松本清張のレビュー一覧

  • 網

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    解説より松本氏の戦争経験が本作に盛り込まれていることを知った。主人公が作家であり、戦中朝鮮に徴兵されていることなど、松本氏の史実が投影された作品。

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    2022年01月07日
  • 砂の器(上)

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    迷宮入りの事件を諦めない刑事の粘り強さに、仕事人間の「美学」を感じた。方言の飛び地、類似した駅の名前、紙吹雪を撒く女性の姿から手掛かりの糸を手繰り寄せた展開に鳥肌が立った。全国に広がる捜査のスケールに、地図を広げながら読みたくなった。
    個人的には、亭主関白な雰囲気のある昭和の家庭、そして寝床で喫煙する風習に、突っ込みを入れたくなった。

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    2021年12月19日
  • Dの複合

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    <君は今どこにいる?>

     売れない小説家に舞い込んだ一件の依頼。浜中にリードを引かれるが如く、伊瀬は連れ回される。
     緻密すぎるストーリー。色鮮やな織物も、一つ一つの糸になるまで解いていくとそれがなんだったのかよく分からんのです。

     偶然。思いもかけない出来事に遭遇することを言う。偶然、映画館で恋人とデート中の先生を目撃したりとか、偶然、無くなっていた片方のピアスを見つけたりとか、偶然、目の前で交通事故が起きたりする。どうして起きたのか、原因なんて見当たらないように見える。またえてして、そうゆうことは重なる。たまたま誤送信してしまったメールに限って、他人に知られては困るような内容だったりす

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    2021年12月15日
  • Dの複合

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    伝承を追う紀行文から始まる殺人事件。北緯35°東経135°……35という数字に気がついた者、謎の男と女、ミステリーの要素に浦島伝説、羽衣伝説と民族伝承が絡まった読み応えのある作品。

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    2021年11月26日
  • 梅雨と西洋風呂~松本清張プレミアム・ミステリー~

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    酒造メーカーと新聞社も兼業している地方小都市の市議会議員が主人公。しかし、新聞社の実態は市政を中心とした自身の選挙運動と脅しとゆすりにより集金組織。県内他市にて県政のボスから情報入手の目的が、温泉宿に泊まり娼婦に溺れたことから転落を始める。その仕掛けを図っていたのは、身近な存在。

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    2021年11月13日
  • 黄色い風土

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    昭和34年から「北海道新聞」「中日新聞」「西日本新聞」に連載された作品。舞台は、熱海、小樽、名古屋、岐阜で起こる溺死に見せかけた連続殺人事件。第2次大戦での偽札作戦、それが戦後、偽ドル作りへと引き継がれ、殺人事件に発展するというストーリー。雑誌記者が主人公となって事件の真相を追う。時代的に、熱海が新婚旅行先となっており、これが事件の発端となる。700頁を超える長編。

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    2021年10月13日
  • 疑惑

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    初めて読む松本清張。短編が2つ入っており、松本清張初心者にはうってつけの読みやすい物語。
    表題作『疑惑』の最後の終わり方にゾワッとしました。

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    2021年09月26日
  • 十万分の一の偶然

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    師事している中国人のポーカーのマスターから、緻密なロジックが学べるから読んでみなさいと薦められた松本清張の作品を読んだ。新聞で大賞を獲得した報道写真は、10万に1つの偶然の上の奇蹟だったのか。奇蹟が周到な計画と執念によってもたらされたものだったのなら?

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    2021年09月20日
  • 状況曲線(上)

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    戦後の公共工事をめぐるゼネコンと大蔵省との談合が舞台設定。その会合を取り仕切る正体不明の大物仕切り屋。政治家や大蔵官僚などと昵懇な関係は、戦時中に築かれたもののよう。談合の一社でにある建設会社の専務が、不可解な殺人事件に巻きこまれていく。

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    2021年09月17日
  • 砂の器(上)

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    東北弁と同じような方言・発音が出雲でも使われているとか、面白いところから物語を作っているところが古い話なのに妙に新鮮でした。
    既成権力に反発する若者が肩肘張り過ぎているところに時代を感じるけれど、平成がぬるま湯だったってことなのでしょう。
    令和は良い時代になるといいな。
    松本清張さんの文章は贅肉がなくて読みやすいね。

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    2021年09月10日
  • 影の地帯

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    昭和34年から地方新聞に連載された長編作品。名所の各地湖畔を舞台に、最後の結末も松本清張ならではのサービス精神満載。TV2時間サスペンスドラマには、打ってつけの作品。

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    2021年09月03日
  • 駅路

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    ネタバレ

    既読の物も、まるで知らない物も。松本清張の作品は、犯人に対して大なり小なりの作家の共感があるというか、寄り添っているのが感じられる。だから、時代の波に洗われていろいろなアイテムが古くなってしまった今でもたまに読みたくなって、読んでしまうのかも。

    「偶数」はそうきたか、だし、「薄化粧の男」はシスターフッドの先駆けとも言えまいか?
    「陸行水行」は「或る『小倉日記』伝」と同じ、認められずともひたすら歴史の真実を追い求める者の哀愁があり、ラストシーンには、田舎の小さな人間が大きな歴史を追い求めるロマンさえ漂う。

