松本清張のレビュー一覧

  • 黒い樹海 新装版

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    最後のたたみかけるような終わり方が少し残念でしたか、良いテンポで次の事件が起き、ページを繰る手が止まらなかった。妹の行動力がすごい。

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    2025年03月22日
  • 砂の器(下)

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    ネタバレ

    全国各地を鉄路で移動して捜査を進め(当時は新幹線など無い)、少しずつ謎が解けていくのは面白かった。戦災やハンセン病患者への差別が事件の鍵になっていることは、当時の時代背景を感じられる。

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    2025年03月18日
  • 黒革の手帖(下)

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    順調に欲望をかなえていく元子。予備校の理事長を騙し、一流クラブを手に入れようとする。破滅に向かって行くのが予想され、ドキドキする展開。元子の妊娠に何か意味があるのかと思っていたが、ラストでそうきましたか。伏線は回収されました。

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    2025年03月16日
  • 北の詩人 新装版

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    実存した朝鮮のとある詩人の存在を基に描かれるフィクション。
    日本統治から解放された朝鮮半島で、独立を望む朝鮮の人々(その中でもさまざまな立場があり)とアメリカ、ソ連の大国の思惑とが交錯する。
    林和という人が本当はどういう人間だったか分からないが、この小説において描かれる彼の想いや翻弄される様はリアルで、この当時こういう人がいたのかもしれないと思える。
    やっと占領から解放されて自分たちの国を取り戻せると思ったのに、そこから5年で朝鮮戦争が起こり未だに平和的解決に至っていない。いつだって大国の思惑に翻弄されるのは、立場の弱い国とそこで暮らす人々なのだ。悔しい。

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    2025年03月15日
  • 時間の習俗

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    ネタバレ

     相模湖の殺人の容疑者が犯行時刻に遠く九州の和布刈神社で神事を見物していた?
     名作「点と線」の三原と鳥飼の刑事コンビが再び鉄壁のアリバイ・トリックに挑む。

     二転三転する解明への道、ひとつ壁を破れば次の壁が現れてしまう。トリックが崩れた瞬間には思わず安堵の溜息が出た。
     フィルムの現像方法や旅客機の搭乗の仕方など、その時代ならではのものを知ることが出来て、昭和好きには堪らない。
     それは結局のところ推測の域を出てなくないかと思う部分はありつつも、スリリングな謎解きにハラハラして、大変面白かった。

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    2025年03月01日
  • 眼の壁

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    ネタバレ

    全容の見えない事件と数多くの謎が次々と現れていくのが面白い。テンポも良く読みやすい。

    ただ、全体を通じた大トリックがあるというよりは、いくつかのトリックを最後にまとめて解き明かす形式のため、そこのスペクタクルは人によっては物足りなく思うかもしれない。
    また、竜雄の上崎絵津子に対する脈絡のない好意や、一部のトリックの動機に対する疑問は少し残った。

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    2025年02月20日
  • 男たちの晩節

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    松本清張記念館で購入した一冊。
    7つの短編に出てくる
    7人の男性の生き様は
    全員、物悲しく、
    背中に背負っているものが重たすぎる。
    懸命に家族を支え
    生きてきたのに、最後に迎える
    結末はいずれもはかなく、やるせない。
    「男はつらいよ」と
    笑いとばせたらよかったんだろうけど…
    人間の心をぐりっと
    えぐりとるような描写力。
    最後の解説にも書かれていたように
    清張ワールドの虜になってしまった。

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    2025年02月19日
  • ゼロの焦点

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    昔は簡単に個人情報を知り得たのだなぁ。戦後、進駐軍のお相手をしていた事をバレるのを怖がり、ひとを殺めてしまう。読んでいてストーリーは分かってくるのだが、その時代の悲しい部分をみごとに表現する松本清張の小説は引き込まれる。

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    2025年02月18日
  • 黒革の手帖(下)

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    ネタバレ

    めちゃくちゃ面白かった。
    上巻から緻密に練り上げられていた構成が素晴らしすぎて、後半あまりの怒涛の展開に目が離せなかった。最後の最後まで本当に面白い。
    古い作品だけれど旧仮名遣いなどは影響のない範囲で編集されているので読み易い。電話等の細かい所を除けば、最近の作品だと言われても違和感ないくらいだった。
    主人公は勿論、それ以外の人物像も主人公の目線を通して恐ろしいほど生々しく描いていて、しかしそれがミスリードに繋がる作り込みが素晴らしすぎて鳥肌がたった。

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    2025年02月17日
  • 状況曲線(下)

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    建設談合に絡んだ欲望ミステリー。
    上巻で主役と思っていた味岡さんがまさかの死体。死後も気が弱いとか散々言われていて不憫になる。
    下巻は毛色が変わって『点と線』の様な刑事が執念の捜査の末に事件を解決するミステリー。トリック、動機ともに加害者サイドの悪辣が際立つ。人を殺す事に良心の呵責もないのが行動で分かるのはさすが松本清張先生。芸者軍団と刑事達のやりとりはホッコリするけど基本はえげつない話。

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    2025年02月12日
  • 点と線

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    ネタバレ

    初めて松本清張作品を読んだ。古い本だからと敬遠していたが、非常に読みやすかった。
    犯行自体のトリックを暴くというよりは、アリバイ崩しをしていく話。犯人が犯人であるという確証無しに、違和感だけをもとに捜査とアリバイ崩しを進めていくことに少し違和感があったが……。
    不可解な点が表れては解き明かされる、という展開がテンポよく続くので、するすると読み進めることができた。

