あらすじ
ビートたけし主演のドラマ原作。九州の海岸で発見された男女の死体。汚職事件渦中の役人と愛人の心中……そう誰もが思ったが、疑念を抱いたベテラン刑事が独自に捜査をはじめる。しかしたどり着いた容疑者には疑う余地のないアリバイがいくつもあった。同時刻に北海道にいたという鉄壁のアリバイ――東京駅で1日に1度しかない、たった4分間の空白――時刻表トリックを用いた元祖とも言われる作品で、空前の推理小説ブームをまきおこした傑作。松本清張の代表作であり、ミステリ名作中の名作!
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ページ数も300ページ足らずとそこまで多くない上、序盤から犯人にほぼ目星がついているのにかなり濃い内容。水上勉「飢餓海峡」ぶりにビビッときた社会派&アリバイ崩しミステリ。最高でした。
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二桁年振りの松本清張、再読。
清張作品を読むきっかけになった「点と線」。
東京駅での空白の4分間のみの記憶でしかなく、ストーリーにどっぷりハマりました。
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松本清張先生が推理小説界に社会派という旋風を巻き起こした名作。 当然ながら清張先生の時代にはスマートフォンどころか携帯電話すらない時代。電報でやりとりしているシーンは時代を感じる。 そして、この作品は「アリバイ破り」というジャンルに属する。あらすじさえ読んでいれば犯人は安田辰郎だとすぐわかる。鳥飼刑事と三原警部補が懸命に安田のアリバイを崩そうとする作品。 ポイントは、東京駅の十三番ホームから十五番ホームを見渡せるのは1日に4分しかない事実。この事実に着目した清張先生もすごい発見だ。 もう一度読んでみたい。
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これぞ松本清張の社会派推理小説という感じ。
昔この本を読んでいるけど、今、再度読んでも仲々おもしろい。刑事さんのちょっとした違和感と執念と閃きが事件解決に結び付く。
最後の謎解きが唐突に手紙というエンディングは「?」がつきそうだが、これを書いた時は新しい手法だったのだろう。兎に角おもしろかった。
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続きが気になりすぎて一気に読んでしまった。動機が生々しくリアリティがあるなと感じた。「作為は、つねに本人が自身の利益のためにするのだ」という一文がなぜかとても印象に残っている。トリックよりも何故その事件が引き起こされてしまったのか、という理由が納得できないと嫌なので、一個人の感情のみならず社会集団の中での人々が描かれているからこそ動機に納得ができるのかなと考えた。ラストの妙な後味の悪さもリアリティがあってとても好きだなと思う。
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さすが、往年の名作といったところか。
現代では、電車に限らず、さまざまな交通手段や連絡手段が発展しているため、本作品をそのまま当てはめて考えることは難しいが、
犯人とおぼしき人物が張り巡らしたアリバイ工作を一つずつ解き明かそうとするストーリー展開は
読み手を飽きさせない見事なものだったと思う。
トリックの良し悪しより娯楽性重視のストーリーが松本清張の偉大さだ
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2025/11/27〜28
面白かった。時刻表トリックの作品。捜査を担当する刑事の三原の視点で楽しめるので、作品の世界に入り込みやすい。今では使わない日本語もありながらも、硬さはそんなに感じられずに読みやすかった。時刻表トリックや他の清張作品ももっと読んでみたい。
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派手ではないが、確かに推理小説の画期の一つとなったことを納得させるだけの格式の高さがある。
特に印象に残るのは作中人物による習作の「数字のある風景」という随筆。
"私がこうして床の上に自分の細い指を見ている一瞬の間に、全国のさまざまな土地で、汽車がいっせいに停っている。そこにはたいそうな人が、それぞれの人生を追って降りたり乗ったりしている。私は目を閉じて、その情景を想像する。(略)汽車の交差は時間的に必然だが、乗っている人びとの空間の行動の交差は偶然である。私は、今の瞬間に、展がっているさまざまな土地の、行きずりの人生をはてしなく空想することができる。"
時刻表を扱ったミステリや旅を伴うミステリの魅力を端的に表している。自らの社会に共にある無数の他者の存在を、捜査の過程と共に改めて確認すること、これが社会派ミステリと呼ばれる所以ではないだろうか。
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4.0/5.0
電車や飛行機など乗り物を使ったトリックや、時間を使ったトリックなどが多く、結構頭を使って読んだ。
