【感想・ネタバレ】幽談のレビュー

あらすじ

怖いものとは何だろう。本当に怖いものを知るため、とある屋敷を訪れた男は、通された座敷で思案する。完全な暗闇の世界、思いもよらない異形のモノ、殺意を持った猛獣や殺人鬼、己が死ぬこと、幽霊――。不安でも嫌悪でも驚きでも不思議でもなく、純粋な怖いものを。恐怖に似たものではい、真実の“こわいもの”を知るという屋敷の老人が、男にさし示したものとは。「こわいもの」ほか、妖しく美しい、幽(かそけ)き8つの物語を収録。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

物語のラストが全て不明瞭で曖昧模糊とした短編が詰まった一冊。個人的には「下の人」がストーリーも主人公のなんとも言えない着物座った感じも好きだった。話によっては、なんとも言えない後味の悪さが残るような、じわりじわりと来るような怖さのある話が多かった。面白かった。

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2021年05月09日

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久しぶりに京極夏彦を手に取った。短編集でありながら、この奥の深さは感服ものだ。全てが記憶に残る、懐かしさと怖ろしさと、どこか物哀しい。表紙はそうか、「手首」なのか。

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2014年02月27日

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秀逸。京極夏彦氏は断じてミステリー作家などではなく、ミステリーの体裁をとっている怪談がバカ売れしたのだと改めて実感。氏の物語は、怪異の描き方が天才的に上手い。しかし、面白い事にそれらの怪異は「恐ろしいもの」なだけでなく「とても嫌なもの」として、現代に生きる我々をちくちくと刺激する。それを思うと、現代における相応しい怪異を復興させた氏の功績が明瞭になってきたりする。そんな短編集。怪異好きは是非とも御一読を。

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2014年01月16日

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やはり1番好きなのは"手首を拾う"。つげ義春作品のような侘しさ/寂しさに、艶かしい手首を拾うという幽玄の妖しさが混じりあった極上の短編。これはかなり好きでしょっちゅう読んでる。汽船で行くのですよ。

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2021年09月23日

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京極氏の京極堂ではない短編8篇。
タイトルに堂々と幽談とされれば、そんな言葉があったかと思ってしまう。
解説では、“幽けき”(かそけき)記憶に棲むモノとされています。
怖さ的には、 怪談 〉 奇談 〉 幽談
こんな感じでしょうか

「手首を拾う 」
手首に拾われる感じ、幽けき存在感
「ともだち 」
幽けき友達
「下の人 」
家の中で下の方に潜む存在
「成人 」
実話風で奇妙。奇談寄り。
「逃げよう 」
怖さが直接的。怪談寄り。
「十万年 」
幻覚・幽玄の境界。幽談の極致。
「知らないこと 」
知らないことはない我が家
「こわいもの 」
京極さんには、結局怖いものがなのでは?

京極的幽けき短編集でした。


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2025年11月29日

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ネタバレ

「手首を拾う」
「ともだち」
「下の人」
「成人」
「逃げよう」
「十万年」
「知らないこと」
「こわいもの」
の8編。
このうち「成人」は東雅夫・編「平成怪奇小説傑作集〈3〉」で既読。
初めて読む、非・京極堂の一冊。
怪奇シーンド真ん中のリアリストが、実話怪談ブームに対してとった態度……実作でそれを表明しているあたりが、やはり一歩抜きんでている。
黒沢清がどれだけホラーを撮っても、おそらく幽霊など毛ほども信じていないのと同じく。
本作で幻想へ踏み込むのは、実際に幽霊が存在しているからではなく、文体芸。
ある筋とある文体が両立すれば、向こう側への回路がキリキリっと開いて、いてはならぬ・見てはならぬものが存在し始めてもう後戻りできない……その気配を変奏した短編集。
茫漠とした思弁が、カキっと異界チャンネルに合う、というか。(どうにも擬態語が多いね)
でも上に書いたことって、上質な小説すべてにあてはまることなのかもしれない。
要素の少ない「手首を拾う」「ともだち」「下の人」もいいし、一番具体的な「成人」もいいが、「逃げよう」のスラップスティック一歩手前なわちゃわちゃ具合も面白い。

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2024年12月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

幽談

京極先生のショートミステリーを期待したのですが、いずれの短編も存在の不確かさを主題とした不思議な話集でした。手首を拾う、ともだち、下の人、成人、逃げよう、十万年、知らないこと、こわいものの全8編の短編集です。ベッドの下に”いる”「下の人」や生きた手首を拾う「手首を拾う」など、奇想を元にしたものや、アイデンティティの崩壊の様子を淡々と綴った「知らないこと」や「ともだち」、禅問答を思わせる「こわいもの」などいろいろなアプローチで壊れてしまうことを追求しています。
一風変わった怖い話を味わいたい方にはお勧めしますが、京極堂や又市シリーズのような爽快感はありませんので、ご注意下さい。

