松本清張のレビュー一覧

  • 張込み―傑作短編集(五)―

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    うーん面白い。
    短編集の構成としては推理小説を集めた巻ということだけど推理小説とも少し違う犯罪小説集。驚きトリック自慢の浅い推理小説とは一線を画す。
    どの作品も戦後の社会の中で生きる人の心をバックグラウンドにして職人芸的なお話を作り上げる松本清張の手腕が冴える。「鬼畜」は幼い緒形拳の出ている映画がテレビで放映されていてトラウマ的に怖かったけどこういう原作なんだな。「張込み」の人間ドラマ。「顔」のスリル。「声」のアイディアと偶然のプロット。「地方紙を買う女」の登場人物の個性とトリック。「一年半待て」の法的な組み立てと皮肉。「投影」の正義感とマスコミ。「カルネアデスの舟板」の破綻に至る心の動き。

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    2024年08月19日
  • 犯罪の回送

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    清張先生の小説は面白い。この小説は解説で最後の小説なんだと知った。1992年8月4日に清張先生はお亡くなりになられた。今2024年8月で、32年前。お書きになられた小説はいまだ古びない。

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    2024年08月14日
  • 点と線

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    ドラマ化、映画化もされている有名な作品。な割には、どんなあらすじだったか思いだせない…と思い、手に取った。
    怪しいと睨んだら、とことん矛盾がないか考察、検証していく様は面白かった。

    なるほど、結局のところ状況証拠のみで、時刻表を使ったアリバイ崩し。怪しい点と点が一本の線になった時、事件の全容が明らかになるのだが、最後の手紙でも憶測でしか真実?であろうもの(きっとそれが真相なんだろうが)を語れないのが、モヤモヤ…
    今で言う、「それって貴方の感想ですよね?」的な感じで、本人じゃないのになんで解るんだよ!とツッコミを入れてしまった。

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    2024年08月12日
  • 危険な斜面

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    謀(はかりごと)はなぜ成就しないのか。未来という時間の流れと人の感情という想定外要素が必ずや邪魔をする。それは意図的ではなく図らずもそういう運命なのかもしれない。何気なく過ごす日常に企みは潜んでいる。それを暴くのは決して正義ではない、因果から抜け出せない人の欲への愛おしさである。綺麗事では決して人の心は掴みきれないのだ。松本清張はその代弁者であろう。

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    2024年08月11日
  • 遠い接近

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    多分再読。全部忘れてたけど。執念の物語。ここで書かれていることが本当ならやり切れない。微妙な年齢の人は、上手く立ち回れば戦争に行かなくて済んだってこと。
    軍隊の理不尽さ、ほんとにバカらしい。

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    2024年08月03日
  • 渡された場面

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    ネタバレ

    やっぱり松本清張の作品は動機や事件経過がリアリティに溢れてて好きだ。二人の女を同時に妊娠させて片一方を殺すような酷い犯人だけど、盗作したり犯行現場に近寄るのすら躊躇ったりするような小物感が拭えないのも人間味がある。こういう人間が起こした事件、ごく当たり前に新聞に載ってそうと思わせるのがすごい。

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    2024年07月29日
  • 黒革の手帖(下)

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    読み終わって「はぁー」と声が出た
    “わるいやつら”同様に、序盤は主人公の傍若無人ぶりに苛立ちを感じながら、後半は没入して主人公の焦りや恐怖が自分ごとのように感じられて読み進めたくなくなる(けど気になるから読む)

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    2024年07月18日
  • けものみち(下)

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    読んでる時は小滝にうるさく迫る民子にイライラしたけど好きな男に盲目になった女ってこうなっちゃうよな、弱みになっちゃうよな、って読み終わってから腹落ちしました
    最後は、あぁ!と驚きの感嘆の声が出るような結末でした
    情事に耽るシーンが多いのであまり人には勧めにくい

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    2024年07月17日
  • わるいやつら(下)

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    ネタバレ

    背筋が凍るような感覚がありつつも下巻は一気に読んでしまいました。
    戸谷の焦りや恐怖が自分のことかのように感じられ、終盤は気が気ではなかったです。
    最後まで自省がなく他責思考なのは反社会性パーソナリティなのかな、なんて思いました。救いようがない愚かな人間をここまで描写できるのは流石としか言いようがありません。

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    2024年07月15日
  • 小説帝銀事件 新装版

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    何十年か振りに読み返したけど、やっぱ仁科の考察からの何かが欲しかった。
    でも自分で後は考えろっていう事なんだと思っとく。

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    2024年07月14日
  • Dの複合

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    ネタバレ

    謎が謎を読んでどんどんわからないことが増えて…を繰り返して読んでいった先に気づけば一周まわって戻って来てたみたいな話だった。大掛かりすぎる気がするけれど、それだけ深いものを抱えていたのかななどと考えたり。

