あらすじ
エリートコースの販売課長が社員旅行の晩に行方不明となり、惨殺死体で発見された。動揺を隠せない社内の空気の中で、死の謎を追跡する女性社員の手記。意外な貌を見せる社員たちが疑惑の線上に次々と浮かぶ。欲望と犯罪の構図はガラスの城のような組織で醸成されたのか。清張ミステリーの傑作を新装版に。
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Posted by ブクログ
慰安旅行中に失踪、死亡が確認された課長の死因をOLが追うサスペンス。松本清張にしては珍しく手記形式でさほど社会派という訳でもない。トリックについては目の肥えた読者諸兄なら分かりそうだが本作の魅力はそこではないと思う。手記の行間から滲み出る女性の人間性(悪い意味で)が表現されているのが素晴らしい。類似トリックはもちろん先行作品としてあるだろうがコチラを先に読んだらやはり驚いただろう。
真相についてや登場人物達の人間性について語りたい事が多いがネタバレなして読んで頂きたい。
Posted by ブクログ
松本清張の作品、顔とガラスの城がドラマになっていてちょうどそれをみてガラスの城がとてもよく泣いてしまうほどいい話だったので小説でも読んでみました。
難しかったもののいい話でした。
Posted by ブクログ
少し無駄に長い、だれる感じが否めないけれど、松本清張好きなら楽しめる。
まさかのどんでん返し系だったとは!最後の最後まで疑いもしなかった。
それにしても不倫だ出世だ美人だ醜女だと「しょうもないなー」と感じながらも昭和感満載で、これだから松本清張は止められない。
《手記》の中に、本音も伏線も含め女心を感じさせる文章を潜ませている辺りがさすがだなと思った。
私は“わたしはそこで杉岡課長の奥さんをはじめて見た。”の一文で、三上田鶴子は杉岡課長の愛人だと思ったのに、まんまと騙された。
Posted by ブクログ
松本清張先生の作品を初めて読みました。
視点が変わった瞬間、次の展開が気になって一気に読み込んでしまいました。
作品があまりにも凄くて、松本清張先生の他の作品を読み漁ってみたくなりました。
Posted by ブクログ
東亜製鋼株式会社東京支店の販売部第二課約50名が3月の慰安旅行で修善寺温泉に出かける。夜の宴会が終わりかけた時、こっそり抜け出した杉岡課長が行方不明となり、新年度に入ってから惨殺死体で発見された。動揺する社内の様々な人間模様を見つめ、エリートだった杉岡の死の謎を追って独自の調査を進める二人の女性社員。真相追及の過程が彼女らの手記という形式で語られていく。
400ページ余にわたる長編で、事実を拾い出し時系列で整理したり、関係する人物の洗い出しや行動背景を推理していく様子が多くのページを割いて、リアルに綿密に描かれている。 内容的にも、杉岡に支える富崎、野村両次長、庶務主任の田口の社内力学、容貌に自信を持つ鈴木信子、橋本容子、吝嗇で嫌われている的場郁子ら女性社員間の憎悪や冷戦、彼らの男女関係、家族の秘密など多くの要素が入り組み、一筋縄では終わらない。
自分としては、こういうようにじっくりと展開していく長編ミステリーも悪くないと思うが、タイパを重んじる今の若者には受けないのかなという気もした。
それに、会社内での封建的な女性差別、大広間での宴会付きの社内旅行など古い時代背景の話に違和感や抵抗感を持つ人も多いのではと思った。
Posted by ブクログ
文章表現をトリックに使った、いわば "やったモン勝ち" なサスペンスは、2部構成の後半の畳み掛けにグイと引き込まれる。人は多面性を帯びていて見る人によって変化する。そこに愛憎を絡ませて犯罪へと向かわせる俗物根性が読み手側として楽しい。決してカッコ良くない市井の人びとの滑稽さに焦点を当てる、やっぱ松本清張いいね。
Posted by ブクログ
表面上はガラス張りで綺麗な会社だが、中に蠢くのは嫉妬、欲望などなど。そんな会社で次々と起こる不審死、失踪事件。そんな事件を追う2人の女性社員の視点から事件は様々に推察されていく。
2人の女性の手記、ノートを基に物語が展開されるため、ついついその情報が正しいと思い込んでしまう。そこがこのミステリーの面白いところ。人は見かけによらないし、誰が正しいのかは最後までわからない。
どんでん返しとは違うが、巧みな構成に引き込まれてしまう。
Posted by ブクログ
松本清張こういうのもやるのかーーー!!!はぁはーーー。という感想。松本清張の表現は見た目が悪い。とかばっさり切ってく感じが昭和感があってとても好き。笑
犯人は最後まで全然分からなかったけど、的場のおばさん探偵力にあっぱれ。
Posted by ブクログ
前半の三上さんの手記が「あの人は根暗だし美人でもないから愛人ではない」とか結構辛辣なことが書いてあったり、●●は●●だからそうに決まってるみたいな、ちょっとそれは妄想しすぎじゃない?って思ってたら、後半の手記のところでその三上さんが的場さんにまぁまぁ酷いこと書かれてて笑った。
いつも周りの人を観察してて妄想しがち、みたいな笑