせいか、バトルが壮絶で人死にが多く出てしまったのが 切なかったですね 。
特に治平さん・・泣けてくる・・(´;ω;`)ウッ…
そして、最後の最後に戯作者“菅丘先生”と“八咫烏”をチラっとだけ登場させて幕を閉じるという心憎さが粋ですね~。
そんな訳で『巷説百物語シリーズ』を読んできて良かった!と思えるような、総まとめに相応しい物語でした。
(ただ、シリーズを読み始めたのが20年以上前なので、正直過去作の内容はうろ覚え状態でして・・できれば1作目から本書までを通しで読み返したいですね~)
シリーズは“これで終いの金比羅さん(by林蔵)”なのでしょうけど、今後シレっと外伝的なお話を出して頂いても、こちとら大歓迎でございますよ~。
Posted by ブクログ
いやあ、面白かった…!
面白かったのよ……!!
でも終わってしまった感が強くて………さみし。
面白すぎて早く読みすすめたかったけど、物語が終わるのが寂しすぎて途中からわざとゆっくり読んでたよ…。
治平さんのトコは……泣いた。
めっちゃ泣いた。
こうなるのは分かってたけど…理由が……ね。
藤兵衛視点ってのも自分的にはよかった。
もっと又さんの喋りとか聞きたかったけど、でもなんか、最後はこれで良かったなって。
なんだかそう思えた。
最初は何この人は?とか思ってたけど、物語が進むにつれ好きになっていった笑
ここ数ヶ月シリーズ通して読み直して、めちゃくちゃ楽しかった。
京極先生ありがとう。
文句なし5以上!!!!!
いや、ひとつだけ難点を挙げるとするとやはりその、分厚さよ。
通勤時の持ち歩きがキツかった笑
Posted by ブクログ
めちゃくそ面白かった、、、
でも、これで終わり、、寂しい。
フィジカルに、もう、凶器になりそうというか、
鈍器?な厚みにはなっているが、
どっこい、あっという間に引き込まれて、
ぐわーーっと読んでしまった。
早よ読みたいけど、早よ終わってほしない
ああ、悶えたわ、、読み了てもぅた(涙)
江戸古事記というか、
アマテラス&トヨウケビメオマージュというか
ミステリなんで、なんもネタバレしたくないので
多くは書けない(くっ)
とにかくおもろい、仕掛けもなにもかも面白いし
なんちゅうても、今作はアクションがたまらん
京極本ってやっとうはそんなに記憶にのこらんかった(主観)
んだが、今作はバトルシーンが良かった。
相変わらず良え刺さるセリフも多いし、
なんせ藤兵衛とか又市とかカッコよすぎ
もっと読みたいのに、、
Posted by ブクログ
巷説百物語シリーズの完結編。今回は山岡百介も又一も直接は登場せず洞観屋藤兵衛が狂言回しの役割を務める。敵方となる七福神と戦いながら過去最大の大仕掛けが展開される。以前の仕掛け(エピソード)を前提に物語が進むのでうろ覚えの方はシリーズ全巻の読み返し必至。
Posted by ブクログ
巷説百物語の完結だってんで、キャラ総出演のうえ新キャラ稲荷藤兵衛を主演に据える。どんな嘘でも見抜く、暴く。こんな漢、絶対に敵に回したくない。俺なんざ味方でも御免だ。でもそんな能力が自分にあったらなぁ。そして憑き物落とし中禪寺洲齋、武蔵晴明社の陰陽師とくればあの京極堂主人・中禪寺秋彦のご先祖様でしょ。もうこの人が出張れば怖い者なしだ。が、まああの最後の大立ち回りはあまりにしっちゃかめっちゃかかな。洲齋は堂々と敵陣に乗り込むけど、結局は護衛依存で被害甚大。又市と百介、いつ登場するかと待ち焦がれてたら、あはは。
Posted by ブクログ
書店で本書を見た時はあまりにも分厚くてびっくり‼️これ辞典?なんて思って買うのを一瞬迷った。物語りは七つのシリーズによって成り立っていた。登場人物も変わらずいろいろな事件があり飽きずに最後まで読み終えた!それぞれの短編?の冒頭に江戸時代の絵や文章が有り何度も見てしまった。内容も貨幣が人の心を蝕む話しや人の命を大切さが全編にわたって語られていてなかなか素晴らしい!
