松本清張のレビュー一覧
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松本清張の遺作。未完の作品だけれど、物語がほぼ完結に至っているのが読者としては救い。
上巻で月辰会や関係者が概ね登場して、下巻では関係者が次々と結ばれていく。時代は満州事変前夜で張作霖爆殺事件も絡んできて読者の関心を引き寄せるのも忘れていない。
宗教物でよくある神々しく美しい女性と神つきと性みたいなモチーフから逃れられてはいないけれど、その薄っぺらさ=フェイクさも同時に語られていて、フェイクであるが故の説得力も語られている。
巻末の編集部註でその後の展開はおおよそ予想はつくけれど、唯一皇居のレシピの話はよくわからないまま。誰か解説してくれているのだろうか。原武史さんの解説本があるようなので、そ -
購入済み
読ませます
読んでいて、犯人と同じ心理になって過呼吸になりそうな話がありました。
無駄なくわかりやすく、読みやすかったです。さすが松本清張先生と思いました。 -
Posted by ブクログ
日本の敗戦から朝鮮半島の分断。米ソの狭間で独立を目指す朝鮮人の活動家。戦時中は転向、その経歴を握られ米のスパイとなった詩人を主役とした異色の小説。
日本の敗戦から朝鮮戦争までの朝鮮半島情勢は日本ではあまり話題になっていないように思う。エアポケット的な部分をあの
松本清張が小説にしていたことを知りさっそく購読。
スリーパーとなった男の不安。それは小さな嘘を重ね破滅に進む清張ドラマの主役そのもの。
結果として日本の敗戦のタイミングが、南北分断を招いている。祖国が分断された悲しみは日本人には理解できない、負の部分だろう。
金日成と李承晩による南北別れた独立の少し前を描いた傑作でした。
やはり -
Posted by ブクログ
「松本清張」の短篇集『黒い画集』を読みました。
『聞かなかった場所』、『或る「小倉日記」伝 傑作短編集〔一〕』、『張込み 傑作短編集〔五〕』に続き「松本清張」作品ですね。
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身の安全と出世を願う男の生活にさす暗い影。
絶対に知られてはならない女関係。
平凡な日常生活にひそむ深淵の恐ろしさを描く7編。
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以下の7篇が収録されていますが、、、
■遭難
■証言
■天城越え
■寒流
■凶器
■紐
■坂道の家
『遭難(映画タイトル:ある遭難)』、『証言(映画タイトル:あるサラリーマンの証言