松本清張のレビュー一覧

  • 考える葉 新装版

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    今のミステリーならすぐにネットや警察のデータベースでの情報収集となるが終戦からそう遠くない時期の事件でどのように事件の真相に辿り着くのかと思いつつ、巨匠のいにしえの作品を読んでみた。インターネットがなくても個人情報保護法のない時期、電話帳を使って電話をして住所を聞くというような今なら困難なことがいとも簡単にできるのだなと妙なことに感心した。

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    2026年05月18日
  • Dの複合

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    松本清張作品には旅が似合う。
    浦島伝説、羽衣伝説の舞台を取材するうちに遭遇する事件。
    雑誌の紀行文を書く作家と編集者が巻き込まれる奇怪な事件のおもわぬつながり。
    ミステリーとしてはどこかユーモラスな部分もある。
    全国の土地、時刻表と民族説話をうまく絡めた作品。

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    2026年05月14日
  • ゼロの焦点

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    ネタバレ

    初めての松本清張。

    個人情報の観点や電話のやり取り、当時の生活様式や言葉遣いなど、自分の世代では馴染みのないものばかりでしたが、以前よりそういった歴史は知っていたので特に違和感もなく読み進められました。

    難しい言葉で書き綴らねども、背景描写や心情がわかりやすかったのでサクサクと読んでいけたのが良かったです。

    禎子はまだ憲一と結婚して日が浅く、仕事や年齢など、わかりやすい表記のようなものしか知り得ていなかった。短い間で既に彼を充分に愛していたから、行方や過去が気になりあそこまで調べたというよりは、これから愛していけると思っていたから、知りたかったのではないかと思いました。

    派手な服装をし

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    2026年05月12日
  • 歪んだ複写―税務署殺人事件―

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    これまで読んだ清張作品と比べて、全体的にライトな印象を受けました。
    といっても昭和34年に連載されていたものというから、がっつり昭和なのですが。

    対象者の写真を撮るのもカメラマン必要だったり、連絡も公衆電話、今ならスマホで全て完結できるのに、もどかしい…。
    そんな昭和の清張ミステリーが好きです。

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    2026年05月10日
  • 生けるパスカル 新装版

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    表題作の他、「六畳の生涯」二篇を収録。
    「生けるパスカル」
    画家の矢沢辰生は、美術雑誌記者の森禎治郎がいう外国の小説の話を、近来これほど身を入れて聞いたことはなかった。

    天野仙太は二流どこの画商である。絵の催促に来たらしい。

    スミ子というのは五年前に矢沢が問題を起こしたモデル女で、鈴恵は未だにそのことにからんでいる。

    鈴恵の調子が狂ったきっかけは、瀬戸内海のある都市から岩沢明美が彼をたよって出京したときにはじまる。

    最近、矢沢の家の近くで、この羽虫が多く飛んでいた日が調査でわかった。ガス中毒の前夜遅くから当日の午前七時すぎまでであった。

    描かなかった絵に、羽虫がどうしてカンバスの塗り

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    2026年05月03日
  • 軍師の境遇 新装版

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    黒田官兵衛を描いた小説(司馬遼太郎「播磨灘物語」吉川英治「黒田如水」)の中では中編ながら一番面白かった。大事なエピソードは全て網羅されていた。

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    2026年05月02日
  • 点と線

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     【ややネタバレあり】
     昭和の名作、松本清張の『点と線』は、鉄道系ミステリー小説で、作中には昭和の名列車の寝台特急「あさかぜ」や、男女が共に情死するような現代では見られない言動・行動が多々あります。本作品では、日本の広くて大きい「鉄道網」を、時刻表や列車の運用をもとに細かい「時間」からの推理ミステリーでもあります。
     舞台は北は北海道、南は九州の博多まで。ミステリー好きや鉄道好きでも楽しめる本です。

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    2026年04月30日
  • 神と野獣の日

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    1960年代に上梓された、他国の核ミサイル誤射による首都圏パニックを描いた本作は現代でも通じる内容であり、なるほど技術革新や経済成長を経ても人はそれほど賢くならないんだと痛感する。うっすらとオチはわかっても、人はこれほど短絡的なんだと至極納得できる。この絶妙な愚かさが薄ら寒い。

