松本清張のレビュー一覧

  • 天才画の女

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    ネタバレ

    コレクター寺村の眼に留まり、この画を持ち込んだ女画家 降田良子とはいったいどういう経歴の持ち主なのか?光彩堂の山岸と叢芸洞の小池がそれぞれの角度から調べていくストーリー。たったそれだけの事なのにストーリーが面白くてスラスラ読めた。
    小池が最後原口に騙されて殺されなくて良かった。

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    2024年06月24日
  • 点と線

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    リアルタイムで読んでいたらもっと驚いていたと思う。おそらく70年近く前の作品。刑事の勘と執念で真相に迫っていく。こんな感覚的なものにこれだけの労力を割くかなぁ?と今風に考えてしまう自分はいた。社会派、という触れ込みで読んだがしっかり真相はびっくりするもので、短いながらも読みごたえがあった。

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    2024年06月12日
  • 実感的人生論

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    著書によるエッセイ集。新聞や雑誌に掲載したもの。膨大な小説等の作品を残した松本清張だが、時には肝心の小説原稿が締切に間に合わず、その代わりにエッセイの載せたケースもあったらしい。

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    2024年05月28日
  • 黒い福音

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    再読。ノンフィクション・ミステリー。
    戦後という日本が国際的に弱い立場の時代、キリスト教宗教集団の名に隠れて、救援物資の横流し、麻薬の密輸の犯罪が行われ、あげくに殺人事件も隠されようとする。
    翻弄され殺されたのは、そのころ憧れの職業スチュワーデスの女性。殺したのは若い神父。
    こういう昭和時代の黒い部分を、描かせたら一品の清張節をふたたび満喫。

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    2024年05月27日
  • 黒地の絵―傑作短編集(二)―

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    読んでいて心が暗くなる話が多い。特に表題作は実話という事もあって居た堪れないし似たような事件は他の国でもあったと推察される。
    評論家的ポジションになってしまった芸術家の「復讐」話(タイトルは敢えて挙げない)は犯罪でない犯罪トリックみたいな感じでリアリティがあって良かった。『紙の牙』などマスコミの暗部を描いたり幅広いが個人的には他の本でも読んだ『真贋の森』が白眉。アートミステリーというジャンルになるだろうが登場人物や準備の仕方が面白かった。

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    2024年05月11日
  • ゼロの焦点

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    戦後の日本の時代背景を抑えておくと、より理解が深まる作品かなと感じました。
    過去のステータスを知られてしまう事が、いかに地位に関わるのか、暗い過去が何とも言えない気持ちにさせられました。
    半世紀も前の作品なのに飽きがこず、スラスラ読めたし、北陸の寒々しい表現が読んでるこっちも寒くなる感じがしました。

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    2024年05月01日
  • ガラスの城 新装版

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    東亜製鋼株式会社東京支店の販売部第二課約50名が3月の慰安旅行で修善寺温泉に出かける。夜の宴会が終わりかけた時、こっそり抜け出した杉岡課長が行方不明となり、新年度に入ってから惨殺死体で発見された。動揺する社内の様々な人間模様を見つめ、エリートだった杉岡の死の謎を追って独自の調査を進める二人の女性社員。真相追及の過程が彼女らの手記という形式で語られていく。
    400ページ余にわたる長編で、事実を拾い出し時系列で整理したり、関係する人物の洗い出しや行動背景を推理していく様子が多くのページを割いて、リアルに綿密に描かれている。  内容的にも、杉岡に支える富崎、野村両次長、庶務主任の田口の社内力学、容貌

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    2024年04月26日
  • 犯罪の回送

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    社会派ミステリーの巨匠が最後まで手を加えていた作品らしい。北海道の市長が行方不明後に死体で発見され容疑者とみなされた政敵も死体となっていたという筋。始めは市長秘書が主役なのかと思ったが刑事がメインで謎解きをしていく。トリックはもちろん違うが『点と線』に似ている気もする。
    真相のドス黒さは晩年作でも変わらず。全然本編と関係ないが作者があと10年位生きていたら携帯電話を使ったトリックか業界をネタにしたミステリーを書いていたのかと夢想してしまった。