安田の緻密で精密なアリバイをなんとか刑事たちが一つ一つ暴いていく展開がスリリングだった。
汚職事件の更に細かい詳細や、汚さ、姑息さみたいなものがもっと描かれているとより物語に入り込めたと感じた。
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海岸で見つかった男女の遺体。どうやら青酸カリをあおった心中らしい。二人の身元は、男のほうは省庁に勤める佐山で、女のほうは料亭の女中お時だと判明。福岡県警の鳥飼刑事は、二人で乗った鉄道の食堂車に佐山しか行かなかったことを不審に思う。女性はたとえ空腹でなかったとしても、連れが食堂車に行くなら自分もついていくのではないか、と考えたのだ。さらに、福岡に着いてからも二人がともに行動していなかったという事実から、実は女のほうは途中どこかの駅で下車して、後から福岡にやってきたのではと推理する。
鳥飼の推理に興味を抱いた警視庁捜査二課の三原刑事は、心中した二人が東京を経つところを目撃した証言が、あまりにもできすぎているということに気が付く。目撃を証言した安田という男が死んだ佐山の省庁とかかわりのある男だったことも、疑惑を強める一因だった。だが、当の安田は二人が福岡で服毒自殺をしたとき北海道に出張していたという鉄壁のアリバイがあった。そこで三原は鉄道の時刻表を駆使して、福岡で二人を殺害した後北海道へと行く方法を模索する。
この方法はどうだ?→ダメ→ならばこれはどうだ?→ダメ…といった具合に、そう簡単には真相に辿り着けない。それでも諦めずに海の便、空の便と食らいつき、ついにその執念が結実する。
東と西、タイプの違う二人の刑事の書簡がよかった。
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とても面白かった。作中の刑事と自分が一体化した様な一進一退感、重厚な文章。トリックが解けたか?と思ったら新たな障壁が出て来るしんどさを、読み手も味わえた感じがする。
トリックそのものは現代社会とは合わない部分があるが、それは仕方ない。むしろ、当時読んだらどうだったんだろうという想像したりして楽しかった。
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松本清張と聞いて気合いを入れて読み始めましたが、文章が思っていたよりも読みやすくて、他のシリーズも読んでみたいなと思いました。アリバイ崩しのストーリーがドキドキして面白かったです。トリック自体は現代だと通用しなさそうだけど、当時なら出来たのかなぁ?とか、色々想像して、その時間も楽しめました。
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推理小説ブームの秀作と言われているそうですが…
イヤ〜面白いです、読みやすいのと260頁ていう、割と短いストーリーでサクっと読めましたー
著者の作品も実は初なので他の作品への興味も湧きましたよ!
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初めて松本清張作品を読んだ。古い本だからと敬遠していたが、非常に読みやすかった。
犯行自体のトリックを暴くというよりは、アリバイ崩しをしていく話。犯人が犯人であるという確証無しに、違和感だけをもとに捜査とアリバイ崩しを進めていくことに少し違和感があったが……。
不可解な点が表れては解き明かされる、という展開がテンポよく続くので、するすると読み進めることができた。
解説にもある通り、わずかに疑義や穴が残るが、それはそれで想像の余地があって面白い。
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犯人の目星は最初から付いているものの、九州から北海道までを縦横無尽に飛び回ってアリバイを少しずつ崩していくのは、面白かった。三原警部補の推理の域を出ないが、安田夫妻の顛末には女性の怨みの恐ろしさを感じた。
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東京の料亭「小雪」の女中、お時と、その料亭の客で官僚の佐山の情死体が福岡市香椎海岸で発見された。東京駅のプラットフォームで2人が乗り込むところを、お時の同僚の女中2人と同じ料亭の客である安田が目撃していたことが、情死の裏付けとなった。しかし、博多のベテラン刑事である鳥飼重太郎は、佐山の持っていた社内食堂の伝票から、2人の情死説に疑問を持つ。女は好きな男とならたとえ腹が空いていなくてもコーヒー一杯くらい食堂に付き合うはずだが、この男は1人で食堂で飯を食っているのである。2人の関係は恋人同士ではないのではないか…?
東京駅で13番線プラットフォームから15番線プラットフォームが見えるのは、1日の中で17時57分から18時01分のわずか4分間しかない。東京の本庁の刑事・三原紀一と鳥飼は、この4分間を利用して女中を重要な目撃者に仕立てた安田が怪しいと考えるが、安田には完璧なアリバイがあった。
時刻表を使った4分間のトリック。
今の時代ではあり得ない設定だが、今読んでも本当に面白い!
