松本清張のレビュー一覧

  • ゼロの焦点

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    松本清張をこれまであまり読んでいたわけではなく長編は初めて読んだと思う。面白かった。断崖絶壁で繰り広げられる人間ドラマは、二時間サスペンスの源流はここにあるのか、と思ったり、昭和30年という時代を感じることも多々あってはっとした。例えば知りもしない人に個人情報をしゃべりすぎだろ、しかも医師が、とか、金沢から東京にいくには夜行しかない、とか。もちろんミステリーとしてのストーリーも面白い。意外な人が犯人であることが明らかになって、それもその時代ならではの悲しい背景があったりと王道なのかもしれないが楽しめた。

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    2025年07月03日
  • 考える葉 新装版

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    時代は昭和35年。国民の価値観や生活環境が大きく変わった頃。しかしまだ戦後15年。戦争がもたらした影響も所々に残っている。
    敗戦後のゴタゴタに紛れて富を得た者が私利私欲のために悪事を働き、殺人事件がおこる。そんな中、思いもよらず事件に巻き込まれてしまった青年が真相を追う話。
    当時の生活、お金の価値、防犯カメラが普及していなかった頃の警察の捜査など興味深く読めた。
    ミステリー好きなら是非読んで欲しい一冊です。


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    2025年06月24日
  • 憎悪の依頼

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    10編の短編集
    どれも奥深く、楽しめる作品ばかりで人間模様を描く事が天才的にうまい!
    1.嫉妬に狂った男の犯罪。
    2.絵画に贋作疑惑があり真相を探る話。
    3.浮気を清算する犯罪。
    4.父親を殺し正しい事をしたと思っているが妹達は意に反して…。
    5.初登頂を証明出来ない話、等
    人間模様を描いている作品群、古い作品だが現在でも充分楽しめる作品ばかりです。

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    2025年06月17日
  • 山峡の章

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    山狭の章

    昌子は夫の堀沢と妹の伶子が時を同じくして行方不明となり、安否を気づかう。2人は、作並温泉の「山狭」で帰らぬ姿となって発見される。

    経済計画庁に勤ていた堀沢は、有能な人物のようにみえるのだが、日々課長らに付随するのにあくせくしているようであった。昌子は、このような夫にしっくりしない想いを抱くようになっていた。

    一方、妹の伶子は、堀沢を避けていた、このような失態を犯すはずがない、と晶子は確信していた。

    昌子の真相究明がはじまる、堀沢の上司の課長ら、伶子の付き合っていた年配者や女性に面談し、思考をめぐらす。

    東和財政研究所に勤める吉木は、昌子がずっと気になる存在だった。物語の後半で、昌子と吉

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    2025年06月01日
  • ゼロの焦点

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    小説では初の松本清張作品
    といっても他は黒革の手帳くらいしか知らないけど、、でもさすがと言わざるを得ない
    時代がちがってもおもしろいものはおもしろいのだなと関心した
    少ししつこい感じはしたもののエンターテイメントとして楽しむには十分だった

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    2025年05月26日
  • 十万分の一の偶然

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    「激突」という写真はA新聞社の年間最高賞に選ばれた。東名高速道路で起きたその玉突き大事故は、果たして本当に“偶然起こった”瞬間だったのか。
    真相を追う髭の男。
    この時代の小説にはよくある事だろうが、同じ文章を何度も挿入する為、少し飛ばし読みが必要。
    しかし流石は清張先生、山鹿との対立シーンは手に汗もの。
    ジャーナリズム、功名心、などを問う作品。勿論時代背景の勉強にもなる。

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    2025年05月20日
  • 点と線

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    ネタバレ

    海岸で見つかった男女の遺体。どうやら青酸カリをあおった心中らしい。二人の身元は、男のほうは省庁に勤める佐山で、女のほうは料亭の女中お時だと判明。福岡県警の鳥飼刑事は、二人で乗った鉄道の食堂車に佐山しか行かなかったことを不審に思う。女性はたとえ空腹でなかったとしても、連れが食堂車に行くなら自分もついていくのではないか、と考えたのだ。さらに、福岡に着いてからも二人がともに行動していなかったという事実から、実は女のほうは途中どこかの駅で下車して、後から福岡にやってきたのではと推理する。
    鳥飼の推理に興味を抱いた警視庁捜査二課の三原刑事は、心中した二人が東京を経つところを目撃した証言が、あまりにもでき

