あらすじ
米倉涼子主演のドラマ原作。病院長・戸谷は、自分の欲望を満たすため、病院という名の密室で完全犯罪を繰り返し、さらに次の犯行をも決意する。社会的地位をもちながら、その裏で、次々に女をだまし、関係しては金を取りあげ、殺していく戸谷。やがて、彼に訪れる意外な結末は……。悪と悪の対決。極悪人は誰か? 冷酷非情な現代人の欲望を描く推理長編。
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Posted by ブクログ
出だしは男が女を誑かし翻弄する話かな、と思ってなんとなく『黒革の手帖』の対になるような作品と思っていたら、進むにつれて主人公の方が翻弄されてなんとか切り抜けていこうとするもので、また違った面白さがあった。
仕事には一切の興味を示さず、己の欲望のままに過ごす姿は突き抜けていて一周回って清々しくも感じた。彼と関係を持っていた女性達の目線での描写はなく、あくまで主人公の推測の元で心理描写がされていたが、微妙に噛み合わずもっと昏くドロドロとした思惑が絡み合っていてさすがの描き方だと思った。
途中杜撰に見える主人公の行動も、それが元で全てが狂っていったり、序盤でのシーンが終盤で重要な意味を持っていたりと、全てが計算され尽くされていて素晴らしい。上下巻とも分厚く長い小説だけれど、巧妙に作り上げられていて最後まで目が離せなかった。
Posted by ブクログ
上巻に続いて、約15年振りの再読。
もう最高の転落劇。
スカッとしたというか、笑ってしまうというか。
同じ敵ができたときの、女の団結力はすごいからね。チセとトヨが組んだのは納得。
そして結局、下見沢みたいな一見冴えない男が高嶺の花をうまいこと手に入れるものよね。
戸谷の横武たつ子なら絶対自分の味方だったと思える根拠のない自信が拍手したいくらい素晴らしい(笑)
案外、網走でも自己肯定感高く生き延びていきそう。
Posted by ブクログ
2015.12.2
途中から面白くなり一気に読んだ。戸谷の傍若無人っぷり、傲慢さ、人をばかにしまくってるところが痛快。そして、勧善懲悪で、最後には罰をくらうのも痛快。
最後の寺島トヨの復活には、ちと無理があるかな。
簡潔な文章で面白かったです。
Posted by ブクログ
下巻はぐいぐい読めたなあ。
絶対これ、あとで何か一波乱あるだろ、っていう所を主人公が見逃していてもどかしい。
主人公も十分悪いやつなのだが、ついつい肩入れしてしまう。
シンプルな文章が余計に面白くしていると思う。
Posted by ブクログ
終わり近くになって結末が見えてくるのですが
文章が淡々としており
話の進みもなんとなく予想できるのですが
内容が異常、登場人物の言動が異常なため
簡潔な文章が面白さを余計に引き立てていると感じました。
下巻の登場人物で怪しいのが
主人公とその友人の弁護士。
主人公を取り巻く女たちも怪しいのですが…
特に死んだはずの女が生きているという部分は。
やはり主人公と弁護士、この二人の行動が下巻の見どころかと思います。
しかし、だれが本当に悪い奴かは
本を閉じるまで誰もわかりません。
読めば読むほど面白さを増す松本清張の作品です。
最後のどんでん返しのような結末は
やはり読んでみなければわからない面白さです。
松本清張と聞くだけで少々とっつきにくいイメージを持つかもしれませんが
思いきって読んでみてください。
ハマります!
Posted by ブクログ
自分が小説を書こうとしてることに、
おこがましさを覚えるほど圧倒的に面白い作品でした。
松本清張氏の本は全部読もうと決めました。
今やボクの中では神様です。
Posted by ブクログ
上にもまして下はもっと面白い。
こんな展開になるの?なんて読みながらびっくり。
ちょっと想像できない展開。
悪い主人公なんだけど、頑張れなんて応援したくなる場面もあり
最後の刑事の種明かしは寝るのも惜しいくらい
一気に読みました。
米倉涼子さんのDVD見たくなりました。
Posted by ブクログ
最後の一行まで、ぐいぐい引き込まれてしまった。
トリックや仕掛けは分かりやすいのだけれども、この本の真価はそういうところではなくて、
人間の持っている個人的理由による悪を、読んだ人がどう捉えるかだと思う。
ボクは不覚にも、戸谷に感情移入してしまった。
「わるいやつ」を気取りながら、結局は
“ふつうの人間のふりをしたほんとうの「わるいやつら」”にはめられていく様、そして
地位やプライド、つかみかけたものすべてが滑り落ちていく様は、
読んでいて、かなりドキドキものでした。
Posted by ブクログ
背筋が凍るような感覚がありつつも下巻は一気に読んでしまいました。
戸谷の焦りや恐怖が自分のことかのように感じられ、終盤は気が気ではなかったです。
最後まで自省がなく他責思考なのは反社会性パーソナリティなのかな、なんて思いました。救いようがない愚かな人間をここまで描写できるのは流石としか言いようがありません。
Posted by ブクログ
