松本清張のレビュー一覧

  • 神々の乱心 上

    Posted by ブクログ

    だいぶ長い間かかってしまったけれど、松本清張が皇室(の周辺)を扱った未完の大作。読み進めるにつれて未完ということが残念でならないけれど、致し方ない。
    新興宗教に関わる皇室で働く女官の自死に始まり、その謎を華族に連なる萩園と、特高の吉屋が追う。双方がお互いを警戒しあっている関係性、皇室というタブーに関わること、その皇室と新興宗教の関係の怪しさ、満州における阿片の不正事件、天皇陵の盗掘、そして大戦を前にした昭和初期という緊張感がこの小説の雰囲気を盛り上げる。
    小説ではあるけど、昭和初期は日本がアジアの盟主(批判はあるだろうけど)であったことも特に満州を巡る記述や人々の凛とした佇まいから感じられる。

    0
    2022年06月19日
  • 黒い画集

    Posted by ブクログ

    全編面白かった。
    本書の主人公は「女」で踏み外す男ばかりである。
    基本的にはモテない男が金目当てで近づいた女に毟られる展開だ。真面目に生きて来た冴えない男が、ふとした切っ掛けで女に溺れ、それを隠そうとしてドツボに嵌ったり、自分が浮気しているのに嫉妬したり、とても人間臭い物語ばかりだ。
    一言でいうと「格好悪い」男たちの藻掻き苦しんだ様を描いている。世間ではサスペンスのジャンルに入っているようだが、コメディーとして読める作品もあった。

    とにかく格好悪い。格好悪い男たちの悪あがき小説である。

    ●遭難
    同僚三人の登山で一人が遭難で死亡。当初は事故とされていたが、死亡した同僚の従兄が同じコースを登山

    0
    2022年06月17日
  • 軍師の境遇 新装版

    Posted by ブクログ

    軍師黒田官兵衛についての小説他。というか、黒田官兵衛などの軍師は、作者の知恵が反映されていることが多いが、とてもすらすら読めた。松本清張さんは知恵者だから、軍師官兵衛を映写してもいいが、一般作家が軍師を描こうものなら、「奇襲提案凄い」となりかけるところである。ただ、松本清張さん独自のテイストではない気がする。まあ、これも彼の人生の中の一作なのだ。

    0
    2022年04月07日
  • 共犯者

    購入済み

    読みやすい

    スラスラと読み進められました。
    読んでいるうちにゾッと怖くなるような感じもあって、小説なのにすごいなーと思いました。
    敗戦後の昭和の時代を懐かしむこともできる短編集でした。

    0
    2022年03月16日
  • 点と線

    購入済み

    びっくりするほど読みやすい文章です。なのに奥深い。いろんな要素が詰め込まれているのにそれらが全く喧嘩せずに融合しています。まさに神業。

    #深い

    0
    2022年02月17日
  • 張込み―傑作短編集(五)―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    そう言えば、松本清張作品をちゃんと読むの初めてかも。それでよく推理小説が好きとか言えたもんだ、ごめんなさい。
    全8編の短編集には映画やドラマ化されて何度も観ているものも多かったけど、やっぱり小説だと訴えかけかたが違うので、別の角度から改めて楽しむことが出来ました。
    文字だからこそ感じる恐怖。

    「声」「一年半待て」とか好きだなぁ…。
    他の短編集も揃えたい。

    0
    2021年11月09日
  • 熱い絹(上)

    Posted by ブクログ

    ストーリーは、1人のデザイナーが東京赤坂の骨董屋で、偶然、クメール彫刻の漆喰破片に遭遇するところから始まる。その後、夏の避暑地・軽井沢で、同じ骨董屋の店を発見する。しかし、そこでの店番は若い青年であった。同じ夏の軽井沢の貸別荘で、英国人中年女性の絞殺死体が発見される。別荘には、シェパードとラブラドール・レトリーバーの2頭の大型犬も一緒だったかが、吠えることもなく。一方、この英国人女性の兄は、マレーシアでタイ・シルクを扱う商会を経営し、マレーシア経済のみならず世界的に有名な実業家である。このタイ・シルク王も、マレーシアの避暑地でバカンス中に疾走をとげている。他方、マレーシアの蝶の採集旅行ツアーで

    0
    2021年10月18日
  • 状況曲線(下)

    Posted by ブクログ

    主人公の建設会社専務がダム湖で死体となって発見される。ここからストーリーの主役は捜査にあたっていた天竜署刑事に移る。東京の警視庁、京都府警と三社による捜査が、それぞれの事件について始まる。

    0
    2021年09月17日
  • 夜光の階段(上)