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    2025年05月15日
  • 美しき闘争 下 新装版

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    頼りにならない夫と別れた恵子が魑魅魍魎とする出版業界で味わう受難を描いた長編の後編。本作は女流作家梶村の失踪を扱うがお馴染みの殺人とはならない。殺人でないが故に警察も介入せず薄汚い工作が行われている。恵子の義侠心は涼とすべきだが相手も方法もまずかった。ここは現実社会でも参考になるだろう。
    昭和30年代の古き良き世界を描いた『三丁目の夕日』という漫画があるが本作はその真逆で昭和30年代の弱肉強食世界を描いているように思う。セクハラだけではなく全てのハラスメント要素があるオールハラスメントともいうべき酷さ。男達の獣欲に閉口しそうになるが悪い意味でもエネルギーには満ちていて高度経済成長(本作は196

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    2025年05月11日
  • 点と線

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    とても面白かった。作中の刑事と自分が一体化した様な一進一退感、重厚な文章。トリックが解けたか?と思ったら新たな障壁が出て来るしんどさを、読み手も味わえた感じがする。
    トリックそのものは現代社会とは合わない部分があるが、それは仕方ない。むしろ、当時読んだらどうだったんだろうという想像したりして楽しかった。

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    2025年05月06日
  • 考える葉 新装版

    購入済み

    しぶい

    推理というかなんというか。
    あれしてこれして、こうなって

    こんな感じではない作品。謎解きの要素が少なかった気がする。
    解説が興味深かった

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    2025年05月05日
  • 美しき闘争 上 新装版

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    姑のいびりと夫の不甲斐なさから家を出た井沢恵子。かつての伝手で女流作家の家に行くが評論家大村から仕事のあてを紹介された事で魑魅魍魎な雑誌の世界に巻き込まれる話。タイトルと異なり全然美しくないように思えるが巨匠による意図か?
    好色破廉恥漢な大村を始め出てくる男達が現代の価値観で言うところのクソ。連載時期が1962年と高度成長期にあたるので人権も何もなかったのだろう。仕事そのものは恵子の実力で取っているのに邪な気持ちを持つ連中が多すぎて本来の実力を発揮させないところが本当に酷い。綺麗事を並べるつもりは無いけど、こうやってせっかく輝きを持つ人物を社会的に封殺するという点で社会的殺人事件ともいうべきで

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    2025年05月05日
  • ゼロの焦点

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    ネタバレ

    『砂の器』の時にも感じた、今の時代では使えない、当時だからこそのトリックに驚かされた。
    結婚間もない夫の失踪、そのため夫の事情が何も分からない主人公、その中で少しずつ真相に近づいていく展開から目が離せなかった。
    本多からの想いも、全く靡かないのが良かった。勝手なイメージだけれど、これが他の方が書いていると本多と道ならぬ恋…とかなっていそうだったので。身持ちの固い主人公だからこそ、まだ日の浅い夫のために駆けずり回る描写が違和感なく見られたのかなと。
    ラストの沖に向かう船に乗った妻が崖の上の夫に手を振っていた、という描写がなんとも美しかった。死へ向かう残酷さが、その情景に言いしれない美しさを与えて

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    2025年04月14日
  • 点と線

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    松本清張と聞いて気合いを入れて読み始めましたが、文章が思っていたよりも読みやすくて、他のシリーズも読んでみたいなと思いました。アリバイ崩しのストーリーがドキドキして面白かったです。トリック自体は現代だと通用しなさそうだけど、当時なら出来たのかなぁ?とか、色々想像して、その時間も楽しめました。