Posted by ブクログ
シリーズ全作を通しての評価として。
これまでのような「視覚的な仕掛け」はほとんどないが、それ以上に藤兵衛や洲齋たちの「言葉の仕掛け」にゾクゾクした。
最上級の時代劇をじっくり見ている気分だった。
が、残念ながら……
「これで終いの金比羅さんや」
Posted by ブクログ
最後の黒幕が解って屋敷に乗り込んでチャンバラーの流れはまるで少年漫画のようだった。
屋敷が複雑すぎて創造が追いつかないので図面描いてみたがうまくいかなかった。
妖怪絵図よりも黒幕の屋敷の見取り図を下さい。キャラは図面見ながら確認してるけど読者向けに図面はない。
楽しかった。1章1冊でいいでしょというレベルで分厚かった。
Posted by ブクログ
「巷説百物語」シリーズの完結に際し、一作目から読み直してみました。
改めて読むと、小説を読んでいると言うより、落語家…否講談師の方が近いかな?、その語りを文字に起こしたものを読んでいる感じでした
Posted by ブクログ
戌亥乃章 於菊蟲
申酉乃章 柳婆
午未乃章 累
辰巳乃章 葛乃葉 或いは福神ながし
寅卯乃章 手洗鬼
子丑乃章 野宿火
空亡乃章 百物語
馴染みの名前の方に藤兵衛さんや中禪寺さんらが加わって、時々誰か分からなくなってページを戻ったりしておりました。
一風変わった世界に紛れ込ませていただきました。
ちょっとつかれました……
Posted by ブクログ
前作からも、まして一作目からは遠すぎて記憶がほぼゼロ。
でも面白かった。
それにしても、今までになく人が死んだなぁ…。
人の死には意味なんてないし、全てが無駄なんだろうけど。
それでも、治平の死に様は、作中で唯一の救いだった。
切ない場面なんだろうけど、それでも、何かを守り、繋ぐために死ぬのは治平にとっては、何よりの解放の瞬間だっただろうと思う。
Posted by ブクログ
大事に読んでいたけど、読み終わってしまった。面白かったー!
どう話が繋がっていくのかと思っているうちに気づいたら引き込まれていて、気づいたら時間を持ってかれるのは相変わらず。
前作から大分時間が経っていることもあり、改めてシリーズ通して読み直したくなったけど、このボリュームだと中々時間が取れないのが辛い。
Posted by ブクログ
シリーズ第1作『巷説百物語』が刊行されたのは1999年。それから25年後の2024年、『続』『後』『前』『西』『遠』と続いてきたシリーズの完結編『了巷説百物語』が刊行された。1100p超えで税抜4000円。固定ファンしか買わないとは思うが…。
『巷説百物語』刊行当時から、シリーズ全作を追ってきたが、本作は既刊作品に張られた伏線を一気に回収するという趣向である。キーパーソン、キーワードはある程度思い出せたものの、さすがに記憶は薄れている。まあとにかく、読み進める。
語り部は、本作がシリーズ初登場の人物、稲荷藤兵衛。狐狩りを生業とするが、〈洞観屋〉という裏渡世を持つ。ある日、藤兵衛は老中首座・水野忠邦による改革を妨害する者どもを炙り出すことを依頼される。その者どもとは、御行の又市たち一派らしい。背景にあるのは、かなり前に刊行されたあの事件か…。
そしてもう1人の初登場人物。帯にははっきり書かれているが、京極作品にはお馴染みの…。やはり、世界と時間は連続していた。敵か味方か、方法論が異なる面々が入り乱れながら進むが、彼らが時代に、権力に翻弄されているのは共通している。
適度に章を区切っているため、意外と長さは感じなかった。むしろ端折っている印象すら受ける。あの人物が絡んでくるのは正直唐突だし、情報源も謎だ。謎めいた人物ばかりのシリーズとはいえ。その点、藤兵衛は自分を偽る気はないし、このシリーズには異色の人物と言える。完結編の語り部としては適任かもしれない。
気になったのは、既刊作品のような騙しの鮮やかさに欠けること。クライマックスに近づくほど、血みどろな戦闘がメインになっていく。戦闘に関わらない藤兵衛やあの男の心中や如何に。過去にも、非情な敵役は色々登場したものの、あくまでメインは大仕掛けだった。開国を迫られる時世も影響していたのか。
水野忠邦という実在の人物をこのように描く料理法は大胆だが、本来又市が描いていた絵とは、何だったのだろう。単純な勧善懲悪に近いシリーズ初期と比較すれば、それぞれがそれぞれの正義で動く本作の構図は複雑で、作中に全容を掴んでいる人物はいないように思われる。自分も読み終えて、掴めたとは言えない。
読み応えとカタストロフィという点では、本作の伏線に過ぎないはずの『続巷説百物語』の方が上かな。何はともあれ、作中では決着し、四半世紀に亘ったシリーズは完結した。京極夏彦さん、お疲れ様でした。さて、あちらのシリーズはどうなるか。
Posted by ブクログ
これで、このシリーズもお終いかと思うと、寂しい感じもする。終わりの巻なのに、なのか、だから、なのか、これまでの巻以上にもの悲しさがあった。また、語りや人物の登場の仕方も、ちょっと違った。裏切られた感はあるなぁ〜と思う。京極堂シリーズと繋がるところは、サービスなのか?さてさて。