【感想・ネタバレ】砂の器(上)のレビュー

あらすじ

東京・蒲田駅の操車場で男の扼殺死体が発見された。被害者の東北訛りと“カメダ”という言葉を唯一つの手がかりとした必死の捜査も空しく捜査本部は解散するが、老練刑事の今西は他の事件の合間をぬって執拗に事件を追う。今西の寝食を忘れた捜査によって断片的だが貴重な事実が判明し始める。だが彼の努力を嘲笑するかのように第二、第三の殺人事件が発生する…。 映画でもドラマでも大ヒットした社会派ミステリー。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

流石の有名作で、事件が解明されていくのかドキドキしながら一気に読んでしまった。
松本清張を読むのは初めてで、勝手に難しい内容なのかと思い込んでいたけれど、とても分かりやすく、古い作品なのに驚くほど読みやすかった。
読み進める中で、犯人はこの人かな?と予測できるが、本当に合っているのか確信が持てず、下巻の展開が楽しみ。
どうやって真相にたどり着くのか気になってページをめくる手が止まらない。

0
2025年12月01日

Posted by ブクログ

誰しも忘れたい過去があるはずだ

しかし
振り返って手を伸ばしてみても
掴んで修理することはできないし
スマホのデータのように
きれいさっぱり消去することもできない

「俺から逃げることはできねぇぜ」

忘れたい過去はそんな風にくっきりと
あるいはもやのようにぼんやりと
僕たちにいつまでもまとわりついてくる

この小説の主人公である和賀も
そんな過去に苦しめられる一人だ

天才音楽家として名声を手にし
彼の目の前には前途有望な将来しかない
だが過去は彼を逃がさない
どこまでいっても
どんな解釈を試みようとも
和賀の過去は和賀を追いつめていく

しかし過去と対峙しその過去を糧にして
力強く前向きに生きることができる
人間などいるのだろうか
僕たちは
和賀の犯した罪を責めることができるのか?

この小説のラスト一行は、美しい
和賀が奏でる音楽のように
どこまでも優しく暖かい。

何度も映像化された名作中の名作。
時代背景の古さなどお構いなしに
これからも読者の心を打ち抜いていくだろう

0
2024年11月19日

Posted by ブクログ

上下巻の感想です。
ミステリーの名作でググるとでてくる作品の一つ。
約60年前のものなので読めるか心配だったけど時代のギャップも楽しめて面白い。
例えば大阪への移動が夜行だったり、男女の上下関係、個人情報がダダ漏れ、2人で飲んで750円などなど、それに人々の付き合いも密だったんですなと。
内容も前半は刑事と関係者が近所だったり、ちょっと強引だなと思ったりしたけど、これも時代背景かなと。
所々、他の本(当作品より後のもの)を連想させるものがあり、色々な作家に影響を与えてるのかなと思いました。

0
2024年09月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

約14~15年振りの再読。だいぶいろいろ忘れていた。
中居くんのドラマは20年前頃だったろうか?『砂の器』と言えばその時の印象が強い。今回の再読中もあの時の《宿命》が頭の中に流れ続けるくらいに。

…というわけで、大まかな話の流れは分かっているんだけど、こんなにも今西刑事の勘頼りだったっけ?(笑)
それに関川氏を犯人と思わせようとするミスリードが多いなという印象。
下巻では和賀英良に焦点があたって、いよいよ過去に迫るんだよね。楽しみ!

0
2024年07月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何度も読み返したくなる松本清張の傑作。カメダの意味とは?アール・ヌーヴォーの若者たちの正体とは?貧富の差や差別が根強く残っていた昭和の様子が伝わってくる。完璧なアリバイも砂の器のように脆く崩れ去る、、、

0
2024年04月04日

Posted by ブクログ

社会人一年目は広島勤務でした。
島根県木次町(現雲南市)に出張した際、先輩に議事録を頼まれ必死に記録しようとするも、東北弁のようなズーズー弁で意味が分からず先輩に謝罪した事を思い出した。
他にもこの当時に電子音楽という分野が芽生えつつあった事にも驚きを覚えた。
初読の清張はストーリーの面白さと上記の感情が混ざり合い、一方で都電が日常的に使われていたり亭主関白的な夫婦の掛け合など当時の生活感を想像しながら読み進めるのが楽しかった。

