松本清張のレビュー一覧

  • 張込み―傑作短編集(五)―

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    人はふとしたきっかけで道を見誤る。そこに気づくのか否か、それとも気づいても引き返せない倫理の欠如か、罪は静かに加速する。松本清張の短編はそれぞれ終盤の畳み掛けが圧巻である。もはやバッドエンドに向かう必至が人の業の深さに通底する。欲は怖さを兼ね備えている。表題以下珠玉の短編集。見とるぞ、見とるぞ…

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    2024年09月05日
  • 駅路

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     【松本清張読み返し7冊目】
     2024-8-26(月)松本清張『駅路』傑作短編集(六)を読み終えました。この短編集全6巻は、松本清張の短編作品を現代小説・歴史小説・推理小説に分けて、3つの領域を各2巻にまとめたものです。本書は推理小説分野の第2集で、傑作短編集全6巻の最終巻でもあります。

     読売新聞の「松本清張 今日的意義問う」「分析する書籍刊行続く」という見出し記事で取り上げられていた『松本清張の昭和史』と『松本清張はよみがえる』を読んだのをきっかけに、松本清張作品を読み返そうと思いたちました。本書で7冊目です。学生時代に松本清張の作品はかなたり読んだと思い込んでいたけれど、読み返してみ

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    2024年08月28日
  • 或る「小倉日記」伝―傑作短編集(一)―

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    人間の弱さとそんな人間を生きさせる希望とそれを支える愛。それは少しずつなんとか倒れないように、それでも少しでも良い体勢になるように努力をするが、やはりいずれ崩れてしまう。その滅びの美しさ、怖さが凝縮された小説たち。どの作品も徐々に崩壊していく登場人物たちの世界が愛おしくなるほど哀しい。

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    2024年08月27日
  • 松本清張ジャンル別作品集 : 6 社会派ミステリ

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    短篇ながらどれをとっても味わい深い。さすが社会派ミステリーの松本清張である。時代錯誤を全く感じさせない奥深さがあると思う。

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    2024年08月20日
  • 張込み―傑作短編集(五)―

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    うーん面白い。
    短編集の構成としては推理小説を集めた巻ということだけど推理小説とも少し違う犯罪小説集。驚きトリック自慢の浅い推理小説とは一線を画す。
    どの作品も戦後の社会の中で生きる人の心をバックグラウンドにして職人芸的なお話を作り上げる松本清張の手腕が冴える。「鬼畜」は幼い緒形拳の出ている映画がテレビで放映されていてトラウマ的に怖かったけどこういう原作なんだな。「張込み」の人間ドラマ。「顔」のスリル。「声」のアイディアと偶然のプロット。「地方紙を買う女」の登場人物の個性とトリック。「一年半待て」の法的な組み立てと皮肉。「投影」の正義感とマスコミ。「カルネアデスの舟板」の破綻に至る心の動き。

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    2024年08月19日
  • 犯罪の回送

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    清張先生の小説は面白い。この小説は解説で最後の小説なんだと知った。1992年8月4日に清張先生はお亡くなりになられた。今2024年8月で、32年前。お書きになられた小説はいまだ古びない。

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    2024年08月14日
  • 危険な斜面

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    謀(はかりごと)はなぜ成就しないのか。未来という時間の流れと人の感情という想定外要素が必ずや邪魔をする。それは意図的ではなく図らずもそういう運命なのかもしれない。何気なく過ごす日常に企みは潜んでいる。それを暴くのは決して正義ではない、因果から抜け出せない人の欲への愛おしさである。綺麗事では決して人の心は掴みきれないのだ。松本清張はその代弁者であろう。

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    2024年08月11日
  • 遠い接近

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    多分再読。全部忘れてたけど。執念の物語。ここで書かれていることが本当ならやり切れない。微妙な年齢の人は、上手く立ち回れば戦争に行かなくて済んだってこと。
    軍隊の理不尽さ、ほんとにバカらしい。

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    2024年08月03日
  • 小説帝銀事件 新装版

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    何十年か振りに読み返したけど、やっぱ仁科の考察からの何かが欲しかった。
    でも自分で後は考えろっていう事なんだと思っとく。

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    2024年07月14日
  • Dの複合

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    ネタバレ

    謎が謎を読んでどんどんわからないことが増えて…を繰り返して読んでいった先に気づけば一周まわって戻って来てたみたいな話だった。大掛かりすぎる気がするけれど、それだけ深いものを抱えていたのかななどと考えたり。

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    2024年06月28日
  • 実感的人生論

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    著書によるエッセイ集。新聞や雑誌に掲載したもの。膨大な小説等の作品を残した松本清張だが、時には肝心の小説原稿が締切に間に合わず、その代わりにエッセイの載せたケースもあったらしい。

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    2024年05月28日
  • 黒地の絵―傑作短編集(二)―

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    読んでいて心が暗くなる話が多い。特に表題作は実話という事もあって居た堪れないし似たような事件は他の国でもあったと推察される。
    評論家的ポジションになってしまった芸術家の「復讐」話(タイトルは敢えて挙げない)は犯罪でない犯罪トリックみたいな感じでリアリティがあって良かった。『紙の牙』などマスコミの暗部を描いたり幅広いが個人的には他の本でも読んだ『真贋の森』が白眉。アートミステリーというジャンルになるだろうが登場人物や準備の仕方が面白かった。

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    2024年05月11日
  • ガラスの城 新装版