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    2021年08月09日
  • 神々の乱心 下

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    全体的ひ読みにくいし、やけに偶然が重なるようにも思う。でも、これから大団円へってところで終わるのは惜しいなあ。つながりがどんどん分かっていくところだよね。
    当時の満州や、華族の存在感みたいなものを垣間見られるのは面白かった。

    鹿茸って、こんなに効用のあるものだったんだ。何かでもらって、適当に料理して食べてしまった。

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    2021年08月07日
  • 疑惑

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    桃井かおり主演の映画で鑑賞。
    桃井かおりの演技に惹かれてしまった。見るもの全てを敵にしてたかと思うと、同情を買うような演技。

    昔の映画だから食わず嫌いのところもあったが、観てよかった。次は原作!

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    2021年08月02日
  • 黒革の手帖(下)

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    最近はなかなか聞かないような、悪女ものとでも言おうか。こんなふうに、アホやなぁ、この女、みたいな展開では出版できないのか、そもそも作家の思想が変わったのか。

    それはともかく、この主人公の酷さというか、何も考えてないだろ感がすごくて、読んでて痛々しい。いやーん、もう読んでられん、ってなって。銀行で何学んだんだよ。いや、その反動なのか。

    最終的にはさるかに合戦的な、悪いことしたらとっちめられました、なんだけど。どっちも悪い奴らなのに!これは政治的に正しくない!みたいな感じも湧き上がって、いやもうたまらんばい。

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    2021年07月12日
  • Dの複合

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    松本清張の風土民俗への強い関心は言うまでもないが、他の作品に輪をかけて紀行文的であるところが特徴的であり、非常に愉しかった。私のようにひねもす日本地図を眺めていられる人種には堪らないだろう。

    一方で、その両軸となるミステリ的側面はやや体裁的に感じた。いわゆるミステリを期待する人や、松本清張をあまり読んだことがない人には勧めない。 

    ところで物語のキーワードとなる船舶の名前だが、その画数が35になっている。特に言及が無かったので偶然なのかもしれないが、氏の遊び心を想像せずにはいられない。

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    2021年06月15日
  • けものみち(下)

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    ネタバレ

    注! 思いっきり内容に触れています



    ラスト、鬼頭が死んでからが面白いのは面白いんだけど…。
    ただ、いささか週刊漫画誌の連載漫画が急に終わる、あの感じみたいで、ちょっとなぁーw

    ……なんて思っていたら、最後は、かなりえげつない終わり方。
    民子がああいう殺され方をすることで、ストーリーがぐっと締まったように思う。
    変な話、民子がああいう風に殺されることで、次は「わるいやつら」を読もうかなーと思ったくらい(^^ゞ
    (ていうか、それを読むまでは上巻と同じく★3つだったんだけど、4つに増えたw)
    ただ、実際のガソリンを使った事件を踏まえて考えると、空間全体が爆発するように燃えるらしいから、小滝も

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    2021年06月08日
  • 張込み―傑作短編集(五)―

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    ネタバレ

    ★★★2021年5月★★★


    読み終わってからだいぶ経ってしまった。
    読書メモと断片的な記憶を頼りに書く。
    ・張り込み
    ・顔
    ・鬼畜
    ・声
    ・投影
    ・一年半待て
    ・カルネアデスの舟板  ・・・等

    「投影」
    もっとも面白かったのは「投影」
    東京での仕事に失敗し地方の新聞社に都落ちした記者が、その地域での仕事に取り組むうち、新聞記者としての仕事に対する誇りを取り戻していく、というのが大まかな流れ。不正を暴き正義を明かにする、という信念をもった社長が何とも言えぬ味を出している。


    事件のトリックそのものは、実におかしい。
    殺人の被害者は電灯のあるほうに自転車を漕いでいったらそこは海だったという

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    2021年05月31日
  • 歪んだ複写―税務署殺人事件―

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    ★★★2021年5月★★★


    税務署の腐敗と、出世争いの闇に深く切り込んだ作品。
    いつものことながら、松本清張の作品からは昭和が感じられる。
    まだ自家用車が普及していなかった事や、個人情報が気軽に交換されていた事、武蔵境はまだ田舎扱いだった事など。
    東京の土地勘をもっていれば、より楽しめる作品だと思う。
    「深大寺」が登場したのにも、「おっ」と反応した。


    作品の内容として、税務署の職員が所轄の企業から接待で豪遊をし
    それでその企業の脱税を見逃したり手心を加えたりする「腐敗」がテーマ。
    新聞記者の田原典太が追及する。
    これはフィクションだから、実際にこのような腐敗が横行していたとは思わないが

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    2021年05月17日
  • 黒い空

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    結婚式場を舞台とした復讐劇。神の使いでもあり、凶兆の象徴であるカラスと慶事である結婚式、そしてその裏の復讐。白と黒の情景を目に浮かべながら一気に読んだ。

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    2021年05月16日