松本清張のレビュー一覧
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購入済み
NHKの東京裁判とは全く違う本
過日NHKが受信料を無駄遣いし、カナダ。オランダと合作で東京裁判なるテレビドラマを作成し史実に基づいたような印象操作を行っていたが、しょせんあのテレビ局は自虐洗脳をいまだにおこなっている。
それに引き換え松本清張のそれは史料に基づき実に正鵠を射た展開となっている。
主役は大川周明のようだが彼を基軸にこの裁判の偽善性と理不尽と不真実さなどよくわかるだろう。 -
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松本清張『張込み 傑作短編集(五)』新潮文庫。
松本清張の初期作品8編を収録した短編集。いずれの短編も、ミステリーというよりも普通の人間が内に秘めている業を炙り出しているかのようだ。既読作が多いが、さすがに30年ほど前に読んだ作品なので、細部については忘れている。
『張込み』。強盗殺人犯の石井久一が訪ねたのは今は普通の主婦で、かつて恋仲にあった女だった。石井を逮捕するために張込む刑事の柚木は主婦の暮らしを壊さないことを願うが…ヒリヒリするような緊張感が文章から伝わる。
『顔』。劇団員の井野良吉に銀幕デビューの幸運が舞い込む。しかし、井野には知られてはいけない過去があった…井野良吉と石岡貞三郎の心理描写の対比が面白い。
『声』。前半は結末が解るような単純なミステリーだと思っていたが、見事な仕掛けと捻りに見事に騙された。
『地方紙を買う女』。地方紙に掲載される新聞小説を読みたいという理由で地方紙を取り寄せた東京の女、塩田芳子。ところが、新聞に男女の情死事件が掲載されたのを契機に新聞小説が面白くないという理由で購読を止める。それをいぶかしんだ新聞小説の作者、杉本隆治はその女に興味を持つが…一つの綻びが…
『鬼畜』。映画やドラマにもなった傑作。妻のお梅と共に印刷所を営む竹中宗吉は料理屋のお春と男女の関係になり、3人の子供をもうけるが…終盤にミステリーらしい描写もあるが、基本的には人間の業を描いた作品であろう。
『一年半待て』。現在は良く耳にするDVを下地に、女性の強かさを描いた作品。29歳の須村さと子が夫殺しで被告となったところから物語は始まる。ラストでタイトルの『一年半待て』の意味を知る時…
『投影』。東京の新聞社を辞めて地方紙の記者となった太一が市政に蔓延る悪を暴く。
『カルネアデスの舟板』。この短編もまた鬼気迫る人間の業を描いており、秀逸。 -
購入済み
また清張の文章力に脱帽
前半、なかなか事件が起きない。駄作かと思いきや中盤を越えると、がぜん清張の文章力が冴えてくる。さては一番怪しく無い者が犯人か?と、読者の期待通りのストーリー展開になってきた。ところが最後は想像だにしない結末が!!
恐るべき清張の文章力です。 -
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上巻で起こった二つの殺人の嫌疑が自分にかかることを恐れ、ノイローゼ気味だった味岡の死体がダムで発見され、慶次が操作を始めていくところから始まる。自殺だと考えられていたが、不審を抱いた刑事の矢田部が味岡の周囲から操作を粘り強く続けていく。
矢田部の捜査を黒幕達が先回りするかのように難を逃れていく部分がたまらなく面白い。しかしながら、刑事のプライドと経験から黒幕の裏の裏をかいて矢田部たちが追い回していく。
今でもニュースになる談合事件。作品は古いが内容は古さを感じさせない。刑事と黒幕の緻密な計算による殺人事件は松本清張ならではの面白さだと思う。
今日の味方は明日の敵。建設業界と政界の闇を見れて面白かった。 -
Posted by ブクログ
実際にあった未解決事件を元に書かれた小説。綿密な取材を元にストーリーは展開されていく。著者は死体のあった現場等にも足を運んだそうだ。事件は俗に言うスチュワーデス殺人事件。容疑者には教会の神父があがったが、裏に潜む闇の人物、教会とのつながり、どれも確信に近いものだったのに当時の時代背景によって、国際問題に発展する可能性を秘めたこの事件は慎重に扱わざるを得なかった。モタモタしているうちに容疑者は国外へ。事件は闇の中へ葬りさられてしまった。この小説が事実に近いものならば…殺された被害者は一体どういう気持ちの中、死んでいったのだろうか。死に顔は穏やかで笑みを浮かべているようだった。とあるが最後まで愛を信じたのだろうか。
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[忠の一字あるのみ]創設間もない軍隊の内部統制に周到なまでの気を配り、自由民権運動に対して極度の警戒を解かなかった山県有朋。彼の携わった『軍人勅諭』などをつぶさに眺めながら、秩序を重んじた山県の後年の歩みを追った作品です。著者は、ミステリーの印象が強いように思われますが、日本史に関する作品も多く手がけている松本清張。
今の時代に日本近代史を勉強すると、「なんでこんなに自由をガチガチに縛る必要があったんだろう...」と感じることもあるかと思うのですが、自由民権運動や農民一揆などを政府側の山県から眺めることで、抜き差しならない切羽詰まった感覚を追体験できるかと思います。秩序の創設がどのように行われるか、または行われたかを考える上で有益な一冊です。
山県の手がけた政策のみならず、山県の人柄にも筆が向けられているのですが、徹底的な几帳面さと質素さを兼ね合わせていたということから、山県の性格そのものが「徹底的」とも言える秩序維持や反体制派の除去に拍車をかけていたのかもしれません。以下の山県が意図した神格化の装いなど、まさに山県だからこそ当時思いつくことができたのかも。
〜一切の過程を抜き去って結論だけで命令することが、より絶対的となり、より神格化される。理由を述べることは、そこに批判の余地を残す。それでは神聖とはいえない。神聖とは、あらゆる批判観念を抹殺し、峻拒することである。〜
一次資料も多用されており充実の作品☆5つ