この鳥飼という田舎のくたびれたベテラン刑事が味があってとてもいいんですよねぇ…。
また、伝票から2人の恋人が一緒に食堂に行かないのはおかしい=2人は恋人でないと推理するところも目の付け所がすごい。
まさに、点が線になっていく。
不朽の名作です。
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1957年の作品。
なんともミステリ小説の気分になったので、初めて松本清張を読んだ。
あっという間に読み終えてしまう面白さ。
時代を感じさせる場面はたびたびあるが、それも魅力となっていて読み進める足枷には全くなっていない。
ミステリ小説の完成された形はおよそ70年前には出来上がっていたのかもしれない。
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昔の作品であり、これを参考に作られた作品も多くあると思われるため、トリックなどは比較的思い浮かびやすい。時間や場所のトリックなどもとても丁寧に説明されており、文章のわかりやすさも相まってすぐに読み終えることができた。
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とにかく文章が綺麗。
倒叙ミステリで、一つ一つの障害を丁寧に取り払っていく過程が素晴らしい。
また古典推理小説でもあり、特に電報を使ったトリックは新鮮さと興味を惹かれる。
時刻表トリックは私の苦手とするものだったが、なんの苦労もなく読むことができた。
内容がキャラクターよりもミステリに重点を置いて書かれているのも良かった。
純粋な推理小説だったと思う。
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疑問を一つひとつ潰していき、答えに辿り着く過程が丁寧で面白い。
あと当たり前なんだけど、あまりにも文章が上手い。特に「手紙」の日本語の美しさよ…
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昔の小説ですが引きを取らない面白さだと感じました。アリバイ崩しの小説ということで時刻表を巧みに用いて推理を組みたてていく様は読み応え抜群でした。
物語の途中で犯人が確定されている状態ですが、事件の真相とそこに至るまでのひらめきも含め良かったです。
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ドラマ化、映画化もされている有名な作品。な割には、どんなあらすじだったか思いだせない…と思い、手に取った。
怪しいと睨んだら、とことん矛盾がないか考察、検証していく様は面白かった。
なるほど、結局のところ状況証拠のみで、時刻表を使ったアリバイ崩し。怪しい点と点が一本の線になった時、事件の全容が明らかになるのだが、最後の手紙でも憶測でしか真実?であろうもの(きっとそれが真相なんだろうが)を語れないのが、モヤモヤ…
今で言う、「それって貴方の感想ですよね?」的な感じで、本人じゃないのになんで解るんだよ!とツッコミを入れてしまった。
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リアルタイムで読んでいたらもっと驚いていたと思う。おそらく70年近く前の作品。刑事の勘と執念で真相に迫っていく。こんな感覚的なものにこれだけの労力を割くかなぁ?と今風に考えてしまう自分はいた。社会派、という触れ込みで読んだがしっかり真相はびっくりするもので、短いながらも読みごたえがあった。
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人生松本清張一作目。スッキリとした文章と昔ながらの熟語で好感の持てる文体であり、非常に読みやすい。
事件を追う三原なる者は優秀な地位にいるはずの人物なのに、えらい失念が多く、そういえばと何かを思いつくくだりが多過ぎて、なんだか読んでいて新喜劇でも見てるのかって気分になる。あまりにも滑稽。
ラストも予想外だけど、期待も裏切られた気分になってちょっとがっかりした。
Posted by ブクログ
国内ミステリ作家として避けては通れない松本清張に触れてみよう、ということで手に取った一冊。
松本清張といえばドラマ「黒革の手帖」の印象が強く(見ていたわけではありませんが)、そして社会派ミステリを確立させた一人として、大好きな宮部みゆきさんに通ずるところがあるのでお手並み拝見の気持ちで読みました。
登場するのは、”ザ・靴底を減らして歩く刑事”。
そして昭和32年の発表ということで、東京から福岡まで一日がかりの移動が描かれており、改めて現在の交通網がいかに発展したものかとしみじみ。
……でも、飛行機の可能性を考えないのはいかがなものなのか?!
当時の交通事情に詳しくないので、(ああ飛行機は登場しないのね)と勝手に納得して読み進めていたもので、アッサリ日航機が登場した時はついツッコミたくなってしまいました(^^;
それにしても、このアリバイを作るために犯人は東奔西走大変だっただろうなぁ……。
そんなわけで、蓋を開けてみれば単純な工作(のわりに労力がすごい)だったのですが、サラッと描かれた”犯人”には背筋が寒くなるものがありました。そこは完全に疑ってなかった……。
手元には、宮部みゆきさんが選んだ松本清張短編集もありますので、そちらも味わってみようと思います。
Posted by ブクログ
前半から中盤にかけての緻密な物語の積み重ね、重厚な筆致、これぞ長編ミステリの歴史的傑作!と叫びたくなるような威厳に溢れている。『空白の4分』という発想の美しさ。そして本作が旅行雑誌『旅』に掲載されたというよく出来た構図。当時の読者が夢中になる気持ちがよく分かる。
が……。
「飛行機あるやーーーん」って何?
いくら当時旅客機は一般的では無いと言っても、天下の捜査機関が飛行機の存在を失念するなんてうっかりが、物語の根幹に関わってくるそのちゃぶ台返しっぷりには唖然とするしかない。
Posted by ブクログ
随分前に読んだことがあるはずなのだが、一切覚えていなかったという事もあり、ページ数も多い訳ではないのでそれ程時間を掛けずに読み終えた。
殺人事件の容疑者を所謂謎解き、アリバイ崩ししながら追い込んでいくが、東京から福岡、北海道と移動に電車が使われており、何故飛行機を使わないんだろうと、妙な所で現在とは違う違和感があったが、この本が世に出たのは生まれる前、昭和30年前半なのでこれでは仕方がないと納得した。
まあ結局飛行機はトリックの材料に使われた訳ではないので重要ではないが、物語は面白いが、この時代の違和感が妙に頭から離れなかったからか、物語に入り込めなかったかな。
あと今の政治も昔も相変わらず汚職が横行しているのには変わらないんだなって感じで、健全な計画や法案が出てくるのか疑問だ。
これからは裏金なんか出来ない様に収支をハッキリさせた方がいいよね。
でもそうしたらこの様な社会派小説は出て来ないか。