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    2024年04月17日
  • 黒革の手帖(下)

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    ネタバレ

    自分が臆病だから、そんなことしたら人の恨みかっちゃうよ、と思いながらハラハラした。
    でも、非日常な世界で上を目指してる元子を応援してる自分もいた。
    途中から波子に嵌められてたことに気づき始めてからは嫌な汗かきながらもページをどんどんめくってしまうスピード感!
    結局自分でコツコツと努力して手に入れたものしか信頼してはいけなかった(婦長からもらった情報も全てではなかった)ということですかね。

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    2024年03月21日
  • 火と汐

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    「黒の奔流」2024、BSテレ東放送
    八月十六日、京都〝大文字〟の夜。興奮にざわめく人混みに紛れて、一つの情事が進行していた。しかしその最中、人妻は送り火に見とれる男の前から姿を消した。
    同じ時刻、油壺と三宅島の間では、人妻の夫が参加するヨットレースがおこなわれていた。女を見失い、呆然と東京に戻った男の耳に飛び込む夫のヨットでのクルーの死亡事故、そして、男の家のすぐ近所で人妻の遺体が発見される。これらの点は結ばれるのか。
    鉄壁のアリバイ崩しに挑む本格推理「火と汐」。
    ほかに「証言の森」
    「種族同盟」(映像化作品「黒の奔流」原作)
    「山」の計四篇を収録。

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    2024年02月18日
  • 男たちの晩節

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    男達の哀愁に満ちた7編の短編集。
    定年退職後の心理小説、老人の性について描いた小説、運命の皮肉を描いた小説、サラリーマンの悲話、自殺志願者の心理を描いた小説など男達の様々な境遇を松本清張自ら経験した事柄を臨場感たっぷりに描いている。
    身につまされる小説でした。
    1960年前後に書かれた作品群なので多少時代性を感じる内容ですが古さは感じません。
    松本清張さんは多岐に渡る作品を大量に書かれ読者を飽きさせませんね。

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    2024年02月11日
  • 渡された場面

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    BSテレ東.2024.1.31 ドラマ放送
    四国の県警捜査一課長香春銀作は、文芸雑誌の同人誌評に引用された小説の一場面に目をとめた。九州在住の下坂一夫が書いたというその描写は、香春が担当している“未亡人強盗強姦殺人事件"の被害者宅付近の様子と酷似しすぎていたのだ。再捜査により、九州の旅館女中の失踪事件と結びついたとき、予期せぬ真相が浮び上がる――中央文壇志向の青年の盗作した小説が鍵となる推理長編。

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    2024年01月31日
  • 張込み―傑作短編集(五)―

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    大好きな松本清張!初めて短編小説を。一つ一つが短いのにしっかり松本清張感。含みがあって、人間の深層心理というか、、、私が松本清張を読んでいつも思うことが『あぁ、しなくてよかったのに。』だけど今回もしっかりでていた。でもしてしまうのが人なのであるんだなぁと。やはり長編のような読み進めてドカーンはないけどおもしろかった。私は一年半待てが1番好き。

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    2024年01月21日
  • 顔・白い闇

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    「松本清張」の『顔・白い闇』を読みました。
    以下の五編から構成されている短編集です。

    ■顔
    ■張込み
    ■声
    ■地方紙を買う女
    ■白い闇

    推理小説の部類に入る作品だと思いますが、心理描写に優れているので、ヒューマンドラマとしても愉しめる作品でした。

    心理描写の素晴らしさに加え、海外の作家の作品と違い、人物名や地名に親近感があるので、情景がリアルに想像しやすく、読みながら作品の中の世界へどんどん惹き込まれて行く感じ。