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    2026年04月27日
  • 二重葉脈 新装版

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    ネタバレ

    計画倒産が疑われる企業の不足金を巡る疑惑の元幹部たちの不審な動きを追う。

     長い!平易で余計な描写の少ない文章ではあるが、筆致が遅いというかなんというか…読んでいてもなかなか進まないこと、また日付時刻と場所の行ったり来たりが何度も繰り返され、誰がいつどこでどうしたんだか、だんだん整理するのが面倒くさくなってきてしまいまして。

     刑事が与えられた事象から推論を重ね、徐々に対象を絞り込んでいく過程はそれなりにワクワクさせてくれました。しかし、文章が平易すぎて割と早々に最後の犯人が読めてしまうこと(なんでもない登場の仕方にも関わらず妙に細かい風体の描写とかあるのでおやっとなった)はちょっと残念で

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    2026年04月26日
  • 小説帝銀事件 新装版

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    以前から詳しく知りたいと思ってた実際の事件。犯人とされた平沢死刑囚は、この件では無実かもしれないが、全くの善人ってわけでもなかったというのが以外だった。

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    2026年04月26日
  • 死の枝

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    BS11 ドラマでクレジットされていた原作は、松本清張さん「死の枝」より。
    「死の枝」は、ちょっと風変わりな連作短編集で。
    登場人物は各話ごとに全然違うのだけど、
    ある、共通したニュアンスを持つミステリーたち。

    途方もなく膨張し、混乱し、錯綜した現代社会の裏面で複雑にもつれ、からみあうさまざまな犯罪。その陰に澱む愛憎と執念――狂気を装い、法の網の目を潜りぬけようとする男、交通地獄という世相の盲点を巧みに利用した殺人、猟奇事件の影に踊る札つきの不法建築業者、北国の闇を引き裂く夫婦殺害事件……。死神に捉えられ、破滅の深淵に陥ちてゆく人間たちを描く連作推理小説。

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    2026年04月24日
  • 砂の器(下)

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    ネタバレ

    ドラマ版でのネタバレを聞いた上で読んだが、ドラマ版とは違った物語で面白かった。
    戦争による被害によって戸籍を新しく作ったり、当時ハンセン病患者が親族にいた場合私が想像できないほどの差別を受けていたからこそ起こってしまった事件だなと思う。
    きっと被害者は悪気があって和賀に会いに行ったわけではなく、息子に久しぶりに会うような気軽さで会いに行ったのだろうと思うとなんだか悲しい気分になる。
    今西、吉村ペアが読んでいて良いペアだなと感じさせる。
    殺人のトリックは非常に変わっており超音波での殺人で、聞いていて難しくもあったが読んでいてワクワクさせられた。

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    2026年04月21日
  • 点と線

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    大学4年にして初松本清張。タイトルも大まかなトリックも知っていたくせに、本編読んでいないとか大バカ者ですね、私。刑事たちの「自らの足で真相を暴いていく」スタイルには、古い時代の熱血感みたいな味があってたまらなく好き。タイトルの「点と線」は、「時刻表」を作るダイヤグラムの意味なのか。はたまた関係ないと思われた遠い地点同士が徐々に繋がっていく意味の「点と線」なのか。どちらにも取れそうなのがまた良かった。ただちょっと動機が弱い?かしら。どんでん返しに期待せず、雰囲気を楽しむ心持くらいで丁度良いのかもしれません。

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    2026年04月18日
  • ゼロの焦点

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    ネタバレ

    「パンパン」という言葉を初めて知った。主人公・禎子の性格というか、行動力が好き。ただの新妻から探偵さながらの洞察力と推察力を見せていくのが本作の醍醐味な気もする。「他の人と比べられている気がする」「本多の気持ちがわかる」と思案する感じ、英語をさらっと話す感じ、良い女である。

    〈忘れないよう大枠メモ〉
    室田佐知子が全体の犯人。動機は、自分が元パンパンであることを知っているため。主人公・禎子の夫・鵜原憲一=曾根益三郎は、パンパンの女性・田沼久子と名を偽り同棲。室田氏は、佐知子の出を知らずに、田沼を匿う。