昭和35年から週刊新潮にて約1年間、連載された小説らしい。考えてみれば、半世紀以上も前に書かれた作品。当時の医師や弁護士となると、現在よりさらに社会的な地位や信頼も高かったと推察されるが、こうした職業人をストーリーの中心に据えるのあたりは、松本清張ならであるように思われる。また、骨董の世界の裏と面も、重要なポイントになっている。本作品の特徴は、登場人物がすべて悪人であること。まさに、タイトル通り「わるいやつら」である。弁護士の下見沢、そして槙村隆子のその後の人生が気になる。
Posted by ブクログ
下巻。
期待通りに戸谷が追い詰められていく様が愉快だった。
他人を弄んで手玉に取ってたつもりが、逆に手のひらで踊らされていたっていう、なんて哀れで滑稽なんだろうか。
読み終わって改めて「わるいやつら」というのは面白いタイトルだなと思った。
本当のわるいやつらは誰か…?あの二人か?いや、やっぱり一番悪い奴は戸谷だと思う。身から出た錆、自業自得、因果応報。
上下巻一気に読んでしまった。松本清張は読みやすくて面白い。
「黒革の手帳」「砂の器」「わるいやつら」と読んだから次は何を読もうかな。
Posted by ブクログ
主役の戸谷は、正直にいって「馬鹿」だと思う。
犯罪行為に手を染めているにも関わらず、計画は杜撰でその場限り、楽観的すぎ(というか嫌なことからは目をそらす性格)、人を見る目がない。
犯罪を行うのならば冷徹さがひつようなのに、そういった覚悟もなく、ただただ楽観的な自分の予測に従って破滅している。
まさしく「士道不覚悟」
弁護士の下見沢からするとこのような下らない男は軽蔑に値すると思うし、だから罠をかけたのだと思う。
下見沢が最初から戸谷を罠にかけようと思っていたかは作中からはわかないが、このような男はいずれか誰かに破滅させられただろう。
途中でトヨがいう「あなたは私がついていないと破滅しますよ」は現実となったのである。
Posted by ブクログ
途中から人間模様が変化してゆき、主人公の思惑、それぞれの登場人物の思惑が渦巻いて、とても面白かった。
医者による完全犯罪、一つの綻びから全てが根回しされて、最終的に全てを失うと言う話。
ただ、一番悪いのは幼馴染の弁護士でないだろうか。
Posted by ブクログ
わるいやつらが本当に悪くて、憤りながら読み進める。
次から次へと悪行が生まれて、読み手を休ませない。
ただ、「点と線」でも感じたと同様に、詰めが甘い。結局軽率な行動により足が付くって終わり方は、ちょっと残念。ここまで引っ張ってきたんだから、憎たらしい位にわるいやつを続けて欲しかったな〜…
Posted by ブクログ
4月4日 後書にあった通り、社会悪などが松本清張さんの得意技だと思われるが、この本で書かれているのは、徹底した 私利私欲から生じる悪。
戸谷信一が捕まったあとも、反省の色なく、ただただ自分の不運を嘆いているあたりも、読んでいてゾッとした。しかし、最後の1ページで大どんでん返し。本当の悪人は???女性の怖さ、読後感の悪さ。この本では、もちろん殺人が描かれているが推理小説ではないと思う。
Posted by ブクログ
上巻はやや退屈で星3つなのだけど、下巻でぐっと面白くなった。
「わるいやつら」とはよくつけたもので、主人公戸谷のことをひたすら
「悪いやっちゃな〜」と思いつつ読んでいたが、後半徐々に彼が破局に向かっていく時にはなぜか彼が可哀想になってしまった…笑。あまり男女の愛憎が絡んだ話は好きではないが、さすが松本清張、とても楽しめた。
Posted by ブクログ
ダメ男のダメ人生。
女とお金にしか興味がなく、結局は自分が一番可愛い主人公。
人生はそんな風に思い通りになる訳ではなくて・・・。
破滅していくまでの、彼の心情がもの凄く上手く描かれている。
Posted by ブクログ
愛人関係にある横武たつ子の病夫を殺したあげく、邪魔になった彼女をも殺害し、その上、共犯者の婦長寺島トヨを手に掛けた戸谷信一は、さらに、自分の欲望を満たすため、次の犯行を決意する。社会的地位をもちながら、その裏で、次々に女をだまし、関係しては金を取りあげ、殺していく戸谷。やがて、彼に訪れる意外な破局は……。冷酷非情な現代人の欲望を描く推理長編。
Posted by ブクログ
上巻までは優男とダメ女達の情念物語、って感じだったが
まさかの裏切り者・藤島チセを追っての東北旅行あたりから先を読むのがもどかしくなった。
徐々に戸谷が追い込まれて行くスピード感が楽しめる。
多摩の死体の確認の大雑把さや、交換手を介しての電話で互いに居場所が分かってしまうところなんかに時代を感じるけれど、人間の内面に潜む悪の姿が現代においてもまるで色あせないところがさすがの松本清張。
最後の最後、一番のわるいやつらが判明したところではやられたー!って感じ。
この二人は一体どのあたりからグルになって手を組み始めたのだろう。
Posted by ブクログ
恋愛の心理描写が多く、時代の割に妙にリアルで、今日でも十分に通用するのではないかと感じた。但し、プロットは今ひとつではないかと思う。かなりひねりを効かせることを意識しているように思うが、余り意外性はなく、面白みに欠けるのではないかと思う、