0
2024年03月16日

Posted by ブクログ

松本清張=火曜サスペンス劇場ってイメージで、自分には縁がないジャンルだと思ってずっと読まずにきた。実際読んでみたら、なんて緻密に作り込まれた話だろうって衝撃を受けた。1960年代に出版されたんだって。時代を感じさせない新鮮なおもしろさ。これはほんとの意味で時代を越えて読み継がれるべき名作だと納得しました。最後のシーンが空港ってのも、爽やかでイカしてる。

0
2022年09月25日

Posted by ブクログ

話の展開がおもしろいのはもちろん、ふとした言葉づかいが美しい。今とは違った昭和の生活を垣間見れるのもおもしろい。東京から出雲まで電車で22時間…!

0
2025年10月29日

Posted by ブクログ

冒頭で事件が起こるが、上巻では全体像はまだ見えない。
でも読みやすく、飽きずにすらすら読める。
偶然要素が強すぎる箇所、刑事の勘が鋭すぎて当てずっぽうを確定事項として話を進めているような箇所が少し気になった。

0
2025年10月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

松江文学紀行で紹介された。とても有名な推理小説である。映画にもなっている。上巻では殺人事件で周囲の人が2人シンでしまったが、真犯人はまだ出てこない。

0
2025年07月31日

Posted by ブクログ

蒲田駅操車場で発見された身元不明の扼殺死体の捜査をする今西刑事。手がかりを得られないまま捜査本部は解散となるが…。
登場人物の一人が昭和八年生まれと言っているので、昭和三十年代の話だと思います。女性はこんな話し方をしていたのかしら、ズック(おそらく帆布)のスーツケースとは…など想像しながら読みました。若者が古いものを毛嫌いするのはいつの時代も変わらないようですね。
たくさんの謎をかかえて下巻へ。

0
2025年07月30日

Posted by ブクログ

松本清張を代表する長編推理小説。 国電蒲田駅付近の車両車庫で事件が起こる。当時の京浜東北線は7両編成で運行されていた時代(現在は10両編成)。そして「カメダ」を追って今西は松江へ向かう。その列車は「急行『出雲』」であり、現在のサンライズ出雲に該当しよう。鉄道ファンにとっても松本清張の物語は十分鉄道の旅を楽しめる。 そして、何よりも上巻下巻の区分が絶妙なのだ。これから事件解決に進もうとするあたりで区切られている。下巻が楽しみでしょうがない。

0
2025年03月24日

Posted by ブクログ

普通推理小説を読んでいると「理屈ではあり得ても人間の感情ってそんな簡単じゃないだろう」と思ってしまうことが多い。ただ、松本清張作品はあまりそういうことを感じることが少ないように思われる。奇抜なトリックやどんでん返しなどが少ないせいだろうか。どこにでも起こりえそうなそんな話なのに、なぜだか惹きつけられる。
砂の器というタイトルの理由が上巻だけではまだ深くわからない。ただ砂のイメージから、さらさらと流れていってしまう具体的な形を伴わないもの、という予測を立てている。下巻を楽しみに読みたい。、

0
2024年11月18日

Posted by ブクログ

初めての松本清張。

時代が時代だけに、今の若者の感覚では理解し難い部分もあるだろうな。昭和世代後期に分類させる自分には、まだ理解できるし、何せ面白い。

色々な話しがそれぞれに進行して、何処に落ち着くのか。

まだ誰が怪しいかもわからないまま上巻が終わってしまい、下巻への期待が堪らない。

ヌーボ・グループとかいうやつらのいけすかない感じが凄く良い。

0
2023年09月23日

Posted by ブクログ

読みやすかった。するすると文章が入ってきた。
また、方言の分布など、新たな知見が開けた。

ただ、遺族や警察が被害者の身元を特定するところで、直接顔を見せたり遺留品を確認したりというフェーズが無かったので、これ実は全部ミスリードという疑いを捨てきれない。まだ上巻しか読んでないのもあるが…

0
2023年06月04日

Posted by ブクログ

大昔の本なので時代がかった作品かと思ったら、そんなことなかった。意外とポップな文体で読みやすい。
登場人物たちの人間模様に引き込まれる。
ほんのり旅情を感じる主人公の刑事の出張シーンも楽しい。