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    2026年04月18日
  • 砂の器(下)

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    ネタバレ

    これ本当に数十ページで閉じるのか⁈と不安になるくらい、最後の最後まで事件全体が明らかにならないのが良かった!「戸籍抄本」を調べる辺りから着いていくのに必死。モブキャラにも懇切丁寧に名前が付けられていくので、重要人物か!と構えるも、違うことが判明しては、脳がパンクした。最後の飛行場アナウンス終わりが綺麗で、耽美だなと思った。
    ※和賀英良が、超音波を使い、リエ子と宮田と恵美子を殺害。三木は扼殺。動機はハンセン病を患っていた父を持つ暗い過去を葬るため。関川はただの囮、上巻までは本当に犯人だと思っていた。

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    2026年04月18日
  • 砂の器(上)

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    他の松本清張作品と比べると、登場人物が多いのかな?ヌーボーグループが出てきた辺りから、一気に人数が増えるので一瞬狼狽えるが、それが本作の謎を重厚なものにしているから問題なし。1本の時系列に沿って、複数視点で話が進んでいく感じも、服装とか雰囲気で人物を当てはめていけるから凄く好き。上巻だとまだ各謎が点のままだから、下巻が楽しみである。

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    2026年04月18日
  • 火と汐

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    短編4篇収録。表題作はアリバイ崩しもので『点と線』の流れを汲む。どの辺がというと、既に容疑者を勾留しているのに動機が強いとみるや徹底的にアリバイを疑うところである。不可能犯罪に当たるがトリックについては本編を読んで頂きたい。人によって感想は変わるだろう。
    個人的に驚いたのは『証言の森』。この動機は時代背景を抜きにしては描けない。真相が藪の中の様なリアルさも良い。他の2篇も人間の暗黒面が出ていて良かった。

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    2026年04月13日
  • なぜ「星図」が開いていたか―初期ミステリ傑作集―(新潮文庫)

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    日下三蔵による解説の「社会派推理小説と本格推理小説は対立概念ではない」というのは全くその通りで、本書収録の短編はまさにその両立を示す佳作揃いと言えるだろう。同郷同窓の二人の優劣関係を巡る心理だったり、通常犯人とは思えない人物設定により読者の裏をかくプロットなど、きちんと小説として成立させつつ、謎解きの面白さを追究していて楽しめる。

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    2026年04月09日
  • 眼の壁

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    PrimeVideo 出演者:
    小泉孝太郎、泉里香、上地雄輔
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    手形詐欺の驚くべき手口、調査を始めた部下を襲った、不可解な事件。
    昭和32年、『点と線』と並行して連載された、清張初期の秀作。

    白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千万円の手形詐欺。責任を一身に負って自殺した会計課長の厚い信任を得ていた萩崎は、学生時代の友人である新聞記者の応援を得て必死に手がかりを探る。二人は事件の背後にうごめく巨大な組織悪に徒手空拳で立ち向うが、せっかくの手がかりは次々に消え去ってしまう……。
    複雑怪奇な現代社会の悪の実体をあばき、鬼気迫る追及が展

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    2026年04月03日
  • 共犯者

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    ネタバレ

    2026/09

    レベルの高い短編集!
    松本清張の良さって特に短編に現れてるなと最近思うようになってきた。オススメの短編集です。

    以下オチ多少触れてます。





    「共犯者」
    銀行強盗をした共犯が裏切るんじゃないかと不安になる男性の話。あまりに疑いすぎて仲介者に嵌められるという何ともなオチ。

    「恐喝者」
    脱獄した男性が工事現場で働くも、過去の自分を知る女性を脅迫。ラストは転落し、自業自得エンド。

    「愛と空白の共謀」
    好き!かっこいい女!
    夫は愛人といるときに死んだことに気が付いたのに、彼女の決意に共感し「わたし別の車で帰るわ」かっこよすぎる。

    「発作」
    色々重なってイライラし通しの男

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    2026年04月04日