あらすじ
昌子は、九州旅行で知り合った経済官僚の堀沢と交際、結婚。堀沢は出世を目ざす秀才で神経質、強いエリート意識と、心の底を明かさない冷たさがあった。平穏で空虚な日々ののちに起こった、妹伶子と夫の失踪。宮城県作並温泉の山峡で発見された2人の死体に、新聞は不倫の恋の清算と書きたてたが、妹は夫を好まず、夫もまた彼女を敬遠していた……。若手官僚の死の謎に秘められた、国際的陰謀を描く、巨匠の力作。
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山狭の章
昌子は夫の堀沢と妹の伶子が時を同じくして行方不明となり、安否を気づかう。2人は、作並温泉の「山狭」で帰らぬ姿となって発見される。
経済計画庁に勤ていた堀沢は、有能な人物のようにみえるのだが、日々課長らに付随するのにあくせくしているようであった。昌子は、このような夫にしっくりしない想いを抱くようになっていた。
一方、妹の伶子は、堀沢を避けていた、このような失態を犯すはずがない、と晶子は確信していた。
昌子の真相究明がはじまる、堀沢の上司の課長ら、伶子の付き合っていた年配者や女性に面談し、思考をめぐらす。
東和財政研究所に勤める吉木は、昌子がずっと気になる存在だった。物語の後半で、昌子と吉木は、やっと再会し、さまざまな謎が解けていく。
そして事件が解明される。堀沢と伶子を殺害したのは、誰か、そして事件の真相はいかに!
Posted by ブクログ
松本清張ならではの時代設定なので、そっかそっか!携帯がなかったんだった!と思ってちょっと面白かった。
何ひとつ無駄がなく、読者をひきつける内容であった。
官僚の政治的背景が見れたことはよかったが、本当にこんなことを行っているとなったのなら背筋が凍るくらい怖い。
Posted by ブクログ
FMラジオで城之内ミサが絶賛していたので読んでみた。「氷の灯火」改題。作並温泉近くで下級官僚と女性の情死事件が発生。主人公の夫と彼女の妹だった。不審に思った主人公が、事件の深層に迫る。文章、ストーリーだてが上手い。13.9.15
Posted by ブクログ
官僚である夫と妹の時期を同じくした失踪と、その末の心中に疑問を持った妻が事件の真相を調べる物語。結局、ロシア人スパイをアメリカに亡命させる為の口実として、東京におけるスパイの協力者が必要だったため、夫はその協力者としてでっち上げられ殺された。話をよりリアルにする為に、妹と不倫があったように見せかけて、妹と一緒に殺された。実行犯は、夫の上司とも交遊のある人たちだが、バックにはこの上司や日本政府もいる。