松本清張のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
実存した朝鮮のとある詩人の存在を基に描かれるフィクション。
日本統治から解放された朝鮮半島で、独立を望む朝鮮の人々(その中でもさまざまな立場があり)とアメリカ、ソ連の大国の思惑とが交錯する。
林和という人が本当はどういう人間だったか分からないが、この小説において描かれる彼の想いや翻弄される様はリアルで、この当時こういう人がいたのかもしれないと思える。
やっと占領から解放されて自分たちの国を取り戻せると思ったのに、そこから5年で朝鮮戦争が起こり未だに平和的解決に至っていない。いつだって大国の思惑に翻弄されるのは、立場の弱い国とそこで暮らす人々なのだ。悔しい。 -
Posted by ブクログ
「疑惑」は人間とは主観で物事を考えてしまう生き物なんだなと思わせられる作品であった。読んでいくうちに読者のわたしたちも鬼塚球磨子に対して憎悪の感情を募らせていくようになっている。読者は球磨子が然るべき罰を受けることを願ってしまうけれど、それと実際に罪を犯したか否かという事実はまったくの別物であって慎重に検討しなければならない。人を裁くことの難しさ、そして「面白さ」もわかるような気がした。松本清張作品で、人を殺してしまうのはいわゆるサイコパスではなく、ごくありふれた人である。その人たちがいかにして人を殺してしまうかを丁寧に描いてくれているので、そこが好きだなと思わせられる。
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Posted by ブクログ
阻害された孤独な人物を主人公として、その深淵を覗いた、深く深刻な問題を含んだ小説
母との別れ、父との別れ、病気による差別、浮浪児としての孤独と恐怖、戦争、そして孤独、主人公の人生がどれだけ辛くて苦しいものだったのか、私の未熟な想像力では計り知れない。
戦後、浮浪児が恥ずべきもの、差別されるものだったと妻にも言えず隠し通していた元浮浪児の方の手記を読んだことがある。
すごい時代、信じられない。秀雄には何重にも苦しいことの連続、自分のせいではない、まさに人生に翻弄される哀れさが、想像しただけで痛々しく刺さる。
秀雄の人生を軽くのぞく程度で、この小説は終わっている。秀雄についての文章はわずか数ペ