松本清張のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
だいぶ長い間かかってしまったけれど、松本清張が皇室(の周辺)を扱った未完の大作。読み進めるにつれて未完ということが残念でならないけれど、致し方ない。
新興宗教に関わる皇室で働く女官の自死に始まり、その謎を華族に連なる萩園と、特高の吉屋が追う。双方がお互いを警戒しあっている関係性、皇室というタブーに関わること、その皇室と新興宗教の関係の怪しさ、満州における阿片の不正事件、天皇陵の盗掘、そして大戦を前にした昭和初期という緊張感がこの小説の雰囲気を盛り上げる。
小説ではあるけど、昭和初期は日本がアジアの盟主(批判はあるだろうけど)であったことも特に満州を巡る記述や人々の凛とした佇まいから感じられる。 -
Posted by ブクログ
全編面白かった。
本書の主人公は「女」で踏み外す男ばかりである。
基本的にはモテない男が金目当てで近づいた女に毟られる展開だ。真面目に生きて来た冴えない男が、ふとした切っ掛けで女に溺れ、それを隠そうとしてドツボに嵌ったり、自分が浮気しているのに嫉妬したり、とても人間臭い物語ばかりだ。
一言でいうと「格好悪い」男たちの藻掻き苦しんだ様を描いている。世間ではサスペンスのジャンルに入っているようだが、コメディーとして読める作品もあった。
とにかく格好悪い。格好悪い男たちの悪あがき小説である。
●遭難
同僚三人の登山で一人が遭難で死亡。当初は事故とされていたが、死亡した同僚の従兄が同じコースを登山 -
購入済み
読みやすい
スラスラと読み進められました。
読んでいるうちにゾッと怖くなるような感じもあって、小説なのにすごいなーと思いました。
敗戦後の昭和の時代を懐かしむこともできる短編集でした。 -
Posted by ブクログ
ストーリーは、1人のデザイナーが東京赤坂の骨董屋で、偶然、クメール彫刻の漆喰破片に遭遇するところから始まる。その後、夏の避暑地・軽井沢で、同じ骨董屋の店を発見する。しかし、そこでの店番は若い青年であった。同じ夏の軽井沢の貸別荘で、英国人中年女性の絞殺死体が発見される。別荘には、シェパードとラブラドール・レトリーバーの2頭の大型犬も一緒だったかが、吠えることもなく。一方、この英国人女性の兄は、マレーシアでタイ・シルクを扱う商会を経営し、マレーシア経済のみならず世界的に有名な実業家である。このタイ・シルク王も、マレーシアの避暑地でバカンス中に疾走をとげている。他方、マレーシアの蝶の採集旅行ツアーで