    でも、殺人事件の現場に居合わせるような感覚は、気持ち悪さもあるんですよね。
    あんまりリアル過ぎて、神経をすり減らしながら読んだ… って感じでした。

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    2024年01月04日
  • 松本清張ジャンル別作品集 : 4 法廷ミステリ

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    「松本清張」の短篇ミステリ作品集『松本清張ジャンル別作品集(4) 法廷ミステリ』を読みました。
    「松本清張」の作品は、昨年2月に読んだ『新装版 鬼火の町』以来ですね。

    -----story-------------
    「トモ子」の許嫁「宗一」が殺人の主犯として逮捕された。
    事件当夜、「宗一」と寝ていた「トモ子」は、「宗一」が部屋を空けていた時間があったにも拘らず「宗一」と一緒にいたと証言する。
    一審二審と「宗一」は有罪になるが、「トモ子」は一貫して「宗一」のアリバイを主張。
    裁判は最高裁まで進み、差し戻される可能性が出てきた。
    そこでも、これまで通りの証言をするつもりの「トモ子」だったが、ある

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    2024年01月04日
  • ゼロの焦点

    購入済み

    作品の演出としてか、石川県各地の陰鬱な雰囲気が強調されていた。私はそうは思わないが、松本清張にはこの地の風景がそんな風に見えたのか…。ただ、重要な舞台である能登の海岸(私が行ったのは冬の夜にライトアップされた機具岩)を前にすると、本作に描かれたように烈風が吹き付け、奇岩のおどろおどろしい感じもあって恐ろしかったのは確か。この地を旅した清張が何を感じたか考えながら読了した。
    筋については、先の展開が気になるようなタッチなのでどんどん読み進めることができた。

    #ドキドキハラハラ

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    2023年12月21日
  • ガラスの城 新装版

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    文章表現をトリックに使った、いわば "やったモン勝ち" なサスペンスは、2部構成の後半の畳み掛けにグイと引き込まれる。人は多面性を帯びていて見る人によって変化する。そこに愛憎を絡ませて犯罪へと向かわせる俗物根性が読み手側として楽しい。決してカッコ良くない市井の人びとの滑稽さに焦点を当てる、やっぱ松本清張いいね。

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    2023年12月08日
  • 三面記事の男と女

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    短編集だが、読み応えがある。殺人未遂。殺人。また殺人。他殺。殺人。
    男と女、本能ですかね。サスペンス、面白い!
    密教、菩薩の境地、勉強になります!人間の本能、煩悩。
    清張の時代は、まだ終わっていない。

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    2023年10月28日
  • 黒革の手帖(下)

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    ネタバレ

    前半に続き、後半もほぼ一気に読んでしまった。不正な手段で金を得て順調にのし上がってきた元子が、逆に騙されていく後半。
    波子の恨みからとはいえ、何人もの無関係な人間が元子を騙すことに加担するものだろうか。悪行の末とはいえ、あまりに救いのない結末で、読後感はよくない。

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    2023年10月15日
  • 霧の旗

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    たまにはこういう古い社会派小説が読みたくなる。殺人の冤罪で死刑となった兄を救うべく、高名な弁護士に依頼するが、費用が払えないことと、この弁護士が浮気相手の密会に急ぐために断られる。その後、この兄は獄中死し、妹は弁護士に復讐を誓う。この弁護士は、依頼を断った罪悪感から、裁判記録を取り寄せ独自の調査を行おい、この兄が無実であることを確信する。一方、弁護士の愛人が思わぬ事件に巻き込まれ、殺人者の容疑をかけられる。彼女の無実を証明する鍵を持っているのは、この妹。真犯人の存在を知りつつ、復讐を優先し、愛人と弁護士を破滅に追い込む。結局、真犯人は明るみに出ず、無実の人間が二人死刑となり、一人は社会的地位を

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    2023年10月03日