    解説にもある通り、わずかに疑義や穴が残るが、それはそれで想像の余地があって面白い。

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    2025年02月12日
  • 点と線

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    ネタバレ

    犯人の目星は最初から付いているものの、九州から北海道までを縦横無尽に飛び回ってアリバイを少しずつ崩していくのは、面白かった。三原警部補の推理の域を出ないが、安田夫妻の顛末には女性の怨みの恐ろしさを感じた。

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    2025年02月04日
  • 状況曲線(上)

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    建設業界の談合を取り仕切る実力者の元に集まる重役たちの1人である味岡専務は殺人のあったビルで目撃されて以来、追い詰められていくサスペンス。外貌は太ったオッサンですが味わう恐怖というかサスペンスはヒッチコック作品にでも出てきそうなキャラに比すべきものがあります。いつの間にか自分の知らぬ間に実力者に直接取りいる奴がいたりするまではビジネス世界ではありがちでしょうが年増芸者がベッドで待ってると思っての死体は気の毒すぎてハラハラしてきました。

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    2025年01月31日
  • 水の肌

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    松本清張さんの長編は昔、良く読んだが短編はそれ程読んでないので最近ハマって読んでます。
    この「水の肌」は5編からなる短編集。

    人の名前など時代的に古い作品ですが内容は今も変わらず人間の深層心理を描いた松本清張らしい短編ばかりでのめり込んで読みました。

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    2025年01月30日
  • 憎悪の依頼

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    主に昭和30年代に発表された10の短編集。殺人の動機を探る表題作、贋作画家と美術評論家の関係を描く『美の虚像』、やりきれなさが残る『絵葉書の少女』など人間の悲しさが滲み出る作品が多い。敗戦を引き摺る暗い日本が主舞台。重い短編集だが引き込まれる

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    2025年01月26日
  • 草の陰刻 新装版(上)

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    2025年の4冊目は、日本が誇る大推理小説作家、松本清張の「草の陰刻」です。1964年から1965年に読売新聞に掲載されていた新聞小説です。
    60年前に書かれたとは思えません。おこがましい限りですが、十分、今でも通用していると思います。流石、清張です。

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    2025年01月25日
  • 黒の様式

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    中編3つ収録。1本目から若い頃に死んだ姉の話なのだが義母と義兄の醜関係が暗示されており思春期を迎え成績急降下中の息子の荒れ方がリンクしているのが不気味。ミステリーではあるが親子関係については普遍的なテーマといえるだろう。
    2本目は義父と息子だが母を殺されたと弾劾広告を打つ事で騒動となる筋。トリックとしては昔刑事コロンボで観たような気がするが田舎の人間関係の不気味さというところが秀逸だった。
    3本目は美術ミステリーと思いきや純粋な殺人ミステリーで本書では最も本格派に近いように思える。それでも芸術家のサガの様なところが描写されているのはこの作者の持ち味だろう。松本清張氏は仏像のアルカイックスマイル

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    2025年01月11日
  • 点と線

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    東京の料亭「小雪」の女中、お時と、その料亭の客で官僚の佐山の情死体が福岡市香椎海岸で発見された。東京駅のプラットフォームで2人が乗り込むところを、お時の同僚の女中2人と同じ料亭の客である安田が目撃していたことが、情死の裏付けとなった。しかし、博多のベテラン刑事である鳥飼重太郎は、佐山の持っていた社内食堂の伝票から、2人の情死説に疑問を持つ。女は好きな男とならたとえ腹が空いていなくてもコーヒー一杯くらい食堂に付き合うはずだが、この男は1人で食堂で飯を食っているのである。2人の関係は恋人同士ではないのではないか…?

    東京駅で13番線プラットフォームから15番線プラットフォームが見えるのは、1日の

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    2025年01月04日
  • ゼロの焦点

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    見合いで結婚した夫が突然失踪してしまうところから物語が始まる。
    広告代理店の営業職で、金沢と東京の二重生活をしていた夫。金沢に夫の失踪の秘密があると、禎子は金沢へ向かう。そこで彼女が知った真相とは…

    1950年代、まだ戦後まもないこの時代に女性が生きて行くのは大変だった。時代に翻弄された可哀想な女性たちが物語の鍵になっていきます。
    幸せな結婚生活のはずが、最初から夫の鵜原憲一にはどこか不穏な影があった…そんな不穏な雰囲気をじわじわと感じさせるのがなんて上手なんでしょう。
    序盤からどんどん物語に引き込まれていきます。
    夫の失踪を調べるうちに起きる第一、第二の殺人。
    日本海の荒々しい海、寂しい漁

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    2025年01月01日
  • 黒革の手帖(下)

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    ネタバレ

    銀行のお金を横領し銀座のママとして成り上がっていくことを策略する元子と周りの人々のお話し。
    前編はトントン拍子に進むものの後編の途中ぐらいから雲行きが怪しくなり…
    なぜこんなに酷いことをするのか、と元子自身も考えるが、結局は人の怨みの深さや断ち切れない愛情が根本にあった。それが金と性の欲望渦巻く銀座を舞台に、抉り出すように描かれていた。

    ラストは実質的に元子の"敗北"で終わってしまうのだが、もう一つどんでん返しが欲しかった…が、白い壁に囲まれた15年間を脱して夢を見れただけでよかったのかしら…。

    ちなみにこの小説は1980年に出版されたということで、言葉遣い(バーではな

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    2025年05月01日