竹蔵

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2024年09月09日

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妖しくて不気味な雰囲気がジワジワとやってくる。一番「手首を拾う」の妖艶な感じが良かった。「逃げよう」もまた違った不思議な怖さだった。「下の人」ホントにいたら怖い!「成人」は実話っぽくてなんか不気味。「知らないこと」、最終的な視点がぐるりと変わりなにがなんだかわからなくなる。

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2024年03月29日

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がっつりホラー、というわけではなく、少し不気味な、ちょっとジメッとしたお話をいくつか集めた感じ。


「逃げよう」「知らないこと」が気味悪すぎたわ。意志疎通出来てる相手の方が怖いね

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2023年05月30日

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ネタバレ

ホラー映画のような直球な怖さではなく、ジメッとした気持ち悪さが残る作品。
各短編の主人公たちは怪異に出くわしても、恐怖に慄くことなく淡々としてるのが印象的だった。
どの話も基本的に全く解決に至らないまま終了するため、ちょっとモヤっとしたけど、そういう「よくわからないもの」を楽しむ作品なのではないかと思った。
純文学のような趣がある「手首を拾う」「十万年」
強烈な気持ち悪さが残る「成人」「逃げよう」
哲学的な「こわいもの」
不条理な雰囲気が漂う「ともだち」「知らないこと」
一番直球なホラーだけど、なんかシュールでちょっと笑ってしまった「下の人」

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2023年04月29日

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再読。今作はよくわからない不安や恐怖などの形のない恐れがそこかしこに散りばめられた短編集。現実的な恐怖から一気によくわからない恐怖に陥る話もあれば、最初からよくわからない恐怖まみれの話もある。幽霊譚とも違うなんとも言えないゾクゾク感が味わえる一冊。一番好きなのは「十万年」かな。

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2020年05月27日

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京極夏彦の短編集。
ホラーテイストの・・・かと言って単純にホラーじゃない、不思議な世界観の八篇が収められています。
読んでて怖いと思ったのは「成人」と「逃げよう」
特に「逃げよう」は、追いかけてくる“迚も厭なもの”より、追いかけられ逃げ込んだ“おばあちゃんの家”の描写がなかなかの怖さでした(^_^;)
京極夏彦ってより、夢枕獏の作品を読んでるようで・・・・・ちょっと変な読後感でした。

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2016年02月11日

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こういう現代ホラー小説なら好きです。はっきりとは分からないけど、もぞっとするようなもやっとする感じ。ぞっとしないけど恐いと言うわけでもないけど、(むしろ笑けてしまう話もあるのですが、それが逆に現代的)結末にねじれを感じて、どこへ連れていかれるのか却って楽しみな感じ。投げっぱなしもあったけど、それは想像力で…というのかもしれません。

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2015年10月07日

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さくっと読める短編集。
ぞくっとして時々ざわっとする。きゅんとくるラストもあった。
こういうのも書く方なんだなあ~と思いつつ、
個人的にやはりこの作家さんはずっしり長編がすきです。

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2015年02月21日

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ホラーとカテゴライズしたけれど、正面きったホラーかというとそうではなく。
人間という生き物の不安定さを描いているという点で、気付けばどことなく怖くなる、という意味のホラー。

人間の感覚や認識、個人個人で違うし、同じ人物でも時と場合によって感じ方は違う。それはよくよく考えると怖いことなんじゃないだろうかと、手を変え品を変え、京極氏が説明してくれる。
読んだ後に、ちょっともぞもぞしちゃう短編集。

ただやっぱり、個人的には、京極氏の作品は長編のほうが好みかも。ねちねちしていて。

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2014年08月28日

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らしいといえば、らしいのだが、落ちがないので、読んだ後いろいろ考えてつらい。
個人的には「こわいもの」が良かった。
この話みたいに、あれこれ突き詰めて考えるのは、嫌いでない。

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2014年08月17日

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京極さんらしいと言うか、ぞくぞく薄気味悪く読後もその感覚が抜けない。
恐怖を感じてたもののネタばらしをしないから、どんより気持ち悪い厭な気分がずっと残る。

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2014年03月31日

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怖い。特に怖かったのは、①「知らないこと」自分が本当は何も知らないのだとしたら・・・②「こわいもの」こわいものとは?老人から渡された『恐怖それ自体』の小箱。それを開けた時・・・。8つの短編どれをとっても、「?」と思いながら背筋にうすら寒いものを感じずにはいられない。自分の見ているものは正しいのか?自分はどれだけ判っているのか。考え出すと深みにはまっていく。そばに気配を感じながら。

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2014年01月26日

Posted by ブクログ

冬にホラー♡

意外な取りあわせのようですが、かなり好きです。(夏はリアルすぎてねぇ)

京極さんは一時期京極堂シリーズを頑張って読んでいたのだけれど、挫折。短編集だったので手に取ったのですが、これが面白くて怖い。
やはり怪談はこうでなくては(^^)

冥談も楽しみだなぁ。

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2014年01月07日

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