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    東亜製鋼株式会社東京支店の販売部第二課約50名が3月の慰安旅行で修善寺温泉に出かける。夜の宴会が終わりかけた時、こっそり抜け出した杉岡課長が行方不明となり、新年度に入ってから惨殺死体で発見された。動揺する社内の様々な人間模様を見つめ、エリートだった杉岡の死の謎を追って独自の調査を進める二人の女性社員。真相追及の過程が彼女らの手記という形式で語られていく。
    400ページ余にわたる長編で、事実を拾い出し時系列で整理したり、関係する人物の洗い出しや行動背景を推理していく様子が多くのページを割いて、リアルに綿密に描かれている。  内容的にも、杉岡に支える富崎、野村両次長、庶務主任の田口の社内力学、容貌

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    2024年04月26日
  • 犯罪の回送

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    社会派ミステリーの巨匠が最後まで手を加えていた作品らしい。北海道の市長が行方不明後に死体で発見され容疑者とみなされた政敵も死体となっていたという筋。始めは市長秘書が主役なのかと思ったが刑事がメインで謎解きをしていく。トリックはもちろん違うが『点と線』に似ている気もする。
    真相のドス黒さは晩年作でも変わらず。全然本編と関係ないが作者があと10年位生きていたら携帯電話を使ったトリックか業界をネタにしたミステリーを書いていたのかと夢想してしまった。

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    2024年04月17日
  • 火と汐

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    「黒の奔流」2024、BSテレ東放送
    八月十六日、京都〝大文字〟の夜。興奮にざわめく人混みに紛れて、一つの情事が進行していた。しかしその最中、人妻は送り火に見とれる男の前から姿を消した。
    同じ時刻、油壺と三宅島の間では、人妻の夫が参加するヨットレースがおこなわれていた。女を見失い、呆然と東京に戻った男の耳に飛び込む夫のヨットでのクルーの死亡事故、そして、男の家のすぐ近所で人妻の遺体が発見される。これらの点は結ばれるのか。
    鉄壁のアリバイ崩しに挑む本格推理「火と汐」。
    ほかに「証言の森」
    「種族同盟」(映像化作品「黒の奔流」原作)
    「山」の計四篇を収録。

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    2024年02月18日
  • 男たちの晩節

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    男達の哀愁に満ちた7編の短編集。
    定年退職後の心理小説、老人の性について描いた小説、運命の皮肉を描いた小説、サラリーマンの悲話、自殺志願者の心理を描いた小説など男達の様々な境遇を松本清張自ら経験した事柄を臨場感たっぷりに描いている。
    身につまされる小説でした。
    1960年前後に書かれた作品群なので多少時代性を感じる内容ですが古さは感じません。
    松本清張さんは多岐に渡る作品を大量に書かれ読者を飽きさせませんね。

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    2024年02月11日
  • 張込み―傑作短編集(五)―

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    大好きな松本清張!初めて短編小説を。一つ一つが短いのにしっかり松本清張感。含みがあって、人間の深層心理というか、、、私が松本清張を読んでいつも思うことが『あぁ、しなくてよかったのに。』だけど今回もしっかりでていた。でもしてしまうのが人なのであるんだなぁと。やはり長編のような読み進めてドカーンはないけどおもしろかった。私は一年半待てが1番好き。

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    2024年01月21日
  • 顔・白い闇

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    「松本清張」の『顔・白い闇』を読みました。
    以下の五編から構成されている短編集です。

    ■顔
    ■張込み
    ■声
    ■地方紙を買う女
    ■白い闇

    推理小説の部類に入る作品だと思いますが、心理描写に優れているので、ヒューマンドラマとしても愉しめる作品でした。

    心理描写の素晴らしさに加え、海外の作家の作品と違い、人物名や地名に親近感があるので、情景がリアルに想像しやすく、読みながら作品の中の世界へどんどん惹き込まれて行く感じ。

    でも、殺人事件の現場に居合わせるような感覚は、気持ち悪さもあるんですよね。
    あんまりリアル過ぎて、神経をすり減らしながら読んだ… って感じでした。

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    2024年01月04日
  • 松本清張ジャンル別作品集 : 4 法廷ミステリ

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    「松本清張」の短篇ミステリ作品集『松本清張ジャンル別作品集(4) 法廷ミステリ』を読みました。
    「松本清張」の作品は、昨年2月に読んだ『新装版 鬼火の町』以来ですね。

    -----story-------------
    「トモ子」の許嫁「宗一」が殺人の主犯として逮捕された。
    事件当夜、「宗一」と寝ていた「トモ子」は、「宗一」が部屋を空けていた時間があったにも拘らず「宗一」と一緒にいたと証言する。
    一審二審と「宗一」は有罪になるが、「トモ子」は一貫して「宗一」のアリバイを主張。
    裁判は最高裁まで進み、差し戻される可能性が出てきた。
    そこでも、これまで通りの証言をするつもりの「トモ子」だったが、ある

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    2024年01月04日
  • ゼロの焦点

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    作品の演出としてか、石川県各地の陰鬱な雰囲気が強調されていた。私はそうは思わないが、松本清張にはこの地の風景がそんな風に見えたのか…。ただ、重要な舞台である能登の海岸(私が行ったのは冬の夜にライトアップされた機具岩)を前にすると、本作に描かれたように烈風が吹き付け、奇岩のおどろおどろしい感じもあって恐ろしかったのは確か。この地を旅した清張が何を感じたか考えながら読了した。
    筋については、先の展開が気になるようなタッチなのでどんどん読み進めることができた。

    #ドキドキハラハラ

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    2023年12月21日