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    2025年04月05日
  • 疑惑

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    2編の中編集。30年ぶり位の再読です。
    すっかり内容を忘れてしまっていました。
    「疑惑」は桃井かおりさんのラストシーンの意味深な笑みが目に焼きついていたので、原作のラストがこんなだったかぁ〜と思う次第ですが、これはこれでおもしろかった。
    素行の悪さで人を判断してはいけないとつくづく思う内容でした。
    「不運な名前」は偽札の話でよく分からなかった。

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    2025年03月31日
  • 点と線

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    推理小説ブームの秀作と言われているそうですが…
    イヤ〜面白いです、読みやすいのと260頁ていう、割と短いストーリーでサクっと読めましたー
    著者の作品も実は初なので他の作品への興味も湧きましたよ!

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    2025年03月30日
  • 網

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    ネタバレ

    選挙と金の問題で殺人が起こる話。松本清張先生といえば推理小説だけではなく「昭和を暴く」というキーワードがある。昭和に起きた出来事を清張先生の独自の視点でノンフィクションに仕上げた作品もあるほどだ。このように裏で選挙工作が行われようとしている清張先生独自の皮肉たっぷりな視点はやはり清張文学なのだろうと思う。なお、物語では「湯河原温泉」が登場する。湯河原と聞けば神奈川県の湯河原温泉を想定するが、今回は長野県の湯河原温泉だ。長野県須坂市に湯河原温泉があるのだが、長野出身の私も長野に湯河原があるのは知らなかった。

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    2025年03月24日
  • 黒い福音

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    ネタバレ

    『砂の器』の後に読んだ。あらすじにも記載がある通り「BOACスチュワーデス殺人事件」が元となっているノンフィクション小説である。実際の事件を調べると公訴時効が成立し、お蔵入りとなったのである。なお、解説には「著者一流の推理と解決を示したもの」とあったので、清張先生はどのよう解決したのか楽しみにしていたら、案の定、生田世津子を殺害したと思われるトルベックは帰国してしまう挙句。教会を前にして日本警察は完全敗北となったのである。ノンフィクションだからか。 私自身初めてに等しいノンフィクション小説だった。

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    2025年03月24日
  • 弱気の蟲~松本清張プレミアム・ミステリー~

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    ネタバレ

    「二大長編推理小説」ということで、二つの作品が収録されている。どちらも、思わぬ衝撃的な出来事が起きた。この「プレミアム・ミステリー」はミステリー要素に疑問がある作品もあるが、これはどちらもミステリー要素があった。どちらでも殺人事件が起きる。それも犯人は思わぬ人だった。特に表題の『弱気の蟲』では役人である川島が麻雀に嵌まり、鴨のように扱われて借金を拵える。その時の心情は極めてリアリティであるし、つい同情してしまう描写は清張先生ならではの表現力。そして、もはやお決まりと言って良い男女の絡れ。どちらも面白い。

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    2025年03月24日
  • 砂の器(下)

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    ネタバレ

    下巻に入ってもなかなか事件は解決しない。今西はさらに三重県伊勢市・石川県・大阪へ事件解決の手がかりを掴むために駆け回る。 しかし事件の全貌が明らかになると想像もつかない出来事が待っていた。特に事件解決の鍵を握ったのは「電波」や「音」。スマホや携帯電話すらない時代に音や電波といった科学的なものを使って殺害を行なっていた。 犯人は和賀英良。しかも、当初は本浦秀夫であり、被害者である三木謙一と関わり合いがあったのだ。 今西も立派な警察官である。

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    2025年03月24日
  • 砂の器(上)

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    松本清張を代表する長編推理小説。 国電蒲田駅付近の車両車庫で事件が起こる。当時の京浜東北線は7両編成で運行されていた時代(現在は10両編成)。そして「カメダ」を追って今西は松江へ向かう。その列車は「急行『出雲』」であり、現在のサンライズ出雲に該当しよう。鉄道ファンにとっても松本清張の物語は十分鉄道の旅を楽しめる。 そして、何よりも上巻下巻の区分が絶妙なのだ。これから事件解決に進もうとするあたりで区切られている。下巻が楽しみでしょうがない。

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    2025年03月24日