0
2023年05月20日

Posted by ブクログ

東京蒲田駅で死体が見つかった。カメダを手がかりに今西刑事が東北や出雲の方へ出向くがこの1冊では犯人は見つからず続編へ続く。出雲の奥の方言もズーズーべんだとは知らなかった。方言も知れて良いことを知った。

0
2023年05月04日

Posted by ブクログ

場面描写が細かくて、高度成長前の時代の何とも言えないエネルギーや戦後の混乱の残りみたいなものが味わえる。
既成の権力や文化にやたらと反抗する若者グループはこの後無事に大人になったんだろうか。

0
2023年03月04日

Posted by ブクログ

国電の蒲田操車場で男の撲殺死体が見つかった。
付近での聞き込みから、被害者の東北弁と、被害者と容疑者が話していた『カメダ』という言葉を手がかりに、捜査を行うが…

容疑者に関する有力な情報はつかめないまま、捜査本部は解散となる。

警視庁捜査一課・今西は、捜査を継続。

今西のひらめきから、新たな事実が…

方言、地名、電車からの紙吹雪…

事件にかかわっているかと思われる人物が、自殺、不審死…

今西のこの殺人事件への執念がすごい。

0
2022年10月02日

Posted by ブクログ

何度も映像化されているし、結末は知っているので、ちょっと敬遠していましたが、一度読み始めるとどんどん引き込まれて、一気に読み切れました。
若干、真相に近づく過程にご都合的な部分を感じなくはないですが…。

0
2022年06月25日

Posted by ブクログ

上野21時発急行羽黒
羽後亀田駅、地図で確認した。
ヌーボー・グループはちょっと突然な感じがして読んでいる時は位置付けが分からなかった。
東京発急行出雲、当時は山陰線経由ではなく、大阪まで行って福知山線経由。2等車の旅は堪える。
車内から撒いた紙片
いろんな事実がカギとなってゆく。

0
2022年04月27日

Posted by ブクログ

「松本清張」の『砂の器』を読みました。

先日、映画を観て、とても気に入ったので、、、
原作を読んでみたくなったんですよね。

上下巻に分かれていて、なかなかのボリューム感でしたが、どんどん先が読みたくなるような展開で苦痛なく読めました。

-----story-------------
<上巻>
東京・蒲田駅の操車場で男の扼殺死体が発見された。
被害者の東北訛りと“カメダ”という言葉を唯一つの手がかりとした必死の捜査も空しく捜査本部は解散するが、老練刑事の「今西」は他の事件の合間をぬって執拗に事件を追う。
「今西」の寝食を忘れた捜査によって断片的だが貴重な事実が判明し始める。
だが彼の努力を嘲笑するかのように第二、第三の殺人事件が発生する……。

<下巻>
善良この上ない元巡査を殺害した犯人は誰か?
そして前衛劇団の俳優と女事務員殺しの犯人は?
「今西」刑事は東北地方の聞込み先で見かけた“ヌーボー・グループ”なる新進芸術家たちの動静を興味半分で見守るうちに断片的な事実が次第に脈絡を持ち始めたことに気付く……
新進芸術家として栄光の座につこうとする青年の暗い過去を追う刑事の艱難辛苦を描く本格的推理長編。
-----------------------

映画版と重なる部分も多いのですが、、、
第二、第三の殺人事件が発生したり、自殺や事故にみせかけた犯行手口が使われていたりと… 映画版とは異なる設定になっている部分も多く、映画版よりもミステリー要素が強かったですね。

比べてみると、映画版は、どちらかというとヒューマンドラマ要素が強く、ミステリー要素は弱い感じです。

とういうか、、、
映画版は小説「砂の器」を素材としているものの、小説ではほんの少ししか触れられていない真犯人の生い立ちや苦しかった流浪(遍路)の日々をクローズアップする等、物語の構成に大きな変更が加えられているし、映画ならではの演出もしてあり、小説版とは別な物語って、印象を受けますね。

