松本清張のレビュー一覧
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松本清張というと、私にとってはミステリー作家のイメージが強い。本書は短編歴史小説で、10編からなる。
運慶、世阿弥、千利休、雪舟、古田織部、岩佐又兵衛、小堀遠州、光悦、写楽、止利仏師
名前は知っている、名前すら知らない、10名の芸術家の内面が色濃く描かれていて、とても興味深い。芸術への飽くなき探究心と、それに伴う心の葛藤が実によく描かれている。
中でも印象に残るのは、千利休と光悦の話。千利休と豊臣秀吉の対立場面は、恐ろしかった。
俵屋宗達よる下絵の施された料紙に、本阿弥光悦が古人の和歌を書いた「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」。今まで写真を見て、“素敵だなあ”“出来上がった絵に文字を書くのは、緊張するだろうなあ”“2人で協力して仕上げるのは大変だろうなあ”と思っていた。そして、2人がタッグを組んだ作品に好感を持っていた。しかし、この小説を読むとこれまでの感覚が覆されて驚いた。
これこそ、小説を読む醍醐味!また、本書を読みたくなると思う。
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Posted by ブクログ
清張の時代小説短編集。
昭和40年が初版で今回読んだのは令和3年の55刷版。すごいロングセラー。
収録作品は
西郷札
くるま宿
梟示抄
啾々吟
戦国権謀
権妻
酒井の刃傷
二代の殉死
面貌
恋情
噂始末
白梅の香
どれも面白いのですが特に印象に残ったのは以下の作品。
「梟示抄」
初代司法卿・江藤新平の話。彼が日本の商鞅といわれる理由がなんとも皮肉である。
「権妻」
権妻という言葉、初めて知りました。若い時の過ちが十数年の時を経て、こんな形で巡ってくることになろうとは。
「恋情」
この短編集に限らず、清張の作品はキリスト教における「七つの大罪」故の不幸な結末、みたいな感じが多いような気がするのですが、これはちょっと毛色が違って、お互いの気持ちを伝えられずにいた男女の変遷の物語で、ロマンチックなストーリーでした。 -
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綿密に組み立てられている。著者の調査力と造詣の深さにも感心させられる。たまたま見かけ入った骨董店から物語が始まり、マレーシアで著名な立志伝中の資産家が失踪した事件に飛び、軽井沢で独り身の女性が殺される事件と、バラバラに思えたことが徐々に関連を帯びてくる。それぞれ自体の謎は解決せず、関連性を帯びてくるにつれ、謎が絡み合い膨らんでくる。本の分量の多さに辟易するが、謎解きが気になり、先へ先へと読み急がされる。冒頭、和服の図案家が店頭にあった古美術品に惹かれ店に入る。店内はガラクタに近いものばかりで、唯一店頭の品だけが価値があるが、非売品としてどんなに高値が提示されても決して手放さない。この品の由来に謎を残したまま、マレーシアの失踪事件や軽井沢での殺人事件の調査が進行するが、だんだんと繋がりが見え隠れしてくる。マレーシアと軽井沢の事件は、失踪した兄と殺された妹という事実が判明し、日本とマレーシアをまたがった謎解きへと展開する。いろいろと推理が働くが、下巻への期待が高まる。
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面白かった。
昔読んだことがあるというのは覚えていたが、ここまでその読んだ記憶が残っていないことに驚いた。
主人公の老?刑事が丁寧で時間を掛けた捜査は今の何でも起こり得る事件でAI技術を駆使しても忙しくしている捜査とのギャップにも驚いたが、着実にリファレンス情報を集め着実に犯人を追い込んでいく作業は見事だ。
更に科学技術による人体への影響についの捜査も、もしかしたらこの当時は最先端の警察の法科学なのかもしれない。
当時は科学捜査研究所はないだろうから、科学に疎い刑事の苦悩も分かる気がする。
最後の空港での犯人逮捕は痛快だったね。
地道な操作が報われて良かった。
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ネタバレ『指』はおもしろいけれど、シーワワーまで殺さなくても…!犬を飼っている身としては人が殺されるより受け入れ難い。
表題作『水の肌』と『留守宅の事件』は、松本清張らしい作品で良かった。
『小説 3億円事件』はあれこれ考察が続いて好みじゃないなーと読んでいたのに、いつの間にか「そうだよ!絶対こいつが犯人」と真剣に読んでいた。
特に立川基地がアジトっていうのは納得してしまったな。
『凝視』は平吉が犯人と思わされすぎて「これは冤罪か?」と気づけたまではよかったけど、最後急展開に都合よく解決しすぎな気も…
ちょっと軽く清張が読みたいなってときに良い一冊。 -
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ネタバレ久しぶりの松本清張作品。やはり格式は高い。「Dの複合」ということでどんな「D」が複合しているか楽しみにしていた、が、「D」が出てこなかった。何なんだ?500ページの超大作、100ページは、怪奇系紀行文を書く作家(伊瀬)と編集者(浜中)が浦島・羽衣を旅する。そこで白骨死体が発見される。そこのには「第二海竜丸」という木片が落ちていた。さらに坂口みま子が殺された。殺人が起きてからは一気に話しが動くが犯人・動機が分からない、これぞ松本清張の醍醐味なのか?ラストで真相が明らかになるが、怒涛のラストは凄かったです。⑤
解説読んでいたら「D」の意味が分かりました。坂口みま子がキーパーソンだったのかな? -
Posted by ブクログ
作者が自信を持って選んだ7篇の短編集。ほぼ男女の醜関係に纏わる話でタイトル通り黒い。社会派推理小説の始祖だけあって名探偵や名刑事なる人は出てこないがトリックが凝った作品もある。特に『凶器』という作品のトリックは外国の作家も用いており(自分は未読だけど)どちらが先かは分からないけど、名探偵モノみたいな型にハマっていない分さり気なくて面白かった。
銀行員と愛人の話も悲哀というかコントみたい要素もあるがラストでキッチリ決着をつける展開が好き。
全話の感想は読む方も怠いだろうからこの辺で止めておくがページ数の分厚さといいじっくり楽しめる本である。