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    2024年06月28日
  • 天才画の女

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    ネタバレ

    コレクター寺村の眼に留まり、この画を持ち込んだ女画家 降田良子とはいったいどういう経歴の持ち主なのか?光彩堂の山岸と叢芸洞の小池がそれぞれの角度から調べていくストーリー。たったそれだけの事なのにストーリーが面白くてスラスラ読めた。
    小池が最後原口に騙されて殺されなくて良かった。

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    2024年06月24日
  • 実感的人生論

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    著書によるエッセイ集。新聞や雑誌に掲載したもの。膨大な小説等の作品を残した松本清張だが、時には肝心の小説原稿が締切に間に合わず、その代わりにエッセイの載せたケースもあったらしい。

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    2024年05月28日
  • 黒い福音

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    再読。ノンフィクション・ミステリー。
    戦後という日本が国際的に弱い立場の時代、キリスト教宗教集団の名に隠れて、救援物資の横流し、麻薬の密輸の犯罪が行われ、あげくに殺人事件も隠されようとする。
    翻弄され殺されたのは、そのころ憧れの職業スチュワーデスの女性。殺したのは若い神父。
    こういう昭和時代の黒い部分を、描かせたら一品の清張節をふたたび満喫。

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    2024年05月27日
  • 黒地の絵―傑作短編集(二)―

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    読んでいて心が暗くなる話が多い。特に表題作は実話という事もあって居た堪れないし似たような事件は他の国でもあったと推察される。
    評論家的ポジションになってしまった芸術家の「復讐」話(タイトルは敢えて挙げない)は犯罪でない犯罪トリックみたいな感じでリアリティがあって良かった。『紙の牙』などマスコミの暗部を描いたり幅広いが個人的には他の本でも読んだ『真贋の森』が白眉。アートミステリーというジャンルになるだろうが登場人物や準備の仕方が面白かった。

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    2024年05月11日
  • ガラスの城 新装版

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    東亜製鋼株式会社東京支店の販売部第二課約50名が3月の慰安旅行で修善寺温泉に出かける。夜の宴会が終わりかけた時、こっそり抜け出した杉岡課長が行方不明となり、新年度に入ってから惨殺死体で発見された。動揺する社内の様々な人間模様を見つめ、エリートだった杉岡の死の謎を追って独自の調査を進める二人の女性社員。真相追及の過程が彼女らの手記という形式で語られていく。
    400ページ余にわたる長編で、事実を拾い出し時系列で整理したり、関係する人物の洗い出しや行動背景を推理していく様子が多くのページを割いて、リアルに綿密に描かれている。  内容的にも、杉岡に支える富崎、野村両次長、庶務主任の田口の社内力学、容貌

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    2024年04月26日
  • 犯罪の回送

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    社会派ミステリーの巨匠が最後まで手を加えていた作品らしい。北海道の市長が行方不明後に死体で発見され容疑者とみなされた政敵も死体となっていたという筋。始めは市長秘書が主役なのかと思ったが刑事がメインで謎解きをしていく。トリックはもちろん違うが『点と線』に似ている気もする。
    真相のドス黒さは晩年作でも変わらず。全然本編と関係ないが作者があと10年位生きていたら携帯電話を使ったトリックか業界をネタにしたミステリーを書いていたのかと夢想してしまった。

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    2024年04月17日
  • 黒革の手帖(下)

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    ネタバレ

    自分が臆病だから、そんなことしたら人の恨みかっちゃうよ、と思いながらハラハラした。
    でも、非日常な世界で上を目指してる元子を応援してる自分もいた。
    途中から波子に嵌められてたことに気づき始めてからは嫌な汗かきながらもページをどんどんめくってしまうスピード感!
    結局自分でコツコツと努力して手に入れたものしか信頼してはいけなかった(婦長からもらった情報も全てではなかった)ということですかね。

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    2024年03月21日
  • 火と汐

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    「黒の奔流」2024、BSテレ東放送
    八月十六日、京都〝大文字〟の夜。興奮にざわめく人混みに紛れて、一つの情事が進行していた。しかしその最中、人妻は送り火に見とれる男の前から姿を消した。
    同じ時刻、油壺と三宅島の間では、人妻の夫が参加するヨットレースがおこなわれていた。女を見失い、呆然と東京に戻った男の耳に飛び込む夫のヨットでのクルーの死亡事故、そして、男の家のすぐ近所で人妻の遺体が発見される。これらの点は結ばれるのか。
    鉄壁のアリバイ崩しに挑む本格推理「火と汐」。
    ほかに「証言の森」
    「種族同盟」(映像化作品「黒の奔流」原作)
    「山」の計四篇を収録。

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    2024年02月18日
  • 男たちの晩節

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    男達の哀愁に満ちた7編の短編集。
    定年退職後の心理小説、老人の性について描いた小説、運命の皮肉を描いた小説、サラリーマンの悲話、自殺志願者の心理を描いた小説など男達の様々な境遇を松本清張自ら経験した事柄を臨場感たっぷりに描いている。
    身につまされる小説でした。
    1960年前後に書かれた作品群なので多少時代性を感じる内容ですが古さは感じません。
    松本清張さんは多岐に渡る作品を大量に書かれ読者を飽きさせませんね。

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    2024年02月11日