「今西」刑事の執念の捜査を丹念に描き、物語や背景に広がりのある小説版も好きですが、どっちかというと、映画版の方に軍配が上がるかなぁ。


音波を使った仕掛け… 黒板を爪でひっかく音が、ムッチャ嫌いな私には、物凄く効きそうです。
想像するだけで、嫌な思いになりますねぇ。

0
2022年03月31日

Posted by ブクログ

迷宮入りの事件を諦めない刑事の粘り強さに、仕事人間の「美学」を感じた。方言の飛び地、類似した駅の名前、紙吹雪を撒く女性の姿から手掛かりの糸を手繰り寄せた展開に鳥肌が立った。全国に広がる捜査のスケールに、地図を広げながら読みたくなった。
個人的には、亭主関白な雰囲気のある昭和の家庭、そして寝床で喫煙する風習に、突っ込みを入れたくなった。

0
2021年12月19日

Posted by ブクログ

東北弁と同じような方言・発音が出雲でも使われているとか、面白いところから物語を作っているところが古い話なのに妙に新鮮でした。
既成権力に反発する若者が肩肘張り過ぎているところに時代を感じるけれど、平成がぬるま湯だったってことなのでしょう。
令和は良い時代になるといいな。
松本清張さんの文章は贅肉がなくて読みやすいね。

0
2021年09月10日

Posted by ブクログ

蒲田の操車上で見つかった惨殺された死体。残された手がかりは東北訛りと思われる男二人の目撃情報。そしてちらついているのは前衛芸術の集団。下巻が楽しみ。

0
2021年03月12日

Posted by ブクログ

ミステリー小説にはまっていくと、当然その歴史にも興味が湧くようになる。古典的本格ミステリーの時代から社会派ミステリーの台頭、そして本格派が新本格ミステリーと名を変え再び脚光を浴びるようになる。現在はどちらかの派閥に拘ることなく両者のいいところを融合したような作品が溢れるようになってきた。
新本格ミステリーと称される作品を中心に読んでいた自分が、あまり手をつけていなかった社会派ミステリーがいかなるものかということに関心を寄せるようになるのは自然の流れであった。
そこで何度も映像化されている社会派ミステリーの金字塔『砂の器』を読んでみることにした。

うーん…1970年代に発行された作品だから仕方ないのかもしれないが描写が古めかしい。文章の構成自体も淡白な感じで、ただ単にそういう時代背景だからということだけでなく、読んでいても何となく世界に入り込みづらい。

肝心の内容についての感想は…

『砂の器(下)』に続く。。

0
2025年09月18日

Posted by ブクログ

有名な作家だけど読んだことなかった。
松本清張はドラマなんかもやっていたから、もっと現代の作家だと思ってたんだけど、読んだ感覚は完全に時代小説だった。
ベレー帽がわからない人に、大黒頭巾みたいな帽子だよと言ってるシーンがあって、逆に大黒頭巾ってなんだと調べたら、めっちゃ可愛かった。
言葉使いも全然違うし、男尊女卑もハンパないし、普段着の着流しってなんだ笑とか、生活の違いやら価値観の違いやら、そういう細かいとこも面白い。
捜査方法も、昔ながらの「刑事のカン」みたいなもんで突拍子もなく閃きながら進む。現代の小説なら、はあ?ってツッコミたくなるけれど、この時代ならありなのかも──と思いながら、下巻に続く

0
2022年09月16日

Posted by ブクログ

2022.9.12 急に脈絡もなくヌーボーグループ出てくるとことかは ?? て感じだしそこから推理始まるの偶然ラッキーすぎるだろとは思うけど少しずつ情報を拾い集めていく感じはよかった

0
2022年09月14日

Posted by ブクログ

名作にふれるのはやっぱり良いですね。清張作品独特の、時代を感じながら、すこーしづつ推理の世界に引き込まれていきます。

実直そのものの今西刑事。粘りの捜査がたくさんの謎解きのヒントを与えてくれています。さあ、どういう答えが導きだされるのか?

0
2022年03月17日

Posted by ブクログ

丹羽哲郎のリマスター版映画で鑑賞
蒲田から始まること、東北訛りのカメダという言葉から、踊る大捜査線を思い出したのは私だけではないだろう。

0
2021年08月02日

シリーズ作品レビュー

「小説」ランキング