    Posted by ブクログ

    九州は福岡県、武蔵温泉の神社裏で殺害された若い女性。この事件に偶然遭遇したのが、福岡に出張中の検事。犯人は、近くの精神病院から脱走した患者で、結果、無罪判決となったことを知る。舞台は東京に移り、野心溢れる男性美容師が、裕福な女性客に気に入られて独立し、愛人関係となり、その女性の賛助で店舗を構え独立する。さらに芸能人のヘアーデザインを手掛けることによって、徐々に有名になっていく。そこにも、やはり美容院の上客であっり、愛人関係の女性雑誌編集者が関わっている。しかし、お店も構えるも、その返済を融資した女性から迫られるようになる。

    0
    2021年09月14日
  • 霧の旗

    Posted by ブクログ

    昭和34年から雑誌に連載された作品で、その後、何度も映画やTVドラマ化されている。冤罪事件で獄中自殺した兄をもつ妹の復讐。その復讐相手は、兄の弁護を断った有名弁護士。

    0
    2021年09月05日
  • 歪んだ複写―税務署殺人事件―

    Posted by ブクログ

    昭和34年から雑誌に掲載された作品。税務署と脱税・減税を求める企業との癒着体質が、殺人事件の背景ある。事件を追うのは、若き新聞記者。当時の大蔵官僚の昇進ルート、若手税務署長着任も、ポイントとなっている。

    0
    2021年09月05日
  • 渡された場面

    Posted by ブクログ

    昭和51年の作品。九州北部、佐賀県唐津付近、玄界灘に面した町の旅館に、東京から作家が執筆のため数日間滞在。しかし、思うように執筆は進まず、滞在中に書いた原稿をボツにして、帰京。そのボツにしたはずの原稿が、殺人事件の決め手となる。4人が亡くなり、芝犬も重要な役割を果たす。

    0
    2021年09月02日
  • Dの複合

    Posted by ブクログ

    昭和40年代の作品。売れない小説家が、新規雑誌社から紀行文執筆を頼まれて、編集者と一緒に浦島伝説・羽衣伝説の取材旅行にでるのが、奇怪な事件に遭遇するきっかけ。緯度経度、35にまつわる旅先。

    0
    2021年09月01日
  • 黒革の手帖(下)

    Posted by ブクログ

    松本清張さん
    「点と線」に続けて読んでみました!

    女の欲、復讐とドロドロさを感じさせる。女の世界の代表例を書いている。
    こんなに美味しい話や協力してくれる親切な人はいないと読んでいて思ったが、自分が流れに乗っていると気づかない気もする。挑戦し続けることは大事であるが、時には俯瞰して物事を見ることが必要であると感じた。


    最後はテンポ良く伏線を回収していた。
    続きがとても気になる、ドラマでも見たいと思うような作品です。

    0
    2021年09月01日
  • 時間の習俗

    Posted by ブクログ

    松本清張の代表作のひとつともいうべき一冊。九州は関門海峡の文字突端に位置する和布刈神社にて、旧正月に行われる神事、これが重要なアリバイとなる。事件解決に奔走するのは、『点と線』での警視庁と福岡署の刑事。昭和37年当時の飛行機搭乗の妙、鉄道定期券が身分証明として使われていたといった当時の時代背景も、現代では興味深い。

    0
    2021年08月30日
  • 葦の浮船 新装版

    Posted by ブクログ

    大学の助教授である36歳と34歳の同僚。この2人は、研究能力や業績、研究スタイルも性格も女性関係も全く異なる。こうした2人なのに、なぜか大きな摩擦もなく長い旧友関係が続いている。当然のことながら、一方が女性関係で問題を起こし・・・・というストーリー。今も昔も変わらぬ、一種独特な組織である大学、そして考古学の世界。松本清張の1つのモチーフとして取り上げられる組織でもある。

    0
    2021年08月16日
  • 水の肌

    Posted by ブクログ

    表題作を含む計5編の短編集。なかでも、「小説 3億円事件」は異質な作品。昭和43年に起こり、迷宮入り事件となった実際の事件をモチーフとしている。

    0
    2021年08月11日
  • 眼の気流

    Posted by ブクログ

    表題作を含む5つの短編集。解説にも記載されているが、中高年男性の暗い、やり場のない悲しみや物憂いが、共通する短編集。

    0
    2021年08月02日
  • 共犯者

    Posted by ブクログ

    表題作の「共犯者」のほか、「恐喝者」「愛と空白の共謀」「発作」「青春の彷徨」「点」「潜在光景」「剥製」「典雅な姉弟」「距離の女囚」を収録する短編集。

    0
    2021年07月25日
  • 黒革の手帖(下)

    Posted by ブクログ

    元銀行員の原口元子の物語。
    怒涛のクライマックスたるや。前半はのらりくらりと横領恐喝、こんなにうまくいくのかなぁと思っていたら…
    ラストは残忍ながらも納得、という感じでした。
    誰の入れ知恵も後ろ盾もなく一人でやってく元子はあっぱれでしたがやってることは悪そのもの…
    そりゃ恨みも買いまくるよなあ。

    0
    2021年04月06日